胴体の動きに引っ張られる形で腕を振る

結論から言うと腕の振りはあまり意識しないほうがいいです。

下半身(特に骨盤)から始まった胴体の振りというか動きがうまくいっていれば(胸を開いた状態という条件はつきますが)腕は必ず理にかなった理想的な振り方で振られるように人間のからだというものはなっているのです。
腕をうまく振ろうと意識すればするほどその大切な胴体の動きというか振りがうまくいかなくなり、結果的に腕の振りも楽ちんそうでないものになってしまいます。影響を与える→影響を受けるの順番はあくまで胴体→腕であって腕→胴体ではないのです。

ただ、骨盤をポイントとした胴体の動きがうまくいっているかは腕振り、それも特に肩甲骨の動きでわかりますから、肩甲骨が動いているかだけはチェックしましょう。
(肩先とかを意識すると動きが硬くなります。)

とにかく肩まわりはリラックスすることです。
しかし胴体である骨盤の動きは腕の振りというか使い方をリードし、またそれがめぐりめぐって腕の振りは上半身の正中線の下の方から腰骨・大腿骨にかけての使い方をリードするということは本当です。
┌骨盤の動き→背中を伝わる→肩甲骨の動き→背中を伝わる┐
└←───────────────────────←┘

腰の振り(骨盤の動かし)がうまくいくと肩甲骨が動きますので、まずは骨盤まわりの動きに影響されて肩甲骨が動いているかどうかをチェックして、動いていれば骨盤まわりの動きはおおむねOKというように言えます。

肩関節のロックを外す
実は腕と胴体をつなぐところの肩関節にはロック機構に似たようなものがあるとふんでいます。(参照:胸を開く )
実際、胸が開いていると肩関節のロックが外れます。ロックが外れるとは、胴体部分のツイストにしたがって腕がゆれるように動きやすい状態が出来上がるということです。(この時、肩先は下がり、肘頭の向く方向はほぼ真後ろに向いているはずです。)
説明しづらいので下に図で書くと

上が胸が充分に開いていない状態を示し、下が胸が充分に開いている状態だと思ってください。
肩の前を触ってみるとグリグリがありますが、そのすぐ内側の場所あたりに凸部と凹部がかみ合うロックがあると想像してみてください。
胸が開いていない状態とは凸と凹がかみ合っているようなもので、胸が開いている状態とは凸と凹のかみ合いが外れているということを表現していると思ってください。実際に充分に胸が開いた状態を作って走ると、特に腕を振ろうとしなくても、スピードの遅いときは小さな振幅で、スピードが上がるとそれに応じて大きな振幅で腕が”勝手に振れてしまう”という現象が生じます。
実際走っている最中に胸を開いてみてください。充分に胸が開いていない(肩の前のグリグリの内側の腱にテンションがかかっていない)時には自分から頑張って腕を振ろうとしても抵抗があって小さい腕振りにしかならないのに、徐々に胸を開いていくと肩の前のグリグリの内側の腱にちょっとだけテンションがかかったような気がしたポイントあたりから、「アッ、ロックが外れたな」ってことが実際に走っているとわかり、急に腕が真後ろ方向に肘鉄をするように楽に振れる(というか振れてしまう)ようになりますので、試してみてください。

くりかえしますが、胸が開いていないと、骨盤がいくら動いていても肩甲骨は動きません。胸が開いていると、わきの下の作る角度が平行(││)ですから勝手に腕は真後ろにヒジ鉄をするように動かざるを得ないのです。
しかし、胸が開いていないと、そのときのわきの下の作る角度は平行(││)ではなく中途半端なハの字(/ \)ですから、ハの字の腕振りにしかならず、肘のトップが真後ろではなく、横に振られて、エネルギーをロスしてしまうということもあります。
(みぞおちの前あたりに肋骨の幅より少し小さめの四角い箱が宙に浮いているとして、その箱の内部にまでは手が入り込まないようにするイメージです。)


1.骨盤がうまく動いているせいでの肩甲骨のトップが動いての腕振りが出来ているかのチェックポイント
(肩甲骨の突き出たところが上下に揺れているか。また揺れていることが分かるくらいの強さで後ろに腕が引かれているか)
2.前に振ったとき肘が体の側面よりも前に来ないか
(手が視野の下方に少し見える程度)
3.後ろに振ったときに肘が上斜め真後ろの方向に向けてヒジ鉄をする時のように高く上っていくか
4.腕の振りの軌跡が進行方向と平行に近いか
(前に振った手が体の内側に大きく入らない(しかし、全くの平行は無理がかかります。本当はあまり前への振りは大きくならないのが良いのですが、振りを大きくしたと仮定した場合、ちょうど頭の上にウルトラセブンのような髪飾りがあると仮定して振りを大きくすると頭の上の髪飾りに触れ、その髪飾りあたりの正中線から分かれるようにほんの少しハの字になるのは問題ないです。))
5.肩は首を中心に少し回るがあまり大きくは前後には揺れないか


図1 腕の振りのイメージ
またこれは重要なことですが、いかり肩を作ってはダメです。肩はリラックスです。

繰り返しますが、腕の振りをリードするのは下半身の動きです。「骨盤が動いて片脚の付け根が先に大腿骨に乗り込んでいっているか」が腕の振りをチェックすることで分かります。

逆に腕で骨盤を動かそうとしてしまうと、腕をことさら意識して振ることになってしまいます。
それでは肩まわりに余計な力が入り、それが骨盤の理想的な動きをさまたげてしまいます。

とにかくリラックスすることが一番大切です。腕を強く振ろうとしないでいると、肩まわりから腕にかけてが理想的にリラックスして、腕が胴体の動きにつき従ってくるので、とにかくリラックスすることが一番大切です。

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