シリアル番号 | 453 |
書名 |
銃・病原菌・鋼鉄 |
著者 |
ジャレッド・ダイアモンド |
出版社 |
草思社 |
ジャンル |
歴史 |
発行日 |
2000/10/2第1刷 2000/11/6第6刷 |
購入日 |
2000/12/12 |
評価 |
優 |
原題:Guns, Steel and Germs by Jared Diamond (English Library Serial No.432)
翻訳が無かったので原著で半分まで読んだ。非常に感激してロスアンゼルス在住の友人ロンにも薦めて、彼も良い本だと伝えてきた。
後半はロジックがわかってしまったため、だれて挫折していたのだが、翻訳が出たため、後半を日本語で読んだ。日本語でも先が読めてしまうためスピードは上がらない。
著者は人類史は地政学によって規定されているという。すなわち大陸が東西に伸びているか、南北に伸びているかで決せられるという 。東西の広がりが優位となり、文明はユーラシア大陸に芽生え、南北に伸びるアフリカ大陸、アメリカ大陸には芽生えなかった。最後に東西の西と東が同じ環境 にありながらなぜ西(ヨーロッパ)が勝ち、東(中国)が負けたのかの説明はヨーロッパが小国乱立、中国が中央集権の統一国家であったためであるとしてい る。中央集権の統一国家の場合はトップの小数の特異な決定が世界制覇のチャンスを逃し、小国乱立の場合は世界制覇の特異な野望(コロンブス)を拾い上げる 君主がでてくるものであるという多様性の利点にあったとするところは見事な説明となっている。一見パラドックのようであるが、しかし最終的にはヨーロッパ の多様性もその地形に還元し、中国の統一もその地形に還元しているので最終的にはすべて 地政学、環境決定論で始末をつけ、首尾一貫した理論となっている。おみごと。この本を原著で読み出し翻訳で完読するまで1年4ヶ月かかった。この間32冊 の別の本を読んだ。最後のエピローグがよい。
日本も中国と同じく400年前に鎖国を開始し、過去100年間遅れを回復するために苦労した。
印欧語の故郷問題では本著は現在でも学会に支持されている東南ヨーロッパ説(黒海・カスピ海北部)にたつ。 ウクライナ地方でインド・ヨーロッパ言語を話していた人々の居住区が西方に広がった背景には軍事的要素としての馬の存在が欠かせない。こうして広がったインド・ヨーロッパ言語はバスク語を除く初期の西ヨーロッパ言語の全てにとって変わっている。
その後、鞍や鐙が発明されるとフン族などのアジアの遊牧民が馬に乗って西方に押し寄せ、ローマ帝国やその後の国を脅かすようになる。このように家畜としての馬は第一次大戦まで軍事的な有利さを示す第一要素だったのである。
8年前に原著で半分読んだ本だが2009年になってまた売れているという。若い人が多いようだ。
Rev. November 22, 2009
10年後の1010年になったも良く売れているようだ。朝日が過去10年間に発行された本のなかから識者のアンケート50冊選んだなかでは一番の人気であった。
私の1050冊のなかでこの50冊に入っているものはこの他に
シリアル番号 | 書名 | 著者 |
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453 | 銃・病原菌・鋼鉄 | ジャレッド・ダイアモンド |
530 | 本格小説 上 下 | 水村美苗 |
817 | 帝国以降 アメリカ・システムの崩壊 | エマニュエル・トッド |
939 | 帝国 グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性 | アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート |
953 | 神は妄想である 宗教との決別 | リチャード・ドーキンス |
1012 | 日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で | 水村美苗 |
April 4, 2010