タイトル |
著者名 |
投票得点 |
『リモート・コントロール』 |
アンディ・マクナブ著 |
+5点 |
いやはや、これはスバラシく面白かった!フォーサイス的「職人ワザ」が思う存分堪能できたし。フォーサイスをより現代的なタッチかつ一人称にするとどうなるか、という興味深さも味わえる。 |
『幽霊が多すぎる』 |
ポール・ギャリコ著 |
+5点 |
ものすごくカタギかつ絵に描いたような古典的本格ミステリ。様式美〜。しかもよく考えると人が一人も死んでないっつーのもすごい。ヒーロー氏とメグはこの1作で終らせるにはちと勿体ないキャラなので、シリーズ化してほしかったなぁ。 |
『不思議の国の悪意』 |
ルーファス・キング著 |
+4点 |
良かった!何と言っても表題作の緊張感が秀逸。あと「思い出のために」も痛快。一方、「淵の死体」と「黄泉の川の霊薬」のラストはなかなかやるせないというかやりきれないというか。しかしまぁ、いずれも良いデキですわ。期待以上の収穫。 |
『歓喜の島』 |
ドン・ウィンズロウ著 |
+4点 |
いやぁぁ、麗しい。紐育(あえてこう書きたい)ってやっぱステキだわぁ。相変わらずウィンズロウの洒落のめした文章はたまりませぬね。ちょっとクライマックスの追っかけっこはせわしなかったっつーか、そんな次から次へとウォルターに都合のいいことばっか...とか思わないでもないんだが、しかしそれすらウォルターの才能と人徳ゆえか?と思わせてしまう、魅力的な人物造形ではある。あとは人生訓とか就業倫理の色々を、決して押し付けがましくなく学べるのもポイント。ジャズとケネディには何ら思い入れがないので、そっち方面からの楽しみを味わえなかったのが残念と言えば残念ではある。 |
『クロック商会』 |
フリードリヒ・グラウザー著 |
+4点 |
前作『狂気の王国』はどーにもノレないままに終ってしまい、結局は訳者あとがきに言いくるめられたような後味だったもんで、今回もまた種村季弘に丸め込まれて終るんだろーか...とか思いながら読み始めたんだが、おやおや、こっちの方が断然面白かった。何しろシュトゥーダー刑事が圧倒的に生き生きしてる(というよりはこれが本来の姿で、『狂気の王国』で精彩を欠いてたのかしらん)。ちゃんと「凄腕」なことがよく判るもの。物語の展開にも冗長さを感じない。各人物造形がくっきりしてるのは相変わらずだし。松本清張的な「社会派ミステリー」っぽさも感じた。と言っても(恥ずかしながら)松本清張はちゃんと読んだことないんだが、多分こういう感覚なんだろうなぁと、ふとひらめいたのである。ラストもそれなりにすがすがしかった。 |
『ペンギンは知っていた』 |
スチュアート・パーマー著 |
+3点 |
古き良きフーダニットが堪能できた。結構単純な作りだし、ツメも甘めだし、解決の最後の決め手になる手掛りも超ありがちパターンなんだけど(あるいは、だからこそ、か?)、全体的な雰囲気の良さやら、どこかのんびりした感じと相まって、くつろいで楽しめる。何しろウィザーズ先生がステキ。やっぱ往年の「職業婦人」はカッコイイやね。あと、決して事細かな書き込みがなされてるわけじゃないのに、読んでてかなり絵柄/情景が浮かんでくるのがポイント。ペンギンすげーかわいい。 |
『カリブの鎮魂歌』 |
ブリジット・オベール著 |
+1点 |
オベールが(相変わらず)無茶苦茶うまい文章を書くってのは、よ〜く判る。んだが、裏表紙のあらすじで期待に胸ふくらませたハードボイルド好きは多分、後半読んで激怒したんじゃなかろうか。サイコ/シリアルに免疫のある私でも、ちと腑に落ちない感ありだもの。そうは言っても『マーチ博士の四人の息子』に気持ち良くK.O.されて以来、オベールは絶対埋もれさせたくないと思っているので(ま、埋もれてないとは思うけど...)、一応一票投じておきます。 |
『ミネルヴァのふくろうは日暮れて飛び立つ』 |
ジョナサン・ラブ著 |
+2点 |
裏表紙のキーワードにそそられまくって買ったものの『このミス2000』でバカミス3位よばわりされてたから、どんなもんかと思いきや、わりかしまともに面白かった。さすがに学者あがりだけあって端正。しかし費やしたページ数の割には内容(というか読了後の充足感)薄いかも。ある意味、大詰めが『カリブの鎮魂歌』と一緒だし。 |
『ボビーZの気怠く優雅な人生』 |
ドン・ウィンズロウ著 |
+3点 |
すっげー'70年代テイストなのに、ちゃんと'90年代の話なのが何とも不思議な感じではある。凄まじいウヨキョクセツの末に、何ともスカッとしたハッピーエンドなので、なかなか満ち足りた読後感。ちと伏線がもったいない気もしたけど、まぁこんなもんか? |
『グラン・ギニョール』 |
ジョン・ディクスン・カー著 |
+3点 |
やっぱカーは短い方がすっきりして面白いなぁと再認識。尤も『夜歩く』読んだのがだいぶ前だから、解説にあった細かい差異はかなり忘れてるのだが。まぁこれも色々細かい瑕疵、書き込み不足はあるんだけどもね。テンポいいから許せる。 |