基礎古地磁気学ノート:地磁気逆転の記録

アイスランドの溶岩に記録された地磁気の逆転と永年変化
左図はアイスランド北部,Storutjarnirの沢沿いに露出した玄武岩溶岩層序です.このセクションは高さ約500 mで溶岩は90枚あります.複数の溶岩からK-Ar年代が測定されて,2〜3 Maの年代値が報告されています.
このセクションの古地磁気学研究から右図のような古地磁気(古地球磁場)の変動と逆転の詳細な歴史が明らかになりました.図で小さな赤丸はVGPの位置を,その周りのより大きな円は95%信頼限界です.このセクションには3つの正磁極期と3つの逆磁極期が含まれ,それぞれの磁極期についてVGPの等面積投影を下部から上部に向けてプロットしてあります.2〜3 MaのK-Ar年代値を考慮し,地磁気極性タイムスケールと比較して,このセクションのほとんどはクロンC2An(ガウス)に,最下部はクロンC2Ar(ギルバート)に形成されたと結論されました.このセクションからは,古地磁気方向の統計的性質や古地磁気強度(古地球磁場強度)の詳細な研究がなされています.
次ページ以降に,古地磁気学的手法の基礎をまとめます.
参考文献:
- Tanaka, H., and Y. Yamamoto, Palaeointensities from Pliocene lava sequences in Iceland: emphasis on the problem of Arai plot with two linear segments, Geophys. J. Int., 205, 694-714, 2016. (→ doi:10.1093/gji/ggw031)