映画「催眠」の原作。映画を観るより前に読む。
ニセ催眠術師・実相寺則之、その前に突然現れた謎の女・入江由香、東京カウンセリング心理センターの催眠療法科長・嵯峨敏也。心理学、催眠術を軸に次第に由香の正体が明らかになっていくミステリー。
展開は結構地味で、ストーリは印象に残りにくい。しかし、扱っている心理学のトリックなどは雑学的には面白い。大学の教養の授業でやるぐらいの内容だけど。
→映画「催眠」感想
面白かった。
香港とその食に興味があれば楽しく読めると思う。香港に英国人がやってきた19世紀から現代まで。扱われているのは雲呑麺、咸魚、臭豆腐、鶏脚湯、阿一鮑魚、魚翅湯、亀ゼリー、XO醤、泡沫紅茶などなど。
この本に出てくる90年代の大陸からの移民によるサクセス・ストーリの店、「北京水餃子」に行ってみたけど、京式(北京式)の餃子を注文している客は少なかった(^^;)。
山口文憲のこの本は旅行ガイド(?)のエポックメイキング、名著として有名。香港に行く前に再読。
旅行というよりは考現学を視点に入れた所が凄い。今回、同じ頃に読んだ「香港記」も山口文憲から香港を知った世代。でも、比較するとやはり山口文憲は越えてないと実感。
書き下ろし。中国雲南省の奥地でひとつの村を全滅させる、強力なインフルエンザが広がる。それに端を発する生物兵器をめぐる各国間を巡るサスペンス…のはずが、な、なんともつまらない。バイオ+ポリティカルアクションものという予想を遥かに裏切る内容。いや、そういう路線を狙ったけど、著者の力不足だったのか?
この著者について調べてみたけど、よく判らなかった。他に著書はあるのだろうか?二度と読みたくないけど。
第13回横溝正史賞優秀作(1993) 詰まらないという話を聞いて、試しに借りて読んでみたら、超詰まらなかった。
ストーリは、日本で米国大統領暗殺を阻止する医者の活躍。しかし、文章が下手、ストーリに無理がある、人物像が納得出来ない、 主人公のスーパーヒーロ像が古臭い…結局、一つとしていい所がない(^^;)。
著者の小野博通はフリーランスの外科医(ブラック・ジャックか?)。さすがに商売に関する部分、血液を使うアイデアはいいし、手術シーンはそれなりに迫力ある。昭和16年神戸生まれ。1941年だから、1993年当時で52歳。その割には年寄り臭い所が目立つ。京都弁のナースの町子、大統領令嬢のニコラとのホリデー・イン・キョートを気取った京都観光、なんとも年寄りの願望が出ている。
しかし、こんなのを優秀作にするとは横溝正史賞の品格を疑う。
「映画監督術」、「映画監督術2」を立て続けに読んだので、ついでに日本ものの編集術の本について読んでみる。
確かに日本とハリウッドの違いが解る。ハリウッドはシステムであるが、日本は職人である。これは本作りの視点の違いでもあるのだけど。
この本では、編集による日本独自のケレン味などが出ているのは面白い。
解説で小林信彦も書いているけど、漫才を文章にする技術がうまい。
ブラックなジョークは漫才なら気にならないけど、活字にするとかなりひっかかるものが出てくると思う。その辺を巧みに処理する技術が上手い。ただし、ネタ的には、漫才で聞いた方が面白と思う。
主人公は2000問題(Y2K)対策専門の会社社長。2000年問題のシミュレーション小説。「油断」や小松左京「都市消失」「日本沈没」の様な、ある事件から社会の動きをシミュレーションしてみるような小説だと思っていたが…。でも実際はちょっと違っていた。Y2Kがメインではあるのだけど、後半、軍事サスペンスの要素がちょっと強いかも。
しかし、組み込みチップが入っていればヘリコプターも自動車もミサイル2000年にぴたりと止まってしまうという設定が納得出来ない部分も多いけど、まあ、小説としてはそれなりに上手く書けていて面白く読めた。
→ Y2K The Only Year 2000 Novel
- 著者自身の2000年問題のwebsite
→ 日本Y2Kリンク集
香港旅行中に読んだ本。
この本の解説を読むまで知らなかったけど、ジェフリー・アーチャーは、
A) 一代記サクセス・サクセスストーリ
B) ポリティカル・スリラー
C) 短編集
のローテーションで二年に一冊のペースで書いているらしい。本書はB)に当てはまるもの。確か一つ前はマードック、マックスウェルをモデルにした(A)タイプの「メディア買収の野望」だった。
陰謀に巻き込まれ一人で戦うCIAの天才的暗殺者コナーのストーリ。相変わらず淡々とした展開ではあるけれど、それなりに楽しめる。タフガイのスナイパーと陰謀に巻き込まれるという点では、スティーヴン・ハンターの「極大射程」を連想させる所が多い。英国のある意味古典的なジェフリー・アーチャーと、ハリウッド映画的なスティーヴン・ハンターでは随分とストーリのメリハリの付け方に差があると思う。
本書の文庫版は、文芸春秋の「野菜探検隊世界を歩く」1986年と「野菜探検隊アジア大陸縦横無尽」1990年のダイジェスト版。
野菜の祖先である原生植物が何かということ、どういうルートで世界に広がり、どういうルートで日本に伝わったかという事を、実地に旅して探していく。著者は会社勤めのかたわら、ノンフィクション・ライターとして野菜に関する執筆、講演をしているそうで、専門家ではない。全体に内容は未整理ながら、その情熱と勢いはなかなか面白い。
「映画監督術」の続編。前作よりも、実践的な配置演出サンプルを主眼においている。
基本的な所から、車等の狭い空間での方法論まで。図が多くなって、やや中身が薄くなった感じがするけど、映画をよく知る上では面白い内容だった。
香港旅行に行く前に読む。
著者は、神戸教育大学都市人類学の助教授。ハリガミ、乗物、日本語看板などなどの雑多な話題な話題について考現学的に書いてる。あとがきで著者が書いてあるように、山口文憲の「香港旅の雑学ノート」の影響を受けているは明らか。情報的には新しくなっているが、視点としては山口文憲を超えてはいない。それほど、「香港旅の雑学ノート」は インパクトが強いの強い本だった。 香港考現学としては新しい部分を補足するという意味ではいい本かも。雑学的には楽しめる。
「ローズマリーの赤ちゃん」の続編。寡作で知られる、アイラ・レヴィンがいつの間にか続編を出しているとは知らなかった。
舞台は1999年、27年年間の昏睡からさめたローズマリー、悪魔の子アンディは世界的な新興宗教の教祖になっていた。恐怖感というのはまったく弱いし、ストーリの展開もメリハリはないが、悪魔の子と知りながら自分の息子を愛するローズマリー、その母の力みたいな所は面白かった。