2002年6月


「少林サッカー(日本語吹き替え版)」☆

 チャウ・シンチー(周星馳)監督脚本主演、リン・ヅーゾォン、ウォン・ヤッフェイ、モー・メイリン、ティン・カイマン、チェン・グウォクン、ヴィッキー・チャオ、ン・マンタ、パトリック・ツェー、スー・ヅーユン、ブー・イエドン、ジャン・ミンミン。

 20年前ハン(パトリック・ツェー)の陰謀により、サッカー選手生命を奪われたファン(ン・マンタ)は少林拳を広めようとする青年シン(チョウ・シンチー)に街で出会う。シンの兄弟子たち、鉄頭功(ウォン・ヤッフェイ)、旋風脚(モー・メイリン)、鎧の肌(ティン・カイマン)、魔の手(チェン・グォクン)、軽功(リン・ヅーソォン)を集めサッカーチームを作る…。

 傑作。久しぶりにシンチー節を堪能出来た。今までの彼の映画の中でももっとも完成度が高く、一番好き。特に最後のゴールの映像は想像をはるかに越えた派手さと美しさを見せてくれて素晴らしかった。
 シンチー映画では定番のヒロインの酷い姿での登場は、太極拳の名手で饅頭屋のムイ(ヴィッキー・チャオ)。でもラストは非常にいいシーンをもらってて安心。

「少林サッカー」Official Website


「ワンス&フォーエバー」- We were soldiers -

 ランダル・ウォレス監督脚本、メル・ギブソン、マデリーン・ストウ、グレッグ・キニア、サム・エリオット、クリス・クライン、ケリー・ラッセル、バリー・ペッパー、ドン・ズオン。

 1964年ジョージア州フォート・ベニング米軍基地、ムーア中佐(メル・ギブソン)はプラムリー上級曹長(サム・エリオット)と共に、ベトナムにおけるジャングル戦のためのヘリによる空挺師団の訓練を行う。そして1965年11月14日、ムーアの部隊のヘリは南ベトナムのイア・ドランの谷に降り立つが、北ベトナムのアン中佐(ドン・ズオン)による攻撃を受け釘付けになる…。

 主人公ハル・ムーアと映画中にも出てくるUPI戦地特派員ジョー・ギャロウェイ(バリー・ペッパー)共著ノンフィクションの映画化。展開も上手く戦闘の迫力もあるけど、やはり今、ベトナム映画を描く意味自体がよく判らない。好戦的映画とは思えないが、やはりちょっとひっかかる。
 「ブラックホーク・ダウン」のように登場人物が多く混乱するが、その中でもプラムリー上級曹長役のサム・エリオットがいい味出していた。

「ワンス&フォーエバー」Official Website


「セッション9」- Session 9 -

 ブラッド・アンダーソン監督、ピーター・ミュラン、デビッド・カルーソ、スティーブン・ジェブドン。

 19世紀に建てられた美しいゴシック建築、かつては2400人もの患者を収容しながら'85年に閉鎖、現在は廃虚となっているマサチューセッツのダンバース州立精神病。ここを公共施設へと改修するために、アスベスト除去作業に訪れたゴードン・フレミング(ピーター・ミュラン)ら5人の男達は一週間の期限で仕事に取り掛が、そんな中、フィル(デビッド・カルーソ)は偶然多重人格の診察テープを見つける…。

 何よりも「ワンダーランド駅で」のブラッド・アンダーソン監督がこのような、ホラーっぽいサスペンス映画を撮るのが興味あった。不気味な雰囲気は上手いながらも、ストーリ展開はちょっと退屈。とらえ所が無いままにラストへと向かってしまう。
 「プルーフ・オブ・ライフ」などでも、デビッド・カルーソという俳優はどうもいい味が感じられない。一番のいい味が出ていたのは、ダンバース州立精神病自身かも。

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「愛しのローズマリー」- Shallow Hal -

 ピーター・ファレリー+ボビー・ファレリー監督脚本製作、ジャック・ブラック、グウィネス・パルトロウ、ジェイソン・アレクサンダー。

 父親の死の直前の言葉により、ハル(ジャック・ブラウン)は、外見だけで女性を判断する大人に育つ。偶然に知りあった心理療法士アンソニー.J.ロビンス(本人)の暗示で心の美しさが外見として見えるようになり、美女ローズマリー(グウィネス・パルトロウ)と出会い、恋に落ちるが、実際の彼女は136Kgの巨体をだった…。

 「メリーに首ったけ」のファレリー兄弟の新作。デブ、ハゲ、人種、性別そのたもろもろの差別ネタ満載ではあるが、最後には「メリーに首ったけ」同様、上手く最後にはまとめあげて、ある意味説教臭いところもある。しかし、この絶妙の芸風を持った監督の存在は今のハリウッドには貴重だと思う。女優の使い方も、なかなか新鮮で上手い。

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「アイ・アム・サム」- I am Sam -

 ジェシー・ネルソン監督、ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダイアン・ウィースト、ダコタ・ファニン、リチャード・ジフ。

 7歳の知能しか持たないサム・ドーソンはスターバックスで働きながら一人で娘のルーシーを育てていた。養育能力の不足のため7歳になったルーシー(ダコタ・ファニング)を奪われサムは、敏腕女性弁護士リタ・ハリソン(ミシェル・ファイファー)、ピアノ好きの隣人アニー(ダイアン・ウィースト)の協力で裁判に望む…。

 予告編で観る、子供に障害に裁判にと、泣かせる要素の山にうんざりしていたけど、実際観てみる結構面白かった。泣かせの罠は巧みに随所にはられていてややしつこい感じはするが、ビートルズのナンバーの使いかたの上手さは物語りに軽快なテンポを与え、隣人のアニー役のダイアン・ウィーストのいかにも60年代を生きてきたような雰囲気、リタ役のファイファーのキレ方などなかなか上手い。ショーン・ペンの知的障害の演技が自然とは思えないが、まあ、映画的な違和感は多少しか感じなかったので良しとする。

「アイ・アム・サム」Official Website


「陽はまた昇る」

 佐々部清監督、西田敏行、渡辺謙、緒形直人、真野響子、篠原涼子、仲代達矢、井川比佐志。

 VHS誕生秘話。日本ビクターの開発技術者加賀谷静男(西田敏行)はあと数年での定年の時、横浜工場ビデオ事業部への移動命令を受ける。非採算部門のビデオ事業部門の240名の20%削減が課題であったが、秘かに加賀谷は家庭用VTRの開発を勧める…。
退屈はしないもののエンターテイメントとしてはイマイチ。技術者として観ても不満な部分は沢山ある。ブレイクスルーの瞬間は天使が舞い降りるように突然で静かな一瞬であり、映像にしてしまうとちょっと違うなと思う。ベータに対する優位な点は曖昧で単なる物まねに見えてしまうし、最後には松下幸之助(仲代達矢)だけでVHSの勝利が決まるような印象を受ける。
 「プロジェクトX」的な観客を狙ったのだろうけど、企画倒れじゃないかなあ。「黒部の太陽」みたいな人間ドラマも、壮大さも無かった。

「陽はまた昇る」Official Website


「スパイダーマン」- Spider-man -

 サム・ライミ監督、トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、ウィレム・デフォー、ジェームズ・フランコ、クリフ・ロバートソン、ローズマリー・ハリス、J・K・シモンズ。

 両親を幼い頃失い伯父夫妻とNY郊外クイーンズで暮す高校生ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)。友人はオズコープ社を経営する科学者ノーマン・オズボーン(ウィレム・デフォー)の息子ハリー(ジェームズ・フランコ)だけ、そして隣家の幼なじみメリー・ジェーン(キルスティン・ダンスト)に恋す普通の高校生3年生だったハリーは、課外授業の中、遺伝子組み換えのスーパースパイダーに噛まれ視力、体力が異常にアップ、壁を登り手首からはクモの糸が出るようになる…。

 期待していなかっただけに、結構楽しめた。基本線はコミックからは変わっていなかったが、複雑な間関係が物語を面白くしている。続編も期待出来るが、「サイダーハウス・ルール」で見せたようなトビー・マグワイアの才能をこのシリーズで使ってしまうのはちょっともったいない。
 NYの町並み立体的につかった新鮮な映像もなかなか面白かった。ただヒロインはイマイチ魅力不足(高校生で化粧濃すぎ)だし、グリーン・ゴブリンは全体の中ではちょっと浮いている。

「スパイダーマン」Official Website


「サウンド・オブ・サイレンス」- Don't say a word -

 ゲイリー・フレイダー監督、マイケル・ダグラス、スカイ・マッコール・バーツシアク、ショーン・ビーン、ブリタニー・マーフィ、ガイ・卜ーリー、ジェニファー・エスポジート、オリバー・プラット。
 NYの開業医ネイサン・コンラッド(マイケル・ダグラス)の一人娘が、感謝祭の朝に誘拐される。犯人コスター(ショーン・ビーン)たちは午後5時までに、ネイサンの患者であるエリザベス(ブリタニー・マーフィ)から6桁のある番号を聞き出すことを要求する。

 予告編からはホラーっぽいストーリ展開を予想していたけど、純粋なサスペンスもの。犯人の実体が判らず、謎の6桁の番号の正体も判らず、うまい引っ張り方をする。それでも、最後は銃撃戦で解決する単純さや、悪役側の魅力の出し方の乏しさなどの不満さはある。事件の後を追う女刑事はハードボイルドでカッコよし。

「サウンド・オブ・サイレンス」 Official Website


「パニック・ルーム」- Panic Room - ☆

 デビッド・フィンチャー監督、ジョディ・フォスター、フォレスト・ウィテカー、ドワイト・ヨーカム、ジャレッド・レト、クリステン・スチュアート。
  夫の浮気で離婚したメグ(ジョディ・フォスター)と娘サラ(クリステン・スチュアート)がマンハッタンで見つけた新居は4階建て、エレベータ付き、緊急避難用のパニックルームをもつ。引っ越しのその夜、何者かが侵入、メグと娘はパニック・ルームへ逃げ込む…。

 「セブン」、「ファイト・クラブ」とまるで違った閉鎖的な空間での物語ではフィンチャーの映像センスが上手く活きるか不安があったが上手く縦横無尽にカメラを動かしている。最初からタイトル・クレジットのCGの作り方が抜群に上手く物語の期待感を高まらせる。美しく、そして静かな不気味さをうまく出している。
 ストーリも単調にならず、駆け引きも面白い。もうちょっと裏があるのかと思ったが、最後は結構あっさり。でも好きな映画。

「パニック・ルーム」Official Website


「模倣犯」

 森田芳光監督脚本、宮部みゆき原作、中居正広、山崎努、藤井隆、津田寛治、木村佳乃。
 宮部みゆきの「模倣犯」の映画化。あの長く複雑な構成の原作では、かなり再構築して映画化すると思っていたけど、非常に素直に、原作の流れそのままに映画化していたのには驚いた。それなりには上手くまとめてあるとは思うのだけど。

 森田芳光の映画は基本的には好きだが、結論としてはこの映画は失敗だと思う。全編デジタルカメラによる撮影らしいが、新しもの好きの森田らしい遊びが随所にある。が、成功はしてない。
 そもそも、中居正広の演技で心の闇が表現出来るかというかというとかなり疑問。犯罪のドロドロした面は隠蔽されてしまっているし、スノッブな生活表現の薄っぺらさがかなり気になる。その中でも、藤井隆の好演だけは評価出来る。彼の自然な演技の姿には驚いた。山崎努は原作通りでいい味が出ているのも救い。
 原作に無い最後の花火(?)には抱腹絶倒、その後のエピソードは陳腐。

→ 「模倣犯」Official Website


「スコーピオン・キング」- The Scorpion King -

 チャック・ラッセル監督、ザ・ロック、ケリー・ヒュー、マイケル・クラーク・ダンカン、バーナード・ヒル、グランド・ヘスロフ、ピーター・ファシネリ、スティーヴン・ブランド、ラルフ・モーラー。
 舞台は5000年前の古代エジプト。ゴモラの都、預言者カサンドラ(ケリー・ヒュー)の力により侵略を繰り返す支配者メムノン(スティーブン・ブランド)、それに対抗するのは伝説的暗殺種族の生き残りマサイアス(ザ・ロック)…。

「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド」では、最後にはゲームのボスキャラ風CGサソリ男と化してしまった屈辱をはらそうというザ・ロックの気持ちは判らないでもない…で、まるで期待は無かったのだけど、B級としてはまあ、立派な出来ではあるかもしれない。能天気に楽しめばいい映画。
カサンドラの無意味なお色気衣装などなど、突っ込み所は多数。

「スコーピオン・キング」Official Website


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