2002年4月


「陽だまりのグランド」- Hardball -

 ブライアン・ロビンス監督、キアヌ・リーヴス、ダイアン・レイン、ジョン・ホークス、D・B・スウィーニー、マイク・マッグローン。

コナー・オニール(キアヌ・リーヴス)はギャンブルによる借金苦から、週500ドルの報酬で野球チームのコーチを引き受ける。チーム"キカンバス"はシカゴの低所得者住宅地域だった…。
子供たちのキャラクタそれぞれはかなりいい。フランス映画「憎しみ」を思い出させるような閉塞感、その中での唯一の楽しみの野球への思いは心にしみる。基本的には非常にいい話だけど、その処理は上手いとは思えないし、特にキアヌ・リーブスの演技は力が入りすぎて、まったく浮いてしまっている。

「陽だまりのグランド」Official Website


「コラテラル・ダメージ」- Collateral Damage -

アンドリュー・デイビス監督、アーノルド・シュワルツェネッガー、フランチェスカ・ネリー、イライアス・コーティア、ジョン・レグイザモ、ジョン・タトゥーロ。

L.A.の消防士ゴーディー(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、コロンビアのテロリスト"ウルフ"の爆破テロにより妻子を失う。CIA、FBIの捜査の遅れに業を煮やし、ゴーディーは単身、コロンビアに乗り込む…。

Sep.11のテロの影響で公開が遅れていたのは知っていたが、観てみると実は"テロリストにも言い分がある"という部分がひっかかって延びていた気がする。映画としては、まあ、飽きはさせないけど、単純なエンターテイメント。消防士がテロリスト集団と対決するってはかなり無理があると思うが。

「コラテラル・ダメージ」 Official Website


「キューティ・ブロンド」- Legally Blonde -

ロバート・ルケティック監督、アマンダ・ブラウン原作、リーズ・ウィザースプーン、ルーク・ウィルソン、セルマ・ブレア、マニュー・デイビス。

L.A. CULAの学生エル・ウッズ(リーズ・ウィザースプーン)はファッション命のブロンド娘。女子社交クラブ「デルタ・ヌウ」の会長で人気者。ハーバードの法学部に進学する恋人のワーナーにプロポーズされると思った時、"too blonde"と彼に振られてしまう。エルはそれにめげず猛勉強、ワーナーを追ってハーバードに入学する…。

この映画、意外に面白いって評判を各所で聞いて観たら、確かに意外に面白かった。ブロンド=軽薄という感覚は日本人には判りにくいけど、うまく設定を使っている。ミーハーな割には純粋な所が白鳥麗子に通じるものがある。法廷劇も単純ではあるけど、結構みせてくれて楽しめる。
主演のリーズ・ウィザースプーンは、一児の母っていうのを後から読んで驚いた。

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「劇場版 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊 」

こだま兼監督、野沢尚脚本、青山剛昌原作、声の出演高山みなみ(江戸川コナン)、山崎和佳奈(毛利蘭)、神谷明(毛利小五郎)。

仮想体感シミュレーションゲーム「コクーン」の発表会中、開発者が何者かに殺害される。次々と挑戦を仕掛ける謎の人工知能、そしてコナンたち少年探偵団は、仮想空間の中の19世紀末のロンドンでの事件解決に挑む…。

前回の「名探偵コナン 天国へのカウントダウン 」は結構面白かったし、今回は野沢尚が脚本をやるというのでちょっと期待。仮想空間19世紀のロンドンでのコナンを活躍させるというのは結構うまい設定。 最後のオチはちょっと無理があるようだが、まあ楽しめたかな。脚本がそれほど優れているとは思えないが。
切り裂きジャック関係の人物群は、最近に観た「 フロム・ヘル」と微妙に重なっているので、余計に楽しめた。

「劇場版 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊 」Official Website


「とらばいゆ」

大谷健太郎監督脚本、瀬戸朝香、塚本晋也、市川実日子、村上淳、大杉漣.

麻美(瀬戸朝香)と妹の里奈(市川実日子)は女流棋士が職業(とらばいゆはフランス語で職業の意)。麻美は負け続けで、サラリーマンの夫の一哉(塚本晋也)と険悪な状態、里奈は恋人の売れないミュージシャン弘樹(村上淳)と同棲中だが家事を任せて元カレと遊んでいると、姉妹2組のカップルはギクシャク状態…。

設定は違っても「avec mon mari/アベックモンマリ」に極めて近い状況。四角関係、微妙な男女のギクシャク感を、狭い空間で、狭い人数で物語を構築している。全体には物足りなさは感じるが、観た後は実に爽やかな気分。こういう感性で作っている監督は少ないかも、貴重な人材かもしれない。

瀬戸朝香はアイドル臭さがまるっきり無くなり、いい感じ。市川実日子は「コンセント」の市川実和子の妹だけど、顔や雰囲気以上に声としゃべり方がそっくり。印象的でいい役者になりそう。

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「友よ チング」

クァク・キョンテク監督脚本、ユ・オソン、チャン・ドンゴン、ソ・テファ、チョン・ウンテク、キム・ボキョン。

釜山、親がヤクザの元締めのジュンソク(ユ・オソン)、葬儀屋の息子のドンス(チャン・ドンゴン)、真面目のサンテク(ソ・テファ)、お調子者のジュンホ(チョン・ウンテク)の四人は小学校からの友達。1981年、中学で別れたが同じ高校になった四人は、再びつるんで遊ぶ事になるが、ある事件からそれぞれ違う道を歩む…。

韓国で「JSA」「シュリ」を抜く大ヒットという評判だったが、イマイチ面白く無かった。国民的な感性の違いなのか小学生時代、高校生時代の物語は新鮮でよかったが、後半は単純なノワールものになってしまっている。韓国の70年代から80年代をもっと感じられる映画が観たかった。
 ユ・オソンは「アタック・ザ・ガス・ステーション」からはずいぶんと老けてしまった。

「友よ チング」Official Website


「ブラックホーク・ダウン」- Black Hawk Down -

リドリー・スコット監督、ジェリー・ブラッカイマー制作、マーク・ボウデン 原作ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア、エリック・バナ 、 ウィリアム・フィシュナー、ユアン・ブレムナー、サム・シェパード、ガブリエル・カシアス、キム・コーツ、ロン・エルダード 、 ア

1993年、部族間の争いによる内戦下、国連のPKO(平和維持活動)の一環としてソマリアのモガディシュに派遣されていた米軍。ソマリアの軍事独裁政権の指揮官数名を誘拐する任務を受けたレンジャー部隊、デルタ・フォースなどのエリートたち、周到な計画の特別作戦のはずが、泥沼の市街戦となっていく…。

リドリー・スコットには期待大、ジェリー・ブラッカイマーには期待ゼロだけど、結果的には面白かった。人間関係が乱れすぎで、泥沼の戦闘とともに誰が誰だか段々判らなくなってくるが、それでも全体の緊張感を維持していく上手さは見事。
映画の中では、作戦責任者の将軍の描き方が難しいところだったが、ちょっと悪役過ぎる印象。もっと無力感漂う役柄だと思うんだけど。

「ブラック・ホーク・ダウン」Official Website
「ブラックホーク・ダウン」原作の感想


「K-PAX 光の旅人」- K-PAX -

イアン・ソフトリー監督、チャールズ・リーヴィット脚本、ケビン・スペイシー、ジェフ・ブリッジス、メアリー・マコーマック。

NYグランド・セントラル駅、不思議な光に包まれて現れた男プロート(ケビン・スペイシー)はK-PAX星人と名乗る。精神科医マーク・パウエル(ジェフ・ブリッジス)は、1000光年先から光エネルギーに乗ってやってきたと語るプロートに興味をもつ…。

先が見通せない展開で、最後もうまくまとめてあり ファンタジックの心地よさがいい。患者仲間との交流など、心あたたまる感触がいい。結面白かった。無表情な演技のケビン・スペイシーが作る雰囲気がうまい。「シッピング・ニュース」に近い演技だけど、無表情ばかりの役柄になってしまうのは、ちょっと心配。

「K-PAX 光の旅人」Official Website


「白い犬とワルツを」

月野木隆監督、仲代達矢、藤村志保、若村麻由美、豊原功補、南果歩。

樹木医の中本英助(仲代達矢)は、40年連添っている妻光恵(藤村志保)を突然失う。生きる希望を失いかけた時、白い犬と出会う…。
 
一応、テリー・ケイの同名作品が原作となっているが、多分、内容はほとんど関係ないと思う。(まだ読んでないけど)。犬も無理やりに途中でワルツを躍らされていい迷惑だと思う。
基本的には感動作で、それなりにはいい内容だけど客を引きつけるモノが無い。とりあえずベストセラーの名前を借りただけって態度はいかがなもんだろうか。
月野木隆の初監督作品。

「白い犬とワルツを」Official Website


「ドメスティック・フィアー」- Domestic Disturbance -

ハロルド・ベッカー監督、ジョン・トラボルタ、ヴィンス・ヴォーン、テリー・ポロ、スティーブ・ブシェミ、マシュ−・オリアリ。

メリーランド州サウスポート、町の名士で母親の再婚相手であるリック(ヴァンス・ヴォーン)の殺人現場を目撃したダニー。問題児のダニーの言葉は信用されないが、実の父親のフランク(ジョン・トラボルタ)だけは息子の言葉を信じる…。

設定は決してつまらなくは無いけど、ディティールがめちゃくちゃ雑。事件の発端も、解決も適当な感じ。所々、ヒッチコック的な味があるけど、物まね以上のモノは無い。「シー・オブ・ラブ」から考えると、本当にハロルド・ベッカーが監督しているの、って疑ってしまう。

「ドメスティック・フィアー」Official Website


「D-TOX」- D-TOX -

ジム・ギレスピー(キルスピー)、シルベスター・スタローン、トム・ベレンジャー、チャールズ.S.ダットン。

警官ばかりを惨殺する猟奇殺人を捜査するFBI捜査官のジェイク・マロイは、逆に犯人に恋人を殺される。失意のマロイは、警官のための精神療養施設D-TOXに送られるが、雪に閉ざされたワイオミングのD-TOXで再び猟奇殺人が繰り返される…。

「ラストサマー」の監督では期待ゼロなんだけど、本当につまらなかった。そもそも宣伝ではサイコミステリーと言ってるけど、どこがサイコミステリーなんだか逆に悩んでしまう。猟奇殺人に、精神療養施設で、ダブルなサイコにしたつもりだろうが、犯人の動機もまったく判らないというひどさ。宣伝に「羊たちの沈黙」とか「ハンニバル」とか引きあいに出さないで欲しいもんだ。

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「シッピング・ニュース」- The Shipping News - ☆

ラッセ・ハルストレム監督、E・アニー・プルー原作、ケヴィン・スペイシー、ジュリアン・ムーア、ジュディ・デンチ、スコット・グレン、リス・エヴァンス、ジェイスン・ベア、ピース・ポスルスウェイト、ケイト・ブランシェット。

妻に裏切られ失意の中、クオイル(ケヴィン・スペイシー)は娘バニーと共に、叔母アグニスを頼り故郷のニューファンドランド島に来る。地元の新聞ギャミー・バードに就職したクオイルはケヴィン・スペイシー、そして一族の秘密を知る事になる…。

「ショコラ」「サイダーハウス・ルール」とラッセ・ハルストレムは期待を裏切らない監督と信じていたが、やはり面白かった。なんとも不思議な魅力に満ちている。言葉に出来ない感動で、まさに映画の魅力。原作は是非とも読みたい。ケヴィン・スペイシーの無表情な演技が、映画にうまく合っていた。リス・エヴァンスはいい脇役の味を出している。
教訓としては、信頼出来ない船は買うな、って事かな(^^)。

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「ビューティフル・マインド」- A Beautiful Mind -

ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、ポール・ベタニー、アダム・ゴールドバーグ、ジャド・ハーシュ、ジョシュ・ルーカス、アンソニー・ラップ、クリストファー・プラマー。

1947年9月、プリンストン大学大学院数学科にカーネギー奨学生として、ジョン・ナッシュが入学。人付き合いが下手なナッシュは変人扱い、友人はルームメートのチャールズ(ポール・ベタニー)だけ。非協調ゲーム理論の論文により、MITのウィーラー研究所へ入ったナッシュであるが、時代はソ連との冷戦下、諜報員パーチャー(エド・ハリス)に暗号解読の依頼を受ける…。アカデミー賞4部門受賞(作品賞、監督賞、脚色賞、助演女優賞)

ナッシュ均衡は知っていても、ジョン・ナッシュがこういう人生を歩んだ人とは知らなかった。ロン・ハワードなら、期待は裏切らないとは思っていたが確かに楽しめた。しかし、オスカーは「シッピング・ニュース」にあげたかったが。
しかしラッセル・クロウ、数学者とは思えない体格。

「ビューティフル・マインド」Official Website


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