旧式の古地磁気解析プログラム
このページでは, MS-DOS 時代の生きる化石である筆者が,古地磁気データを解析する C 言語による旧式のプログラムを紹介します.最近の GUI (Graphical User Interface) によるアプリケーションと異なり,ユーザは Linux システムの端末からコマンドを入力する必要があります.プログラムは2シリーズあります.
第1のシリーズのプログラムは下図のように Wessel et al. (2019) の Generic Mapping Tools 6 の classic mode をシステム・コールすることでポストスクリプトの図を描きます.GMT 6 の classic mode は GMT 5 と完全な互換性があります.そのため,プログラムは GMT 6 か GMT 5 がインストールされた Linux システムのみで動きます.コマンドが入力されると,プログラムは必要な計算を実行し, GMT 6 (GMT 5) を使用してポストスクリプトの図を作成します.そして,ポストスクリプト・ヴュワーの Evince が結果の図を表示します.
第2のシリーズのプログラムは計算のみを行い, GMT のツールは使用しません.よって,プログラムは多くの Linux システムの端末上で動くと思われます.

プログラムの概要
GMT 6 (GMT 5) を使用する第1シリーズのプログラム
GMT 6 (GMT 5) を使用して図を描く第1シリーズの8つのプログラムのうち,5つは古地磁気データの解析を,2つは統計的検定を,1つは円近似を実行します.
- "pdemag": 段階消磁の結果から残留磁化方向を決定する試料レベルの解析.
- "pdirec": 平均古地磁気方向と VGP を決定するサイトレベルの解析(上図).
- "pstat": 古地磁気方向の総平均と古地磁気極を決定するグループレベルの解析.
- "psvar": 連続溶岩層序のグループレベルの解析.
- "pinte": テリエ法による古地磁気強度の実験結果の解析.
- "histo": 1つのデータセットに対する分布の検定.
- "histo2": 2つのデータセットに対する分布の検定.
- "pcirc": 2次元 X-Y データの円近似(Taubin の代数学的方法).
第1シリーズ・プログラムのシステム環境
プログラムは ”Ubuntu 22.04” で動いていますが,システムには ”GMT 6.3.0”, ”evince 42.3”, ”gcc 11.4.0” がインストールされています.他の Linux 環境での互換性については分かりませんが, "GMT 6" (または "GMT 5") と "evince" がインストールされていれば動くと思われます.
ここでは, C ソースのみが提供され,それらは gcc によるコンパイルが必要です.プログラムは,ログイン・シェルとして TC シェル "tcsh" が使われているターミナルで動いていますが,他のシェルもおそらく可能と思われます.これらのプログラムの使用は自己責任でお願いします.但し,現在まで使用時にいかなる問題も発生していません.それでも, UNIX コマンドの最小レベルの知識は必要です.例えば,プログラムが万一フリーズし,"Ctrl+C" も無効な場合の,"ps" や "kill" コマンド等です.
インストール
"pmagm302.tar.gz" (→ダウンロード) を適当なディレクトリに置き,次のように入力して解凍します.
tar xvfz pmagm302.tar.gzディレクトリ "pmagm302" が作成されるので,そのディレクトリへ入ります.
cd pmagm302そして,次のコマンドでソースファイルをコンパイルします.
make
実行可能なファイル(プログラム)がディレクトリ "pmagm302/bin" に作成されています.それらを, "/usr/local/bin" 等の通常のバイナリ・ディレクトリにコピーします.ソース・ディレクトリのそれぞれには,テスト用のデータファイルがあります(ディレクトリ "pmagm302/psvar-src" には "t-iceland.d" など).プログラム使用の前に,使用方法が記述されている "MEMOS_pmagm302.pdf" を読んでください.
注意:
- 端末からプログラムを起動すると, evince (ドキュメントビューアー) のウィンドウがディスプレイで最上位です.プログラムの解析を始める前に,端末のウィンドウをクリックして端末を最上位にします.
- プログラムの起動後まれに evince (ドキュメントビューアー) のウィンドウに何も表示されないことがあります.この現象はおそらく evince が見開きページの設定になっていると思われますので,設定を外せば解決するはずです.
GMT を使用しない第2シリーズのプログラム
第2シリーズの7個のプログラムは以下の通りです.
- "tmean": 2つのスカラー・データが共通の平均を有するかの検定.
- "tmeandir": 単位ベクトルの2つ又は複数のグループが共通の平均方向を有するかの検定.
- "pcalc": 簡単な古地磁気計算機(IGRF と円近似を含む).
- "igrf": IGRF-13 を利用した主磁場成分の n=m=10 まで含めた計算.
- "sunpmag": サンコンパスによるコアのオリエンテーション(夏原製オリエンテーター用).
- "sp2m": スピナー・データファイルの変換(夏原製 SPIN2 新ファイル "*.txt").
- "_sp2m": スピナー・データファイルの変換(夏原製 SPIN2 旧ファイル "_*.txt").
第2シリーズ・プログラムのシステム環境
プログラムは ”Ubuntu 22.04” で動いてますが,システムには ”gcc 11.4.0” がインストールされています.第2シリーズのプログラムは,最近のヴァージョンの "gcc" がインストールされていれば,他の Linux 環境でも動くと思われます.
ここでは, C ソースのみが提供され,それらは gcc によるコンパイルが必要です.プログラムは,ログイン・シェルとして TC シェル "tcsh" が使われているターミナルで動いていますが,他のシェルもおそらく可能と思われます.これらのプログラムの使用は自己責任でお願いします.但し,現在まで使用時にいかなる問題も発生していません.それでも, UNIX コマンドの最小レベルの知識は必要です.例えば,プログラムが万一フリーズし,"Ctrl+C" も無効な場合の, "ps" や "kill" コマンド等です.
インストール
"pmagt401.tar.gz" (→ダウンロード) を適当なディレクトリに置き,次のように入力して解凍します.
tar xvfz pmagt401.tar.gzディレクトリ "pmagt401" が作成されるので,そのディレクトリへ入ります.
cd pmagt401そして,次のコマンドでソースファイルをコンパイルします.
make
実行可能なファイル(プログラム)がディレクトリ "pmagt401/bin" に作成されています.それらを, "/usr/local/bin" 等の通常のバイナリ・ディレクトリにコピーします. ”pmagt401/tmean-src” などのソース・ディレクトリには,テスト用のデータファイルが含まれており,それらの多くは ”t-*.d” というファイル名です.プログラム使用の前に,使用方法が記述されている "MEMOS_pmagt401.pdf" を読んでください.
参考文献:
- Wessel, P., W.H.F. Smith, R. Scharroo, J. Luis, and F. Wobbe, Generic Mapping Tools: Improved Version Released, EOS Trans. AGU, 94 (45), 409-410, 2013. (doi: 10.1002/2013EO450001)
- Wessel, P., Luis, J.F., Uieda, L., Scharroo, R., Wobbe, F., Smith, W.H.F., and Tian, D., The Generic Mapping Tools version 6, Geochemistry, Geophysics, Geosystems, 20, 5556–5564, 2019. (doi: 10.1029/2019GC008515; Manuals: https://docs.generic-mapping-tools.org/6.0/)