真上からちょっとだけ落ちるかたちで真っ直ぐ着地

(どの位置に胴体を位置させると楽ちんそうに見えるかという観点から)

大腿骨に乗って走る
結論から言うと、積み木をまっすぐ積むことです。

一段目の積み木は足
二段目の積み木は脛の骨
三段目の積み木は大腿骨
四段目の積み木は胴体と考えて下から順に積んでいくのです。

腰が乗り込めているフォーム

図解

┌┐
││
┌┴┴┐
│──│
│──│←上半身全体
│──│
└┬┬┘
││←大たい骨
││──┬┐
├┤──┴┘
││←脛の骨
││
├┤
└┘←足膝は柔らかく使うのです
図1 胴体が脚の上に乗っている積み木

足、脛、大たい骨、上半身全体を積み木だと思って
下から脚を積み、その積み木の上に一番上の大きな積み木(上半身)を積むイメージで
(交互に上半身を大たい骨に乗せる)
足先で地面をとらえるのではなく、股関節で大腿骨の頭をとらえて行く感じです。

図1のように、胴体が脚に乗り移っているときには、左右の骨盤が大腿骨に交互に乗っているような感覚があります。それが
”大腿骨に乗って走る”って感じです。
それは、垂直に鉛筆を紙にトントンと置いていくようなものです。

図2 まっすぐに突くと抵抗がない

いわゆる腰が落ちた(腰が乗り遅れた)フォーム

図解
───┌┐
───││
──┌┴┴┐
──│──│
──│──│←上半身全体
──│──│
──└┬┬┘
──-││ ←大たい骨
──││───┐
─-├┤─-──┤
─-││←脛の骨
││
├┤←足
└┘
図3 胴体が足に乗り遅れた積み木

上半身全体が脚に乗り遅れてしまうと、斜めに体重がかかった脚を垂直まで起こして重い上半身全体を脚の向こう側まで乗り越えさせなければなりません。
それはまるで、鉛筆の先を斜めにして紙に突き刺しながら進むようなものです。


図4 斜めに突き刺しながら進むと抵抗が大きい

そういうわけで、楽ちんそうなフォームのキモは、大腿骨に乗ってです。


脚のポジション
脚のポジションでは大腿骨と脛の骨とのなす角度を広くすること、気持ちとすれば180度(まっすぐ)にすることが大切です。
膝が前に出て、脛の骨が後ろへ引っ込むようにしてしまうと、再び脚を直立状態にすることは難しいです。
なるべく直立に近くした脛の骨の上に直立した大腿骨を乗せ、その上に上半身全体を乗せるようにした方が良いです。

なぜこのようないわゆる高い腰の位置が良いかというと、少し曲げた膝を伸ばす方が深く曲げた膝を伸ばすより簡単だからです

実のところは全く脚を伸ばしきるというのは無理な話で、本当は体重による衝撃で脚は僅かに曲がってしまうものなのですが、
最初から曲げておいてではなく、気持ちとしては、脚は伸ばしたままにして、その伸ばしたままの脚の上に乗り込んでしまうって感じです。

いいかえれば実際はそれをもしビデオに撮ってスローモーションで見てみたら膝は少し曲がっているのですが
走っているときの感覚としては膝はずっと伸びたままで、その上に上半身を乗せる感じ方が良いようです。
そのためにはお尻の上の方の筋肉を意識して、お尻を引き上げ、脚を後方に位置させるイメージが有効です。

ベルトの位置を高く保つ
しかし、いつもお尻の上の方の筋肉を意識するとは言っても、一種類の筋肉(この場合では中臀筋ですが)を単独で意識するというのは、走っているときのように体が高速で前へ移動しているとき(言い換えれば着地のショックまで勘案しなければいけないような体への負担が大きいとき)は難しいのです。

それで、ベルトを意識して、ベルトの位置を高く保ちましょう。
ベルトの位置を意識して、ベルトを可能である限り一番高い位置に保つ努力を行いながら走るのです。
今ベルトがどこにあるかだけを意識して、通常のんべんだらりと意識しているベルトの位置を基準にすると、その位置を3cm上げる努力をしながら走って見ましょう。

そうすると、実際は3cmも上がらないとしても2cmは上がります。2cm上がっただけで、今まで9階だったのが10階の高さにベルトの位置が上がります。
今まで9階だったのが10階から落ちる感じになるわけですから、どういうことが起こるのでしょう。
(9階と表現したのは膝がほんの少し曲がってしまって9階の高さになっていると理解してください。また10階と表現したのは膝が全く曲がっていず、10階の高さになっていると理解してください。))

9階ではその時点ですでに膝が曲がっていますから、曲がっている膝の上に上半身の重さが全部かかると・・・
お分かりでしょう。
膝が耐えられず、9階から8階、7階、6階とベルトの位置が落ちてしまいます。
(落ちる量は3階分にもなります。えらく落差が出来てしまいます、大きく落ちるわけですからまた持ち上げるのも大きく持ち上げなければならなくなります。)

しかし、10階まで上がってしまっていると膝は曲がっていませんから、真っ直ぐな物の上にはたとえ上半身の重さが全部かかったとしても、もともと真っ直ぐなんですから、繰り返しますが真っ直ぐの物の上に物が落ちたと同じですから、真っ直ぐは真っ直ぐのままです。
ということは、いくら膝が弱くても、10階から9階に落ちるぐらいで済みます。
初期のベルトの位置が9回から10階に上がっただけですが、10階から落ちるのなら落ちる量はたったの(10引く9の)1階分ですから、ちょっとだけ落ちるかたちになります。

ちょっとだけ落ちる場合はまた持ち上げるのもちょっとだけで済みます。
このようにベルトの位置を高く保っている場合の上半身の上下動は初期のベルトの位置が9階の位置だったとき((9引く6の)3階分)にくらべ3分1の1階分で済むのです。

これが、いいかえれば、ベルトの位置を高く保つことに専念することが、上下動の少ない無駄のない走りのコツです。

補足ですが、立つ時には(背骨のS字がきちんと出来た姿勢:補足:胸郭と骨盤を引き離すの図4の様に)骨盤を下げるイメージで良いのですけれども、走っている時には、衝撃が下から加わってくる関係上必要以上に膝が曲がってしまう結果になりがちですので、下からの衝撃と対抗する意味で、ベルトの位置を上げるイメージはきちんと保ったまま、ベルトを上げながら骨盤を下げて胸郭と骨盤を引き離さなければなりませんが、あまり難しく考えると混乱するので、簡単なイメージとしてはベルトを上げる量を5とすると胸郭を上げる量は10にする感じで、胸郭をベルトを上げた分量より、さらに大きく上げ、全身の重心を上げる感じで、骨盤を上げた分量と胸郭を上げた分量の差分により胸郭と骨盤を引き離すようなイメージにする必要があります。


補足その1:前に出した脚を竹のように使う。
9階から落ちるより10階から落ちた方が良いという意味は膝へのストレスが少なくなるからということは言えます。

しかし、それでは腰を高く保とうと膝をガチガチに伸ばし、前に出した脚を木の棒のように突っ張らせておいた方が良いのでしょうか?
もしくは着地の瞬間に大腿四頭筋に意識的にグッと力を入れて着地の衝撃に負けないようにしなければいけないのでしょうか?

これは別の意味で最悪です。
それでは前に出した脚にズドンとショックがきて足首とかメチャメチャつらいです。
だからこそ膝は柔らかく使うのです。
これを膝抜きといいます。

ひとことで言ってしまえば膝を柔らかく使うに過ぎないのですが、「そんなこと言われてもワカンナイ」人のために・・・
変な表現を使いますが、前に出した脚はちょうど竹の竿のようにしならせるのです。
かかとの接地時には脚はほぼ伸びている状態で良いのですが、
そのまま膝の力を抜いておいて、かかとの接地をきっかけに力が抜かれた膝を一瞬カックンさせるイメージで重力に逆らわずにちょっとだけ曲げるのです。
(というより受動的にしならせる・落とさせると言った方が正確ですが・・・)

するとなぜか膝は絶対に反射的に伸びようとしますから、その伸ばす力と上半身が落ちる力を釣り合わせることによって、”やわらかく”腰を高い位置に保つのです。
(試しに姿勢を正しく作った直立状態から”膝カックン”をやるように膝の力を一瞬抜いてみてください。なぜかはわかりませんが反射的に直後膝は伸びます。でもピーンまでは戻らないでしょ。その感じです。)

意識的に「ここで膝を曲げて」「ここで膝を伸ばして」とやってもうまくいきません。
「ありゃ、膝の力を抜いたら抜いた直後に無意識的に腰が上がってきて脚にフワフワ感が出てる!」ぐらいのリラックスがコツです。

だから、脚で頑張って「垂直方向的にこれ以上ないくらいに腰が上がってるぅ」って感じより、「水平方向的に腰先行で走ってるって感じだけど脚はしなっててちょっと頼りないなぁ」って感じの方が良いのです。

ここで誤解してもらっては困るのですが、膝を深く曲げて衝撃を受け止めようという行為を”意識的”にするわけではありません。
あくまでフワッと膝の力を抜いて衝撃のしょっぱなを軽くするだけです。

だから脚がしなりやすいように足を着くときに脚を180°のまっすぐではなく179°くらいにちょっとあらかじめ曲げておこうなどとは決して思わないでください。あくまで足を着くときの角度はまっすぐ(180°)で、これは重要なことですが脚全体をリラックスさせておくのです。(リラックスがもっとも大事)
気持ちとしては180°でリラックスです。
そうすると、脚が180°のまっすぐな状態で足を着いても、脚がリラックスしていることにより当然足もリラックスしているので接地までは足は完全にリラックス 3.踵の外側からの着地による横方向のローリングで書いているように足は外側からの接地になり、自然な横方向のローリングも加わってガツンとした衝撃をともなってではなくフワッと地面に乗ることができるのです。

とはいっても、主に衝撃を受け止めるのは背骨です。脚ではありません。だから首の骨からつながった背骨が腰の上にどっしり乗っているという腰先行(腰高)の姿勢はその前にキチンと作っておかなければ衝撃を背骨で受け止めることができません。意識的に脚を「曲げて」「伸ばして」をしないように注意してください。

また、意識的に脚をしならせようとしてはいけません。
一番まずいのは意識的に脚をしならせようとして、もっとずっと大切なベルトの位置を高く保つことを忘れてしまうことです。するとひざが深く曲がり、ベルトの位置が下がってしまいどうしようもありません。
(踵の接地後に膝が曲がってから伸びるのは膝蓋腱反射と同じようにまったくの脊髄反射です。だから、意識の介在する余地はありません。)
心配しないで脊髄の反射中枢に任せてひざのことは忘れ、足はリラックス(カックンするほど)だけを心がけ、ベルトの位置を高く保つことを忘れないようにしてください。

うまくいくと、まったく上下動をなくすのは理論上無理ですが理にかなった上下動というので進んでいくことができます。
いかにも上に跳んでいるという感じの”ガツン─ピョーン”じゃなくて、”シュタッ─フワッ”と体が浮く感じがします。
背骨までを含めた反射機構によってからだがフワッと浮いて、シュタッと柔らかく着地し、またフワッと浮くの繰り返しで前に進んでいくような感じです。

くりかえしますが、膝を柔らかく使うのは、ベルトの位置を高く保った上でです。

その上で、脚をしならせるメリットとしては、踵の接地後すぐに足がしなり始めるため、(脚をしならせないと上に飛び上がる力が生じますが)脚をしならせると飛び上がることなく腰の位置の移動は地面と平行移動に近くなります。そして直後足が胴体の真下にきたときに一番脚が大きくしなり、足が胴体の真下を通り過ぎた直後に脊髄反射により膝が伸びようとするため下に押さえつける力が生じます。

そのため下に押さえつける力は胴体の真下より少し後ろで真下に押さえつける力が生じます。そのためその胴体との位置のずれによる傾きのため合力としてまったく真下への力とはならず、すこし後ろへ傾いた形の真下への力となるのです。

その結果前へ胴体を押し出す力が生じます。(ここでも真下に押さえつける力と胴体が落ちようとする力が釣り合うため腰の位置の移動は地面と平行移動に近くなります。)そのため意識的に後ろに蹴ることをしなくとも結果として(腰の上下動が少ない状態で)走ることが出来るのです。

補足その2:腕振りによって腰を入れる
(胸が開いた状態で腕を振っていることが前提です。参照:背骨のS字がきちんと出来た姿勢を作る 2.胸を開く)

胴体の動きに引っ張られる形で腕を振るという項目では腕の振りは意識しないことを強調しましたが、
腕振りの一番後ろにいったところのトップ(ヒジ鉄)のタイミングのみは例外です。そのタイミングではお尻の上の方の中臀筋の部分を意識しましょう。
腕を引いて引き切って、一番上に肘の頭があがったタイミングで

左を引き切った時には右の中臀筋の部分をクッと前に押し込み、
右を引き切った時には左の中臀筋の部分をクッと前に押し込むのです。
(肘を引き切った時に腕と背中と逆側の足で図5でで示したようなの字に似た形を作るイメージで逆側の中臀筋の部分を押し込む。)

走る時に良くないのは、腰の部分が下半身に乗り遅れてしまうことですが、乗り遅れるか乗り遅れないかというギリギリのタイミングで中臀筋の部分をクッと押し込めば腰の乗り遅れを避けられますから上半身(背骨)のS字が崩れません。

キモは膝の力を抜いて、ふわっと接地してすぐ上半身を下半身にグイッと乗り込ませていく感じなのですが、
中臀筋の部分をクッと押し込むのは、それによって背中を一瞬弓なりに反らせ、この背中の反りがあるおかげで仙骨部分が前に送り出され、(仙骨部分が前に送り出されるため、拇趾球の鉛直上方に乗った膝関節の鉛直上方に股関節が乗ります。結果として、上半身が足の真上に乗ったまま重心移動が出来るのです。最後のとどめとして乗り込み切らせるイメージです。
(肘を引いた側の肩甲骨の下からの肘を引いた側の反対側の中臀筋にかけての対角線のラインを意識することが有効です。)

背骨のS字がきちんと出来た姿勢を作る 6.姿勢を維持するのは背中でという項目では、「立つときに背中に意識を行かせてください」と書きましたが、動きの中での形として、走る時に左肩甲骨と右中臀筋をつないだ線と右肩甲骨と左中臀筋をつないだ線があるようにイメージしましょう。
(実はこの中臀筋の部分の押し込みが逆側に伝わって、肘を引いた側の腰骨がグイッと前に押し出されるのです。)

言い換えれば、肘の引き上げ(肩甲骨の引き寄せ)によって、中臀筋の部分の押し込みが起こり、その押し込みによって脚が前に出るのです。

しかし、意識が継続しやすいという意味では、立つ時と同じで、後側(肩甲骨と中臀筋)を意識してください
肘を引くことによって、背中に押されて上半身が下半身に「乗った」、「乗り込み切った」、「すぐ次の一歩へ」という一連の流れがよどみなく流れる感じがすればOKです。
(うまくいくと「おぉっ、背骨がずっと真っ直ぐのままだよ。」って感じになります。)

図5 お尻を引き上げて脚を伸ばし気味(ビデオに撮ればこんなに真っ直ぐではないがイメージとしては正解。)
   なおかつ赤で示したところにあるベルトの位置を高くするように努力し続ける。

←矢印で示したような余計な力が必要になります
図6 お尻を引き上げないで脚を曲げ気味(「ボクサーがボディを打たれてウッ」というような姿勢では、疲労が大腿四頭筋に蓄積される)

ためしに走っているときに徐々に膝を曲げ気味にしていってみてください、曲げれば曲げるほどつらくなります。

地面との取っ掛かりの接触(接地)の時には脛と大腿骨がほぼ一直線上(180度に近いが180度ではなくもうちょっと少ない角度でほんの少し曲げ気味)になるように伸ばしておきましょう。

でもガチガチに脚を緊張させてピーンと伸ばしてはダメです。脚をリラックスさせて「まあ厳密に一直線上でなくても良いや」ぐらいの気持ちでゆったりと伸ばすんです。
このときのコツとしては、姿勢のページの補足3の補足:環椎を押し上げるのと同時に環椎から環椎以下をぶら下げるで示した二つの図の中の横から見た図のように足首をリラックスさせて、つま先が踵より低い形で足首に足がぶら下がった状態を保ったまま、つま先から接地に行くつもりで接地に向かうのがコツです。そうしてもつま先が最初に地面に着くようなことはなく、実際は脛の前側の筋肉(前脛骨筋)が反射的に働いて接地直前には僅かにつま先が上がった状態になって実際は接地します。この少しつま先が上がった状態はほとんど地面と平行といってよいくらいの本当にわずかなつま先の上がり具合ですので。感覚としてはシューズのソールが全面ほぼ同時に地面と平行に接地したような感覚がします。踵から足がぶら下がっている状態では足の重心が後ろに行きますからバランスをとるためにひざもほんの僅か曲がり、そのあとくる接地の衝撃をうまくいなすことが出来る素地がととのうので、股関節からつま先まで十分にリラックスさせて接地に向かってください。

くりかえしますが、接地のときに脚が伸び気味でいると、(厳密に言えば)そのあと重力負荷に耐えられずに竹がしなるように少し膝が曲がるのは避けられないのですが、全体として経過の中での膝の曲がり(腰=重心の低下)が小さくてすみます。
そのように腰の高い状態を維持していれば、腰は沈み込んでいませんから、大腿骨の上の筋肉(大体四頭筋)を先に挙げた竹の反発のように反射的にほんのわずか使うだけで腰の位置を維持することが出来ます。その流れで楽に大体四頭筋の少ない力で大腿骨に乗り込むことが出来るのです。

補足その3:脚をしならせすぎることの弊害
「補足その1:前に出した脚を竹のように使う。」では、脚については受動的にしならせることのみ言及しましたが、かといって”全く受動的”では脚がしなりすぎてしまいます。一瞬カックンさせるというのは本当に一瞬だけ地面の近づきの力に負けて膝が曲がるということで、負けきってしまって膝が深く曲がってしまうことは(ももの筋肉の急激な疲労による筋肉痛を避けるためにも)避けなければなりません。
時系列的には
1.地面とシューズのソールとの距離が近づく
2.地面とシューズのソールの踵部分が接触
3.地面にシューズのソールが全部乗る
4.地面からシューズのつま先が離れ切る
この1.2.3.の1.(ソールが接近)の段階で地面に踵が接触する直前までに、リラックスしたまま「後どのくらいで地面に着くぞ」と予測しておきます。
そして、2.(踵が接地)の段階で体全体でこれから一直線を作るつもりで姿勢を制御していきます。
そして、3.(最大加重)の段階ではただ地面からの衝撃に漫然と負けてしまうのではなく、ちょうどキャッチャーがボールをキャッチするように地面を足でキャッチするようにタイミングを合わせて足の緊張をほんの一瞬増大させ、4.(つま先が離れる)の段階ではリラックスにすぐに戻します。
(緊張度が上がるのはちょうど音楽でスタッカートといって一瞬だけピアノの鍵盤をポンと打つように3.の一瞬だけです。これにより、無駄に体が落ちることなく、遠くで地面を押している感じがすればOKです。)

脚を伸ばすというか前に出す位置というかどのくらの角度で足を前に出していくかですが、足を自分でがんばって前に出そう出そうとするといきおい前過ぎるところへ足をついてしまい、踵ゴン着地でブレーキになってしまいがちです。
そのためにちょっとしたコツですが、足をブレーキにしないためには、足先を意識するのではなく、足の付け根、内転筋を意識してみてください。(参照:足をまっすぐ前へ向ける)
上半身全体が水タンク、内転筋が上半身の下につながっているホースだとイメージしてみるのです。
それで、上半身を内転筋を通して下半身に流れ込ませるようなつもりで、(滝が落ちるとしたらこの方向だなという)自然な位置というか方向へ足を出すのです。
そうすると、重心の落ちる方向と足(脚)の出される方向が合致します。そして体の移動速度と合致した速度で脚を後方に戻している過程の中で接地しさせす。
重心の落ちる方向と脚が合致しているため重心が落ちきった最大荷重時には脚が胴体の直下に来るようになり、もう(意識しないでも)やってることは”後方への蹴り”です。

大腿骨に乗って走ることを、もう少し詳しくしてみると7つの区切りに分けられます。


図7 乗り込んでの乗せ切り・乗せきったものを重心が流れるとおりに前にぶちまけるように離地
※本来は脛は踵につながっているのですが走るときは最大荷重時には拇趾球と小趾球を結ぶ肉球に体重がかかるので胴体の重心が拇趾球と小趾球を結ぶ肉球に落ちているような図にしています。
(太線で示したところ(おなか)を太線で示したところ(ももの前面)の真上に落とすイメージ)
内転筋を意識して内転筋のホースを通して上半身の重さ全部を拇趾球をターゲットにして流れ込ませるイメージでやるとうまくいきます。そして積み木のように積んだものを前にぶちまけるように放り出し形で体全体の重心を前に投げ出します

@足を地面に乗せる
A脛を足に乗せる
B大腿骨を脛に乗せる
C片脚付け根を先に大腿骨に乗り込ませる
(補足その3:片脚の付け根を先に大腿骨に乗り込ませることについて参照)
Dおなかの面をグッと突き出して(骨盤の重さを意識して上半身の一番下に位置する骨盤を下半身の上にまず乗っける感じで)上半身を脚に完全に乗せ切る。
上半身を積むという段階で重要なのが上半身のどこを最初に積むかを考えることですが、
走っているときには余裕がありません。
そのためおなかの面と腿の面との関係を意識すれば十分です。
おなかの面をグッと突き出し、腿の面の真上にストンと落とすイメージです。
おなかの面を先行させて、ももの面の真上にストンと落とすとイメージすることによって、姿勢の崩れ(背骨がS字状から離れること)を防止するのです。
ちょうど弓のようにおなかの面を先に持って行って大たい骨の付け根が先に前に出て行って、Eその後上半身全体が脚の上に乗ってるイメージでこれを乗り込みと表現します。

乗り込むことによって着地がやわらかくなります。

着地がやわらかく出来ているかどうかは着地音ぐらいでしかわかりませんが、
うまく乗り込めていると、着地音が”パン”もしくは”バン”的なものから"スパッ"もしくは”スコッ”的なものに変わってきます。
足裏の感覚も一気に衝撃が来る感覚から、なんか微妙に分散しているのかなって感じがしてくるのがわかります。

(上半身が完全に大腿骨に乗り込み足が上半身の真下に来たタイミングで踏みつけの力は最大になりますので、あくまでイメージとしては真下で踏んでいるというイメージになります。)

またくりかえしですが、真上からちょっとだけ落ちると表現したのは、高く飛ばないということです。
いくら真っ直ぐ着地しても、その前に高く飛び上がっていては高い高さから落ちてくる体を受け止めなければなりませんから着地の瞬間に足裏に掛かる荷重は過大になります。
Fそこで、着地のあと、上へ飛ぶのではなく、そのまま重心が流れるとおりにまかせるようにしましょう。
また、前へ飛ぼうと力むのも間違いです、前へ飛ぼうと考えすぎると無理に脚で後ろへ蹴るようになってしまい、それでは毎回蹴るので足が疲れます。 着地まで来た勢いを、上へ飛ぶ力にしないで、なるべく上方向へは力を使わないように気をつけるのです。
決して前へ勢いよく飛ぼうとしないで、上へは使わないと心がければ十分です。


補足その4:片足の付け根を大腿骨に乗り込ませることについて
片脚の付け根を先に大腿骨に乗り込ませるという点ですが、説明が難しいので絵を使って説明します。

単純に言ってしまえば骨盤で脚を動かすということになります。
背骨の軸と、大腿骨と骨盤が繋がっている関節との関係として骨盤を背骨を軸に動かして大腿骨と骨盤が繋がっているところを意識的に前後に動かす感じが出ていればOKです。

この背骨を軸にして骨盤を動かすということが片足の付け根を先に大腿骨に乗り込ませるということについて重要なポイントとなります。

この場合骨盤を上から見ている骨盤として意識することが肝要です。

骨盤を上から見たものとしてイメージして非常に単純化すると下図のようになります。

左脚の付け根        右脚の付け根
←下の頂点は背骨の軸
図1 骨盤を上から見たイメージ

(青が右の大腿骨の付け根の関節が前に出たところで黄色が左の大腿骨の付け根の関節が前に出たところです。下の頂点が背骨です。)

骨盤をこのような三角形とイメージして骨盤と脚が繋がっているところを左右交互にグッと前に出すことを意識的に行うと、脚だけで走るという感じにはなりません。
極論すれば骨盤で走るつもりになると脚はあとから骨盤と大腿骨の付け根の関節の動きについてきて勝手に前に出ます。


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