TRAVELL DIARY / AFRICA 5-6

SENEGAL / MALI [6]


■■■ バマコへ ■■■

5月12日(水)

AIR AFRIQUEのフライトRK730便でマリの首都バマコに移動。この便はこの後、さらにコートジボアールのアビジャン経由で、南アフリカのヨハネスブルクに向かうということだ。ご苦労様。

またしても遅い時刻の到着となった。ダカールとは正反対に眼下に光が乏しく、一体どこに街があるのか分からない。何故だか10数年前に降り立った中国のある地方都市が思い浮かぶ。

旅の安全を考えれば、AIR IVOIREを使い昼過ぎに到着するに方法もあったけれど、このフライトは信頼度がそれほど高くないようなので止めた。(そう言えばフライトの時刻を電話で確認すると、電話口の女性がこの綴り読めないと笑っていたことを思い出す。パリ〜バマコのフライトを調べてもらう時も、バマコってどこですか、スペルを教えて下さいと言われた。JALとANAのお姉さん方、いつもいろいろありがとう。)

明るいうちに目的地に入れれば、実際に宿を下見してから宿泊先を選べるなどメリットは多いのだが、さすがに今回はあきらめた。調べたところ、マリには日本大使館どころか領事館すらない。日程も短く、何より安全第一のため、ホテルも最高級のGRAND HOTELを予約しておいた。

余談になるがここのイミグレの態度は最悪だ。明らかなWHITE優遇、YELLOW蔑視。アフリカでは国によってまだまだ人種差別的感覚の抜けていない黒人に度々遭遇することを残念に思う。

空港を出るとお約束通り、ガイドとドライバーが近寄ってくる。ホテルからの迎えもなく、タクシーもこれ1台切りのようなので仕方なく彼等の車に乗る。ホテルまで約30分、何とか値切って6000CFAフランはやっぱり高い。それにしても窓の外は本当に暗い。

早速車中で情報収集。ガイドの口から記憶にある学者やカメラマンの名前が出てくる。本人の話す通り、多くの日本人とまともな仕事をしてきたとするなら、彼は信用できる男なのだろうか。一瞬期待する。
「SALIF KEITAはニュー・アルバムの録音のためにバマコに帰っている。明日会わせる。」
「LOBI TRAOREもバマコにいる。簡単に会える。」
「僕は×××の親戚。明日紹介するヨ。」
「RAIL BANDなら簡単にライブを見られる。」
やっぱり何がホントで何がウソなのかさっぱり分からない。これではダカールと状況が同じじゃないか。少なくとも新譜をリリースしたばかりのSALIFがレコーディングしているはずはない。このガイドには金のことで振り回されそうなので絶縁した。

予想通りこの男、ガイドの料金のことで何度ももめているらしい。バマコのガイドのひどさは評判通りなのかも知れない。試しに別のガイドにドゴン・ツアーの料金を尋ねたところ、1週間で1400ドルと言われた。交渉でどの程度料金が下がるか知らないが、こんな言い値を聞かせられたならまともな人間なら交渉を続ける気にはならないだろう。

雨期が近いため、バマコには観光客が全くと言っていいほどいない。ガイド達も仕事がなく、何とかカモを捕まえたいことだろう。結構鬱陶しい滞在になりそうだ。

5月13日(木)

GRAND HOTELがあまりに立派すぎて、昔から憧れを持っていた国に来ているという感慨が沸かない。しかしホテルを出て、市場の方向に足を運ぶとすでにすごい人だかりとなっている。魚やフルーツが並ぶその奥に何かがありそうなこの雰囲気が好きだ。

バマコでは最初にニジェール川を見たかった。道の両側に並ぶカセット・テープが気になるが、我慢して南の方向へ2kmほどに歩いていった。しかし目の前に現れたのはただの川。大河ニジェールといえどもこのあたりでは川幅がさほどなく、迫力に欠けるのも当たり前だろう。正直なところ、ザンベジ川やザイール川を見たときの方が感動した。

AIR FRANCEのオフィスでリコンファームを済ませる。カウンターの女性がとっても美しくて、嬉しい。街中をジグザグに歩きながら宿やレストラン、それにカセット屋をチェックする。遠くから眺めると廃墟のようなHOTEL DE L'AMITIEを除いて高層建築物がほとんどなく、一歩裏道に入るとドブ川沿いにバラックが建ち並ぶ。これだけ首都らしくない首都は記憶にない。キンシャサやボツワナのハボローネでもインフラの貧弱さに驚いたが、ここは全くスケールが違いすぎる。

気温はとうとう40度に達した。バッグが重く感じられ、ホテルにカメラやガイドブックなどを置いてカセット探しに出直す。カセット屋の店構えはどこもこぢんまりしていて、ダカールより小さいところが多かった。(ウガンダの首都カンパラの市場にもこんな店が並んでいたことを思い出す。)それと安くまとめ買いできるような卸専門の店も少なかった。そのため店によって品揃えにばらつきがあり、一軒一軒廻るしかなかった。

歩いているとしきりに声をかけてくるのが、数10本のカセットだけを肩に担いで売り歩く少年たち。買ってくれと言うので見せてもらうと、売れ線以外のものが多い。しかもケースが傷んでいる。気温が40度にもなる中、一日歩いて果たしてどれだけの商売になるのかこちらが心配になってしまう。品揃えの良い店まで案内してくれたお礼に彼らから1本ずつ買ったとき、こちらが驚くほど嬉しそうな顔を見せた。必死なんだな。

そういえばキンシャサの路上にもこのような少年がたくさんいたナ。街の雰囲気もあって彼らの方にたくましさも感じたけれど、貧しさも同じ路上の新聞売りや車の窓拭き並だった。一人が抱えるカセットはたったの10本か20本で、どれも手作りのテープだった(普通のカセットにコピーしただけのもので、アーティストと曲名も手書き)。

品数の多い店でチェックしたが、こちらの知識不足のせいか、SALIF KEITAやLOBI TRAOREくらいしか、目立つものがない。店の人間にいろいろ紹介してもらったところ、すでにCDで持っているものが多い。お勧めをきかせてもらっても、一体これのどこが良いのか文句を言いたくなるものばかり。バンバラで一番はどれかと聞くと「ガウロ・セック」(COUMBA GAWLOのこと)と答える始末。結局、自分のカンで選んで試聴することになるが、この作業疲れるばかりで、なかなか引っかかるものに出会わない。

暑さと、湿気と、旅の疲れと、寝不足と、物売りのうっとうしさと、ダカールでの興奮の余韻とが混ざり合って頭が冴えたない。

今日はもうやめだ。帰ってCASTEL BEERを飲もう。

バマコ駅(20年前のRAIL BANDのジャケット写真のまま)


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