アメリカ映画への出演が多いとはいえ、イギリス出身の女優さんです。そのようなわけで、アメリカの女優さん達にはほとんど見られないイギリス的なエレガンスを備えており、同時に知性的な閃きも感じさせます。ただ、それゆえか、大勢のビッグスター達と共に腰掛け程度に出演した「大空港」(1970)と「オリエント急行殺人事件」(1974)を除くと、ド派手な大作に出演することはなく、同様に知名度の高さにも関わらず実際にはこれといった話題作に出演していなかったはずのゴールディ・ホーンやキャンディス・バーゲンのようなアメリカの女優さん達に比べると、あまり目立つ存在ではありませんでした。優雅さが祟ったのか、意外なことにロマンス系の作品には出演しておらず、彼女のラブシーンなどほとんど記憶にありませんが、「オリエント急行殺人事件」での貴族、ネオノワール的な作品「セント・アイブス」(1976)での悪女(ファムファタール)、個人的に三度のメシよりも好きな「料理長殿、ご用心」(1978)でのコメディなど、何をやってもスタイリッシュに決まっていた彼女のことゆえ、もう少しバラエティに富んだ活躍を見せていてもよかったような印象があります。イギリス出身のデボラ・カーがアメリカに渡って八面六臂の活躍を見せていた50年代とは異なり、70年代になると、彼女のようなタイプは、ハリウッドではやや持て余され気味になった感があるのも確かです。とはいえ、またオスカーには無縁であったとはいえ、彼女が70年代を代表する女優さんの1人であることに間違いはないでしょう。 |
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1968
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刑事
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1978
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料理長殿、ご用心
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1968
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ブリット
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1978
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愛はエーゲ海に燃ゆ
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1970
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大空港
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1981
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ベストフレンズ
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1970
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クリスチーヌの性愛記
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1984
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火山のもとで
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1974
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オリエント急行殺人事件
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1987
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ハイシーズン
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1976
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セント・アイブス |
1990
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彼はメイド・イン・パリ
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1977
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ザ・ディープ
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