《 ちょっと一言 》

◎新庄・最上のお米の話◎

◎楽しい食の本◎

◎「お米が安い」はいい事か?◎

◎有機農産物について◎

◎有機栽培とササニシキ◎

◎「さわのはな」というお米◎

◎原発事故後の放射能汚染に向き合って◎

 3.11の地震にはビックリしましたが、その後の原発爆発、放射能拡散にはもっとビックリしました。というか現実とは思えませんでした。事態があまりに現実離れしていたため、恐怖さえ感じませんでした。
 ただただテレビで事態を見守るのみ、というか、地震による物資不足で、それどころではなかったのです。
 幸いこちらまで被害は及ばずと安堵していたら、その被害はまったく別の方向からやって来ました。
 収穫が終わり、新米の販売を開始した途端に売れなくなりました。新規のお客さんはもちろん、今まで予約されて買われていた方からもキャンセルが相次ぎました。
 放射能分析に出して、結果をUPしても事態は変わりません。テレビや新聞では盛んに風評被害という言葉が流れ出しました。
 風評被害とは、根拠の無い噂のために受ける被害のことだそうです。しかしどうにもしっくり来ません。本当に根拠の無い噂のせいと片付けてよいのでしょうか。現実に放射能はばらまかれているのです。絶対安全なはずのものが爆発して、起こるはずの無い汚染が起こったのです。しかも本当のことが発表されるのが、常に数ヶ月経ってから。安全宣言後に発覚する新たな放射能汚染の事実。放射能検査の結果を公表しないメーカー。安全性が疑わしい暫定規制値など、不安材料が山ほどある現実を受けて、消費者は自衛しているだけなのでは無いでしょうか。それで売れないのは根拠の無い風評では無く、実害なのでは無いでしょうか。
 たとえわずかな被爆でも避けたいと思うのは当然の感情では無いでしょうか。しかもいったい何にどれくらい放射能が含まれているのか分からない現状では、過剰に警戒することも必要だと思います。
 風評被害という言葉にしっくり来ないもう一つの理由は「悪いのは放射能をばらまいた東電では無く、買わない消費者のほうだ」といっているように聞こえるからです。
 悪いのは放射能をばらまいた東電のはずです。そして国民に真実を隠して不安をあおった国のはずです。
 中には被災地が大変だから、多少の汚染には目をつぶって被災地の食品を食べようなんていう意見もあります。しかしそれは強制できません。生産者としてはとても苦しい状況ですし、そういった気持ちは大変ありがたいですが、私自身過剰といわれても十分に警戒したいし、「大変そうだから」という理由で、納得していないのに不安を抱えたままで買ってもらいたくはありません。そして私もしたくありません。

 いろいろな流通などを介し、薄く広く徐々に日本全国に広がっていく汚染、今後何十年にわたって続いていく放射能汚染の現実の中、消費者に向けて生産者としてできることは、できる限り正確な情報を提供していくことしかないと思います。
 後は消費者の冷静な判断を待つしかありません。

2012年6月     

トップページ ご注文 購入方法 掲示板
予約販売 訪問販売法による表示等 やってみよう メールはこちら

http://www.denkinojo.com/