登山NO.0080 乗 鞍 岳( 乗鞍岳:3,026m ) 1999.8.8登山


 頂上より雲海に浮かぶ乗鞍岳の影( 1999.8.8 )

【乗鞍岳登山記録】

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NO.80 乗鞍岳登山記録

焼岳の項から続く。

中の湯の露天風呂をに浸かってノンビリした後、本日の宿泊場所である乗鞍岳肩ノ小屋に向かうべく中の湯の玄関を出ようとした時、 若主人らいし方が 『車ですか ?バス停まで歩かれるなら車でお送りしますよ』 と声を掛けてくれた。
バスの時間は 13時20分であるからまだまだ時間に余裕がある訳だし、また乗鞍岳の頂上近くまでバスで一気に登ってしまうことにかなりの罪悪感 (登山道徳に背く ? ) を感じていて、 歩ける場所はできるだけ歩こうと決めていたこともあり、そして何よりもたった 1人のために車を出してもらうことの申し訳なさが先に立って、 せっかくの申し出だったにも拘わらずお断りをしてしまったのであった。
山の雑記帳にも書いたようにいつもの天の邪鬼 (へそ曲がりとも言う) が出たともとれないこともないが、 私には私なりに登山に対する考え方があるつもりである。
しかし、ありがたい申し出だったことは間違いない訳で、中の湯の若主人には感謝である。

早速、中の湯の前から車道を下り始めたが、そよ吹く風が湯上がりの身体に気持ち良く、 汗もそれ程かかないで済みそうであった。
ただ、道は長く、樹林の中を大きく蛇行 (というよりヘアピンカーブの連続) しながら下っており、 直線にすればどうということもない距離をかなり遠回りさせられたのには少し参った。
樹林の中の道を 30分ほど歩いたであろうか、やがて、松本と平湯温泉を繋ぐ国道158号線に合流したので、 道を左に折れて中の湯のバス停へと向かった。
バス停は松本−平湯を結ぶ道路と上高地へ続く道路 (バスとタクシー以外は通行止め) との分岐点にあり、 まだまだ時間的に余裕があったので、その分岐点にあった店で牛丼を頼んで腹ごしらえをした。

バスの時間は先ほども述べたように 13時20分であったのだが、なかなか来ない。
分岐点にいたバス会社の人 ? に聞いたところ、上高地とこの分岐を結ぶ道は一方通行の所があり、 大変混雑しているとのことであった。
結局のところ、40分も遅れてバスは到着したのであったが、それまでの間、分岐点における車の動きを見ていると結構面白く、 時間つぶしになったのはありがたかった。
さすがに不安になり始めた頃にようやくやってきた濃飛バスは、補助席も含めて満員の状態で、前方のドアの所に立っていなければならなかった。 これは終点の乗鞍岳山頂 (畳平) まで立ちっぱなしかとガックリしていたら、 何のことはない、次の平湯で全員が降りてしまったのには驚かされてしまった。
そうそう、途中通った安房トンネルは立派なトンネルであったことも書き忘れてはならない。

平湯から乗鞍岳へ向かうのは私も含めて 15人程で、運転手が皆に頂上泊まりかどうかを確認していた。 どうやらこのバスが折り返しの最終バスになるらしい。
バスは乗鞍岳へと向かって高度を上げていったが、高度が上がって展望が良くなるにつれ、窓から見える景色も素晴らしいものに変わっていった。
ここでも目立ったのは笠ヶ岳の堂々たる姿である。
車中のおばさん連中は、笠ヶ岳槍ヶ岳と思い込んで歓声を上げていたので、 笠ヶ岳の名誉のためにも訂正してあげようかとも思ったのだが、 あまりの喜びように声を挟む間もなくタイミングを失ってしまった。
確かにここから見る笠ヶ岳は鋭角にその頂を天に向けており、 見方によってはやや太めの槍ヶ岳と見えなくもない。

しかし、この素晴らしい景色もバスがさらに高度を上げるに連れガスに隠されてしまい、 乗鞍岳中腹から上の状況はほとんど見ることができなかったのであった。
ただ、ガスによって全体は見えずとも、この乗鞍岳の大きさは十分に感じることができ、そのあまりの広大さに驚かされるばかりであった。
この山を我がものにしようと考えたら何日も山の中を徘徊しなければならないに違いない。
というようなことを考えているうちに、バスは車で混雑している畳平に着いたが、周囲は完全にガスの中で何も見えず、 余裕があれば周囲を回ろうと考えていた目論見は 40分のバス到着遅れも重なって見事に吹き飛んでしまったのであった。

仕方がないので、駐車場にあった案内標識に従って頂上方面へと向かったが、 道は車 1台が十分に通れそうな、登山道と言うよりは林道のような作りで、 ここは観光地だということを痛いほど感じながら肩ノ小屋を目指したのであった。
そして案の定、途中で擦れ違う人はみな登山姿というよりは観光スタイルで、場違いな感じを大いに味わったのであったが、 晴天であったらもっと気恥ずかしい思いがをしたに違いないところをガスで視界が利かずに助かったといったところである。

15時30分に肩の小屋に着くと、受付で相部屋になると言われ、201号室を指示されたので行ってみると、 嬉しいことに 5人は寝られる大きさの部屋にたった 1人との同室であった。ラッキーである。
その方は埼玉の方であったが、これまでずっと金沢に出張しており、車で帰る際に白山を登った後、 この乗鞍岳にも足を延ばしたとのことであった。
出張の帰りに 2つも山を登るからには相当の山好きと睨んだら、その通りかなりの山に登られているようで、 私の未開拓の地である北海道、東北の百名山も多く踏破しておられる大ベテランであった。
話は結構弾んだのだが、食事後は何もすることがなく、お互い納得ずくで 19時半には床につくことにした。
夜行バスでやってきた私にはこれは大変ありがたかった。

翌日は 4時に起きるつもりで目覚ましをかけていたのであるが、3時頃から周囲がうるさく、 4時前には完全に目を覚ましてしまった。
ご来光をを見るために早起きしたのであろうし、自分たちの足が遅いことを考慮しての早立ちであろうが、 迷惑なことこの上ない。廊下を走る輩もいれば、大声で話す輩もおり、人への迷惑一切お構いなしである。これだから山小屋はイヤである。
4時20分頃には夜も白み始めたので、私も床から出て頂上へと向かうことにした。
途中で、ご来光を待つ人達を何人も追い抜いたが、早いうちに外へ出ておきながら山の中腹でご来光を待っているというのではもったいない気がする。
そして思ったとおり、太陽は雲の海の向こうで 『今出るぞ、今出るぞ』 と思わせつつなかなか出てこず、 結局 朝日が顔を出したのはそれから 30分も経った 5時少し前、私が頂上に辿り着く直前であった。

久々に山の上で拝むご来光は大変素晴らしく、周囲の山々が黄色く染まっていく様は本当に感動的で、 何か大変清々しい気分にさせられた。
頂上には祠があり、その裏には早朝というのにお守りを売る社務所めいたものまで設置されていたのには驚かされた。
頂上からの展望は抜群で、まず目に付くのが御嶽である。
私は勝手に乗鞍岳と御嶽は兄弟と思っているのであるが、 この乗鞍岳頂上から見る御嶽は昨日の笠ヶ岳と同様、 今まで見てきた御嶽とは趣を異にしていて驚かされた。 御嶽木曽駒ヶ岳頂上から見た広く横に長い頂上をもった形の印象が強く、 ここから見るスマートな姿に一瞬何という山か分からない程であった。
そして御嶽の右には、もう一つ黒い山の形が雲海の上に浮かんでいたのだが、何とそれはこの乗鞍岳自身の影であった。
私の近眼は進んでおり、眼鏡をかけないと遠くがハッキリ見えないので、てっきり朝の雲海の中に山が霞んで見えているものと思っていたら影だったのである。

また、振り返れば、槍ヶ岳、穂高連峰などの北アルプス、 そして甲斐駒ヶ岳などの南アルプスも見ることができ、 後で聞けば、富士山も見えたとのことであったが、 私には確認することができなかった。
また足下には昨日の焼岳と同じように火口跡と火口湖があり、 この山にアクセントをつけていることを付記することを忘れてはならない。

頂上に 30分もいただろうか、いつまでも飽くことのない光景にもっといても良かったのだが、 明日は出社、できるだけ早く帰るにこしたことはない。
ごろごろした岩の道を一気に下り 20分ほどで肩ノ小屋に戻ることができた。
小屋で昨晩作っておいてもらった弁当を食べ、6時20分に小屋を後にした。
乗鞍岳の最高地点に登ってしまい、しかもあんなに素晴らしい景色を見た後では、 乗鞍岳周辺を散策する気にもなれず、一気に下ることにしたのである。

但し、山登りを殆どしなかった罪滅ぼしもあって、下りは乗鞍高原の鈴蘭まで下り、 温泉で汗を流した後、バスで新島々へと向かう予定である。
晴天の中、大きな岩の中の道を下っていくとすぐに車道に出てしまった。
ここからの道が分からなくて困ったのであったが、地図を見ると車道を少し下ればまた登山道があるようである。 その通り車道を少し下ると赤い印があり、またゴツゴツした岩の道を下ることになり、 また暫くして車道にぶつかり、ここでも登山道が途切れているので車道を少し歩いて再び登山道に入るということを繰り返し、 途中 岩に祀られた宝徳霊神を見るなどして、またまた車道に出てから暫く歩くと位ヶ原山荘の前に出たのであった。
山荘でポカリスェットを購入して山荘のご主人と話をしたが、ご来光は 4日ぶりということであり、 自分が大変ラッキーであることを認識した次第である。

鈴蘭までの道は途中で車道歩きを強いられることが何回もあったものの、山道自体はしかっり踏まれており、 本当に時間と機会があれば今度は登りに使ってみたい道であった。
スピードを上げて下っていくと、樹相も松林に変わり、やがて平らな尾根道を過ぎると下方に乗鞍高原が見えてきた。
スキー場を横切り、さらには黄色の花が咲いてお花畑となったスキー場をスロープに沿っておりていくと、 やがて貸しスキーの店が立ち並ぶ場所に出たのであった。どうやらここが鈴蘭らしい。
バス停に向かって歩いて行くとタクシーの運転手が 『これから登るのか』 と声を掛けてきたのだが、 実はその人は乗鞍岳からの下りで車道を歩いている時に一度声を掛けてきた運転手だったのである。
『もう登ってきた』 と答えると、私のことを思い出したらしく、 私の下山のスピードが信じられないようであった。時刻は 8時35分、2時間15分くらいで肩ノ小屋から下ったことになる。
実はこの時刻には私もビックリした訳で、11時31分のバスに乗ろうと思っていたところが、これなら 9時31分のバスに乗れることになる訳である。
嬉しい誤算と思いつつ、汗を流せる温泉を探したが時間が早いので温泉が開いていないのである。
色々聞き回って、村営の銀山荘が 9時から営業開始ということを聞き、さらにその銀山荘とは道路を挟んだ反対側には無料の露天風呂もあることも教えてもらい、 露天風呂に入って汗だけを流すことにした。

振り返れば、乗鞍岳がその頂上付近にガスを従えながら明るく輝いており、 雪渓の白、山の緑、岩の茶色のコントラストは見事である。
しかしである、眼鏡を掛けてよく見ると、その山腹を自動車道が横切っているのが良く見え、興ざめさせられたのであった。
未踏の百名山を求めて先を急ぐため、百名山達成まではもう乗鞍岳に来ることもなかろうが、是非とも百名山踏破後はこの乗鞍高原に再び来て、 ここから頂上まで登りたいものである。
今回の乗鞍岳はろくに登っていないので何か大変な借りを作ってしまっているような気がしてしょうがない。
是非とも今度は下から登るようにしたいものである。


乗鞍岳登山データ

上記登山のデータ登山日:1999.8.8 天候:快晴単独行(前日肩ノ小屋泊)日帰り
登山路:畳平−肩ノ小屋(泊)−乗鞍岳−肩ノ小屋−位ヶ原−鈴蘭
交通往路:(前日 焼岳登山後、バスにて畳平着。肩ノ小屋泊)
交通復路:乗鞍観光センター前−(バス)−新島々−(松本電気鉄道)−松本−(中央本線)−八王子−(相模線)−海老名−(相模鉄道)−瀬谷
その他の乗鞍岳登山森林管理署林道ゲート−登山口−中洞権現−剣ヶ峰鞍部−剣ヶ峰− 剣ヶ峰鞍部−中洞権現−(中洞権現ノ尾根)−登山口−森林管理署林道ゲート   (2012.9.16:快晴のち曇り時々晴れ)
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