小倉百人一首/僧侶 12人
喜撰法師
008 我盧はみやこのたつみしかそ住 よを宇治山と人はいふなり
僧正遍昭
012 天つ風雲のかよひち吹とちよ をとめのすかたしはしとゝめん
素性法師
021 今こんといひしはかりに長月の 有明の月をまちいてつるかな
恵慶法師
047 八重葎しけれる宿のさひしきに 人社見えね秋は来にけり
大僧正行尊
066 もろ共に哀とおもへ山さくら はなより外にしる人もなし
能因法師
069 あらしふく三室の山のもみちはゝ たつ田の川のにしき成けり
良暹法師
070 さひしさに宿をたち出てなかむれは いつくもおなし秋の夕暮
道因法師
082 思ひわひさてもいのちは有ものを うきに堪ぬはなみた成けり
俊恵法師
085 よもすから物思ふころは明やらて 閨の隙さへつれなかりけり
西行法師
086 歎けとて月やはものを思はする かこち顔なるわかなみたかな
寂蓮法師
087 村雨の露もまたひぬ槇のはに 霧たちのほるあきのゆふ暮
前大僧正慈円
095 おほけなくうきよの民におほふ哉 我たつ杣にすみそめの袖
[メモ] 十二人という僧侶歌人の数は、「坊主めくり」という単純な遊戯を飽きさせないための、絶妙な配分であった……冗談はおき、名高い僧侶歌人はほぼ漏れなく拾っている。撰に漏れた主な人を挙げれば、中古三十六歌仙の安法・道命・増基、大原三寂の一人寂然あたりだろうか。
なお、蝉丸は「坊主めくり」ではお坊さんの一人に数える場合があるらしいが、僧であるとの古伝は聞かないし、第一「せみまろ」という名は俗名であるので、ここでは僧侶に数えていない。
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