海外はとてもぢゃないが10作品じゃあふれちゃったもんで、こっちにずるずると書かせて頂きます。
・『ポジオリ教授の事件簿』(T.S.ストリブリング)
決してつまらなかったわけではないし、ミステリー史的には意義深いものなのであろうっていうのもよくわかるんだが、やっぱりストリブリングの目指していたものと、私が“ミステリー”なるものに対して抱く夢や希望や幻想や、とはビミョーに相容れないのだわ、と、しみじみ思・チた次第。興味深かったけど、楽しくはなかった、てとこか。
・『赤ずきんの手には拳銃』(サイモン・ブレット他)
それなりに楽しめた。まぁでも、全然ダメダメでもないかわりに飛び抜けて良くもなかったけども。とりあえず車を手助けしてくれた浮浪者の話が一番良かったかな。ちと『不思議の国の悪意』っぽい。迫り来る怖さの中で冷静かつ必死で突破口を探るあたりが。ラプンツェルもわり・ニいいかも。臓器売買とか児童虐待の話は、何かいかにもアメリカっぽい(とは必ずしも言えない今日この頃のニッポンだが)。...ところで、正統派本格テイストのは意外なことに一つもないのね。お、続刊が出るのかぁ。
・『マーベリー嬢失踪事件』(ロバータ・ロゴウ)
ネタとか時代背景は好きなあたりなのに、読み進むのが異様に捗らなかったのはやっぱり展開がちんたらしてたからであろうて。この展開のちんたらさは主としてドジスン氏の及び腰な姿勢が原因であろう。まぁ最後の種明かしとその前の大詰めはそこそこ読ませたものの。そうは言・チてもドイル夫妻のキャラクターはなかなか魅力的だし、何と言っても愛すべきは「男気」充分なアリシア・マーベリー嬢その人でせう。この娘のためならちとしたことには目をつぶるぜぃ。
・『まやかしの風景画』(ピ−ター・ウォトソン)
まぁ面白かったんだけど、きっと今イチ納得のいかなかった読者も多数いらっしゃることであろうと推測。自分でも、な〜んか言いくるめられてないか〜?みたいなことをちらっと考えないでもなかった。図像解釈の内容にあとほんの少しだけ強〜い説得力が感じられれば、多分完璧・ネ知的エンタテインメントとして素直に感動できたかも。しかし美術史の学生時代にちゃんと読まなかったことが悔やまれる3大本(聖書、ギリシア神話、シェイクスピア)に、今回パノフスキーを加えたくなったのもまぁ事実。 |