着地したら靴底の反発を使って浮く

一番のポイント

後ろに蹴ることを意識しない。

1.着地したあとの重心移動を素早く


2.着地したあとの蹴りに力を使わないようにする


単純に言えば上記2つに過ぎないんですが、補足です。
真上からちょっとだけ落ちるかたちで真っ直ぐ着地の中でまっすぐに体をすることについては言及してあるのですが、
一番ヒントになるのは、陸上それも走高跳をやったことのある人にしかわからないと思いますが起こし回転の水平版のイメージです。
なんか、走高跳で高く跳べる理屈は脚の力で上へ跳んでいると思っていたのですが違うようなのです。

踏み切りのときに体を一直線にして、体を反発させているらしいのです。

図で書くと

図1 起こし回転

起こし回転とは、上の図のように棒を斜めに地面に投げつけると水平方向のエネルギーが垂直方向の力に変換されて棒が回転しながら跳ね上がる現象ですが、その地面に突き当たった最初の局面で起こっている現象を誇張して書くと、一直線だった棒が一度棒高跳の棒のように後ろにたわんでたわんだのが戻る力で前に振り戻されるような現象が起こり、その振り戻しの力が斜め上方向になっているために上に跳ね上がるのです。

図2 体を鉛直に一直線にしての走高跳の踏み切りの時のような使い方(時系列的には■の順です。)

走高跳の場合は上のように体を斜めの状態で一直線にしています。

ためしにゆっくり走っている途中でスピードを殺さずに、走高跳の真似をするつもりで体を斜めに一直線にして前に出した足を地面に突き当てて見てください。
地面に突き当てた直後に腰から斜め上へ”持っていかれるぅ〜っ”って感じで体が浮くような感じがします。

ランニングの場合には、前に出した足からの全体を鉛直に一直線の棒のようにして真上からリラックス状態で"ポン"と地面に乗るのです。
そうするとまったく走高跳と同じメカニズムで、地面に乗った直後に同じように反発力が発生します。
しかし、突き当たった体の角度が走高跳の時の斜めではなくこんどは鉛直なため、上方向と前方向の反発の成分比はほとんどが前方向への力となり、前へ”飛ばされるぅ〜っ”ってかたちになります。
(入射角と射出角が同じ感じといえばよいでしょうか。ちょうど水切り遊びで石が水面を弾んで行く感じに近いです。)

ということで、地面をグッと蹴ったりしないで、まっすぐになった体をポンと置く(落とす?)だけで、次には体全体が反発でフワッと浮きます。(注1参照)

このためにも背骨のS字がきちんと出来た姿勢イコールまっすぐになった体を作ることがとっても大切です。

言い換えれば姿勢を完璧に作ってしまえば、その姿勢のままで着地してしまえば、蹴るとか後ろへ脚を捌くとか全然しなくても、着地すれば反発するんですから勝手に前へフワッと跳ぶことが出来、フワッと跳んだ後、真上から鉛直のイメージで柔らかく着地すればまた反発でフワッと跳ぶの繰り返しで前に進む(走る)ことができるのです。

速度維持に必要な力はを胴体、特に楽ちんに見えるウォーキングフォームとはどんなフォームかでちょっと説明した背中のツイストによって得ていることに結果的になるのですが、あまり脚を使っているという意識はしないようにしてください。

それよりも、もろもろのストップ力を外していってほとんどストップ力がなくなってきたんで、速度維持できているって感じです。
ストップ力の低減に一番効くのはまっすぐになった姿勢ですから、蹴るためになにかを使うという意識よりまずはまっすぐになった姿勢を作らなければどうしようもありません。

だから背中は「まっすぐだな」をチェックすることが一番で、動き的なことに関しては「微妙にツイストになっているな」と感じられればもうそれぐらいで十分OKです。

補足:背中のツイストに関して
背中のツイストについてちょっと補足しますと、端的に言えばみぞおちの真裏辺りで背中がツイストしているのを感じていればすべてOKです。(背中がまっ平らの板のようにまっすぐにしてください。まっすぐになっていなければツイストを感じることさえできません。)
もうちょっと詳しく言うと背中に四角のプラスチック板のようなしなりやすい板が貼り付いているように思って(背中の四角の板の下辺は中臀筋に近いですから)背中の板の下辺の動きを源流にして中臀筋部分を動かし、中臀筋部分の動きを源流にして骨盤を動かし、骨盤の動き(これは元をたどれば背中の板の下辺の動き)を源流にして脚を動かすということです。
上は(背中の四角の板の上辺は肩甲骨に近いですから)背中の板の上辺の動きを源流にして肩甲骨を動かし、肩甲骨の動き(これは元をたどれば背中の板の上辺の動き)を源流にして腕を振るということです。背中の板のツイストですから腕と足は逆位相で”結果的に受動的に”動かされることになります。イメージが分かりにくいので図で書くと、下の図ですが、背中で腕や脚をコントロールするのです。ですから、背中のツイスト的な動きだけを意識していれば勝手に動きが伝播して腕や脚は動いてしまいます。だから結論として、腕や脚はどう動かそうなんてことは忘れてしまっても良いのです。

図3 背中のツイストを源流に肩甲骨・腕を動かし、背中のツイストを源流に骨盤・脚を動かす(線の太いのが手前側、赤で示したところが背中の面のこちらから見える所のつもりです)
※この図は非常に誇張して書いています。実際は本当にかすかな(はがき大の大きさのストローク1ミリ程度の)ツイストから始まるので、この図のようにツイストがハッキリ分かるほどツイストしては本当はツイストのし過ぎですのでご注意を。

この背中の使い方と体を一直線にすることがうまくできていれば、自然に脚はリラックスしたまま背中のツイストを動きの源流(いわばムチの取っ手)として(ムチの取っ手によって振らされるムチの先のように)受動的に動かされるかたちになり、脚をことさらに前に出している感じがほとんどしなくなります。
逆に、脚、(脚の筋肉を使って頑張って前後前後って感じでは)出そうとしてないんだけど勝手に前に”出てきちゃうんだけど・・・”という感じになります。

この脚の”出てきちゃうんだけど感”が出てきたらしめたものです。そうすると楽ちんに見えるランニングフォームは完成です。

補足の補足:なぜ姿勢が一直線でなければならないのか
なぜ姿勢が一直線でなければならないのかですが、姿勢が一直線であれば上下方向の力を受けても何の問題も無いのですが、もし姿勢が一直線でなければ、下から地面の反力(これも上下方向の力)を受けただけで潰れ(折れ)てしまいます。
最大荷重は真上から乗った時なのですが、その時点ですでに潰れ(折れ)るので、最大反発は真上から乗った直後に来るはずなのですが、その反発の力が(潰れ(折れ)てしまって)出てきません。

図4 軸が折れていると潰れ(折れ)る

しかし姿勢が真っ直ぐになっていると、ちょうど遊具のホッピングの様に潰れ(折れ)ずに真っ直ぐなまま姿勢の軸の延長線上に反発が生じるのです。
(遊具のホッピングは軸の中にスプリングが入っているのですが、背骨も同じように椎骨と椎骨の間に消しゴムのような弾性体の椎間板があるので同じようにスプリングが入っているようなものですから、ホッピングと同じように(真っ直ぐ縦に詰まれていればという前提はありますが)反発力を潜在的に持っています。)


図5 軸がまっすぐだと潰れ(折れ)ないで軸の延長線方向に反発が生じる

(背骨のS字がきちんと出来た姿勢の補足:もっと簡単にチェックしたい場合でも少し述べましたが、頭のてっぺんから前に出した足の裏まで一直線に抜けるなにものかを作るイメージです。
(実はその一直線はほんのちょっとだけ前に傾いていると都合が良いのですが、上半身だけ傾けてもダメです。あくまで上半身と脚とのトータルを貫く軸がわずかに傾くようにするのです。パッと見、直立と見分けがつかないぐらいです。けっこう速く走っているときでも見た目は直立とほとんど見分けが付かないぐらいです。明らかに傾いているように見えるのはゆっくり走っている状態から急に一気に速度を上げるときの加速の最初の一瞬ぐらいだけです。)


うまくいっている時には足裏の感覚として拇指球(これはホッピングの石突にあたります)が(ちょっとだけ前に傾いていると)上半身の真下をほんのちょっと通り過ぎたタイミングで拇指球に一番圧力がかかる感じがします。

この上半身の重心と拇指球との水平方向のずれが結果的に後ろに蹴る力になり、一直線による反発が上への浮く力になり、その二つのベクトルの合成の力が斜め前になるため、フワッと前へ浮くことができるのです。

(注1) よく「上下動の少ない走りが理想の走り」などとの説を聞きますが、ここでいう”フワッと浮く”というのは反発によって体が自然に地面から浮くことを意味しますので、それほど大きな激しい不自然な上下動にはならないものです。あってもよいものなので、あまり「この上下動はいけないのでは」などと心配しないでください。あまりにもまじめに考えて無理にこのようなあってもよい上下動までもなくそうとすると、楽ちんそうな感じがなくなってしまうのでご注意を。

しかし、無駄な上下動とそうでない上下動はどのように見分けたらよいのでしょうか?
簡単に言ってしまえば、無駄な上下動とは、上方向への力が強すぎて、前方向の跳躍になっていないようなもので、そうでない上下動とは、上方向への力と前方向の力の比率が最適であるようなものということが言えます。(図は最適なものとして提示してあるつもりです)

補足の補足の補足:低く跳ぶかつ前へ跳ぶために一直線の地面とのなす角度を制御する
着地衝撃は簡単に言ってしまえば着地する前の最高位置エネルギーが大きければ大きいほど大きくなります。言い換えれば高く跳んでしまえばしまうほどガツンという衝撃が着地のたびに足にかかります。
この着地衝撃は小さければ小さいほどよいので、(全く上に跳ばないでいては前に移動できませんのであってもよい上下動はそれはあってもよいのですが)前へ移動出来る最小限の高さで跳ぶようにすれば、この害悪としか言いようのない着地衝撃を少なくすることができます。

しかし、こわごわ走って膝や上半身を曲げて着地衝撃を小さくしようとするのはお勧めできません。

全身を一直線にして体の反発を使ったうえで低く跳ぶには、一本の棒のようにした全身の地面に対して作る角度を変えることによって最適な跳び高さになるように跳び高さをコントロールすることができますので、脚とか膝ではなく、全身の角度によって上下動の量(すなわち跳び高さ)をコントロールするようにしましょう。

一例ですが、一直線の棒のようになった全身が地面と直角になっていれば高く跳ぶようになってしまいます。

図6 体全体で作る一直線が地面とまったく直角なら高い跳躍になってしまう

ここで重要なことですが、上半身だけ傾けてはいけません。
これでは結果的に腰を引いて傾けることになりますので上半身と脚との一直線性が崩れ、体が反発しなくなってしまい、弱々しい走りにしかなりませんし、疲れもひどくなってしまいます。

図7 上半身だけ傾けてしまった場合は弱々しい走りになってしまう

また一例ですが、低く跳ぶためにはすこ〜しこの棒を前にこころもち程度(全体的に)傾ければよいのです。
簡単に言うと、反発の消失を避け、反発を前への力にするために、上半身と下半身はあくまで一直線を形成する状態にしておき、この上半身と下半身で作った一直線を傾ける角度を調整することによって反発による射出角を調整するということです。

傾けが強い                傾けが弱い

図8 上半身と下半身をトータルで一直線にしたまま傾ける(傾ければ傾けるほど低く跳べる)

実際に走ってみると体の前傾が過ぎては上へ跳ぶ成分が全く出てこず、つんのめってしまいますので「前傾しすぎはまずいな」ということがわかります。
逆に体が起き過ぎていては低く!前へ!という感じが弱まってきて、上へ跳んでいるなという感じがしはじめ、着地の衝撃が強くなることがわかります。
イメージとしては水切り遊びの川面を跳ねる石の様に、低く!。前へ!。って感じがするような角度が最適な角度です。
(自分の体を反発で前へ跳ばしていって走っている感じです。)


補足の補足の補足の補足:拇趾球から親指の方向への荷重移動が感じられるか
終わりよければすべてよしで、最後に地面を足が離れるとき、親指の先で離れていることが意識できていればすべてよいのです。が、意識といっても漠然としていますので、荷重のかかっているところで意識するのがオススメです。離地の方向が最適な角度になっているかを簡単にチェックするのには離地の最後の局面で足底における荷重移動の図で濃いグレーで示されている拇趾球の前のキワから親指の球の後ろのキワに向かって荷重が移動するのが感じられるか感じられないかをチェックポイントにしてみてください。前への成分がうまく出せて「低く!。前へ!。」と跳べているときには必ず拇趾球の前のキワから親指の球の後ろのキワへと荷重移動しているのがちゃんと感じられます。さらに最後の最後に親指の先であえて蹴ろうとしてはいなくても自動的に親指の先端で地面から離れているのがわかるはずです。その”離れ”が意識できているときには必ず最適な方向へ跳んでいるのです。最適な方向へ跳ぶことにより無駄な上下動が少なくなり、地面と足裏との衝突のショックを抑えることができます。

図9 オレンジ色の状態に足がなっている最大荷重時の荷重から、離地の直前の赤色の状態になっている時への荷重の移動
    (オレンジから赤色へ荷重が移動しているのが感じられるか)。

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