1日目 島根県北部

1日目ルートマップ
 スタート地点は自宅から近い島根県「本庄」と決めた。まずはそこへ行く。出発時間は10時を過ぎていたが、30~40分ほどで行けるはずと踏んで少し給油もして出かけ、難なく到着。「本庄」は中海(なかうみ)を望める場所に最近出来た「道の駅」だ。
 中海は海のような湖のような微妙な形態をなし、海水の約半分の塩分濃度を持った汽水湖と言うことになっている。以前にはここをいっそのこと真水にしてしまい一部を埋め立てて農業用地とし、淡水化された水を農業用水に使おうと言う淡水化事業なるものが展開され大規模な公共工事が行われていた。
  はたして、途中で農業政策そのものが変更され淡水化の目的は失われた。本庄地区も干拓の予定地となっていたが結局中止。淡水化事業も2002年で中止され、関連施設は撤去されている。干拓されてしまった場所もほとんど農地にはなってなく荒涼たる空き地が目立つ。50年に及び投入された公共予算はいったい何だったのか考えさせられるが、豊かな自然と美しい風景が残ったのは幸いであった。
 「本庄」を11時丁度に出発、その中海沿いを走る国道431号を松江市方面へと向かう。程なく中海に別れを告げて松江市街へと入る。松江市はかつての城下町と言うこともあってか431号も右へ左へと入り組んだルートを余儀なくされる。400年の歴史を見守ってきた松江城前を通りすぎると目の前に宍道湖(しんじこ)が現れる。宍道湖も汽水湖でしじみ漁が有名だが、湖水の透明度はさほど良くない。宍道湖から望む夕日は絶景で多くのカメラマンの撮影スポットとなっている。431号は宍道湖畔に沿い交通量も少なく快適に進む。しばらく行くと2番目の「秋鹿なぎさ公園」に到着する。「本庄」から21km、33分。
 秋鹿=あいか、と読む。宍道湖でのマリンスポーツ、レジャーが出来るように施設が整えられており、なぎさ公園と言うのもうなづける。道を挟んで向かい側には、まつえフォーゲルパークがある。世界一の室内ガーデンで珍しい鳥が放し飼いになっている。
 431号はさらに宍道湖畔を進む。一畑薬師入り口前を過ぎた辺りで宍道湖は終わり神話の国出雲へと入る。神話の国などと言われると周囲のなんと言うことは無い風景も、なにやら厳かな雰囲気がしてくるのが不思議だ。
  道なりに走ると前触れも無く出雲大社の前へ出る。一大観光スポットの割にはこの辺りの道路事情はよろしくない。時期ともなると身動き取れないほど自動車が並ぶ。そういう時期には電車で訪れるのが無難であろう。出雲大社は70年に1度の遷宮中で神殿は改築中だ。観光客にとって神殿が拝めないのは残念かと思うが、遷宮も一生に一度見られるかどうかの一大イベントなのでそれはそれで貴重な眺めであろう。
  出雲大社前を左折しておみやげ店、そば屋、お菓子屋などが立ち並ぶ街道を行くと「道の駅」の看板が見えてくる。信号を右に入ると「大社ご縁広場」に到着だ。「秋鹿なぎさ公園」から29km、37分。
「大社ご縁広場」は「道の駅」となってはいるが本体は「吉兆館」と言う展示館だ。出雲大社の代表的な祭礼である「吉兆さん」や「番内」をを中心に大社町の民俗文化が紹介されている。一見しておいて損は無かろう。駐車場は広く、ここに停めて大社前を散策する人も見かける。
 「大社ご縁広場」を出て一筆書きのルールに従い入ってきた道とは反対側に行く。地図上ではまた431号に出ることになっているが、それらしき道はやたら狭い。対向車が来たらどう避けるか心配だ。前方に中学生自転車隊が走っている。それを追い越すのにも気が引けるほどだが、彼らもその辺の事情は織り込み済みか、ササーッと隊列を散開して脇に避ける。恐縮して通り過ぎたところで整備された大通りに出た。431号はこのまま直進すると国道9号線に当たって終了になる。予定ではその9号線で次の「キララ多伎」へ行くつもりであったが、9号線に出る手前で「くにびき海岸道路」なる看板があり「キララ多伎」もそちらへと誘導している。右折してそちらへ行ってみると日本海海岸を行く快適な道であった。道なりで「キララ多伎」に9号線を使うことなく到着。「大社ご縁広場」から15km、21分。
 日本海の水平線が見える。丘の上には風力発電の風車がゆったりと風に身を任せている。海岸へ降りていけば夏は海水浴場になる砂浜がある。近くにはコテージや温泉施設もある。いつ来ても混んでいる。芳醇な香りにつられてパン屋さんに入ってみた。空腹感もあってかどれもおいしそうである。数個購入して本日の昼食とした。
  いちぢくパンに舌鼓を打った後出発するが、次は松江市方面へ戻るルートになる。予定ではここへは9号線で来て、また9号線を引き返すわけにはいかなのでい一旦太田市の方へ大回りしてから次へむかうルートであった。しかし幸いなことに9号線を使わずに来れたので堂々と9号線で松江方面へ引き返す。国道9号線は通行車両も多く山陰を縦断する大動脈だで、バイパス道の整備も進んでいる。次の「湯の川」は9号線沿いにあるため淡々と進んでいくのみ「キララ多伎」から27.8km、40分。
 「湯の川」は改修工事中でトイレのみ仮設で使える状況であった。知らずによる人も多いようで、それを見込んでか屋台のような店が営業していた。スタンプも押せなかったが今回はそれが目的でもないので改修が終わったころにでも来てみよう。この辺りは「湯の川」温泉地への入り口で、日本三大美人の湯と言われる湯の川温泉がある。三大美人の湯と言われてもぴんと来ないがまあそういう物があると言うことで、あと2箇所は和歌山県と群馬県にあるだそうだ。
 「湯の川」を出て又しばらく9号線を行き宍道の信号を右折して国道54号に入る。ここから海としばし別れて山中へと入っていく。山陰道の高架をくぐると雲南市。町村合併をして出雲の南にあると言うことで付いた名前だ。ほどなく「さくらの里きすき」に到着。「湯の川」から14.2km、19分。
 “きすき”は“木次”と書く。付近からは古代遺跡などが出土されており、旧石器時代から人が住んでいたと言う気の遠くなるほどの歴史を持つ町だ。「さくらの里きすき」は一部改装中ではあったが施設そのものは営業していた。また54号を下ると斐伊川を渡る。この辺りにはヤマタノオロチ伝説が伝わっている。毎年現れては村人を恐れさせていた8つの首を持つ巨大な大蛇(オロチ)をスサノオが退治すると言うお話だが、斐伊川の氾濫を治水したことを語ったものではないかとも言われている。そのまま54号を行く。いくつかトンネルを抜けて山深くなってきたところで「掛合の里」に到着。「さくらの里きすき」から17.9km、20分。
 掛合は「かけや」と読む。ここも雲南市となった。「掛合の里」は道の駅発祥の地と称しているが、“発祥の地”を名乗る「道の駅」は他にもありはっきりしない。もっとも利用者にとってはそんなことはどうでも良い話ではある。ここにある情報ステーションは本当の(鉄道の)駅に似たデザインの建物だが残念ながら本日は改修工事中であった。工事中の所が多いが観光シーズンオフのうちに春までには綺麗にしておこうと言うことだろう。
 この時点で15時。54号をもう少しだけ南下し途中からわき道へそれて引き返し帰宅した。次回はその分岐地からスタートしよう。

本日の区間距離:129.7km
一日の走行距離:244.4km

本庄

「本庄」。中海越しに大山も見える。

本庄の看板
宍道湖

宍道湖沿いを行く国道431号線。

秋鹿なぎさ公園

「秋鹿なぎさ公園」

秋鹿なぎさ公園の看板
大社ご縁広場

 「大社ご縁広場」は出雲大社を模したデザインの建物。

くにびき海岸道路

くにびき海岸道路は快走路。

キララ多伎

「キララ多伎」は立地が良いので常に混雑ぎみである。

さくらの里きすき

「さくらの里きすき」。その名の通り付近に桜の名所あり。

掛合の里

「掛合の里」の駅舎、改装中。

掛合の里の看板