- 少し前の京急バス
- 京急のバスといえば先駆的なイメージがある。かつて年末年始と旧盆に大活躍した「帰郷バス」といえば京急がヒットさせたものであった。また夜行長距離路線バスブームを作った「ノクターン」も京急であった。反面、電車も同様だが、古くからのカラーを大切に育てる保守的な面も強い。バスの外部塗装は1950年代から変更されておらず、京急バスといえば乗合・貸切ともにあの色とすぐに思い浮かぶ人は多いと思います。横浜の金沢で生まれ育った私には、地元のバスとして長年親しんでおり、バスの見分け方(スタイルからメーカーを判読したり)を覚えたのも京急でした。数ある写真の中から特徴のあるものを中心にご紹介したいと思います

初代横羽線専用車A6617(三菱B800N)です。1976年に12台導入され、今までの一般車輌を置き換えた。この時代の路線バスとしては破格の冷房付で、京急のこの路線に対する力の入れようがうかがえられた。屋根上に突き出した冷房ダクトやフロントのグリルなど外観も特徴あふれていた。
晩年は一般路線に転じ、貴重な冷房車として活躍していた。写真は追浜営業所杉田車庫所属時代のもの。ここも今は移転で車庫ではなくなっている。
1983年5月31日 杉田車庫

2代目横羽線専用車H6987(三菱MP517N)です。前扉・エアサス車の完全な専用車として投入された。翌年には同僚として同仕様の三菱MP518NといすゞCJA550も仲間に加わり、増大する旅客重要に対応していた。
その後MP518の一部車輌は東北青森の下北交通に譲渡されている。
1983年5月23日 羽田空港旧旅客ターミナル前

1983年から95年までは採用されていた京急の独自仕様の「スーパーワイドドア」付き車輌の第一号車M8331(K-U31N)です。大森営業所管内には競馬場や競輪場があり短時間で、乗降客をさばく必要からの採用であった。現在の新造車は仕様統一化のため、残念ながら一般的な四枚折り戸が採用されている。
1983年6月3日 大森駅前
- 京急バス(番外編)

やや番外編気味ですが、これもれっきとした京急バスで、岩手県交通に譲渡された日野RBです。塗装の下に京急の塗り分けが見えていました。正確な台数は不明ですが、このバスの他にも数台が同社に譲渡されていたようです。
後方の三菱車は旧岩手県南バスの旧塗装です。同社は旧岩手中央バスと旧県南バスが合併して設立した会社で、この時期には両社の旧塗装がまだまだ残っていました。
1985年10月19日 岩手県交通水沢営業所

これもまた番外ですが、札幌市のばんけい観光に譲渡された元京急バスです。大森営業所に配属されていたU-20Nです。
ほとんど原形のままで手を入れられておらず、ボディの上半分は塗装もそのままで、不思議な感じでした。現地まで足を運びましたが、この会社は規模もそんなに大きくなく、詳しいことが判らず、どうやって使われているのだろうと首をひねりながら、写真だけ撮影して帰ってきました。同型車がもう一台おりました。
1985.9.23 ばんけい観光バス本社
- ノクターン号登場の頃
- 1986年12月にスタートしたノクターン号は、それまでどちらかというと負のイメージが強かった夜行のバスのイメージを一気に払拭したものでした。29人乗りの3列シートやトイレ・各種サービスなど夜行バスに必要な設備を充分に検討されたバスは極めて快適で、ノクターンの成功が長距離夜行バスのモデルとなり、その後各地で大ブームが巻き起こりました。
開業時は日本一の長距離路線バスとして脚光を浴び、元々は共同運行会社である弘南バスの提案で運行開始となったものの、京急が上手にPRし、当時始発地だったホテルパシフィックで行われた開業式には、あのニュースステーションが取材に来ていたほどの華やかなものでした。この成功により京急はその後日本一を更新する鳥取線(キャメル号)をはじめとして着々と路線を拡充、品川駅近くにはこれらのバス路線のためのターミナルを建設するに至った。
以下の写真は開業当日のノクターン号に弘前まで乗車し、休憩場所である弘南バス高崎営業所で撮影したものです。

当初専用車として2台導入されたが、それぞれ別の車体デザインだった。片方は弘南と共通の統一デザインで、写真は京急のオリジナルデザインのノクターン号。統一塗装は細い線がたくさん有り、凝った割には目立たず、個人的にはこちらのほうが好きだった。
その後増車で導入したノクターン専用車には、弘南のオリジナルデザインを採用したものもあったが、現在はノクターンの専用デザイン車は消滅しすべて過去帳入りとなっています。
1986年12月28日 P-MS725S改 弘南バス高崎営業所

前述の通り、当初投入されたノクターン専用車は2台のみで、2台のバスの塗装デザインは違っていた。
写真では分かりくくいですが右側の車が統一デザインで弘南バスと共通のもの。
京急・弘南両社とも別にオリジナルカラーを採用し、ノクターンは全部で3種類の外部デザインでスタートした。
1986年12月28日 P-MS725S改 弘南バス高崎営業所