ごりや

 11:00金沢駅着。

 越後湯沢で降りたときよりも、雪の量は格段に少ない。
 越後湯沢の雪の
積もり方は「空き地に飛び込んで、人型を作ってみたいぃぃ!」と、いう衝動を起こさせるものだった。一方、金沢の方は「…そんな事したら、鼻の骨を折るだろうな…」と、いうスリリングさを含んだ積もり方である(分かる??)。

 冬の金沢=雪多し、という公式があったので(当社調べ)ちょっとびっくり。「一応積もっている」と、いう感じ。

 さて。駅から790円分タクシーに乗って、そこから浅野川沿いを上流の方に1キロほど歩いてごり料理のお店「ごりや」(…そのまんまの名前だね)へ。

 ここは、1件ずつ離れになっている。2人でも借り切ることが出来る。

 広さは12畳。床の間もついており、お雛様の掛け軸が飾られている(多分、季節ごとに掛けるものは変わるのだろう)。小さな囲炉裏付き。囲炉裏は飾りではなく、実際に炭がおこしてある。型くずれすることなく、絶え間なく赤々と燃える小さな光。木炭の周りには、くるみの殻を炭にしたものが配されて、囲炉裏に存在感を添えている。囲炉裏の上には鉄瓶が下がっていて、しゅんしゅんと湯気を立てている。…ほんのりと料理のじゃまをしない程度に焚きしめられた香の香り。

 下半分開けられた障子。ガラスの向こうには、池と雪の積もった庭。イメージの中の金沢が具現化されている。

 …匂いのある風景。


 さて。
 電話で前もって松竹梅でいえば、竹のコースを頼んである。

 座った瞬間に出てきたのは、お茶とお茶請け。お茶請けはくるみを和三盆糖でくるんだもの。和三盆糖は、ほんのりと上品に甘い、丁寧に精製したお砂糖のこと。料亭だねぇ…。ごはんものが出てくる前に、お茶請けだよ!
  この辺りでは、くるみも特産らしい。形を崩さず、くるみが剥いてあって、感動。

 さて、料理の方は
八寸(先付け)
☆お刺身→鯛の昆布締め。かなりしっかり締めてある。ねっとりとした昆布の味がする。
お椀
☆岩魚の塩焼き→残念ながら、養殖物。いまいち旨味が足りない。
蠣の治部煮(じぶに)
揚げ物
☆ごはん
☆香の物
☆酢の物→カニと、もずく。
☆水菓子→苺

 ここでポイントだったのは、椀!白味噌仕立て(京都のお雑煮っぽい感じかな?食べたこと無いから、想像なんだけど…)で、うすら甘い。半分食べたところで、8センチくらいの「あ゙あ゙ぁ〜」っていう顔をしたゴリの死体(笑)が顔を出す。ちょっとびっくりするけど、美味しかった。

 ポイントその2は治部煮。…初めて聞く方も多いかも。
 これは、加賀の名物料理。甘じょっぱい澄んだ煮汁。砂糖、醤油、酒などで、くるま麩(お麩は名産品なのだ)、筍、椎茸、湯葉、青菜、蠣(鴨を使ったものがメジャー)を「じぶじぶ」と煮た(…何という表現力だろう。それに納得してしまう加賀の人々に脱帽)ので治部煮。生わさびをすったものがのっていて、ぐちゃぐちゃとお行儀悪く混ぜ込んで頂くのが美味しい(ご存じの通り、私自身はわさびダメなんだけど。ノブ曰く「ここのわさびは本わさびを絶妙にすってある」…彼は、練りわさびを一発で見破る技を持っている。練りわさびや合成調味料などに入っている成分が体に合わないらしい)。

 ポイントその3は、鮴の揚げもの(唐揚げ)。…こちらは椀ものに入っている鮴とは違い、澄まし顔で揚げられている。
 味は、ノブ曰く「ドジョウに似てる」。…私は賛同しかねるね。まず第1に、ドジョウの唐揚げなんて食べたことないし、第2に値段が違いすぎる(笑)!
 淡泊な白身魚。体長が8センチくらいなので、魚自体の味にはあまりパンチがない。同じ大きさのハゼなんかに比べても、味は淡泊。…でも、ハゼよりも泥臭くない。良くいえば、上品。悪くいえば、味が主張してこない。食感は良い。

 1品1品出てくるのが遅かった(全部食べ終わるまでに3時間かかった。フランス料理以上である!)。女将の態度があまりよろしくない(不愛想)。

 …と、いうことで、トータル評価はまぁまぁ。

 雰囲気でごはんを食べるところだね。ゆったり出来る。ぜーたくな気持ちになれる。
 初めて行くなら、静かだし、多分穴場なので、お勧めです。


 食べ終わってからは、主計町(かずえまち)を散策に…。

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☆ 00年2月 金沢旅日記目次
1 大丈夫か?ほくほく線  2 ごりや     3 難読の風情
4 まいどさん活躍     5 新保屋の夜   6 お持ち帰りとお詫びと猫
7 小京都を考える     
EXIT!