お持ち帰りとお詫びと猫

 2月21日(月)、いかにも旅館的朝ご飯を食べ(この時初めて女将に遭遇する。意外に若い。水本のお遣いのお礼を言われた)、7:50に旅館を後にした。

 帰りは飛行機でひとっ飛び、である。
 タクシーで金沢駅まで行って、そこから小松駅まで。小松駅からまたタクシー乗って、小松空港(ソウル行きの国際線も就航しているらしい)へ。→羽田、というわけ。

 金沢駅で加越6号大阪行きに乗り込む。JR西日本の電車である。おぉぉ、遠くまで来たなぁ(今更ながらに実感してどぉする?!)。
 自由席禁煙のシートに身を埋めた瞬間にノブの叫び声。
「な゙ぁぁぁ〜!!」←何だかすごい衝撃が走っているなぁ。一体どぉした??
 ふとヤツの手を見ると、プラスティックの物体がしっかりと握りしめられている。
 手を開かせると、「あ゙っ!カギ…」。

 やれやれ。

 帰ってから、速達で送る旨を新保屋へ伝える。お客さんが少ないからか(言いすぎ?)、笑って許してくれた。

 飛行機は、JAL。国内に飛ぶと、マイルはあんまり貯まらない。ちぇ。
 50分で羽田へ着いてしまう。すごいねぇ。ウチから日比谷まで行くのと時間的に変わらないわけだ。はやいはやい。


 帰宅してから、豪徳寺までキックボードでだだーっと走っていった。金沢は和菓子のメッカなので、カギに詫びのお菓子を添えて送る、というわけにもいかず、豪徳寺の招き猫を添えて送ることにしたのだ。

 豪徳寺は、井伊直弼ゆかりのお寺である。

 むかぁしむかし、この寺の和尚さんは、ペットで猫を飼っておりました。日々の生活にも困るような暮らしをしていたのですが、自分の食べ物を分け与えたりしてたいそう可愛がっていたそうです。
 ある日和尚が猫に「こんだけ可愛がってやってるんだから、恩返しくらいしてみろよ」ってなことを大人げなく言ったところ、猫はすたすたと行ってしまった。

 しばらくすると、何やら門の辺りが騒がしい。和尚が行ってみると、大名行列が門の前でたむろしている。
 どうやら、大名行列が通りかかったとき、例の猫が道の真ん中で手招きをしていたという。その誘いに誘われるままに来てみれば、寺があったので、一休みさせてもらおうかと思ったのだがどうだろう?とのこと。

 和尚は寺に一行を招き入れた。…すると、大雨が降り出したではないか。「助かった」と、胸をなで下ろす一行。

 雨が降り止む間、和尚は一行に説法を説いた。マインドコントロールされた(世の中では「深く感銘を受けた」と言うらしいが)藩主は、この和尚に生活の優遇などを約束した。それと共に周りに住んでる人たちも寺に色々奉納するようになって寺はますます栄えました。

 和尚はこの猫を死んだ後祀り、それがもとで招き猫(ほんとは招福猫児と、書く)は出来た。

 つまり、豪徳寺は招き猫の発祥の地なのである。(話しは少し脚色があるかも。だって、あたしの話はいつも3割り増しだもんね(笑)!)


 …と、いうわけで、本場の招き猫(ここの招き猫にだけ、眉毛があるらしい)を購入。意外に高いよ。

 誕生日に豪徳寺の招き猫を欲しがっている酔狂な友人(同い年。北海道旅日記にでてくる無駄尻の「池尻大橋」に住む子である)用にも、更に大きいのを購入。

 速達でカギと詫び状、招き猫を送って、金沢旅行は幕を閉じた。
 やれやれ。

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☆ 00年2月 金沢旅日記目次
1 大丈夫か?ほくほく線  2 ごりや     3 難読の風情
4 まいどさん活躍     5 新保屋の夜   6 お持ち帰りとお詫びと猫
7 小京都を考える     
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