PIEGA
COAX 711 Speaker
+ 38cm Woofer
ピエガCOAX 711スピーカ+38cmウーハーシステム

ピエガの美しい中高域を、38cmウーハーによる強力な低域で支える
マルチアンプ・マルチスピーカ システムです


2019年9月20日改定 
グリルの黒染色
 

あれ、COAX 711に黒グリルもあるの?と気が付かれた方へ 黒グリルの秘密


100Hz以上をCOAX 711が、100Hz以下をJBL4344の38cmウーハーが受け持ちます。
JBL4344のミッドウーハー、ミッドハイ、ツイータは、OFFになっています。
ただし、スイッチ切り替えでJBL4344単独に戻り、比較できます。



JBL4344の音との特性比較

二つのRTAでの周波数特性測定比較

レーザー距離計による精密位置調整
 

ピエガ COAX 711
これは、なんでも描ける真っ白なキャンバス!


 ELAC 310CEやELAC BS312を使ったマルチアンプの実験にそって、最終的に私が選択した中高域用スピーカは、PIEGA COAX 711 です。

PIEGA COAX 711を選択した理由は、
●同軸リボンスピーカが放つ、非常にフラットな高域

ある意味、強調感、刺激感がなく、その意味で個性的とは思わせない音なので、試聴やショーでは、私は、「インパクトのない音」に感じていたこともありました。しかし、JBL4344の独特の個性(そこが面白いともいえるのですが)で苦労してきた経験から、視点を変えて考えると、これなら、どんな音にでも調整できると思いました。だから、JBL4344の対極として私が選ぶなら、これだなと思ったのでした。
  DEQ2496は出すぎる音は削れますが、構造的な、なにかのキャンセリングなどで出ない音は、いくらブーストしても決して出せないのです。だからそういう弱点ができるだけないスピーカを選びました。

●後方に音を放射しない(バスレフポートが後にない)パッシブラジエター方式。

非対称な私の部屋は、後方に音が出ると非常に使いにくいのをELACで体験しました。JBL4344も、バスレフポートは前面にあります。

●38cmウーハーに繋ぎやすい(暴れのない)素直な低域

試聴時に、f特の計測器PAA3を持ち込んで、低域特性を確認しました。

COAX 711の特性
PIEGA COAX 711の、何も調整していない、私の部屋に置いたときの周波数特性は以下です。



 
これでわかることは、
  ●かなり中高域がフラットなスピーカである
  ●16kHz以上は下がっている
  ●100Hzまではがっつり出るが、80Hzからは急落する
    ただし、40Hzは部屋の定在波で急上昇しています。
    → これは決してCOAX-711そのものの低域特性ではありません。 




マルチアンプシステム
 COAX 711の100Hz以下は自作ネットワークでカットし、その低域はJBL4344の38cmウーハーで出します。そのためのマルチアンプシステムは以下のようになっています。

●チャンネルデバイダ XR-1001 は低域のみに入ります。
●高域、低域ともパッシブネットワークが入ります。
  (クロスオーバーは100Hzです。)
●高域用パワーアンプは、NAGRA PMA
●低域用パワーアンプは、Audio Design DCPW-240





まずは精密な設置位置調整から


配置はレーザー距離計を使って調整しています。
ELAC同様、非常に設置誤差には敏感です。


詳細は、 レーザ距離計による精密調整 をご覧ください。
誤差が約2mm以下の距離精度、
誤差が約0.1度以下の設置角度精度
で設置されています。
ちょっとオーバースペックではありますが。


定在波と周波数特性の制御

 DEQ2496XR-1001を使って、定在波と周波数特性の制御を行いました。
 低域を38cmに任すつもりなのに、私がCOAX 511でなく大型の711を選択したのは、大型同軸リボンが採用されているのが711だけだからでした。

 JBL4344のホーンは、圧倒的に効率よく、ハンドリングパワーも大きく、その音はすごい存在感。 それを置き換えるとなると、コーン型ではどうしても違和感があり、ELAC 310CEとBS312のおかげでリボン型の威力に可能性を見出しました。しかし、通常、リボン型は大パワーが入らない。絶対失敗できないと思ったので、その点で安心な711に決めたのでした。

 これがそのキーである大型同軸リボン、C211型
500Hzまでを担当します。大きいです。



COAX 711の調整は、かなり複雑ですが、以下に概要だけ示しておきます。

XR-1001では、100Hz以下の音量を調整可能。
ただし、パッシブなクロスオーバーネットワークを組み合わせるので、クロスオーバーはXR-1001では変えません。100Hz固定です。

DEQ2496PEQ(パラメトリックイコライザ)では定在波を制御します。

DEQ2496のGEQ(グラフィックイコライザ)では、左右を別々に調整し、左右差を整えつつ、周波数特性を目標に近づけます。
調整前の低域とCOAX-711の素特性は以下のようです。
↓38cm+XR-1001 (<100Hz)+Passive Low Passフィルター(200Hz+300Hz) の素特性

↓COAX-711+Passive High Passフィルター(>100Hz)の素特性

JBL4344単独の場合と違い、低域レベルをXR-1001で調整できるので、DEQ2496での低域ブーストは非常にわずかですみます。
 

PART 1
まずは、100Hz以上の領域をフラットにすることから始めます。100Hz以下はJBL4344の特性を踏襲します。以下、PEQ、GEQ、周波数特性の順に示します。

定在波で耳障りな3周波数をPEQで切り捨てています。これはJBL4344の時と同じです。






●2kHz以上は偏差0.5dB以内でフラットに調整しました。
 さすがに、癖がなく、スムースで素直な音です。左右がそろったのもよくわかるので、やはり調整の出発点としては、フラットがよいと思います。ここから先は好みで調整をします。

●左右差もほとんどありません。

 イコライザによる調整がなければ、こんなことはまずあり得ません。

●800Hz-1.6kHzは、意識して若干下げています。これは試聴結果に基づきます。

●200Hz-630Hzも、かなり重要で、この部分の特性(平均レベル)で、
ちょうどよいと思うボリウム位置が、おおむね決まります。・・・と言うことは、この帯域レベルが、高域や低域のレベルの基準になるということです。

●200Hz以下は、長い間に調整し続けて現在にいたるJBL4344の低域を完全に踏襲しています。これは、変えたくないのです。





PART 2
 PART 1のフラット特性を基準に、試聴によって特性を見直していきました。

稀にではありますが、JBL4344が時々聞かせたドンピシャの美音に、COAX 711では勝てないことがあります。
 そこで、クラシック向けは 100Hzを起点に、それ以上20kHzまでの全範囲を+0.5dB/oct、ポップス・ボーカル用は、100Hz以上を、それからさらに+2.0dB/oct でブーストしてみます

  悪くないのですが、ボーカルやポップスでは、ちょっと高域に耳障りな音が出始めました。
 しかし、よくよく聞いていると、耳障りな音は、たった「
一音」だけらしいのに気が付いたのです。楽器でいうとピッコロの高音ですが、実は、声楽でも結構出てます。

 そこで、まず、GEQを一か所づつ下げていき、その耳障りな音が消えるところを探しあてました。
GEQの3.15kHzのレンジでした。

 その近辺で耳障りなピークを探すべく、発信機を使ってその周辺周波数をスキャンすると、やはり、ピークを発見。かなり強い共振点があります。

 PEQの1/10バンドフィルタの周波数を動かして、その音がすぱっと落ちる周波数を同定すると、
2992Hzでした。

 これは波長から考えて、定在波ではなさそうですが、理由はともかく、部屋中に響き渡る「
一音」が、確かにある。

 非常にシャープなので、周波数がわかりさえすれば取り除くのは簡単。 
2992Hz、1/10oct幅、-3dB とすると、周波数スキャンでも、この帯域をするっと通過できるようになりました。下図の一番右のカットがそれです。



 この音を取り除いてから音楽を聴いていみますと、いままであったチリチリ音が、すっと消えているのに気が付きました。

 クラシック曲の場合でも、この2992HzカットのPEQ追加後に聞くと、これまであった
雑味?・・・なんか余計な高音ノイズ・・・がなくなって、ソフトで聴きやすくなっている。 ただし、勢いづいて2992Hzを-6dBとか、カットしすぎると、今度は、なんか物足りない。そのさじ加減が難しい。結論はやはり-3dBでした。

寿司のわさびみたいなもんですかね。ツンとくる直前くらいがおいしい・・・。


Part 2のGEQ設定と周波数特性を以下に示します。
左右特性は完全にそろっているので、左chだけを示しています。

Part 1のGEQ


Part 2
のGEQ(クラシック用)


Part 2
のGEQ(ポップスとボーカル用)


それぞれの周波数特性





二つのRTAでの計測結果比較。
 所有する二つのリアルタイムアナライザ(RTA)、PAA3(31バンド)とDEQ2496のRTA機能(61バンド)での計測結果を比較してみました。両者は思いのほかよくあっていますが、8kHzについては、PAA3は若干低めに出ます(たぶん、こちらが正しい)。
 61バンドで見ても、100Hz以下の低域に大きな谷が見えないのも確認できます。
 ご自身の部屋を測定したご経験があるかたならきっとお分かりと思いますが、一般家庭の部屋では、定在波を制御しなければ、こんなことはあり得ません。必ずピークやディップがあるはずです。




JBL4344の音との比較

 久しぶりにJBL4344に切り替えて聞いてみると、「さすがに古い音だなあ」と感じるのかと思いきや、「え、こんなに似てるの?」が実感でした。かなり違う特性になった気がしていたのに、Part2での試行錯誤で、たどり着いたところは、結局、似ているって、ま、それが私の音だということなんですかね。

 ただ、言うまでもないのですが、トーンが似ているだけで、定位感や、定位の鮮明感、分解能、時にうるさい感じ(JBL)、ボーカルの口の大きさ、等は、まったく異なるのです。要するにJBL4344から弱点だけを取り除いた、ってことです。

 下の図は、JBL4344とPIEGA+38cmシステムの周波数特性を、200Hz - 600Hz近傍のレベルをそろえて、おなじ画面に描いた比較。
 重なっているところは
オレンジ、PIEGAのほうがレベルが高い部分は、JBL4344のほうがレベルが高い部分はで示されています。



 70Hz以下の低域がPIEGAの方が高く調整されていますが、中域の違いは意外なほど小さく、変わるのは8kHz以上。この超高域は、いわゆる透明感に違いが出る領域で、トーンにはほとんど関係ないですよね。
 聴き比べながら調整したわけではないのに、長年の勘は、最後はここにたどり着くということですね。これはちょっと意外でした。



その音は
 聴いたことがないフラット感。でもピリピリしていない快適な高域。力感ある中域、圧倒的な低域。


高校生の時から40年近く愛聴する、バーンスタイン指揮のヴェルディ レクイエムをあらためて聴き、呆然としました。これこそが、バーンスタインが求めた「Off Beat」の低域なのだねと・・・。

     左がCD、右は高校生の時に買ったテープ

 これは、パワーアンプをPMAにした時、初めて感じたことでしたが、新システムでは、同じJBL4344での低域ながら、アンプ、スピーカともに100Hz以上の信号から解放されたことで、
怒りの日のグランカッサは、さらにすごい切れ味に。本当に、一瞬だけ、風が来ます。
 70年代のアナログ録音て、時々とんデモない低域が入ってます。デジタル時代になると、ある程度、低域に制限がかかる感じがします。ま、スピーカを壊さないようにですかね。
 一方、COAX 711の定位の威力で、左から、独唱バス、同テノール、バーンスタイン、同メゾソプラノ、ソプラノ の5名が(バーンスタインは聴こえませんが・・・)しっかりと整列します。まJBL4344でも同様の定位でしたが、それがさらにシャープで、本当にそこに居るようです。

 デジタル録音では、ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団の「
ローマの松」。

 その中の4曲目、「アッピア街道の松」では、遠くからローマ軍の大群がどんどん迫ってきて、最後は私を踏みつぶしていくかのようです。軍に押しつぶされて、家が崩れたかと錯覚しそうです。
 むろん、コンサートホールではここまで大音量じゃないので、人によっては邪道と言われそうですが、私は、これこそオーディオだと思っています。
 1曲目「ボルジア荘の松」で、中高域の様々な楽器が絢爛豪華に鳴るのも、このCDの聴きどころですが、これはまさしくCOAX 711の威力。定位感、鮮明感、奥行感が、JBL4344のみでの再生とは比較にならないです。

 

2018年3月14日 

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