まず、第1部で提示された資本の循環運動をおさらいしてみる。
G−W−G
この循環は、段階的に分析してみると、つぎのようになる。
第1段階、G−W。買い手として市場に登場した資本家の貨幣が商品に転換される。
第2段階、購買された商品Wの生産的消費。とくに第1部では、この生産的消費の過程が考察された。
第3段階、W−G。購買された商品とは異なる使用価値をもち、より大きな価値をもつ商品Wをもって、資本家はふたたび市場に登場し、その商品Wを販売して貨幣に転換する。
こうして、マルクスはG−W−Gという定式を、より分析的に、つぎのように表わしている。
G−W…P…W'−G'
ここで、Pと表わされているのは、生産過程において生産的に消費される商品W。ここでは流通過程で購買される商品と生産過程で消費される商品とが区別されている。
この場合、点線は流通過程が中断されていることを示し、またW'およびG'は、剰余価値によって増殖したWおよびGを表わす。[31]
第2部で考察されるのは、この資本の循環過程の第1段階と第3段階における形態変換、形態形成だ。ただし、この形態変換、形態形成そのものを「純粋に」把握するために、第2部の考察では、つぎのことが仮定される。
ここでは、諸商品はそれらの価値どおりに販売され……、この販売がまえと変わらぬ事情のもとで行なわれる……。循環過程中に起こりうる価値変動も度外視される。[32]