シリアル番号 | 888 |
書名 |
英語のなかの歴史 |
著者 |
オウエン・バーフィールド |
出版社 |
中央公論社 |
ジャンル |
歴史 |
発行日 |
1980/8/10発行 |
購入日 |
2007/08/30 |
評価 |
優 |
原題:History in English Words. London: Farber and Faber, 1953 by Owen Barfield
初刊は1926
中公文庫 渡部昇一翻訳
ミセス・グリーンウッド蔵書
ザ・ウィンザーホテル洞爺湖を楽しむ旅で読む。
著者は工兵として第一次大戦に参加後、オックスフォード大で法律を学び弁護士になる。1959年に弁護士を引退したというので本著は弁護士時代に書いたことになる。
言語学から歴史を見るというのが本著のねらい。
ケルト語、英語、ギリシア語、ラテン語、スラブ語、ペルシャ語、サンスクリット語はインド・ヨーロッパ祖語から派生した。インド・ヨーロッパ語族のうち東に進んだインド人が自分達をアーリアス(Aryas)と呼んだことからアーリア祖語またはインド・ゲルマン祖語とも呼ばれるようになった。
インド・ヨーロッパ祖語を話した民族は石器時代に東ヨーロッパから中央アジアに広がる大平原のドニエプル河(現ウクライナ)の岸辺に遊牧民として出現した。エジプト文明、カルデア文明、ミノア文明などの前アーリア文明の母系的な社会よりダイナミックな父系的社会であったようだ。これらのアーリア人の移住者は、征服する侵入者として来ようと、平和な入植者として来ようと、押しかけたその地での土着の文化を吸収するより、抹殺する傾向があったらしい。
こうしてアメリカ大陸、オセアニア大陸に拡散したのである。 この本がかかれたのは第二次大戦前でナチなちによりアーリア民族の優越性が喧伝されていたころである。プロパガンダに利用された説はインド・ゲルマン祖語の故郷はヨーロッパとするものだった 。本著は印欧語の故郷問題では現在でも学会に支持されている東南ヨーロッパ説(黒海・カスピ海北部)にたつ。
おなじ東南ヨーロッパ説にたつ
ジャレッド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鋼鉄」ではインド・ヨーロッパ語の西方への拡散の要因として馬の軍事的重要性についての説を採用している。