登山NO.0065 赤 石 岳( 赤石岳:3,120m ) 1996.7.28登山


 荒川岳中腹から見た赤石岳( 1996.7.28 )

【赤石岳登山記録】

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NO.65 赤石岳登山記録

南アルプスについては、1992年の北岳間ノ岳塩見岳の縦走以来ご無沙汰していたが、 今年の夏休みは久々に南アルプスをやってみたくなり、これまでアプローチが大変なことから手つかずだった南部の山を登ってみることにした。

地図と時刻表をにらめっこして色々考えたが、アプローチが南部の山の中では比較的容易で、また登山基地の椹島を中心として、 食事付きの山小屋泊が可能である赤石岳、悪沢岳に登るのが一番良いと考え、 早速登山計画を立案した。

当初はガイドブックにあるように、1日目に椹島まで行って宿泊し、2日目に荒川小屋か赤石小屋泊、 3日目に椹島泊か或いは帰宅というパターンをとろうと考えていたが、1日目がどうも無駄のような気がしたので発想を転換し、 1日目に赤石小屋泊、2日目に千枚小屋泊、3日目帰宅という行程を踏むことで計画を組むことにした。

7月27日、横浜から市営地下鉄にて新横浜まで行って、朝1番の新幹線こだま号に乗って静岡駅で下車、 そして静岡から八木尾又上行きのバスに乗った ( 本来、このバスは畑薙ダムまで運行されていたものであるが、 台風によって道路が崩壊したため、八木尾又上止まりになっているものである )

バスは、静岡駅より手前の新静岡駅発で、私が乗り込んだ時は既に 7、8割方座席が埋まっており、 この静岡駅からの乗車で満員になるという状況であった。

バスは乗車時間 3時間という長丁場であったが、途中の富士見峠でトイレ休憩があり、 そこの展望台からこれから登る赤石岳や聖岳を見ることができ、 また車窓から眺める景色も変化に富んでいたので、結構 長旅を楽しむことができた。

終点の八木尾又上でバスを降り、臨時の登山管理所で登山届を提出した後、椹島へのバス発着所まで進んだのだが、 この間は道路が崩壊しているため、一旦河原に下りてから向こう岸に渡り、暫く進んでからこちら側に渡り返してまた道路まで登る という迂回路を取らざるを得ず、 その思いの外キツい登りや途中の揺れる吊橋などで、最初からこの山域の手強さを思い知らされた感じがした。

椹島でバスを降りたのが 13時少し前で、そこからここまで走ってきた林道と椹島との分岐点にある赤石岳登山口を目指し、 来た道を戻ったが、実は椹島は林道を折れてから U字型になっている道路を最も奥まで進んだ所にあり、従って来た道を戻るのではなく、 そのまま進行方向に進んで行けば、山道を伝って元の林道に戻れたのであり、大分遠回りをすることになってしまった。

林道に戻るとすぐ左手に赤石岳登山口の標識があり、階段を昇って山に取り付くことになった。
バスの中で昼食を済ませたばかりであり、しかも太陽の光が木々の間から射してまぶしく、午後の物憂い雰囲気がただよう中で歩き始めたので、 なかなかエンジンがかからなかった上に、ジグザグの結構急な登りであったために、最初のうちは大変キツい思いをさせられた。

あまり調子がでないまま進んでいくと、ダケカンバの多いカンバ段と呼ばれる所へ着いたので、 私にしては珍しく長い休憩をとったが、そこへ通りかかった赤石岳方面からの下山者が 「今朝のバスで来たのなら結構早いペースだ」 と言ってくれたので少々元気が出てきた。

カンバ段から少し進むと荒れた林道があり、またすぐに山道に入ったが、樹林帯の中の登りは先ほどに比べて緩やかになってきたものの、 身体の方は相変わらず重く、30分歩いては少し休みというペースを続けざるをえなかった。

しかし、徐々に周囲の木がシラビソに変わり始めると、聖岳と思しき山が木々の間に見え始め、 やがて左下に赤石小屋の自炊小屋が見え、そこからすぐの所に赤石小屋があった。この時は大変嬉しかった (到着時間は16時半)

小屋はそれ程混雑しておらず、一人 1枚の布団が確保できたし、食事も美味しく、 何しろ小屋自体がキレイであったことが良かったのだが、それにも増して、ここは聖岳と赤石岳の好展望台で、 これからの登山の意欲をかきたたせてくれる場所であることが 何よりも素晴らしいことである。

翌日は5時30分に小屋を出発し、赤石岳に向かった。
小屋からすぐにシラビソの林に突っ込み、暫くは展望を得られなかったが、やがてハイマツ帯の富士見平に着いて、そこから薄ボンヤリではあるが富士山を見ることができた。

富士見平から少し下り、暫く進んでラクダの背と呼ばれる所を越えたが、少し崩れかけた所もあり慎重を要する所である。

やがて水場が現れ、その先からは完全に沢沿いの道となったが、ここは北沢源頭でカールの底と言われており、 高山植物の咲き乱れる景色の良いところであった。しかし、道はその周囲の美しさとは反対に花畑の中の急斜面をジグザグに登っていかねばならず、 結構ハードであった。

また、そのカールの上部にはガスがかかっており、先ほどまで見えていた青空も見えなくなって、 これから登る頂上では全く展望を得られないのではないのか という不安と不満が沸いてきて、些か気持ちが萎えてきてしまった。

小赤石岳と赤石岳との鞍部 (赤石コル) についた時も、 ガスによって全く頂上を見ることができなかったのだが、奇跡が起きたのか、登るにつれて徐々にガスが薄れ始め、 頂上に7時30分に着いた時には、聖岳方面は完全に見渡せることができるようになっていた。

そして、時間が経つにつれて荒川三山方面もガスが消えて、360度の展望を得ることができるようになり、 北にはこれから登る荒川三山、そしてその後ろには間ノ岳、 また東には富士山、そして南には聖岳とそれに連なる山々が見え、 大パノラマを堪能することができた。

40分程頂上で過ごした後、先ほどの鞍部まで戻ってそこから登り返すと小赤石岳で、 頂上には小さな標識が申し訳程度にあるだけであったが、先ほどと違ってガスが消えたために良い展望を得ることができ、 今度は赤石岳の姿もハッキリと捉えることができた。

小赤石岳から広々としているが急な斜面を下っていくとダマシ平で、 その名の通りその先の大聖寺平と思ってだまされるということなのだろうか、かなり平らな場所であり、そこからは荒川前岳、中岳、 東岳 (悪沢岳) がよく見え、がっちりとした要塞のように見える岩壁に、これからの行程の困難さを想像させられた。

ダマシ平からまた下りに入り、着いた所が広く気持ちの良い大聖寺平で、 ここは先ほどのダマシ平より一段と低い場所であることから、荒川三山がますます立ちはだかっている様に見えた。

ケルンなどの間を縫って進み、山腹につけられた平坦な道を辿って行くと、少し先からは樹林帯となり、 しかも道の周りには高山植物が咲き乱れて気持ちの良い歩きができたのだが、こうなると結構油断するもので、石か木の根に躓いて転んでしまった。
先を急ぐ気持ちが足下を疎かにしていたのかもしれない。

道の途中から右に折れてダケカンバの中を下ると荒川小屋で、小屋奥に流れる冷たい水で喉を潤し、 昼食を食べて、次に控える厳しい登りに備えた。

以下、悪沢岳の項に続く。


赤 石 岳 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1996.7.28 天候:晴れ後曇り単独行前日泊
登山路:椹島−赤石岳登山口−樺段−赤石小屋() −富士見平−ラクダの背−北沢源頭−赤石コル−赤石岳−赤石コル−小赤石岳−ダマシ平−大聖寺平 −荒川小屋(そのまま悪沢岳へ)
交通往路:瀬谷−(相鉄線)−横浜−(市営地下鉄)−新横浜 −(東海道新幹線)−静岡−(バス)−八木尾又上−(バス)−椹島
交通復路悪沢岳の項参照。
その他:7月27日に赤石小屋まで登山。翌28日に赤石岳登山。
その他の
赤石岳
登山
椹島−赤石岳登山口−樺段−赤石小屋() −富士見平−ラクダの背−北沢源頭−赤石コル−赤石岳(往路を戻る) ( 2011.8.15-16:晴後曇り )
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(聖岳から続く)百間洞山の家() −百間平−馬ノ背−赤石岳大斜面下コル−赤石岳避難小屋分岐−赤石岳−赤石コル−北沢源頭−ラクダの背−富士見平−赤石小屋−樺段−赤石岳登山口−椹島  ( 2013.8.16:快晴 )
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