TRAVELL DIARY / AFRICA 5-1

SENEGAL / MALI [1]


■■■ 旅の動機 ■■■

とても短期間だが、セネガルとマリを旅してきた。
アフリカ旅行は今回が5度目だが、西アフリカは初めて。これまでにアフリカの南部・中部・東部の国々を訪ね歩いてきたけれど、西アフリカだけは私にとってなかなか遠い存在だった。

まず東部や南部と比較すると、西は欧州経由となるために時間はかかるし、航空券やホテル代も高い。ビザが必要な国、治安の悪い国が多く、個人で旅するにはフランス語も必須とされる。またマラリア対策についても調べ始めると切りがない。こうした理由から、どうしても躊躇してしまっていた。

YOUSSOU N'DOURが育ったダカール、FELA KUTIが住むラゴス、かつてSALIF KEITAがステージに立っていたバマコ、そしてハイライフのふるさとアクラ、こうした街をいつか一度は訪れてみたいと思い続けていた。

年々、欧米と日本とでアフリカ音楽に対する温度差のようなものを感じるようになっている。アフリカ音楽の国内リリースも減り、輸入盤の入荷もいまひとつ物足りなく感じる。アフリカというとFELA KUTIばかりが注目される今の日本の状況を考えると、日本に入ってくるCDは確かによく選択されていることは分かる。しかし、欧米でのCDのリリースは、復刻盤・新譜ともになかなか堅調に進んでいるのも事実である。

日本にいるとついついアフリカ音楽シーンが盛り下がっているかのように感じてしまう。世間ではSUNNY ADEやTHOMAS MAPFUMOなど、もう過去の人と思われていないだろうか?最近のコンサートをチェックしてみると、ここ1年間だけでも、SUNNY ADE、THOMAS MAPFUMO、YOUSSOU N'DOURがアメリカ公演を行っているようなのだ。

アフリカ関連のCDも個々のミュージシャンに関する情報もなかなか入ってこない、それが不満だった。日本に入荷しないCDや、新人に関する情報が欲しくてニューヨークやバルベス(パリ18区にあるアフリカ人・アラブ人街といった地区)に足を運んだりもした。しかし、所詮はしろうとの思い付き、短時間の滞在では特にこれといった収穫は得られなかった。

次にできることは何だろうと考えた。
実際に現地に行き、アフリカ音楽の今を体感することもひとつの方法なのか?

5月は雨期に近く気温も結構高くなる。また、年末などとは異なり開催されるコンサートもそれほど多くはないと聞く。あまり条件の好ましくない時期だったが、思い立った時に行かないともう一生行けないのではないか?そのように考え、思い切ってセネガルとマリに行ってみることに決めた。

スケジュールを立てながらの3ヶ月間、それなりに情報収集したのだが、音楽的なことに関してはなかなか分からなかった。(忙しい中、相談に乗って下さったみなさん、本当にありがとうございました。旅の情報はとても有益でした。)

現地に知人がいる訳でもなく、フランス語が話せる訳でもなく、事前情報がほとんどない状態では余り多くを望んでも仕方がないので、目標を最低限にした。

| ライブをいくつか見てくる
} カセットを何本か買ってくる

ライブについては、セネガルではYOUSSOU N'DOURを、マリではRAIL BANDを見てきたいと思っていた。カセットは今の西アフリカの音楽状況を反映しているものや、若手の作品で内容の良いものを探すことにした。

そしてこれは全くの理想だが、古いレコードを1枚でも2枚でも入手できないかとも考えていた。最近西アフリカ音楽の歴史に関心があり、いろいろ調べているのだが、なかなか資料が乏しいことが悩みとなっている。(例えばセネガルでは、YOUSSOUが登場する以前のことがどうもよく分からない。)

日本出発は5月5日(水)で、帰国は5月19日(水)、往復ともにパリ・トランジットにした。ゴールデン・ウィークの混雑は避け、2度の週末はそれぞれダカールとバマコでライブを見ることのできる日程を組んだ。

もし全てが空振りに終わったら?
その時にはYOUSSOU N'DOURやSALIF KEITAの音楽がうまれた土地を体感したということで自分を納得させ、あとはノンビリ観光することにした。

ところが、予想がはずれて連日徹夜続き。2週間ほとんどまともに寝ることのできない大変な旅になってしまった。


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