読書録

シリアル番号 530

書名

本格小説 上 下

著者

水村美苗(みずむらみなえ)

出版社

新潮社

ジャンル

小説

発行日

2002/9/25発行

購入日

2002/10/16

評価

朝日新聞の書評に私小説でない西洋流の本格小説として紹介されたので、興味を持ち新刊本を購入した。

エミリーブロンテ作、嵐が丘を戦後の日本に移植したという大河小説で、没入して3日で読破した。著者自身がイェール大出身で米国で教職にも立った経験を私小説的に書き出し、そこで聞いた話を紹介するという部分が本格小説部分である。NY、パロアルト、軽井沢、沓掛、成城、千歳船橋を舞台にする戦後から現在に到る世相を織り込んだストーリーは土地感もあり、同時代を生きた者として共感を持って読んだ。

帯にある尾崎真理子の書評、「生まれながらにしてすでに完璧な古典」、面白く、懐かしく、オーケストラのように豪勢な構えで細部まで共鳴しあう。近代文学の王道をゆく本格小説もうそではない。

著者はイェール大卒で夏目漱石の研究者。指導教官は漱石研究者のエドウィン・マクレラン。大蔵省の役人は水村氏の夫である。夫である水村氏のイェール大経済学部での同級生は ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授。

Rev. May 25, 2009


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