沖縄の旅行エッセイ
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沖縄の旅
  
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  沖縄特有の動植物に目を引かれ,地元の人とみれば
すぐ質問する。
 アダンのパイナップルのような実は食べられないの
か。万座毛で散策道の掃除をしていたおばあさんが
「コウモリしか食わない。食べたら舌がびりびりして
ひどいさ。」と教えてくれた。

 1つ教わると,さらに質問したくなる。好奇心が止
まらない。たとえばこのとき頭に浮かんできたのは,

    >>ヤシガニやオカヤドカリが食べると聞いていたがコウモリとは以外だ。
    >>そういえばオオコウモリは植物の蜜や果実を食べるんだった。
    >>びりびりの正体はパイナップルに含まれるタンパク分解酵素と同じも
      のだろうか。

 好奇心が膨らんでご迷惑も省みず,誰彼かまわず,質問攻めにした。
 沖縄の人たちは皆,迷惑顔もせず,面倒な旅人の相手をくれた。

 そうして手に入れたトリビアと感想を紹介する。
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・ゲットウ(サンニン)の葉は餅を包むと良い香りがする。

 >>なるほどやっぱりショウガの仲間だからなぁ。



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・モンパノキの上等な布のような柔らかい葉っぱは
 おなかをこわしたときに食べると良い,特に魚介
 類にあたったときに効く。

   >>海岸にいっぱいあるから漁師さんの知恵
     なんだろうなぁ。

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・陸ヤドカリ(ムラサキオカヤドカリ:天然記念物)が
 入っていた大きな(10cm以上あった)貝殻はアフリカ
 マイマイで,食料として養殖されたのがふえて,寄生
 虫がいるので今は食べる人もなく,野菜を食べてしま
 うし,困りものだ。

   >>寄生虫は何だろう?・・・(広東住血線虫だった。)

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・クワズイモは里芋と似ているが食べると口の中が
 痛くて大変なことになる

   >>シュウ酸カルシウムの結晶が微少な針と
     なって刺さるからだな。

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・ソウシジュ(相思樹)は沖縄県女子師範学校
 (ひめゆり隊の)の校門にその並木があって
 葉の裏と表が同じで区別できないので,お互
 いを思いやるという友情の象徴であった。

   >>良い名だなぁ。






・平和記念公園のある摩文仁の丘の断崖から湧き落ちる水を堰き止めて地下水を
 貯める地下ダムの計画があるそうだ。

      >>やっぱり,島だから水不足が心配なんだなぁ。
       (同じような石灰岩でできた島たとえば宮古島や伊江島では地下ダムは
        すでに実用化されている。)

・戦争を語り継ぐ人が年々減っていく中,発掘(沖縄平和ネットワークの人たち
 は戦争の資料から失われた事実を見つけだすことをこう呼んでいる)もますま
 す難しくなっている。村1つが全滅したところも少なくなく,その場合村人の
 名前すら残っていない。戦火に焼けた場合もあるし,日本軍が去る前に住民の
 戸籍などの書類を処分してしまったからだ。わずかに,米軍が持ち去った文書
 が公開されて「発掘」されることがある。

  >>人と人の絆をずたずたにされた沖縄の人々の心の傷は癒えない。

    >>  ある瞬間に人と,見えない綱(糸より頼りになる感じ)でつ
      ながっていると感じることがある。自分を支えてくれている綱
      であり,私はその編み目の1つであるようなイメージである。
     それが,突然断ち切られたらどうだろう。昭和20年3月10日の
    東京大空襲で九死に一生を得たが,家族,友人を町内ごと失っ
    た父のこと。そして,東日本大震災の津波で町ごと失った人々
    のことを思う。
         
         支えとなる編み目の多くが切れ切れになってしまった沖縄の
        人々の悲しみと心細さはどんなであったろう。「発掘」は取り
        戻しようのない,きれぎれの編み目を1目でも繋ぎたいと思っ
        て続いているのだ。彼らの戦後が終わることはない。

 短期間であったが,沖縄が沁みてくる旅になった。





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