Audio Design DCPW-240 Power Amplifier

オーディオ デザイン
DCPW-240 パワーアンプ




 マルチアンプ駆動マルチスピーカーシステムの構築を進めるための
低域用パワーアンプとして導入したのが、このオーディオデザイン製 DCPW-240です。

 低域専用とは言え、中高域を担当するナグラ PMAに負けないグレードのアンプでなければなりません。さすがにお安いアンプのわけにはいかんでしょう。しかし、大きいと、置き場所がない・・・・。

 
そこで思い到ったのが、5月のオーディオショーで聴き、低域の伸びに感心した、オーディオデザイン社(日本の会社です)の最新パワーアンプ、DCPW-240。

 
アナログアンプで、ステレオ機ですが、8オームで270ワット(XLR接続時)。パワーではNAGRA PMAの200Wに負けません。しかも、タワー型なので、これならうちでも置ける。(ちなみに、私は同社のDC電源もADコンバータ RME ADI-2用に使っています。下の写真の右に見えています)。



上段が低域を分離するためのAshly XR-1001チャンネルデバイダ、下段がDCPW-240。この写真で見える側面のAudioDesignロゴは、横向き置きで見えるように私が勝手に作成したものです。横向きに入れたので、DCPW-240のデザインの良さを台無しにしていて恐縮ですが、なにしろコンパクトなので、こんな置き方が実現しました。重量も無駄に重くなくて、18kgというのも、ありがたい。
 科学的に無意味な(と私が思う)ところにコストをかけず、大事なところに集中して設計されている点も、大変好感も持てます。

 なお、このチャンネルデバイダーは、低域のみに入ります。S/N比を落としたくない中高域、つまりPMAの方は、プリアンプC1100から直結で、ただしスピーカーとの間に、100Hz以下をカットするパッシブ・ネットワーク(12dB/oct.)を入れています。



まずは、全帯域でナグラPMAと聴き比べます。

 「お、いいね」が、私の最初の感想。
 
もちろん、違う音ですが、優劣ではなく、キヤノンとニコンのどちらの一眼デジカメの色が好きか、というようなレベルの違いです。

 PMAは、楽器の音やひびきを美しく演出する。だから、「さすがはナグラ」と思わせるところも多数。
 一方、DCPW-240 の方が、すっきりした音です。PMAのように、音の数が一段と増えたりはしないけれど、これが、なるほど最新の超高性能アンプの音だな思わされることも少なくない。PMAと聴き比べても、なんら劣ることのない音。これが50万円なのは絶対にお買い得です。
 



低域は?

 問題の低域は、間違いなく、同等以上。JBL4344をぶんぶん駆動します。小型でも内容がぎっしりです。さすが、270Wを謳うだけのことはあります。
でも、名前がなんで240なのかなあ。270ならわかりやすいのに。

 PMAとDCPW-240 のコスト差は、定価ベースなら3倍を軽く越えます。二対の対決で、高域、低域とも、引けを取らないのは、DCPW-240をほめたい。低域だけなら、パワーがある分、DCPW-240が上でしょう。
 ステレオサウンド誌でも絶賛されていますね。聴いてみれば、まったくもっともです。




 内部には、ほんのりと
赤いLEDが灯ります。なかなかうまい。暖かな雰囲気ですねえ。

 大きさはコンパクトですが、増幅段も電源も完全にアナログなので、電源がスイッチング電源のPMAよりは、かなり発熱します。これは欠点とはいえませんが。

 
可能なら、D/Aコンバータみたいにスイッチで切り替えて、PMAと使い分けたいのですが、そうなると、チャンネルデバイダや、スピ―カー側のクロスオーバーネットワークの切り替えまでしなければならなくなって、非常に複雑になってしまう。

 当面は、やむを得ず、それはあきらめ、

PMAは、パッシブ・ネットワークを通して中高域専用のスピーカーで100Hz以上、
DCPW-240はチャンデバ経由でJBL4344の38cmウーハーを駆動し100Hz以下担当

と固定することに決めました。DCPW-240を低域でしか使わないのは、かなりもったいないけど、超贅沢仕様。DCPW-240 の強力な低域が威力を発揮します。

 PMAは、JBLに直結の、今まで通りの聴き方も、スイッチ切り替えで可能にしました。そうしないと、なにが変わったかわかりませんから。

実は・・・
 ここに到る前には、超低域だけならもうちょっと安い「デジタルアンプ」で行けないかと思い、雑誌などでも評判の良いフルデジタルのパワーアンプ(20万円くらい)もお借りして試したのでした。チャンネル当たり290Wも出ます。
 しかし、このデジタルアンプでJBL4344の100Hz以下をドライブしてみると、ズシンと来る低域は十二分なのですが、その後の部屋の空気を揺るがす、NAGRA PMAなら楽々聞かせる「風圧」で、さすがに差がついてしまうのでした。この大きさとコストを考えれば、部屋を揺るがす風圧までは「ないものねだり」。大きさからは信じがたい低域が出てくるのは噂どおりで、適切な大きさのスピーカーを駆動してやれば、すごい威力を発揮するに違いありません。
 



 これを、アナログ電源+アナログアンプのDCPW-240に置き換えると、タワーの下段にぎっしり詰まった強力電源のおかげか、超低域はPMAと同等以上のの風圧を聞かせます。やはりカタログの数字だけではわからないのですよね。当たり前なのですが。

 ちなみに、ナグラPMAは、8オームで200W、アンプ部は完全アナログですが、電源はスイッチング電源。しかし、そのトロイダルトランス(ピラミッドの下面にある)も含め、巨大です。瞬発力には、大きな電源が必須ということでしょう。スイッチング式なのにやたらと大きな、ピラミッド内のほとんどを占領したPMAの電源は、伊達に大きいわけじゃないことを、あらためて学んだのでした。




2017年12月1日
2018年1月20日改定

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