あかんぼう
あかんぼう
マシュマロの笑みは一期の祝祭か赤子にこころ囃されている
苦にならぬ笑う練習繰り返す赤子は三月彼岸花咲く
ムクムクと太るが仕事の赤子いて乳首乾かぬ母は笑いぬ
産まれ直ぐ乳吸う君は汗ばみてこの世の習いに染まり始める
何かしら暖かきもの流れ込む赤子を抱いて野道歩けば
しりもちも七転八起笑い立つ生きざま赤子に教わっている
夕涼み車輪軋ませ乳母車見る見る重くなる子を乗せて
夕暮れの風が押さんと乳母車子供らいずこに運ばれんとす
芽ぐむ葉の萌黄の日々の成長に赤子は負けぬ伸びる勢い
雪の間に陽浴びる眩しさ子供らは目閉じたままだ空が綺麗だ
誰彼も歩み寄っては顔のぞく赤子がくれし笑顔の時間
母の胸安心しきり眠る子のまさぐり続ける柔き手触り
あかんぼうのいる家
帰り来て一人一人を抱き上げるはにかむ笑顔に時が埋まる
食卓につかまり立ちの赤子いて箸を手にすも食事進まず
パパママと覚え始めた子は昼寝パパママ脱いで遅い食事す
赤子見る僕の身支度髭剃りも見逃さずに見る目と向かい合う
眠る子の頭を撫でて幸あれと祈るいつから親になりしか
少しだけ笑い覚えた赤子いる賑やかな場所家へ帰ろう
子は騒ぎ眠る大人は子の知らぬ労苦に萎み皺深くする
子を背負い秋の雨音聞く夜や祖母の背中の感触まさぐる
眼鏡曲げ笑う子駄目と諭しても戻らぬ曲がった眼鏡掛け行く
日に日にと智恵つく子供の悪戯を止める術無し散らかった部屋
暴れ者二人が目覚め来襲す朝の五時から休む間もなし
何度でも立つこと欲すその足の力を欲しくてこの体には
玩具なら目に見え増える注いでるつもりの愛情足りているかい
歯の生えた子供に添い寝髪を撫ぜ母の気持ちを解きほぐしおり
咳をする子の背をさする手の無力自分の咳をぐっと飲むのみ
おやすみよまだ笑いたい寝ない子よ明日も笑える時間をあげるよ
おはように笑ってくれる赤子いる一等賞の嬉しさもらう
抱いた胸ミルクの残り香 濃厚で バイバイ告げる気持ちくじける