まいどさん活躍
荷物を置いて、金沢見学その2へ出かける。
近江(おうみ)市場へ。
やはりその土地の人々の生活を知るには、市場に行かなくっちゃね。
…しかし、日曜日は何件かしか店が開いておらず、市場はうすら暗かった。がら〜ん。
雰囲気はアメ横に似ている。あれにアーケードがついているような感じ。全長300mくらいのところで、今日は5軒くらいしか店がやっていない。呼び込みのおっさんの声が、鬼気迫るものがあって(今日店先に並べてあるものを売り尽くさないと、不渡り出してまぅぅ〜、みたいな感じで迫ってくる)、かなりこわい。アーケードのせいで日が差さなくて、薄暗いしね。
…と、いうわけで、地元の人の生活は見ることが出来なかった。
残念。
だいぶ歩いてから(ノブが道を間違えたせいだ)、仕方なくタクシーを捕まえる。加賀友禅伝統産業会館へ。道中、運ちゃんから色々話を聞く。
近江市場は、やはり日曜定休らしい。そういう時、港(市内から20分くらいのところに位置している)に市が立ち、地元の人はそちらで安く新鮮な魚介類を手に入れるそうだ。…つまり、近江市場に行っても、地元の人の生活は見えなかった、ということ。今となっては、観光客の集まるところなんですと。…言われてみれば、私たちもあまりアメ横で魚介類買わないもんね。
さて、加賀友禅伝統産業会館へ。
入場料は300円。中は、ひどくお寒い内容だった。私と同い年くらいの姉さんが、一人淋しく着物の絵付けをしていたり(スーパーの店頭で包丁の販売かなんかをしているのと同じ感じ。見せ物。ただ、黙々と作業しているからロボットみたいに見える。話しかけてもニコリともしないんだよ!)加賀友禅が10枚くらい展示販売してあったり(値段表示なし。時価か?!)、友禅から作られたワンピースが、うち捨てられた廃屋に掛かるカーテンのように色あせたまま展示されたりしている。
あまりにも裏ぶれていて、恐ろしいところであった…。
加賀友禅博物館(笑)を後にする。
疲れ果てて、大通りに出たら即座にタクシーを拾う。
青信号になって、今まさに発信しようとしているのをダッシュして呼び止めて、はぁはぁ言いながら乗り込んだ。
香林坊の裏手から、武蔵辻に掛けての500m位のところに、昔ながらの町並みが密集している。そこに行ったら美味しい和菓子屋さんがあるだろうと踏んで、そちらに車を飛ばしてもらう。
またも運ちゃんと話しをしたら「和菓子といったら、水本(水本:金沢市暁町14−3)がいい!」と、強力にお勧めされて、市内のはずれ(鈴見橋を渡ってすぐ)に連れて行ってくれた。
知らなかったのだが、ここは金沢の名店中の名店らしい。雑誌にも結構載るし、総理大臣賞を2度も受賞しているし、正月には皇室に献上しちゃうし、茶道の裏千家御用達のお菓子処でもあるのだ。おぉ。すごい肩書きだねぇ…。
しかも、デパートなどに卸しておらず、ここでしか買うことが出来ないという。買うしかないでしょ、それはっ!
…で、お味の方は…。
気さくな女将が「四季の松葉」と、いう名物を試食させてくれた。…これがめっぽう美味しい!
和三盆糖を使ったしっとりした蒸しパンのようなもの。上にくるみがのっている(季節により、松の実等に変わる)。
これは他のものにも期待できるなぁと思って、色々和菓子を買い込んだ。
…後日、食べてみたけど、これはカルチャーショックを受けたね。和菓子はべたべたと甘ったるいものだと思っていたけど、違うの!ほんのりとした甘さの中に、きちんと素材の味を生かし、なおかつ季節的な情緒を添えている。すごいですねぇぇ。文化だよ。
まぁ、文化はよく分からないから置いておくとして、口溶けの良さと甘みの微妙な具合に心躍らされるものがあったね。ぜひ行ってみて欲しいです(ついでに、お土産も買ってきて下さい(笑))。
女将に「お泊まりの所は、もうお決まりなんですか?」と、聞かれる。新保屋だと答えると、女将はびっくりして「そこの女将は私の親戚なのよ!悪いんだけど、これ(桜餅)頼まれてくれる(渡してくれ、ということなのだろう)?」…なんて、気さくに用事を頼まれてしまった。
不思議な縁である。タクシーの運ちゃん(小松さん)もにっこにこ笑っている。
東京への土産と、新保屋へのお遣いの品を持って再びタクシーに乗り込む。
観光名所のこととか、小松さんは色々教えてくれた。…親切、というか、世話好き、というか。面白い人である。
普段は観光タクシーを専門にしてるそうなので、興味のある人は彼を雇ってみて下さい。大和タクシーの小松輝司さん(去り際に名刺までくれた。なかなかしゃれたデザインである)です。
☆ 00年2月 金沢旅日記目次
1 大丈夫か?ほくほく線 2 ごりや 3 難読の風情
4 まいどさん活躍 5 新保屋の夜 6 お持ち帰りとお詫びと猫
7 小京都を考える EXIT!