第2部:資本の流通過程
第1篇:資本の諸変態とそれらの循環

第2章
生産資本の循環

  1. 単純再生産
  2. 蓄積、および拡大された規模での再生産
  3. 貨幣蓄積
  4. 準備金

生産資本循環の一般的定式

生産資本循環の一般的定式は、つぎのように示される。

P…W'―G―W…P

第1章のさいごに確認された、産業資本循環の反復のなかで浮き上がってくる循環定式。G―Wが前提とし、それによって措定されているところの生産過程の更新。貨幣資本の循環定式では剰余価値の生産が示されたが、この生産資本の循環定式では、その周期的な再生産が示される。

言い換えれば価値増殖に関連する再生産過程としての生産資本の生産過程……。すなわち、単に剰余価値の生産ではなく、その周期的な再生産であり、生産的形態にある産業資本の……周期的に反復される機能……。[69]

資本主義的農業経営

マルクスはさきに、産業資本というカテゴリーについて、つぎのように定義していた。

上記の資本が資本主義的に経営されるどの生産部門をも包括する、という意味である。[56]

ここ第2章冒頭で、マルクスは、この資本主義的に経営される生産部門の一つとして農業をあげ、この資本主義的農業経営における生産資本循環のケースについて言及している。上記、一般的定式において、W'の一部分が、剰余生産物の部分として、資本家によって現物消費されるケースである。

記帳上の価値―計算貨幣として表わされる価値

W'の一部分が、資本主義的農業経営において、資本家によって現物消費されるのと同様に、W'の一部分が、「産業資本のある投下諸部門」、あるいは産業資本循環の同じ労働過程に直接、ふたたび生産手段としてはいり込むケースが指摘されている(具体的にどのような事例があるのか……?)。

これらのケースの場合、W'の一部分はG'の一部分への転化が省略され、流通にははいり込まず、生産過程にはいり込む。

その部分の価値の、現実貨幣または貨幣章標への転化が省略される……、言い換えれば、この転化が計算貨幣として自立的表現を受け取る……。[69]

「計算貨幣」については、第1章のなかでもつぎのように述べてある箇所があった。

貨幣資本の循環は、その循環がつねに前貸価値の増殖を含んだいる限りでは、相変わらずつねに産業資本の一般的な表現である。P…Pにおいては、資本の貨幣表現は、生産諸要素の価格としてのみ、したがって計算貨幣で表わされた価値としてのみ現われてくるのであって、記帳ではこの形態で書き留められる。[65]

生産資本循環形態の特徴

  1. 貨幣資本循環形態の場合、生産過程が、価値増殖のための手段として流通局面の媒介として現われるのにたいして、生産資本循環形態では、逆に、流通局面が、周期的に更新され継続する再生産の媒介として現われる。
  2. 生産資本循環の総流通過程は、貨幣資本循環の場合に現われる総流通過程(G―W―G)とは反対の形態、すなわち単純な商品流通の形態(W―G―W)として現われる。

資本価値の貨幣形態がその循環の第一形態(貨幣資本の循環)でもつ自立性の外観は、この第二形態〔P…P〕では消えうせ、したがって第二形態は形態Tの批判をなし、形態Tを一つの単に特殊な形態に帰着させる。[78]

  1. 単純再生産
  2. 蓄積、および拡大された規模での再生産
  3. 貨幣蓄積
  4. 準備金
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