映画 日記 別篇   主任警部モース データ   2003年~2009年         池田 博明 

                 刑事モース オックスフォード事件簿 Endeavour 2012年~



 ミステリー・チャンネルで2002年10月4日から21:00~22:45の時間枠で放送していたコリン・デクスター原作、英国ゼニス・プロの制作『主任警部モース』の一部(過去にNHK・BS2でも放映したシリーズ後半の6作品。11月~12月13日)を見ることができました(次女が録画してくれたため。有り難いことです)。コリン・デクスターやピーター・ラヴゼイの英国ミステリーは私がもっとも好きな世界です。

  主人公モース(ジョン・ソウ:声・横内正)と部長刑事ルイス(ケヴィン・ウェイトリー:声・岩崎ひろし)のコンビの捜査が描かれます。普通の(主に中産階級からアッパー・ミドルクラス)のひとびとの間に起こる、複雑な人間関係や性関係、心理の綾が引き起こす事件をモースがパズルを解くようにひも解いていきます。ホームズが正義を建前として超然としているのに比べて、自分自身が組織のなかのアウトサイダーであるモースは犯罪者に同情や共感を寄せていることがよく分かります。現在の英国でモースがホームズ以上の人気がある理由はこの辺にあるのではないでしょうか。
1.ジェリコ街の女
#001[1-01]
The Dead of Jericho
1987/01/20

HDリマスター版 日本放送
NHK BSプレミアム2019年11月23日(土)16:15から17:58
脚本 Anthony Minghella アンソニー・ミンゲラ
監督 Alastair Reid アラステア・リード

[一行解説]モースの友人アン・スティヴァリーはジェリコ街の自宅で自殺しましたが、モースには納得がいきません。モースはルイス部長刑事と組んで最初の捜査をします。

Gemma Jones ... Anne Staveley
Patrick Troughton ... George Jackson
James Laurenson ... Tony Richards
Peter Woodthorpe ... Max - Pathologist
Norman Jones ... Chief Inspector Bell
Spencer Leigh ... Ned Murdoch
Annie Lambert ... Adele Richards
Richard Durden ... Alan Richards
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Charlotte Mitchell ... Mrs Staveley
David Michaels ... Pete
Paul Dixey ... Tutor
Christopher Guinee ... Grimes
Richard Cubison ... Pharmacist
Souad Faress ... Hospital Doctor
Philip Voss ... Coroner
Wayne Morris ... Constable Dixon
Gary Webster ... Colin
Sally Cooper ... Receptionist
Rupert Holliday-Evans ... David
Charles Hodgson ... Jack Hornsby
Irene Sutcliffe ... Mrs Hornsby
Gary Powell ... Constable
Charlotte Stone ... Charlotte

Colin Dexter ... Man passing Morse
 when visiting Ned Murdock (uncredited)
Lee Richards ... Barmaid (uncredited)

 コリン・デクスター原作の主任警部モースのテレビ化第1作で、パイロット・フィルムとして製作されました。いまや日本では品切れ絶版となっているビデオですが、最初に試しに1本だけ購入した作品です。大変面白かったので、他の作品もそろえようと思っているうちにビデオは発売中止になってしまいました。購入した1本も家の中で行方不明。このたび安価で中古を再入手できました。中古市場にもビデオがなかなか出ませんので貴重品です。ビデオは実は娘に貸していたのを忘れていたのでした。

 教会の聖歌隊でモースは、ひとりの女性と知り合いになります。その女性アン(ジェマ・ジョーンズ)はジェリコ街のアパートでピアノを教えていました。モースはアンに魅かれていましたが、アンはときどき暗い表情を見せます。アパートにはアンの部屋をのぞく趣味のある左官屋ジャクソン(パトリック・トラウトン)や、アンの食客のような青年ネッド(スペンサー・リー)がいました。
 突然アンの縊死死体が発見されます。その日、モースは部屋を訪ねたのに返事が無かったのでそれ以上踏み込まなかったのです。
 アンの死は自殺でしょうか。検死の結果、アンはほぼ妊娠5週めだったことも分ります。胎児の父親はいったい誰でしょうか。アンと親しかった人が捜査線上に浮かぶなか、モース自身もリストにのぼってきます。モースには自分と会っているときに楽しそうだったアンが自殺するとは考えられません。そんななかで、アンのかつての恋人でレコード再生機会社社長のアラン・リチャーズ(リチャード・ダーデン)に脅迫状が送られ、金が払われた後、脅迫者のジャクソンが殺されます。
 薬物中毒のネッドが病院で自分の目を傷つけます。モースはソフォクレスの悲劇「エディプス」を連想します。息子エディプスは父親を殺し、母親と関係するのですが、それと事件がアナロジーだというわけです。しかし、モースの推理は見当ちがいの方向に向っていました。(2007年4月2日記)

日本語版Cast:
ベル主任警部(Norman Jones) .................... 池田勝
ストレンジ警視正(James Grout) ............... 岡部政明
アン・ステイヴリー(Gemma Jones) .......... 麻志奈純子            
ネッド(Spencer Leigh) ......................... 後藤敦
アデル(Annie Lambert) ....................... 駒塚由衣
アラン(Richard Durden) ...................... 斉藤志郎
ステイヴリー夫人(Charlotte Mitchell) ........ 沼波輝枝
グライムス(Christopher Guinee) .............. 小山武宏            
検死官(Philip Voss) ........................... 仲野裕
ピート(David Michaels) ........................ 家中宏
ホーンズビー(Charles Hodgson) ............... 小島敏彦
女医(Souad Faress) .......................... 有馬瑞香
秘書(Sally Cooper) .......................... 小野美幸
薬剤師(Richard Cubison) ..................... 伊藤和晃
コリン(Gary Webster) ........................ 樫井笙人
ジャクソン(Patrick Troughton) ............... 穂積隆信
トニー(James Laurenson) ....................... 有川博
 (翻訳・平田勝茂)
2.ニコラス・クインの静かな世界

#002[1-02]
The Silent World of Nicholas Quinn
1987/01/13

HDリマスター版 日本放送
NHK BSプレミアム2019年11月30日(土)16:20から18:00
脚本 Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル
監督 Brian Parker ブライアン・パーカー

[解説]難聴の大学講師の殺人がモースとルイスを、大学の搾取スキャンダルに導きます。

Barbara Flynn ... Monica Height
Michael Gough ... Philip Ogleby
Clive Swift ... Dr Bartlett
Frederick Treves ... Dean of Lonsdale College
Peter Woodthorpe ... Max - Pathologist
Anthony Smee ... Roope
Roger Lloyd-Pack ... Donald Martin
Julie Neubert ... Mrs Martin
Phil Nice ... Nicholas Quinn
Elspet Gray ... Mrs Bartlett
Arthur Cox ... Noakes
Philip Voss ... Coroner
Gabrielle Blunt ... Mrs Evans

Angela Barlow ... Nurse
Denyse Alexander ... Cinema Manageress
Stefan Schwartz ... Richard Bartlett
Saul Reichlin ... Sheik of Al-Jamara
Diana Blackburn ... Lip-reading Teacher
Malcolm Mudie ... Mr Parker
Hugh Evans ... Landlord
Kate O'Connell ... Barmaid


Colin Dexter ... Man Drinking in the Syndicate
in Opening Credits (uncredited)
 パイロット・フィルムであった『ジェリコ街の女』に次ぐ第2話ですから、かなり力が入っています。脚本ジュリアン・ミッチェル、監督ブライアン・パーカー。

 難聴のクイン氏(フィル・ナイス)はパーティの席上、読唇術により、アラブ人との間で学力検定試験の秘密が売買されていることに気が付きました。クインはその事を検定試験委員会の事務局長代理オグルビー(マイケル・ゴフ)に話します。数日後、自宅でクインは死体になって発見されました。

 いったい誰がクイン氏を殺したのでしょうか。第一発見者のドナルド? 資料の管理にきびしいバートレット博士(クライヴ・スイフト)? 秘書モニカ(バーバラ・フリン)? 評議委員ループ(アンソニー・スミー)? 
 オグルビーがクロスワードの投稿者ダイダロスであることが分ったり、映画『ラスト・タンゴ・イン・パリ』が密かに話題になっていたりします。映画に関しては、「芸術作品という評判だったが、ただのポルノ映画だった」という評価がされています。ちなみに、この評価には私も賛成です。
 また、クイン氏の前任者で汚職をしていた人物の名がブランドで、モースが「悪い名前だ。暴力的だ」と発言するのもマーロン・ブランドに対する皮肉です。バートレット博士の息子で精神を病んでいる青年がワグネリアンで『ニュルンベルグのマイスタージンガー』を陶酔して聞いているのが興味深い場面です。
 容疑者は二転三転しますが、被害者クイン氏自身の読唇術による思い違いが最後で明らかになる展開には唸らされます。
(2003年6月9日)

日本語版Cast: バートレット(Clive Swift) ..................... 内田稔
オグルビー(Michael Gough) ................... 江角英明
学長(Frederick Treves) ...................... 勝部演之
ループ ...................................... 田中秀幸
マーティン(Roger Lloyd-Pack) ................ 佐古正人
検死官(Philip Voss) ........................... 仲野裕
ノークス ...................................... 峰恵研
クイン ........................................ 青山穣
バートレット夫人 ............................ 森ひろ子
エヴァンス ................................ 磯辺万沙子
マーティン夫人 ............................ 寺内よりえ
女支配人 ...................................... 速見圭
女教師 .................................... 滝井香央里
モニカ(Barbara Flynn) ..................... 日色ともゑ
3.死者たちの礼拝
#003[1-03]
Service of All The Dead
1987/01/20

HDリマスター版 日本放送
NHK BSプレミアム2019年12月7日(土)16:20から18:00
脚本 Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル
監督 Peter Hammond ピーター・ハモンド 
[一行解説] 教会委員が胸にナイフをつき刺されて発見される。さらに死体が重なり、モースとルイスは危険なサイコパスを捕らえようと試みる。
        <写真は牧師が尖塔から身を投げた直後▼>

Angela Morant ... Ruth Rawlinson
John Normington ... Lionel Pawlen
Maurice O'Connell ... Harry Josephs
Judy Campbell ... Mrs. Rawlinson
Michael Hordern ... Doctor Starkie
Peter Woodthorpe ... Max - Pathologist
Norman Jones ... Chief Superintendent Bell
James Griffiths ... Paul Morris
Chrissy Iddon ... Brenda Josephs
Karl Francis ... Taffy
Michael Goldie ... Jimmy
Michael Fenner ... Detective Constable Mitchell
Bev Willis ... Denman

Bill Moody ... Police Sergeant
Saul Jephcott ... Waterman
Stuart Saunders ... Church Warden
James Greene ... Defence Counsel
Robert Gary ... Prosecuting Counsel
Ric Morgan ... Landlord
Paul Ridley ... Husband
Maureen Bennett ... Wife
Andrew Read ... Peter Morris
Norma Shebbeare ... Hotel Proprietor
Christopher Gray ... Policeman
Joanna Wake ... Nurse
Gina McKee ... Girl in Betting Shop
Malcolm Kaye ... Gambler
Salome Bulle ... Choirboy

Colin Dexter ... Man standing with woman with bike
when Morse goes to see Archdeacon (uncredited)
Harold Innocent ... Archdeacon (uncredited)

第7シリーズまでの段階で「The Making of Inspector Morse」を書いた
Mark SandersonがTV作品のベスト3を選んでいる。その一篇。
 ほかの二篇は 『魔笛』『約束の地』。
 コリン・デクスター原作モース警部シリーズ第3話『死者たちの礼拝』。
 脚本ジュリアン・ミッチェル、監督ピーター・ハモンド、撮影クライヴ・ティックナー。

 原作を読んだのにすっかり内容を忘れていました。いやはや。
 礼拝の直後に教会で殺人が起こる。被害者は十字架で刺殺されていた。参列者(ルースとポール)に確認してもらったところ、被害者は教区委員のハリー・ジョセフスという男だと言う。ハリーは教会の募金に手をつけたり、競馬ですったりしていたが、神父をゆすっていた形跡もある。
 すると容疑者として怪しいのは神父だということになってしまう。検死の結果、被害者は刺殺される前にモルヒネを飲まされて死んでいたことが分かる。礼拝で聖杯にモルヒネが仕込まれていたとすると、奇妙なのは、いつも最後に飲む神父が死ななかったことである。
 モースは礼拝の後で姿を消した浮浪者が神父の弟だと知る。弟も神父にたかっていた形跡がある。そうすると、やはり殺人者は神父なのか。
 少年に対する神父の強い関心も気になる。神父には少年愛の性癖があるのだろうか。
 重要参考人として神父に出頭を求めると、神父は教会の尖塔の上から身を投げて自殺してしまった。そしてその後、それでなくとも数少なかった礼拝に参加していた人々が次々に殺されていく。オルガン弾きのポール,ハリーの妻ブレンダ。
 いったい誰が何のために殺人を犯しているのだろうjか。
 犯人らしき男は途中で出現するが、私たちにもこの男の正体は分からない。なぜ分からないのか、その正体は最後に明かされる。

 モースが礼拝に参加した女性ルースに惚れる一篇でした。
 礼拝のことを英語ではServiceというのですね。(2003年12月17日記)

日本語版Cast:
ライオネル・ポーレン神父.......... 坂部文昭
ルース(Angela Morant) ....................... 小野洋子
スターキー(Michael Hordern) ................... 中村正
ジョル副主教 ................................ 滝口順平
ハリー(Maurice O'Connell) ..................... 谷口節
ローリンスン夫人(Judy Campbell) ........... 香椎くに子
ミッチェル(Michael Fenner) .................... 牛山茂
ブレンダ(Chrissy Iddon) ................... 藤井佳代子
オルガン弾きポール・モリス ...................... 石川武
タフィ(Karl Francis) ............................ 麦人
デンマン .................................... 西村知道
教区委員(Stuart Saunders) ................... 石井敏郎
弁護士(James Greene) ........................ 円谷文彦
女主人 .................................... 火野カチコ
キャッシャー ................................ 鈴鹿千春
ピーター(Andrew Read) ....................... 進藤一宏
少年 .......................................... 渡辺悠
4.消えた装身具
#004 [2-01]
The Wolvercote Tongue
1987/12/25

HDリマスター版 日本放送
NHK BSプレミアム2019年12月14日(土)16:20から18:00
Screenplay: Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル
Director: Alastair Reid アラステア・リード

Simon Callow ... Theodore Kemp
Kenneth Cranham ... Cedric Downes
Roberta Taylor ... Sheila Williams
Peter Woodthorpe ... Max - Pathologist
Robert Arden ... Eddie Poindexter
Christine Norden ... Laura Poindexter
Bill Reimbold ... Howard Brown
Helena Stevens ... Shirley Brown
John Bloomfield ... Phil Aldrich
Jane Bertish ... Marion Kemp
Christine Kavanagh ... Lucy Downes
Cherith Mellor ... Fiona Hall
Nicholas Bell ... Doctor Swain
Tim Faulkner ... Hotel Manager
Iain Ormsby-Knox ... Duty Sergeant
Maureen Morris ... Nurse
Sara Coward ... Lynn
Ron Copsey ... Waiter
Teddie Thompson ... Waitress (as Teddy Thompson)


Colin Dexter ... Man Behind Morse in the Chapters Bar
of the Randolph Hotel (uncredited)

日本語版Cast: シーラ(Roberta Taylor) ...................... 吉野佳子
ジャネット(Mildred Shay) .................... 七尾怜子
シャーリー(Helena Stevens) ................ 本山可久子
ハワード(Bill Reimbold) ..................... 坂口芳貞
ケンプ(Simon Callow) ........................ 安原義人
セドリック(Kenneth Cranham) ............... 佐々木勝彦
フィル(John Bloomfield) ..................... 石波義人
エディ(Robert Arden) ........................ 北村弘一
ローラ(Christine Norden) .................. 竹口安芸子
マリオン(Jane Bertish) ...................... 板垣篤世
ルーシー(Christine Kavanagh) ................ 麻生侑里
フィオナ(Cherith Mellor) .................... 岡本章子
スウェイン(Nicholas Bell) ................... 横堀悦夫
支配人(Tim Faulkner) ........................ 高宮俊介
巡査部長(Iain Ormsby-Knox) .................. 辻つとむ

 離婚歴があり、部屋を家庭的にデザインする中年ツアー・ガイドのシーラ、夫に強圧的に責任をとらせる障害者の妻マリオン、ひまに任せて現地ガイドより観光地に詳しい知識を吸収してツアーに文句をつける老婦人と女性パワーが圧倒的な回でした。
 ホテルの一室ではルイスに「警部は何を飲みますか」と聞かれても、「勤務中だから」と断って、シーラにだけジンを2杯も飲ませたモースでしたが、彼女の自室で尋問するときは自分も飲んでいます。そんなモースの気遣いが感じられる場面もあります。気づかいではなく、気まぐれかもしれませんが。(2009年4月12日)
 原作とは犯人が異なります。TV版の犯人の動機は衝動的すぎるようです。
 楽天のShow Timeで主任警部モース全作を配信中であることが分かりました。会員登録した上で、1本ずつ購入して見るのでレンタルビデオを借りるようなものです。おかげで未見だった数本を見ることができました。
 『消えた装身具』は原作を読んでいますが、例によって忘れていました。
 ロンドンの名所を回るツアーを仕切るガイドのシーラ(ロバータ・テイラー)は完全菜食主義者のロスコー婦人(ミルドレッド・シエイ)の小言に閉口していますが、お客様のこと、いやな顔もできず適当にあしらっています。ホテルへ到着すると、ツアー客はそれぞれ部屋で休む者、自由見学に出かける者といろいろ。かなり高齢のローラ婦人(クリスティーネ・ノーデン)は部屋に倒れていました。夫のエディーはブラウン婦人と市内見物の後、部屋に戻って警察に通報したのです。
 オペラの予約の電話の途中で中断されたモースは、きげんが悪い。「ベルリオーズのつもりが蝶々夫人になったらどうするんだ。ヘンデルになる可能性だってある」という口ぶりからすると、モースはベルリオーズを聞きたいようです。プッチーニやヘンデルは退屈という評価のようです。
 ローラ婦人の死因は心臓停止で自然死と判定されますが、パーティに急ぐスミス医師にモースはからみます。何も問題は無いように思われましたが、夫が装身具が紛失していると言い出して事件は混沌として来ます。夫人が寄贈するつもりで持参していたウルバーコートの留め具はもともとテムズ川で発見された貴重品で価値がある逸品だそうです。寄贈を受けるつもりだったケンプ博士(サイモン・カロー)には、ショックでした。ケンプ博士は夕方のツアー客への講話を建築評論家セドリック(ケネス・クランハム)に押し付け、自分は浮気しているようです。
 ローラの夫のエディーが行方不明になり、モースは彼が装身具の保険金を目当てに盗んだのではないかと推理します。その晩、ケンプの死体が発見されます。ケンプとの別れ話が出ていたガイドのシーラも疑われますが、モースはジン・トニックをあおる彼女に孤独な中年の共感を覚えます。
 ケンプの妻マリオン(ジェイン・ベルティッシュ)は夫の起こした交通事故により下半身不随となり車いす生活、事故の責任から夫に依存し、生活を支配していました。彼女の口からはシーラに対する憎しみの言葉が聞かれます。しかし、ケンプには他の女がいたのかもしれません。尋ねてみようとしたモースとルイスは、睡眠薬の過剰服用で自殺してしまったマリオンを発見します。
 ツアー客で不穏な行動をするブラウン氏を尾行すると。鉄道博物館へ。ブラウンはエディーが駅で若い女性と一緒に電車に乗っているのを目撃します。セドリックの若き妻ルーシー(クリスティーネ・キャヴァナー)はちょうどロンドンへカーテンを買いに行くところでしたが、事件当夜の夫の行動を裏書きします。夫は解説のためノートを取りに自転車でいったん家へ戻って来たのでした。
 ツアーではロスコー婦人が相変わらずツアー・ガイドに文句をつけ、セドリック等のコメントが間違いが多いのにも不満を言って、不平を申し立てて、ツアー金額を返却してもらおうと署名運動。そこへ行方不明だったエディーが実の腹違いの娘フィオナを連れて帰宅、装身具盗難の真相が明らかになります。
5.キドリントンから消えた娘
#005 [2-02] Last Seen Wearing.
1988/03/08

HDリマスター版 日本放送
NHK BSプレミアム2019年12月21日(土)16:18から18:00
Screenplay: Thomas Ellice トーマス・エリス
Director: Edward Bennet エドワード・ベネット

Peter McEnery ... Donald Phillipson
Suzanne Bertish ... Cheryl Baines
Glyn Houston ... George Craven
Frances Tomelty ... Grace Craven
Peter Woodthorpe ... Max - Pathologist
Fiona Mollison ... Sheila Phillipson
Philip Bretherton ... David Acum
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Melissa Simmonds ... Valerie Craven
Nicholas Pritchard ... John Maguire

Elizabeth Hurley ... Julia
Michele Winstanley ... Fiona

Julia Sawalha ... Rachel
Auriol Goldingham ... Lesley
Venetia Barrett ... Mrs. Webb
Geoffrey Church ... PC Franks
Maggie Holland ... Martha
Liz Kettle ... Policewoman
Roger Booth ... Bartender
David Trevena ... Porter
Susanna Nicholas ... Receptionist
Amanda Dickinson ... Check-out Girl
Clare Bennett ... Becky Phillipson
Charles Gilmore ... Charlie Phillipson
George Gilmore ... George Phillipson

Colin Dexter ... Man walking across quad
when Morse visits Sheila Phillipson in library (uncredited)

 主任警部モースのシリーズの一作、"Last Seen Wearing"の日本版ビデオが廃盤になってしまったため、USAのアマゾン・コムからVHSビデオを購入しました。日本語字幕が入っていませんが、仕方がありません。(2004年6月)

 Show Timeで日本語吹替版が放映されていたため、購入して視聴しました。英語版を見たときの2004年の理解が誤っていなかったので、ひと安心しました。
 (2009年4月14日)
 二転三転する展開とモースの推理の転換が印象的な名作の映画化です。脚色トーマス・エリス、監督エドワード・ベネット。
 巻頭、自宅で音楽を聞きながらトーマス・ハーディの小説を読むモースの耳に建設工事の雑音が入ってきます。クレイブン社の工事でした。そこへ警察からの電話も鳴ります。
 モースを呼び出したストレンジ警視正は裕福な家庭の失踪した娘探しを命じ、最近彼女から無事を知らせる手紙が着いたと説明します。既に6ケ月もたっており、これまで二人の警部が主任で捜索しても成果が無かったことから、状況からモースは「She’s dead(彼女は死んでいる)」と断定します。女子高校に聞き込みに行くモースとルイスですが、モースはパブの閉店時間を気にしています。数秒遅れてもビールを注文できないからです。校長のドナルド・フィリップソン(ピーター・マッケナリー)は女学生に人気があります。妻のシーラ(フィオナ・モリソン)との間には三人の子供があり、シーラは夫は自分の家系と結婚したのだと認識しています。
 娘の父親ジョージ・“クレイヴン”(原作では“テイラー”という名前です.グリン・ヒューストン)は市役所のゴミ捨て場でブルドーザーを操作していました。彼はモースに敵意を見せます。母親グレース(フランセス・トーメルティ)は、娘のヴァレリーがジョージの子供ではないことを示唆します。
 失踪した娘ヴァレリー(メリッサ・シモンズ)の交友関係を調査していくうちに、男友達マグワイア(ニコラス・プリッチャード)の室でマリファナを発見したり、彼女が妊娠していたことを知ったりします。
 いったい誰が彼女の“男性”なのでしょうか。そもそもヴァレリーは生存しているのでしょうか。学校を移った若いフランス語の助教師ディヴィッド・エイカム(フィリップ・ブレサートン)もなんだか怪しい。
 捜査の途中で、教頭シェリル・ベインズ(スザンヌ・ベルティシュ)が殺害されます。原作では教頭は男性という設定ですが、TV化では女性に変えていました。また、ベインズを殺した犯人も原作とは異なり、ヴァレリーの運命も原作とは異なります。
(2004年6月17日記) 

日本語版Cast
教頭ベインズ(Suzanne Bertish) ............. 南一恵
校長フィリップソン(Peter McEnery) .......... 小川真司
クレイブン社長の妻グレイス(Frances Tomelty).... 鈴木弘子
クレイブン社長ジョージ(Glyn Houston)................ 阪脩
校長の妻シーラ(Fiona Mollison) .............. 山像かおり
仏語教師エイカム(Philip Bretherton) ............. 石川禅
広報員マグワイア............... 佐久田修
ウェッブ ...................................... 玉井碧
娘ヴァレリー ............................ 花村さやか
女子学生ジュリア................. 小林さやか
マーサ .................................... 鈴木れい子
管理人 ........................................ 城山堅
ホッケーコーチ .............................. 岡のりこ
レイチェル(Julia Sawalha) .......... 北島都
レスリー .................................... 田村好江
フィオナ ...................................... 永迫舞
6.日の沈む時
#006[2-03]
The Setting of the Sun

Screenplay:Charles Wood チャールズ・ウッド
Director:Peter Hammond ピーター・ハモンド

[一行解説] モースは日本人学生殺人事件の解決に呼ばれる。外国人学生グループの一人がモースとディナーに参加する。

Anna Calder-Marshall ... Jane Robson
Robert Stephens ... Sir Wilfred Mulryne
Derek Fowlds ... Kurt Friedman, aka Michael Robson
Robert Lang ... Chief Superintendent Dewar
Avis Bunnage ... Mrs. Warbut
Amanda Burton ... Mirella Lunghi
Peter Woodthorpe ... Max - Pathologist
Philip Middlemiss ... Graham Daniel
Eiji Kusuhara ... Yukio Li
Tim Barker ... Ralph Thomas
Llewellyn Rees ... Reverend Robson
Blue MacAskill ... Alex Robson
Ellis Van Maarseveen ... Heidi Vettinger
Ian McCurrach ... Swedish Student
Jack Ellis ... Sergeant
Kenneth Hadley ... Peters
Gordon Kennedy ... Dewar's Detective
Michael Goldie ... Tramp
Liz Kettle ... Policewoman
Basienka Blake ... Gardener

Colin Dexter ... Doctor sitting on next bed to
Jane in final scene (uncredited)
 「日の沈む時 The Settling of the Sun」は、日出る国である日本を逆説的に表現したタイトルです。
 モース警部はジェーン・ロブソン博士(アンナ・カルダー=マーシャル)と美術展の話をしていました。車椅子の父親ロブソン牧師(ルウェーリン・リーズ)が、展覧会のパンフレットの絵から急に過去の拷問された記憶を蘇らせて発作を起こし、死亡します。どうも日本兵と関係があるようです。日本人と日本が悪役になっている一篇。
 カレッジ(大学)のクロスワード大会で勝者に賞を授与するプレゼンターとして招待されたモース。ディナーの途中で気分を害して部屋に戻った日本人の青年ユキオ(楠原栄治)の身を案ずるジェーン。部屋には損傷された死体が転がっていました。参加者にはアリバイがあります。なにせモースが証人なのです。
 探っていくうちにユキオの持ち物からヘロインが発見されます。彼は麻薬の売人だったのです。事情聴取に答えた証言者は心なしか、みな落ち着かず、動揺しているように思われました。
 探索していくうちに関係者が隠している事実が少しずつ明らかになり始めます。そうしているうちに、添乗員の青年が殺され、バスでユキオの隣席だったフリードマン氏(デレク・フォウルズ)が殺されます。
 前年に麻薬で死亡したジェイクの父親が学寮長のウィルフレッド氏(ロバート・スティーヴンス)だったこと、彼から聞いてジェーンはユキオの父親がロブソン牧師を拷問した日本の科学者だったと知ったこと、フリードマン氏は実はジェーンの兄マイケル・ロブソンだったこと、添乗員はマイケルの息子だったことなどが明らかになってきます。
 捕虜を拷問した日本人は米軍の人体実験の資料収集目的から戦犯に指定されなかったこと、ロブソン氏は牧師であるがゆえに磔にされて拷問されたこと、替え玉を使ってユキオが生存しているように見せかけたこと、会計係のウォーバット夫人(エイヴィス・バネージ)も参戦経験があり捕虜に対する扱いから日本人を憎んでいることなどが絡み合って事件を複雑な様相に織り上げていきます。学寮長ウィルフレッドが「捕虜に対する非人道的な扱い等の報いを日本人は広島・長崎で受けたことになる」という見解を述べる場面もあります。
 脚本チャ-ルズ・ウッド、監督ピーター・ハモンド。
 日本クラウン株式会社では一期10巻のVHSが廃盤になっていました。『キドリントンから消えた娘』を見たかったのですが・・・・。 
(2004年5月3日記)
7.ウッドストック行最終バス
#007 [2-04]
Last Bus To Woodstock
1988/03/22

HDリマスター版 日本放送
NHK BSプレミアム2019年12月28日(土)16:18から18;00
Screenplay: Michael Wilcox マイケル・ウィルコック
Director: Peter Duffell ピーター・ダッフッル


Anthony Bate ... Bernard Crowther
Terrence Hardiman ... Clive Palmer
Fabia Drake ... Mrs. Jarman
Jill Baker ... Jennifer Coleby
Holly Aird ... Angie Hartman
Paul Geoffrey ... Peter Newlove
Peter Woodthorpe ... Max - Pathologist
Ingrid Lacey ... Mary Widdowson
Shirley Dixon ... Margaret Crowther
Ian Sears ... John Sanders
Perry Fenwick ... Jimmy
Shirley Stelfox ... Mrs. Kane
Jenny Jay ... Sylvia Kane
Diana Payan ... Vikki Phillips
Anne Havard ... Sally
Vass Anderson ... Mr. Bentley
Jo Unwin ... Receptionist
Steph Bramwell ... Senior Sister
Ian Bleasdale ... Time and Motion Expert
Amanda Wenban ... Typist
Kate Percival ... Lab Assistant
P.J. Davidson ... Game Keeper
Dave Roberts ... Police Officer
Steven Law ... Assistant in Snooker Shop
Paul Lawrence Davis ... Doctor

Colin Dexter ... Man behind Morse
in Crowther's lecture (uncredited)

 死体発見者ジョンはシルヴィアとパブでデートの約束をしていましたが、二日前に知り合ったばかり。死体のそばにあった封筒のなかみは500ポンドの現金。ジョンはその金を横取りしていました。コールビーは秘密の連絡に名前を貸しただけ。いったい誰の。
 バーナードの講義で詩人ロチェスターの人生が語られる。性衝動を抑制したことが賞賛される。
 第7話「ウッドストック行き最終バス」(制作ケニー・マクベイン、脚色マイケル・ウィルコック、監督ピーター・ダッフェル)。原作はモースものの第一作です。
 夫の教授昇進に懸命になる妻の姿が描かれ、多くの登場人物がきちんと描き分けられます。マーガレットは監察医マックスの姪でもあります。
 途中のBGMでモーツアルトの歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」序曲が流れます。この曲の使用は《偽りの恋》の暗喩かもしれません。
 (2003年1月1日記)

  雨の夜、バス停留所でウッドストック行きのバスの時刻を尋ねた少女はヒッチハイク「で停車してくれた赤い自動車に乗りこみました。その少女はパブの駐車場で車にひかれた死体となって発見されました。少女は18歳の若い娘シルヴィア・ケイン。バッグのなかには保険会社秘書室長のジェニファー・コールビーの宛先を記した封筒がありました。中の手紙は暗号になっており、「どうか受け取って」と解読されます。しかし、コールビーには心当たりがありません。コールビーは家の部屋を大学生のアンジーや看護士のメアリーに貸しています。

日本語版Cast:
ジェニファー ................................ 宮寺智子
部長パーマー(Terrence Hardiman) ................. 納谷六朗
准教授クローザー(Anthony Bate) .................. 佐々木梅治
看護士メアリー .................................... 山崎美貴
大学生アンジー(Holly Aird) ...................... 玉川紗己子
目撃者ジャーマン老婦人(Fabia Drake) . 久松夕子
ジョン・サンダース .................................... 村治学
郵便係ジミー .............................. 中村彰男
クローザーの妻マーガレット ............... 増子倭文江
講師ニューラヴ(Paul Geoffrey) ................... 金尾哲夫
シルヴィアの母ケイン夫人 ..................... 巴菁子
パブの女主人ヴィッキー ............... 藤堂陽子
シルヴィア .................................. 佐藤ユリ
調査員 ...................................... 水野龍司
金物店主ギル ................... 大山高男
受付 ...................................... 佐藤しのぶ
店員 .......................................... 大川透
8.ハンベリーハウスの殺人 
#008 [3-01]
The Ghost in the Machine
1989/01/04
Screenplay: Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル
Director: Herbert Wise ハーバート・ワイズ

[一行解説] 壮大な家から価値ある絵画が盗まれ、ほどなく所有者のジュリアス・ハンベリー卿が失踪する。モースは彼の死を隠ぺいしようとする脅迫計画を発見するが、ブレーキに細工された致命的な交通事故が起きる。

Amanda Hillwood ... Dr. Grayling Russell
Patricia Hodge ... Lady Hanbury
Clifford Rose ... Dr. Charles Hudson
Bernard Lloyd ... Professor Edward Ullman
Michael Godley ... Sir Julius Hanbury
Michael Thomas ... John McKendrick
Patsy Byrne ... Mrs. Maltby
Irina Brook ... Michelle Réage
Lill Roughley ... Betty Parker
Robert Oates ... Ted Parker
John Elmes ... Roger Meadows
John Cater ... The Dean
Rainbow Dench ... Georgina Hanbury
Michael Bertenshaw ... Detective
Jonathan Donne ... Constable
Alan Barker ... Plain Clothes Officer
Eunice Roberts ... Policewoman
Trevor Martin ... Porter
Seeta Indrani ... Laboratory Assistant
Claire Skinner ... Girl Pupil

Colin Dexter ... Man sitting near the Master
in the opening scene (uncredited)

 モースがマリア・カラスの『トスカ』を聴いているというと、レディ・ハンベリーは「カラスは品がないから好きでない」と答えます。モースはレディに対してかすかに敵意を抱きます。ロンドンのコヴェント・ガーデンでのカヴァラドッシ役はプラシド・ドミンゴだったので、「プログラムは?」「いつも買いませんの」。ドミンゴ出演の公演のプログラムを買わないなんてことがあるでしょうか。モースはそれはおかしいと感じます。次第に複雑な人間模様が明らかになります。
 原題は「機械の中の幽霊」。機械はコンピュータ(ロジャーの使用していた機械である)のこと、幽霊とはメモリーに残された文書のこと。 
 原案コリン・デクスター、脚本ジュリアン・ミッチェル、監督ハーバート・ワイズ。

 モースはロンドンからの帰途、歌劇『トスカ』のプログラムを見ていました。大きな邸宅ハンベリー・ハウスを構える貴族の美しい妻(パトリシア・ホッジ)も乗車していて、駅には庭師ジョン(マイケル・トーマス)が車で迎えに来ています。車に同乗した隣の酒屋の奥方を冷たく扱うレディ。彼らは真夜中に帰宅しました。
 翌朝になると、学寮長候補だった夫のジュリアス・ハンベリー(マイケル・ゴドリー)が喪失し、書斎から絵が無くなっていました。捜査に呼ばれたモースとルイス。主人は家の墓室で死体になって横たわっていました。検死医マックスに代わって女医ラッセル(アマンダ・ヒルウッド)が登場します。死体はずいぶんひどく殴られているそうです。
 子守に雇われていたフランス人のミシェル(イリーナ・ブルック)は突然レディに解雇を言い渡されます。ミシェルの恋人ロジャーの運転する車のブレーキが細工され、男は事故を起こして死亡しました。ロジャーの持ち物から脅迫文が発見されます。ロジャーが脅迫していたのは主人らしいのですが、いったい強請のネタは何でしょうか。
 書斎に飾ってあった写実的な裸体画をめぐってポルノか否かという論争も起っていました。主人は自分で屋根裏部屋にアトリエと暗室をもち、自分が撮影した写真を焼く趣味ももっていました。いったいどんな写真を撮影していたのでしょうか。
(2004年7月29日記)
9. 最後の敵 
#009 [3-02]
The Last Enemy
1989/01/11
Screenplay: Peter Buckman ピーター・バックマン
Director: James Scot ジェイムズ・スコット

[一行解説] 原作は『謎まで三マイル The Riddle of the Third Mile 』。

Amanda Hillwood ... Dr. Grayling Russell - Pathologist
Barry Foster ... Sir Alexander Reece
Michael Aldridge ... Arthur Drysdale
Tenniel Evans ... Dr. David Kerridge
Beatie Edney ... Deborah Burns
Sian Thomas ... Carol Sharp
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Lana Morris ... Miss Tree
Bert Parnaby ... Ben
Mark Tandy ... Mr. Collins
Pauline Munro ... Dentist
Albert Welling ... Chris Stoneley
Kevin McMonagle ... Geoff
Michael Percival ... Landlord
Philip Bloomfield ... Sam
Jill Johnson ... Mrs. Burns
Gertan Klauber ... German Man
Jackie Buchanan ... German Woman
Susannah Hitching ... Girl on Boat
Nikki Brooks ... Young Woman
Nathan Lewis ... Young Man
Laura Sadler ... Sabena
Barry Clack ... Man walking in street (uncredited)
Colin Dexter ... Man walking along canal bank
in opening scene (uncredited)


 なに者かがケリッジを襲撃し、翌日彼は撲殺死体で発見されます。そしてやがてアレックスも古い拳銃で撃たれて殺されます。
 三人をつなぐ怨みの連鎖、その中心にいるのはドライズデール教授(マイケル・アルドリッジ)でした。聖書によれば、「最後の敵」、それは「死」です。 
 原案コリン・デクスター、脚本ピーター・バックマン、監督ジェームス・スコット。(2004年9月10日記)
 運河で死体が発見されますが、首と手足がないため身元がわかりません。ちょうどその折り、モースはオックスフォード大学時代の同級生アレックス(バリー・フォスター)に調査を依頼されます。いまや学寮長になっているアレックスは、同僚のケリッジ博士(テニエル・エヴァンス)の居所不明とその理由を探って欲しいといいます。もしゴシップになりそうな場合は副学寮長に推薦した自分の地位も危うくなるというのです。モースは死体の主がそのケリッジ博士ではないのかと推理し始めます。
 しかし、ケリッジ博士はちゃんと生存していました。博士課程を修了したばかりのデボラ・バーンズ(ビーティ・エドニー)は特別研究員になれなかったのはケリッジ博士が反対票を投じたからだと思いこんでいて、ケリッジ博士に直接尋ねます。するとケリッジは反対したのは自分ではなく、学寮長だと言います。そんなことがあるでしょうか。自分の博士論文を指導してくれ、共著で本を出し、肉体関係まであるアレックスが・・・。
 モースはアレックスの秘書キャロル(シーアン・トーマス)から情報を得、ルイス部長刑事はケリッジのライバル、ドライズデール教授の用務員から情報を得ます。次第に、どうやら殺されたのは大学に出入りしていた高級官僚のようだということが分ってきます。大学と官僚の密着も背景にあるのでしょうか。官僚を問いつめたモースは上司に怒られます。
 名誉あるシェルドン講師の地位を争って敗れ、妻を被害者の官僚に寝取られたドライズデール教授は脳腫瘍のためローマで静養中ということですが、近況を知らせる絵ハガキが来るだけでした。
10.
欺かれた過去
#010 [3-03]
Deceived by Flight
1989/01/18
Screenplay: Anthony Minghella アンソニー・ミンゲラ
Director: Anthony Simmons アンソニー・シモンズ
字幕翻訳・伊藤美穂

[一行解説] 殺人がクラレッツ(the Clarets)とオックスフォードOB(the Oxford Old Boys)の試合を妨害します。OBチームを組織しているのはモースの旧友ロリー (Norman Rodway)。そんな時、ピーター・フォスターが胸をハサミで突き刺されて更衣室で発見されます。

Amanda Hillwood ... Dr. Grayling Russell - Pathologist
Norman Rodway ... Roland Marshall
Sharon Maughan ... Kate Donn
Daniel Massey ... Anthony Donn
Jane Booker ... Philippa Foster
Nicky Henson ... Vince Cranston
Bryan Pringle ... Barker
Geoffrey Beevers ... Peter Foster

Nathaniel Parker ... Jamie Jasper
Stephen Moore ... Radio Producer
Peter Amory ... DC Hilaire
Martin Chamberlain ... Clarets' Captain
Adam Tomlinson ... Clarets' Batsman
Kit Jackson ... Clarets' Player
Charles Collingwood ... Cassidy, Clarets' Fast Bowler
Andrew Paul ... Suspect Interviewee
Ann Bryson ... Radio Producer's P.A.
Elin Jenkins ... WPC
David Shaw Parker ... Forensic Sergeant
John Patrick ... Patrol Officer
Brian Johnston ... Cricket Commentator (voice)

Colin Dexter ... Man Walking Behind Lewis
and Roland in College (uncredited)
 冒頭、モースのラジオからモーツアルトの弦楽四重奏が流れます。それが終わって、切り替えるとクリケットの試合の実況中継。ルイスら警官たちも試合の経過を気にしています。
 大学時代の学友で弁護士アントニー・ドン(ダニエル・マッセィ)がOBクリケット・チームの試合のためにロンドンにやって来ました。彼はモースを呼び出しますが、用件を切りだしません。連絡先を伝えたモースに翌日、彼から電話が来ましたが、あいにくモースは書店放火容疑者の尋問中でした。
 その夜、ドンはリード線をくわえて感電死しているのが発見されます。モースは自殺ではないかもしれないと捜査を進めます。犯人がいるならクリケット・チームにいるはずだ。カレッジの門衛のバリー(ブライアン・プリングル)に代わってもらい、ルイスがにわか門衛を務め、トニーが抜けた後のチームの一員に加わります。トニーの隣室のフォスター夫婦(ジオフリー・ビーヴァーズ、ジェイン・ブッカー)はトニーの部屋を監視しているようです。トニーの妻ケイト(シャロン・モーハン)はラジオ局の美人DJで、モースは夫を亡くした美しき人妻に惚れていきます。
 OBチームを率いるのは足の悪い事業家ローランド・マーシャル(ノーマン・ロッドウェイ)。彼は大学時代のあだ名ペイガン(不信心者)・モースと呼びます。モースはクリスチャン・ネームを教えなかったので、ペイガンと呼ばれたのだそうです。クラレッツとOBチームのクリケットの試合中に休養室で何かを探していたピーター・フォスターが殺されました。実は彼らは夫婦ではなく、関税調査税庁の職員でした。2年越しでヘロイン密輸の捜査に当たっており、決まった時期にイギリスから大量のヘロインが諸外国に持ち出されていることが分かり、決まった時期に遠征を行うクリケット・チームに標的を絞っていたところだったのです。チームの一員ヴィス・クランストン(ニッキー・ヘンソン)はチームに加わったルイスに冷たく当ります。モースは奇妙な制服で不可思議なルール、長時間の退屈な試合と、クリケットをこきおろします。
 モースはドンが最後に謎めいた話を引用した『禅』の本を探します。ケイトの書棚にあったその本の表紙裏には送り主からの愛のメッセージが記されていました。モースは単純な真相に気がつきます。(2009年4月13日記)
11. カーパークB5号の謎 
#011 [3-04]
The Secret of Bay 5B"
1989/01/25
Screenplay: Alma Cullen アルマ・カレン
Director: Jim Goddard ジム・ゴッダード

[一行解説] 駐車場での殺人は、嫉妬した夫、彼の妻と彼女の愛人の激情による犯罪を隠蔽するものだった。

Amanda Hillwood ... Dr. Grayling Russell - Pathologist
Mel Martin ... Rosemary Henderson
Marion Bailey ... Fran Pierce
Andrew Wilde ... Edward Manley
Philip McGough ... Brian Pierce
George Irving ... George Henderson
Susan Kyd ... Camilla
Kate Lansbury ... Mrs. Cameron
Cathryn Bradshaw ... Janice
Tom Radcliffe ... Ray Miles
Pamela Miles ... Amy Morris
Brian Poyser ... Inspector Cyril Dewar
Ivor Roberts ... Mr. Waugh
Robert Gladwell ... Band Leader
Michael Haughey ... Undertaker
Cheryl Moskowitz ... Nurse
Isobel Reid ... Gloria
John Dixon ... Constable
John Bleasdale ... Constable
Catherine Livesey ... Aerobics Leader
Richard Hawley ... Orderly
Michael Melia ... Decorator
Fraser Downie ... Mick

Lee Richards ... Waitress at Dance (uncredited)
 原題はThe Secret of Bay 5.
 今回の主役である女性ローズマリー・ヘンダーソン(メル・マーティン)の半裸シーンで始まり、モースが検死官の女医ラッセル(アマンダ・ヒルウッド)とデートしたり、娼婦カミラ(スーザン・キッド)にプロポースされたりと、女性が重要な役割をになう一篇。監督はジム・ゴッダード。脚本はアルマ・カレン。

 夫ジョージ(ジョージ・アーヴィング)と別居しているローズマリーは不倫の相手の男から「疎遠にすると不倫現場の写真を夫に送る」という嫌がらせを受けているようです。夫は森番をしているJで、電話をしながらイライラと銃を磨いている不気味な男。
 やがて、一人の男が駐車場で絞殺死体で発見されます。被害者の建築家は他にも多くの女に手を出して独占しようとしていたことが分ってきます。ローズマリーも参考人の一人ですが、殺人の時刻からズレた駐車券という「完璧な」アリバイがあります。
 一方、駐車場の傍のスケート場に通っていたと証言する会社のブライアン(フィリップ・マクゴフ)は、会社の金を横領して、財産代わりに絵画を入手していたようで、妻(マリオン・ベイリー)はそのことを知っています。しかし、モースは家にかけてある絵画の一枚が贋作であることに不審を抱きます。社長を殺したのはこの男でしょうか。男は良心の呵責から自殺してしまいます。
 次第に核心に近づいてきたモースは、自分の車のキイを使って、犯人にあるトリックを仕掛けます。
 ラストのローズマリーの一言「私はこの男(共犯者)に一生を台無しにされた」で、女性の底知れぬ恐ろしさが分る一篇です。モースの表情は冴えません。
 しかし、女医が楽劇『パルシファル』の切符をキャンセル待ちで入手してくれましたし、失くしたと思っていたオペラの券も見つかって、ようやくモースにも笑顔が戻ってきます。 (2004年11月3日記)
12.邪悪の蛇
#012 [4-01]
The Infernal Serpent
1990/01/03
Screenplay: Alma Cullen アルマ・カレン
Director: John Madden ジョン・マッデン
字幕翻訳・深沢三子

Geoffrey Palmer ... Matthew Copley-Barnes
David Neal ... Dr. Julian Dear
Barbara Leigh-Hunt ... Blanche Copley-Barnes
Pearce Quigley ... Mick McGovern
Michael Attwell ... Parsons
Cheryl Campbell ... Sylvie Maxton
John Joyce ... Mr. Gray
Ian Brimble ... Phil Hopkirk

Tom Wilkinson ... Jake Normington
Irene Richard ... Imogen Garrett
George Costigan ... Ron Garrett
Denys Hawthorne ... Chief Superintendent Rennie
(ストレンジ警視正が休暇中のモースの上司)
Sydnee Blake ... Mrs. McGovern
Philippa Howell ... Ward Sister (as Phillipa Howell)
Michelle Wesson ... Mandy Hopkirk
Catherine Terris ... Hopkirk's Housekeeper

Colin Dexter ... Man in chapel at funeral (uncredited)

撮影はPaul Wheeler



 ミックの母親が亡くなると、ミックはを事情を告白した。もとCORBの子会社に勤めていた彼は新肥料がガンを引き起こす資料をディア博士に提供していたのだった。同性愛のポルノ雑誌に出たことを母親に暴露すると脅迫されて、ディア博士に講演の中止を依頼するつもりだったと言う。
 雨の夜、ミックの前に博士を襲ったのは誰か。学寮長と間違えたのではないか。新たに届いた嫌がらせの小包の中身は緑色のリボンだった。イモジェンは急にシルヴィを悪魔よばわりする。嘔吐物を手がかりにルイスはある人物を探り出した。そして、モースはシルヴィとイモジェンの古い写真から手がかりを得る。忌まわしくも隠された過去の暴力が明らかになったとき、悲劇が起こる。(2009年4月13日)
 「邪悪の蛇」とはミルトンの『失楽園』の一節で、真相を知った学寮長の妻ブランチ(バーバラ・リー・ハント)が「家の中には邪悪な蛇がいた」との言葉から。
 ある雨の夜、ボーフォートの学内での討論会「環境問題は党派政治を超えるか」に参加しようとしていた学寮長マシュー(ジォフェリー・パルマー)とシニア・フェローのディア博士(ディヴィッド・ニール)。忘れ物を取りに戻った学寮長は雨のなか、倒れているディアと逃げ去った若者を目撃する。ディア博士の死因は心臓発作だったが、現場にあった嘔吐物はルイスによると、学生のものではなかった。2種類のチーズを使ったキッシュが学食には無いのだ。モースは、ディア博士が討論会で公表する予定だった内容と彼の事故は関連がありそうだと考える。学寮長はCORBという農業化学の会社に投資して利益をあげていた。その会社は環境問題を引き起こして問題になっていた。問題の記事を書いた「日曜新聞」の記者シルヴィ(チェリル・キャンベル)は学寮長の養女だった。
 久しぶりに家を訪ねて来たシルヴィを夫婦は歓待するも、なにかぎこちない。夫妻の娘イモジェン(イレーネ・リチャード)はロン(ジョージ・コスティガン)と結婚した。イモジェンは神経を病んで大学を中退していた。心に傷を負ったらしいが、原因ははっきりしない。
 数学者のジェイク(トム・ウィルキンソン)は葬儀の合唱「ミゼーレ」を指揮していたが、学寮長を「インテリ強盗」と批判する。ジェイクはモースと知り合いだが、同性愛の性向があり、若者ミック(ピアース・クイグリー)をかくまっていた。ディア博士の発表直前の声を録音したテープも隠していた。
 学寮長の元には嫌がらせの小包がときどき送られてくる。クサリヘビの皮、腐った魚、羊の頭骨など。ピアニストだったブランチのところには庭師フィル(イアン・ブリンブル)の娘アマンダも習いに来ていた。モーツアルトのK313など。
 葬儀の後、雨の夜の若者ミックを取り押さえたものの、彼が行ったとき、ディア博士は既に倒れていたと言う。ジェイクはアメリカに飛び、ミックの部屋は何ものかによって放火された。モースはミックの母親(シドニー・ブレイク)が入院した病床で不審な男を発見したが、追跡の結果、取り逃がした。
 シルヴィがモースと古いアルバムを見ながら話していると、ピアノを聞きつけたフィルが怒鳴り込んでくる。彼は娘が弾いていると誤解したのだった。フィルはなぜか娘を習いに行かせるのを止めていた。
13. ラドフォード家の遺産 
#013 [4-02]
The Sins of the Fathers
1990/01/10
Screenplay:Jeremy Bernham ジェレミー・バーンハム
Director: Peter Hammond ピーター・ハモンド

Andy Bradford ... Trevor Radford
Trevor Martin ... Alan Sowden
Paul Mooney ... Pathologist
Simon Slater ... Norman Weeks
Kamilla Blanche ... Gail
Jean Ainslie ... Cleaning Lady
Kim Thomson ... Helen Radford
Noel Johnson ... Butler
Isabel Dean ... Isobel Radford
Paul Shelley ... Stephen Radford
Lionel Jeffries ... Charles Radford
Alex Jennings ... Victor Preece
Betty Marsden ... Cynthia Preece
John Bird ... Linacre
John Golightly ... Nelson
Bernard Brown ... Wheatley
San Lee ... Maid
Lisa Harrow ... Thelma Radford
Maggie Wilkinson ... Shirley
Liz Kettle ... WPC

 原題は「父親たちの罪 The Sins of the Fathers」。脚本ジェレミー・バーンハム、監督ピーター・ハモンド。

 パセティックな感覚の映画となっています。
 ビール会社の社長トレヴァー(アンディ・ブラッドフォード)が遅くまで仕事をしています。階段の途中で槌で殴られ、翌朝、醸造樽の中で死体で発見されました。経営に行き詰まっていたラドフォード社は合併推進派の弟スティーヴン(ポール・シェリー)が指揮を取ることになります。スティーヴンはもと秘書の妻シーマ(リサ・ハロウ)がありながら、トレヴァーの妻ヘレン(キム・トムソン)と親密になっていました。ところがやがて会社で何者かに襲われて、スティーヴンも殺されます。
 息子ふたりを亡くしたチャールズ(ライオネル・ジェフリーズ)とその妻イザベル(イザベル・ディーン)は重役会議を召集します。一方、トレヴァーの秘書ゲイル(カミラ・エインズリー)と交際している薬剤師ブリース(アレックス・ジェニングス)は、その母親(ベティ・マースデン)とともに何か秘密があるようです。
 スティーヴンと妻シーマの間には二人の子供がいますが、ラドフォード家の直系というと、残ったのはこの孫たちだけ。シーマは歌劇『椿姫』の音楽とともに登場する場面もあり、ヴィオレッタになぞらえられます。会社創業の頃の秘密を知っている弁護士ネルソンも殺害されて、事件は混沌としてきます。
 モースは最後に電話の「話し言葉」の口調に注目します。(2004年12月26日記)
14. 死を呼ぶドライヴ 
#014 [4-03]
Driven to Distraction
1990/01/17
Screenplay : Anthony Minghella アンソニー・ミンゲラ
Director : Sandy Johnson サンディー・ジョンソン

Julia Lane ... Jackie Thorn
Tariq Yunus ... George
Tessa Wojtczak ... Angie Howe

Patrick Malahide ... Jeremy Boynton
Richard Huw ... Detective Constable Dearden
Al Ashton ... Detective
Will Brenton ... Detective
Chris Jenkinson ... Detective
David Lonsdale ... Detective
Christopher Fulford ... Tim Ablett
Carolyn Choa ... Philippa Lau
Ken Nazarin ... Whyting Lau
Mary Jo Randle ... Detective Sergeant Siobhan Maitland
Murray Ewan ... Security Officer
Cheryl Maiker ... Paula Steadman
Malcolm Raeburn ... Martin Kass
Kate Doherty ... Driving Instructor
David Ryall ... Derek Whittaker
Jake Wood ... Jimmy
Lynne Morgan ... Sandra
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Steve Shill ... Deaf Salesman
Richard Vanstone ... Gerry Firth
James Duggan ... Prison Warden

Colin Dexter ... Man in launderette with Tim Ablett
and Angie Howe (uncredited)
Marian Montgomery ... Singer (uncredited

 原題は「Driven to Distraction」。脚本アンソニー・ミンゲラ、監督サンディー・ジョンソン。
 若い独身女性が殺される連続殺人事件が起こり、被害者二人の共通項を探索したモースは、自家用車のディ-ラーであるボイントン(パトリック・マラハイド)が犯人だと断定します。モースの乗るジャガーを女性にたとえてセールスをした彼が、モースの勘にさわったのは理解できます。しかし、証拠はありません。彼の周辺を探っていくと確かに怪しい点はあります。被害者ソーン(ジュリア・レーン)との接点もあるし、被害者の友人の女性アンジー(テッサ・ウォーツザック)に、被害者との関係に関して脅迫まがいの口留めはしていますし、女好きでもある。モースは自動車会社の隣の自動車教習所の老齢の名指導官ウィテカー(デヴィッド・ライアル)の指導を受けながら、心理戦を試みます。
 捜査に参入した犯罪心理学の女性捜査官メイトランド(メアリー・ジョー・ランドル)は、初めはモースの強引な捜査に違和感を覚えるものの、次第に被害者に対するシンパシーと犯罪に対するモースの怒りの姿勢に共感して、強引な捜査にも協力するようになります。
 そして、二人はボイントンのコンピュータ資料から、とうとう過去の類似事件を発見します。ところが、その事件の犯人は既に収監されているはずなのに、からくも助かった女性ラウ(キャロリン・チョ-)には脅迫電話が来ていました。真の犯人は街を徘徊しています。犯人の記憶がないという女性と被害者との共通項はいったい誰でしょうか。
 そんななかで第三の犠牲者ポーラ(シェリル・メイカー)が出ます。ボイントンは被害者の恋人の怒りの暴力でケガをして入院中でした。犯人ではありえません。では一体誰が?女たちが安心して自宅に招き入れる人物とはいったい誰でしょうか。 (2004年12月27日記)
15. 魔笛
#015 [4-04]
Masonic Mysteries
1990/01/24
Screenplay: Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル
Director: Danny Boyle ダニー・ボイル

Madelaine Newton ... Beryl Newsome
Ian McDiarmid ... Hugo De Vries
Celestine Randall ... Sandra Machin
Roland Oliver ... Conductor
John Arthur ... Hall Porter
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Richard Kane ... Chief Inspector Bottomley
Steven Elliot ... Officious Constable
Richard Huw ... Detective Constable Dearden
Iain Cuthbertson ... Desmond McNutt
Mark Strong ... PC Mike Butterworth
Diane Fletcher ... Marion Brooke
Ken Drury ... Norman
James Smith ... R.G. Prettyman
Jenny Howe ... Angry Neighbour
Piers Ibbotson ... Ambulance Man
Yvonne Gidden ... Yvonne
Michael Mears ... Wine Merchant
Tip Tipping ... P.C. Dene

Colin Dexter ... Man in choir next to Morse (uncredited)

第7シリーズまでの段階で「The Making of Inspector Morse」を書いた
Mark SandersonがTV作品ベスト3を選んでいる。その一篇。
 コリン・デクスター原作・原案「MASONIC MYSTERIES」(脚本ジュリアン・ミッチェル、監督ダニー・ボイル)。
 モーツアルトの「魔笛」序曲が流れるなか、車でベリル(マデリーン・ニュートン)と一緒に『魔笛』のコーラスの練習に到着したモースは、暴走運転をベリルになじられます。遅刻魔の彼女のために急いだモースでしたが。
 さて、コーラスの一員として練習が始まろうとしたそのとき、ベリルが電話で呼び出され、モースは衣裳係に胸のメダルを忘れていると指摘されます(写真参照)。メダルを探すモースは、誰かの叫び声を聞き、駆けつけると電話口でベリルが殺されていました。被害者の傍らに落ちていた包丁を拾い上げた第一発見者モースは、容疑者になってしまいます。しかも、捜査主任は、隠れフリーメーソン信者のボトムリー警部(リチャード・ケイン)です。
 モースの昔の上司で現在は神父をしているマクナット(イアイン・クスバートソン)の身も危ないようです。コンピュータを使って、モースを陥れる罠が、仕掛けられています。どうやら、モースが昔逮捕した天才詐欺師ド・フリースの仕業らしいのですが、彼は殺人はしませんでしたし、コンピュータ・データによると、留置所でもう死んでいるはずです。
 モースの自宅に発火装置がしかけられます。自動発火で、トスカニーニ指揮の「魔笛」のテープが燃え上がり、モースは「よりによって、魔笛のなかで最悪のやつだ」と批評します。宇野功芳氏のトスカニーニ大批判を連想しました。
 ベリルの同僚で、モースに理解を示している様子のマリオン(ダイアン・フレッチャー)の、ラストの変貌が素晴らしい迫力です。
 ルイス部長刑事はモースに薦められて、ベリル追悼公演『魔笛』を妻と見に行きます。終幕寸前に会場から出てきたルイスは「セリフは聞き取れないし、いったい何が面白いんだか」と不審顔です。それを遠くからモースが目撃していました。『魔笛』はドイツ語だし、セリフが理解できても支離滅裂な物語ですからね。(2003年5月30日記)
16.メアリー・ラプスレイに起こったこと
#016 [5-01]
Second Time Around
1991/02/20
Screenplay: Daniel Boyle ダニエル・ボイル
Director: Adrian Shergold エイドリアン・シェアゴールド

[一行解説] 少女の殺人が数年後に、気難しい同僚の到着で再び幕を開く。

Jenny Laird ... Mrs. Keelan
Oliver Ford Davies ... Frederick Redpath
Kenneth Colley ... Detective Chief Inspector Patrick Dawson
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Maurice Bush ... Charlie Hillian
Ann Bell ... Catherine Dawson
Mark Draper ... Angry Policeman
Simon Adams ... Incontinent Policeman
Pat Heywood ... Mrs. Mitchell
Christopher Eccleston ... Terrence Mitchell
Peter Waddington ... Pathologist
Liz Kettle ... WPC
David Baukham ... Desk Sergeant
Adie Allen ... Barbara Redpath
Sam Kelly ... Walter Majors
Claude Le Saché ... French Man
Pamela Stirling ... French Woman
Shahnaz Pakravan ... Doctor
Robert Goodale ... Reardon
Helena McCarthy ... Rose Lapsley
Graeme Du-Fresne ... Photographer
Matthew Green ... DoE Official
Neale McGrath ... Cowan
Peter Gordon ... Parks
Simon Coady ... Street Preacher

Russell Kilmister ... John Mitchell

Colin Dexter ... Man at Trout Inn when Morse
meets Barbara Redpath (uncredited)
Karl Jenkinson ... Turnkey (uncredited)
 原題 Second Time Around。二度目の正直といった意味でしょうか。脚本ダニエル・ボイル、監督エイドリアン・シェアゴールド。
 割合に近接ショットが多く、心理的な家族劇の局面を描き出しています。

 大きな屋敷から家政婦が出て来る。留守になった屋敷に男が訪ねてくる。男は逡巡しているが結局、家に入らず立ち去って行く。
 警視副総監ヒリアン(モーリス・ブッシュ)の退任パーティが開かれている。モースはかつての同僚だったドーソン警部(ケネス・コリー)と話している。彼ヒリアンはタカ派的見解の持ち主。
 酔ったヒリアンを自宅(あの大きな屋敷だ)に送り、ソファーに寝かし、ドーソン夫妻は帰宅する。何者かが侵入してきてヒリアンの回想録の原稿を探す。気づいたヒリアンと争いになり、投げられたヒリアンは床で頭を打って死亡する。侵入者は原稿の一部を奪い取って去る。
 奪われた原稿は18年前のメアリー・ラプスレイという少女の殺人事件に関係する部分だった。車を目撃された男が容疑者として捕まる。少女殺人事件のときの容疑者でもあったレッドバス(オリヴァー・フォード・ディヴィス)だった。回想録が出版されると未解決の事件の犯人として再び自分が嫌がらせを受けるのではないかという怖れからの犯行という見かたが支配的ななか、ドーソン警部は彼は犯人ではないという確信を持っているようだった。彼の妻(アン・ベル)は夫の直情径行を心配している。
 捜査の指揮官はモースだが、ドーソン警部の助言も参考にしながら、調査していくうちに、モースは少女の隣人ミッチェル家(母パット・ヘィウッド、息子クリストファー・エクルストン)と、少女の正体不明の父親に注目する。
 もつれた糸をほどくと、子供に対する親の愛情があぶり出されてくるのだった。 (2005年2月25日記)
17 ファット・チャンス
#017 [5-02]
Fat Chance
1991/02/27
Screenplay: Alma Cullen アルマ・カリン
Director: Roy Battersby ロイ・バタースビー

[一行解説] 有望な女性聖職者の死亡は、やせ薬療法とのなんらかの繋がりと関係する教会内部の男女の激しい争いに光を当てる。

Maurice Denham ... Lance Mandeville
David Gant ... Geoffrey Boyd
Julian Gartside ... Desmond Kelly
Caroline Ryder ... Dinah Newberry
Zoë Wanamaker ... Emma Pickford
Maggie O'Neill ... Hilary Dobson
Sarah Carpenter ... Victoria Hazlett
Una Brandon-Jones ... Nadine Stacey
Arbel Jones ... Jane Barnes
Nicholas Selby ... Dr Corder
Eileen Dunwoodie ... Mrs Gardam
Kenneth Haigh ... Freddie Galt
Tilly Vosburgh ... Irene Saunders
Alan Starkey ... Rowlands
Ben Onwukwe ... Doctor
William Roberts ... Hank Briardale
Dorothea Alexander ... Mrs Hulme
Badi Uzzaman ... Chip Van Owner
Josephine Welcome ... Judy
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Maureen Bennett ... Val Lewis
Peggy Mount ... Nun

Colin Dexter ... Man in college grounds
when Hilary Dobson goes in for interview (uncredited)
 原題 Fat Chanceは「太る機会」といった意味。脚本アルマ・カリン、監督ロイ・バタースビー。
 カメラ・アイは目撃者の目線で的確な動きをしています。聖職者の牙城で殺人事件が起き、司祭に女性を認めない派閥とのトラブルが明るみに出ます。一方、減量協会の会社幹部も事件に関係しているようです。モースは女性の悩みを聞く活動団体パックスのリーダー、神学者のエマ(ゾイ・ワナメーカー)に魅かれていきます。
 冒頭、ミサが行われています。参加者はクラッカーとワインを口にします。その後、学位の追試験を受験するヴィクトリア(サラ・カーペンター)は試験の途中で急に昏倒し、死んでしまいます。同時にヴィクトリアの仲間ヒラリー(マギー・オニール)の部屋が荒らされ、二人の資料が持ち去られます。部屋から書類を盗んだのは学寮の用務員に化けた減量会社シンク・シン社の社長でした。彼は資料を焼却炉で燃やしてしまいます。
 ヴィクトリアは毒殺されたのではないか。女性の聖職者の誕生を心よく思わない現司祭(モーリス・デナム)やボイド師(デヴィッド・ガント)や後継者に立候補しているケリー(ジュリアン・ガートサイド)によって。そんな疑いが強まります。
 一方、ヴィクトリアが悩みを聞いていたダイナ(キャロライン・ライダー)は過食症になり、パックスの寮を出てしまいます。司祭の後任に立候補しているヒラリーの自転車のブレーキが切断され、偶然借りたヴィクトリアが事故にあって怪我をしたこと、学位の本試験が受験できなくなり、追試験の準備で監視がされていたこと、したがって彼女に毒をもることが不可能だったことなどが分ってきます。しかし、事故の後遺症の痛みを抑えるために彼女は鎮痛剤を飲んでいました。その鎮痛剤になにか不審な薬物があったのではないか。処方したハンク教授(ウィリアム・ロバーツ)は何も出なかったというものの、教授はやせ薬の会社の顧問をしている怪しい人物です。
 事件後、行方をくらましたボイド師、家出したダイナなど手がかりを持つ人物を欠くままで、推理を進めざるを得なくなります。ボイド師の秘密の部屋でヴィクトリアとの情事が行われていた証拠や、新陳代謝を上げるやせ薬の試験薬が研究所から盗難にあっていたこと、減量会社の減量女王のリバウンドを徹底的に隠す工作が行われていたことが次第に判明してきます。
 教会の女性敵視と戦う女性たちに理解を示すモース警部。(2005年2月27日記)
18 誰がハリー・フィールドを殺したのか
.#018 [5-03]
Who Killed Harry Field?
1991/03/13
Screenplay: Geoffrey Case ジィフェリー・ケイス
Director :Colin Gregg コリン・グレッグ

[一行解説] 地方の画家、修復者、享楽者のハリー・フィールドが殺されるが、凡庸な画家を殺したいといったい誰が思うだろうか。ルイスは主任警部への昇格を考慮する。モースは明らかに狼狽する。

Trevor Byfield ... Harry Field
John Castle ... Tony Doyle
Geraldine James ... Helen Field
Nicola Cowper ... Jane Marriot
Steve Payne ... Sergeant Taylor
Andy Mulligan ... Gordon Collins
Helen Lymbery ... Barmaid
Sean Cranitch ... Patrol Man
David Belcher ... Landlord
Maureen Bennett ... Val Lewis
Philip Locke ... Freddie Mortimer
Veronica Lang ... Julia
Ronald Pickup ... Ian Matthews
Freddie Jones ... Harry Field Senior
Vania Vilers ... Paul Eirl
Jeremy Clyde ... Roger McMill
Dicken Ashworth ... George Drummond
Anna Patrick ... Eirl's Secretary
Stephan Grothgar ... Carl
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Brian Lipson ... McCabe

Colin Dexter ... Man in group when Ian Matthews
presents Morse with postcard (uncredited)
 第18話「誰がハリー・フィールドを殺したのか?」(脚本ジェフリー・ケース、監督コリン・グレッグ)では、モースは中年の酔いどれ画家ハリーが殺された事件を捜査する。
 ハリーは贋作を描いていたようだった。被害者に共感が持てない設定で展開が苦しい。(2006年5月5日記)

[ビデオ解説] ハリー・フィールド(トレヴァー・バイフィールド)は饒舌でヘビー・ドランカーの中年の画家だった。彼が行方をくらまして一週間後に、町からかなり離れた場所で頭に傷を受けた死体で発見された。彼の混乱した生活ぶりを象徴したような死に方だった。モースとルイスは捜査の過程でハリーの妻ヘレン(ジェラルディン・ジェームズ)、同じく画家のハリーの父親(フレディ・ジョーンズ)、そしてボヘミアン的なハリーの友人たち、富裕で絵画コレクターのポール・アール(ヴァニア・ヴィレーズ)と出会う。彼らはいずれもハリーの絵画制作に関係していて、しかも、ハリーは有名絵画の模倣作品を描いていたようだった。モースの疑惑は特にポール・アールに向けられていく。

19. ギリシャ人の贈り物
#019 [5-04]
Greeks Bearing Gifts
1991/03/20
Screenplay: Peter Nichols ピーター・ニコルス
Director: Adrian Shergold エイドリアン・シェアゴールド

James Hazeldine ... Digby Tuckerman
Mike Kremastoules ... Nicos Capparis
Andreas Markos ... Mr Papas
Eileen Way ... Mrs Papas
Jan Harvey ... Friday Rees

Stephen Holland ... Young Husband
Edda Sharpe ... Young Wife
Maureen Bennett ... Val Lewis
Andrew Kazamia ... Dinos Papas

James Faulkner ... Basilios Vasilakis
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Eve Polycarpou ... Jocasta Georgiadis

Martin Jarvis ... Randall Rees
Richard Pearson ... Jerome Hogg
Elvira Poulianou ... Maria Capparis
Carole Ashby ... Laura

Jonny Lee Miller ... Student
Lucy Meacock ... Daisy
Emma Cunningham ... Student Union Official
Ian Sharp ... First Angler
Rosalind March ... Susie Tuckerman
Rebecca Lamb ... Mother's Help
Sarah Bullen ... Mrs Vasilakis

Colin Dexter ... Man in college porter's lodge
when Morse leaves after dinner with Jerome Hogg (uncredited)
 モース警部シリーズ第19話「ギリシャ人の贈り物 Greeks Bearing Gifts」。脚本ピ-ター・ニコルス、監督エイドリアン・シェアゴールド。
 ギリシャ人のレストラン・シェフ、ニコスが夜の訪問者に首を折られて殺されます。ルイス部長刑事のギリシア語の先生(イヴ・アダム)の通訳の助けを借りながら捜査は進みます。葬儀に駆けつけたニコスの妻マリアも連れていた幼児と共に行方不明となります。
 ギリシア・コミュニティの有力者ヴァシラキス(ジェイムズ・フォークナー)やガレー船の復元で儲けようと企む事業家タッカーマン(ジェイムズ・ヘーゼルダイン)、その研究者ランドル(マーティン・ジャーヴィス)、ランドルの妻でテレビの人気キャスター・フライデー(ジャン・ハーヴェイ)など、いろいろな人に会ううちにモースは真相に近づいていきます。
 被害者も容疑者も一年前のギリシアでのテレビの特別番組に出演していたことが分ってきます。
 事件の鍵は幼児でした。意外な真犯人が最後に明らかになります。最初は横柄に見えるモースを次第に会う人々が理解していく過程に興味深いものがあります。

(2006年5月5日記)
20. 約束の地
#020 [5-05]
Promised Land
1991/03/27
Screenplay: Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル
Director: John Madden ジョン・マッデン

James Grout ... Chief Superintendent Strange
Con O'Neill ... Paul Matthews
Philip Anthony ... Newspaper Editor
Kevin Leslie ... Barman
Bill Young ... Farmer in Ute
Vanessa Patterson ... Karen Harding
Rhondda Findleton ... Anne Harding
Marie Armstrong ... Sash - Nursing Home Matron
John Jarratt ... Sergeant Scott Humphries
Maureen Green ... Sal - Nurse

Noah Taylor ... Dave Harding

Paul Hunt ... Shearing Foreman
Max Phipps ... Detective Inspector Glenn McAllister
Peter Browne ... Detective Gary Warrender
Shayne Foote ... Barmaid

第7シリーズまでの段階で「The Making of Inspector Morse」を書いたMark SandersonがTV作品ベスト3を選んでいる。その一篇。
 「完全ガイド」を書いたBishopがベストに推す。番組のピークを示す傑作であると評価。
 コリン・デクスターの原案の主任警部モース・シリーズ第20作「約束の地 Promised Land」、脚本ジュリアン・ミッチェル、監督は『恋に落ちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。

 黒の葬儀車が墓地に入る。遠巻きに監視する警察官。ギャングのファミリーのひとりピーター・マシューズの葬儀ですが、死因は刑務所内での感染によるエイズで病死。さらに問題なのはピーターが有罪となった銀行襲撃事件が実は冤罪だったのではないかという情報でした。
 十年前の密告者ケニー・スコットは名前をマイク・ハーディングと変えてオーストラリアに移住していました。葬儀に参列したメンバーにギャングの大物の部下がいたことから、新たな情報を求めて、銀行襲撃事件の捜査担当だったモースは、マイク探しにオーストラリアまで行くことになります。
 ヘレフォードという田舎町に着いてみると、マイクは家を出て不在でした。マイクの妻アン(ロンダ・フィンドルトン,写真右)は何かを隠している様子。老人ホームに入居していたアンの母は突然の訪問者に脅迫されます。アンの娘カレンが誘拐され、誘拐犯からは「父の所在を教えろ」というメッセージが来ます。
 地元の警察はスコット刑事(ジョン・ジャラット)をはじめ、部外者のモースに協力的ではありません。刻々と時間が無くなっていくなかで、モースとルイス部長刑事は努力するものの、事態は悪化していきます。証言の嘘やその原因も明らかになります。
 冤罪の犠牲者はもちろん、死者を増やしたくないというモースの懸命の努力も水の泡になり、「約束の地」が決して幸福をもたらしていなかったという暗い結末に終わります。シドニーを去る前の日にかねてからの予定通り、歌劇『ばらの騎士』を鑑賞に向うモースの足取りはいつにもまして重いものでした。

 ジョン・マッデン監督は最後の銃撃戦までは、ほとんどアクションも殺人もない淡々とした展開を丁寧に見せていきます。マッデンはモース・シリーズでは『森を抜ける道』も担当していて、これも佳篇でした。第12話『邪悪の蛇』も第21話『デッド・オン・タイム』もマッデンです。(2007年1月27日記)。
21. デッド・オン・タイム
#021 [6-01]
Dead on Time
1992/02/26
Screenplay: Daniel Boyle ダニエル・ボイル
Director: John Madden ジョン・マッデン


Brendan O'Hea ... Telecom Engineer
David Haig ... Peter Rhodes
Susan Jane Tanner ... Nurse Rogers
James Walker ... Henry Fallon
Martyn Waites ... Duty Constable
Thomas Craig ... Desk Sergeant
Roger Frost ... Photographer
James Grant ... McGregor
Richard Pasco ... William Bryce-Morgan
Joanna David ... Susan Fallon
Lesley Vickerage ... WPC
Christopher Owen ... Solicitor
Richard Hampton ... Coroner
Tony Mathews ... Pathologist
Samantha Bond ... Helen Marriat
Adrian Dunbar ... Dr. John Marriat
James Grout ... Chief Superintendent Strange

Dominic Keating ... Murray Stone
Alexander John ... Court Official
Vincent Pickering ... Telephone Exchange Man
Greer Gaffney ... Henrietta Fallon
Michael Tomlinson ... Constable

Colin Dexter ... Man at Reception After Schubert
Concert (uncredited)
 主任警部モース・シリーズ第21作「デッド・オン・タイム」とは“まさに死にどき”というような意味でしょうか。脚本ダニエル・ボイル、監督ジョン・マッデン。
 「約束の地」が結婚の悲劇だったのに続いて、夫婦の悲劇です。
 車椅子の老人のいる家で電話器の修理が行われています。電話はすぐに直って老人はロンドンの妻に電話をかけています。通いの看護婦が帰宅するのと同時に一台の車がやって来ました。しばらくすると、老人は机につっぷしていました。頭の近くにピストルが置いてあります。傍で男が一人泣いています。
 検死審問で老人ヘンリーの死は自殺と判定されました。手に硝煙反応もありました。不治の病にかかっていたのです。モースは若い頃の婚約者スーザン(ジョアンナ・ディヴィッド,写真)と再会することになります。オックスフォード大学時代の法学の教官ヘンリーの妻がスーザンだったのです。ヘンリーのかかりつけの医師マリオットが重要な証言を伝えてきました。ヘンリーは手足が不自由で自分では銃の引き金を引く力は無かったというのです。第一発見者であるピーター(デヴィッド・ヘイグ)が殺人容疑者となりました。ピーターはスーザンの娘の夫ですが、十年前に娘と孫は交通事故で死亡していました。ピーターの骨董店の経営は行き詰まっていましたので、融資を当てにした殺人でしょうか。
 証言をした医師は尊厳死のスポークスマンで、医師の美人妻ヘレン(サマンサ・ボンド)はピーターと恋人関係にあるようです。ヘンリーの遺言が開示されるとその内容は驚くべきものでした。スーザンの兄ウィリアム(リリャード・バスコ)に一部を遺し、残りはすべて尊厳死協会に寄付するというのです。妻には一銭も遺されていません。
 ヘンリーはやはり自殺したのでしょうか。自殺幇助者がいたとしたら、それは一体誰なのでしょう。ルイス部長刑事は独自の捜査から真相に近づいていきます。スーザンに恋するモースの目はやや曇っているようです。ほとんど活劇場面の無い、淡々とした人間関係の劇で、この物語も救いのない結末を迎えます。(2007年2月3日記)
22. ハッピー・ファミリー
#022 [6-02]
Happy Families
1992/03/11
Screenplay: Daniel Boyle ダニエル・ボイル
Director: Adrian Shergold エイドリアン・シェアゴールド


Sukie Smith ... Lorraine
Gwen Taylor ... Margaret Cliff
Martin Clunes ... James Balcombe
George Raistrick ... Sir John Balcombe
Jonathan Coy ... Harry Balcombe
Andrew Ray ... Alfred Rydale
Anna Massey ... Lady Emily Balcombe
Mark Draper ... Constable
Rupert Graves ... Billy
Jamie Foreman ... Chas
Liz Kettle ... WPC
Alun Armstrong ... Superintendent Holdsby
Tony Guilfoyle ... Journalist One
Sophie Heyman ... Woman Journalist
Charlotte Coleman ... Jessica White
Robert Demeger ... Forensic Scientist
David Baukham ... Police Sergeant
Ralph Nossek ... Professor Joshua Masterson
Daniel Mitchell ... Journalist Two
Richard Ireson ... Pathologist
Jan Van Hool ... Receptionist
Dorian MacDonald ... Constable
Beryl King ... Nottingham Lady
John Styles ... Punch & Judy Man

Colin Dexter ... Tramp Drinking from Bottle Near
Mitre Pub (uncredited)
モース・シリーズの第22作「Happy Families」、日本語題名は家族が単数ですが、英題名では複数形。ということは幸福な(むろん逆説である)家族が複数あるということです。脚本ダニエル・ボイル、監督エイドリアン・シェアゴールド。監督は第16話「メアリー・ラプスレイに起こったこと」に次ぐ2度目の登板。
 富豪サー・ジョン・バルコム(ジョージ・レイストリック)の館では妻エミリー(アンナ・マッセイ,小写真下)の誕生日を祝っていました。息子のハリー(ジョナサン・コイ)とジェームズ(マーティン・クルーンズ)や、友人のマーガレット(グウェン・テイラー,小写真上)とアルフレード(アンドリュウ・レイ)も同席しています。友人たちは先に帰宅し、家族だけになりましたが、険悪な会話が交わされます。エミリーは友人に夫と子供を「あの三人の悪魔」と表現していました。
 その後、エミリーは夫ジョンが殺されているのを発見します。捜査に駆けつけたモースとルイスは家族が悲嘆を見せていないのを奇異に感じます。
 富豪の死はマスコミの関心を呼び、ストレンジ警視正が出張中のため、捜査の指揮をとったホルズビー警視(アルン・アームストロング)は自分の昇進に傷がつかないよう、モースに全力での捜査を命じます。記者会見で新聞記者に尊大な態度を取るモースは、オックスフォード大学中退の屈折した記者の関心を引き、この記者はカメラマンと二人(中写真)でモース個人を尾行し、モースに焦点を当てた記事を書きつづけます。
 ジョンの凶器は石工が使う石斧でした。凶器と一緒にモントリオール製のペンも発見されました。家族のうちでカナダに行ったことがあるのはハリーだけ。しかし、ハリーは仕事でトロントに行っただけと主張します。一方、マーガレットの15歳の養女ジェシカ(シャーロット・コールマン)が突然「自分は潔白だ」と主張しに警察に出頭します。心理学博士のマーガレットの患者だった彼女は生みの親にも里親にも捨てられて自暴自棄になっていたところをマーガレットのカウンセリングで救われて落ち着いた状態だったのですが、異常事態でパニックになってしまったようです。
 捜査に進展のないまま、長男のハリーが溝で首の骨を折られて発見される事件が起こります。ハリーの胸には「S.M.」のナイフが突き立てられていました。家族には心当たりがないということですが、どうやら何か隠しているようです。やがて会社の相続人となった次男も庭にスコップを持って出たところを何者かに銃撃されて殺害されます。エミリーは会社を手放す決意をしました。夫や息子との愛のない生活も終わってかえって安らぎを得たようです。
 モースは捜査員に庭を掘らせます。あてのない捜査でしたが古い人骨が出て来ます。20年前に殺害された男の骨でした。今回の事件の背後には復讐がからんでいるようです。20年前の被害者はバルコム家で仕事をしていた石工でした。突然失踪したというのです。その兄ももう亡くなっていました。捜査は再び行き詰まってしまい、モースは捜査から外されます。しかし、ちょうど警察官が市民とふれあう警察祭で、ふと古本を手にとったモースは真犯人に気が付きます。真犯人に話を聞くなかで、モースはもうひとつの重大な悲劇を予想します。(2007年2月10日記)
23. イタリアの事件
#023 [6-03]
The Death of the Self
1992/03/25
Screenplay: Alma Cullen アルマ・カリン
Director: Colin Gregg コリン・グレッグ

Michael Kitchen ... Russell Clark
Christopher Hunter ... Andreas Heller aka Louis Picard
Julia Goodman ... May Lawrence
Kate Harper ... Patti Wilcox
Frances Barber ... Nicole Burgess
Alan Rowe ... Alistair Haines
Jane Snowden ... Maureen Dyson
Jane Wenham ... Judith Haines
Peter Blythe ... Kenneth Lawrence
Allan Mitchell ... Coroner
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Cesare Landricina ... Driver Ponso
Georges Corraface ... Claudio Battisti
Jolyon Baker ... Guido Ventura
Georgio Serafini ... Tomaso Salafia
Tatyana Colombo ... Piera Conti
Valeria Fabbri ... Nicole's Dresser
Janis Kelly ... Nicole's Singing Voice (voice)

Colin Dexter ... Man three seats to Morse's left
in closing opera scene (uncredited)
Sheila Hancock ... (uncredited)
 モース・シリーズの第23作「The Death of the Self」、脚本アルマ・カリン、監督コリン・グレッグ。「自己の死」の「自己」とはセラピーのクラブの金持ちの会員のこと。

 「過去を焼き捨てよ」との合言葉で数人の男女がそれぞれの思い出の品を焚き火に投げ込んでいます。サイコ・セラピーのクラブの儀式のようです。儀式を終えて一人の女性ジュディス・ヘインズ(ジェイン・ワイナム)が夫を探しに来ました。その老女は木に串刺しになっている女性の死体を発見します。
 事故死とされたその事件の死んだ女性メイの夫ケネス・ロレンス(ピーター・ブライス)がオックスフォードで「脅されていた」と証言して、再捜査が必要となります。ケネスはその後ヴェンチェンツィアに行ってしまったため、モースとルイスは照会のため、イタリアへの出張を命ぜられることになります。事件のあったクラブを経営していたのは、以前モースが逮捕したことのある詐欺師ラッセル・クラーク(マイケル・キッチェン)でした。
 会員には元オペラ歌手のニコール(フランセス・バーバー、写真左)や大学教授アリステア・ヘインズ(アラン・ロウ)、金持ちのパティなどがいます。モースたちは事故死で決着した地元のバッティスティ刑事(ジョルジュ・コッラファース)に迷惑がられながらも、少しずつ真相を明らかにしていきます。復活をかけるソプラノ歌手ニコールのメイクはマリア・カラス風で、ラストのコンサート会場は野外のアレナ・デ・ヴェローナ劇場。(2007年2月10日記)
24 有罪判決
#024 [6-04]
Absolute Conviction
1992/04/08
Screenplay: John Brown ジョン・ブラウン
Director: Antonia Bird アントニア・バード

Sean Bean ... Alex Bailey
Diana Quick ... Hilary Stephens
Richard Wilson ... Brian Thornton
David Fielder ... Prison Chaplain
Tony Steedman ... Lawrence Cryer

Susan Doran ... Young Doctor
Luke Williams ... George Newcombe

Robert Pugh ... Geoff Harris - Prison Officer
Cheryl Hall ... Laura - Secretary
David Howey ... Dr. James Archer - Prison Doctor
James Aubrey ... Pathologist

Steven Mackintosh ... DS Cheetham

Jim Broadbent ... Charlie Bennett
Suzanna Hamilton ... Emma Cryer

Pete Lee-Wilson ... Paul - Journalist
Paul Dalton ... Rob - Photographer
Richard Hampton ... Coroner
Susan Withers ... Court Usher

Jonathan Firth ... Peter Thornton
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Philip Davis ... Roland Sherman aka Harold Manners
Sue Johnston ... Mrs. Bailey
Kevin Walsh ... Andy Metcalfe
June Watson ... Mrs. Harris
Preston Lockwood ... College Chaplain
Georgia Mitchell ... Doctor in Casualty

Colin Dexter ... Man in prison church when
Brian Thornton preaches (uncredited)
Barrington Pheloung ... Choir Master (uncredited)

 刑務所の中でタイプを打つ若い囚人(ショーン・ビーン)が部屋に鍵をかけられたのに怒って、タイプライターを窓に投げつける。囚人に注意する女所長ヒラリー(ダイアナ・クィック)が「ベイリーさん」とさんづけするのが、看守のジェフ(ロバート・パフ)には気に入らない。ベイリーが自分の独房に戻ると、クライヤー(トニー・スティードマン)が倒れていた。傍には共犯だったブライアン(リチャード・ウィルソン)がいた。
 ファーンリー刑務所では所長が囚人の責任感と自尊心をはぐくむ方針で解放的な運営を行っていたが、それには批判もあった。クライヤーは強く殴られて心臓発作を起こしたため殺人の線で捜査を始めたモースだったが、所長は警察の介入が拘束を強めると警戒する。囚人のひとりベネット(ジム・ブロードベント)はモースに関心を示す。若く頭脳明晰な捜査官チータム(スティーヴン・マッキントッシュ)がモースに協力する。
 ベイリーとクライヤー、ブライアン・ソーントンは企業家で投資を進め、地価暴落で出資者に大損をさせた詐欺罪で収監されていた。クライヤーの妻エマ(スザンヌ・ハミルトン)はソーントンの息子ピーター(ジョナサン・ファース)と愛人同士。ベイリーは刑務所内から予想屋シャーマン(フィリップ・ディヴィス)に看守ニューカム(ルーク・ウィリアムズ)を使って情報を送らせていた。ベイリーの妻アニー(スー・ジョンストン)はベイリーに面会に来ない。チータムが違法な盗聴でベイリーとシャーマンの連絡の情報を知らせに来た時にモースはシェイクスピアの戯曲集を見ながら弦楽合奏曲を聞いている。チータムは「シューベルトですね」と言う。「死と乙女」か?
 モースは隠し金に関連する仲間割れの可能性を探る。ルイスは詐欺の被害者が国内にも地元にもいることをつきとめる。ベイリーは刑務所内で国内発の脅迫状を受け取っていた。アンディ(ケヴィン・ウォルシュ)の兄はムショ暮らし、ハリス婦人(ジューン・ワトソン)の息子は看守のジェフだった。
 ベネットを街で見かけたモースは追跡するが、なんのことはない。出所が近いので毎日2、3時間の外出訓練中だったのだ。ベネットは妻を殺した罪で16年の懲役。だが、「無実だ」と言う。取り調べのとき、モースがコーヒーを進めて「ミルクがないんだがいいかな、ベネットさん」と声をかけてくれたのを覚えていると言う。BGMに歌劇『フィガロの結婚』の伯爵夫人のアリア「楽しき思い出はどこへ Dove sono」が使われている。
 ベイリーが毒物を注射されて死にかける。注射器がトンプソンのロッカーから見つかった。追及するが、トンプソンは殺人は自分ではない。殺したら番号がわからないから意味がないと告白する。チータムはトンプソンの口座番号の供述から700万円の隠し金を発見する。ベイリーはクライヤー用の心臓の薬を妻の贈ったチョコに仕込まれて毒殺されそうになったことが判明する。チョコに接近した看守ジェフが疑われる。しかし、彼は脅迫状を認めたが、殺人はしていないと言う。モースはベネットの事件資料から突然、新聞のクロスワードを見て、アナグラムに気がつく。ベネットが言う真犯人ハロルド・マナーズの正体は? モースは「金に気をとられて、人の姿が見えなかった」と反省するが、時は既に遅く、裁きは終わっていた。
 所長に捜査終了の挨拶をするモース。所長は「内務省から呼び出された。敵に攻撃材料を与えてしまったようね、次(の仕事)はなさそう」と答えて別れを告げる。(2009年4月13日)
25. ケルビムとセラフィム 
#025 [6-05]
Cherubim and Seraphim
1992/04/15
Screenplay: Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル
Director: Danny Boyle ダニー・ボイル

Liza Walker ... Vicky Wilson
Jason Isaacs ... Dr. Desmond Collier

Charlotte Chatton ... Marilyn Garrett
Charlie Caine ... Charlie Paget
Anna Chancellor ... Sally Smith
Freddie Brooks ... Jacko Lever
Sorcha Cusack ... Joyce Garrett
Edwina Day ... Gwen Morse
Celia Blaker ... Nurse
Matt Terdre ... Ken Lewis
Glen Mead ... Wayne Garrett
Phillip Joseph ... Keith Garrett
Isla Blair ... Janey Wilson
Christopher Benjamin ... Professor Furlong
James Grout ... Chief Superintendent Strange
John Junkin ... Chief Inspector Holroyd
Larrington Walker ... Charley Lever
Doreen Ingleton ... Annie Lever
Charlie Roe ... Mr. Greenhill
Anita Wright ... Mrs. Venables
Cinnamon Bone ... Lyn Lewis

Tania Rodrigues ... Teacher
Simon Gilbey ... Boy in Class
Kay Clayton ... Lady on Video
David Meyer ... Dr. Hallett
Rosalind Boxall ... Hilary Lane
Bill Wallis ... Dr. Hayward
Paul Brightwell ... Bristowe
David Baukham ... Desk Sergeant
Louise Beattie ... Lizzy Haines
Ian Reddington ... Oakley - Estate Agent
Natasha Pope ... Bristowe's Girlfriend
Michael Parkinson ... Tom - Patrolman

Colin Dexter ... Man next to Dr. Collier
at presentation (uncredited)
Julian Mitchell ... Publican (uncredited)
 モース・シリーズの第25作「Cherubim and Seraphim」は開発中の興奮剤の名前。脚本ジュリアン・ミッチェル、監督ダニー・ボイル。ボイル監督は第15話「魔笛」に次いでの担当。

 若者がディスコ・パーティで踊っています。早朝に帰宅する二人の少女、マリリンとヴィッキーはすっかり興奮。マリリンが野外で錠剤を飲んでいる様子がロングでとらえられます。
 モースの義理の妹ジョイス(ソーチャ・キューザック)から娘のマリリンが自殺したことが知らされます。彼女が薬で自殺する心あたりはまったくありませんでした。モースは休暇を取って個人的に調べ始めます。友人のヴィッキー(ライザ・ウォーカー)にも尋ねますが分りません。捜索願いが出された別の十代の少年も鉄道自殺をしていたことが分りました。胃袋から未消化の錠剤が出てきました。しかし、その成分がどう機能するのかは不明でした。一帯で三人の若者の自殺。共通項はなんでしょうか。
 成分秘密の薬物を開発していたのはコリアー博士(ジェイソン・アイザックス)。マウスの協調的・平和的行動を解発する薬物を合成したようです。土曜日に研究室に鍵をかけ忘れたので錠剤が盗られたかもしれないと言います。翌週の土曜日、懸命の捜査でパーティ会場をつきとめた捜査官たちは強烈な音楽で踊る若者の大集団を目にします。彼らが飲んでいるものは水のようです。いや、何人かはなにか錠剤を飲んでいます。
 飲むと至福の昂揚感を与えてくれる薬物、しかし、それは現実に対する失望を大きくする薬でもあったのです。

 これで録画と中古ビデオで入手できたモース・シリーズはすべて見ました。見られなかった作品は第4話「ウィルバーコートの留め具」、第10話「欺かれた過去」、第12話「邪悪の蛇」、第24話「有罪判決」の4作品。
(2007年2月12日)
26. アヴリルの昏睡
#026 [7-01]
Deaddly Slumber
1993/01/06
103分
Screenplay: Daniel Boyle ダニエル・ボイル
Director: Stuart Orme スチュアート・オーム

Carol Starks ... Jane Folley
Jason Durr ... John Brewster
Janet Suzman ... Dr. Claire Brewster
Richard Owens ... Dr. Mathew Brewster
Jestyn Phillips ... Card Player
Adam Maxwell ... Policeman

Ian McNeice ... Pathologist
Robert Swann ... Mark Felsham
David Goudge ... Policeman
Lou Wakefield ... Forensic Scientist

Brian Cox ... Michael Steppings
Patrick Godfrey ... Dr. Greer
Penny Downie ... Nurse Wendy Hazlitt
Connor Byrne ... Constable Willis
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Timothy Morand ... Mr. Hart - Pub Landlord
Su Elliot ... Mrs. Hart
Peter Aubrey ... Sergeant Benson
Jenny Lynch ... WPC
Nick Haverson ... Operator (as Nicholas Haverson)
Charlie Hawkins ... Policeman
Kate Hillier ... Nurse
Peter Leafe ... Caretaker
John Bett ... Thomas Neely
Fiona Farley ... Fingerprint Officer
Keith Hazemore ... Policeman
Martin East ... Policeman
Sarah Souster ... Nurse

Colin Dexter ... College porter showing Morse and
Lewis to John Brewster (uncredited)
 モース警部シリーズがDVD化され始めました。第一弾は第26話から第33話(最終話)までの8枚ボックス仕様。発売は日本クラウン。私としては、今後の後続発売を実現するためにも、まずこの第一弾のボックスは購入しなければなりません。ちょうど26話~28話は見ていませんし。

 「アヴリル」はブックメイカー(競馬の賭け屋)で儲けたマイケル(ブライアン・コックス)の娘の名前です。医療ミスによる昏睡を続けています。医療ミスをしたクリニック(病院)の経営者マシュー(リチャード・オーエンス)が、自宅のガレージで殺害されたのです。原題は Deadly Slumber(死んだような昏睡)。
 脚本ダニエル・ボイル;16話(メアリー・ラプスレイに起こったこと)・21話(デッド・オン・タイム)・22話(ハッピー・ファミリー)・27話(サタンが巣くう日)、監督は初登板のステュアート・オーム。
 容疑は裁判ではミスが認められなかったもののマシューに脅迫状を送っていたマイケルを始めとして、医師にならずに哲学科の学生で医師の息子ジョン(ジェイソン・ダー)、持病の心臓病が悪化しつつある医師で妻のクレア(ジャネット・スズマン)、そして医師の愛人だった看護婦ハズリット(ペニー・ダウニー)と、広がっていきます。犯人と思われた人間が自供までしながら、実はその証言は嘘だったりして、事件は複雑さと混迷を深めます。
 モースの自宅ではモーツアルトのピアノ協奏曲第23番が、妻クレアの部屋ではベートーベンのピアノソナタ第31番が使用されていました。TV化されたモース作品でのモーツアルトの偏重は、音楽を監修したバリントン・フェーロンの考え方が影響しているそうです。
 フェーロン(右写真)はこう語っています。「デクスターはモースが原作のワーグナー好きからモーツアルトに変わったことで嘆いたという。それに対して私は、もしモースがクラシカルミュージックの真の愛好者なら必ずモーツアルトに帰る筈であると信じた。モーツアルトは明快で独創的であり、あらゆる作曲家の頂点の存在だ。仕事に疲れた人間が聞くのはモーツアルトである。私は何回もモーツアルトのトリオやオペラを聞くように話した。音楽は人間としてのモースを何ものにも増して表現できるものである。私は暴力を憎み、死を憎み、センセイショナルになることも望まない人間である」。  (2005年5月5日記)
27. サタンの巣食う日
#027 [7-02]
The Day of the Devil
1993/01/13
Screenplay: Daniel Boyle ダニエル・ボイル
Director: Stephen Whittaker スティーヴン・ウィテカー

Keith Allen ... John Peter Barrie
Harriet Walter ... Dr. Esther Martin
Patrick O'Connell ... Jack Vaizey
Anthony Hunt ... Young Porter
Lloyd McGuire ... Clough
John Bleasdale ... Desk Sergeant
Aran Bell ... PC Pringle
Richard Graham ... PC Cobbs
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Susan Ellen Flynn ... Waitress
Patrick Drury ... Frank McTeer
Peter Atard ... Mack Shaw
Wayne Norman ... Larry Broomfield
Nicola Scott ... 1st Press Person
Richard Hodder ... 2nd Press Person
Richard Griffiths ... Canon Humphrey Appleton
Jacqueline Leonard ... Miss Sarah Spillers
David Griffith ... Timothy Perry
Katrina Levon ... WPC Nora Curtis
Gilly Coman ... Holly Trevors
Michael Culver ... Maugham Willowbank
Gavin Richards ... Steven Trevors
Rob Dixon ... TV Press Man

Pamela Jikiemi ... Press Person
Martyn Read ... Sergeant Brenner
Nick Hobbs ... Night Hawk 2
Andy Bradford ... Night Hawk 3
Bill McCabe ... Poacher
Naomi Capron ... Identikit Officer
Sarah Booth ... Jane Post
Mike Murray ... Mr. Fox
Kevin Stoney ... Heironymous St John
Beverley Klein ... Barmaid
Tony Collins ... Porter
Antony Carrick ... George Granger
Martin Gower ... Fingerprint Officer
Janis Kelly ... Singer of Massenet Aria (voice)

Colin Dexter ... (uncredited)
 推理ものというよりサスペンス劇となっています。第27話の脚本は練達のダニエル・ボイル(『トレイン・スポッティング』『シャロウ・グレイブ』を監督)、監督はスティーヴン・ウィティカー。
 連続強姦魔で終身刑だったバリー(キース・アレン)が脱獄。誰かが逃亡を手引きしているらしいのですが、いったい誰が共犯者なのかが分りません。悪魔崇拝者を装ってセラピーを担当した女医エスター(ハリエット・ウォルター。ジェイン・オースティン原作の『いつか晴れた日に』のファニー役)に接近を試みるバリーの真意はいったい何なのでしょう。
 護衛官のノラ(カトリーナ・レヴォン)を、女は弱きもの発言をして怒らせてしまうモース。捜査の手は、しだいに地域の悪魔崇拝者たちに接近していきます。すると意外な人間関係が明らかになってきます。単なる連続強姦魔と思われていたバリーの被害者たちにも、不思議な共通点がありそうです。
(2005年8月19日記)

 モースは悪魔主義(サタニズム)に詳しい牧師アプルトン(リチャード・グリフィス)の協力を得ながら捜査を進めます。牧師は教会でブラームスの弦楽六重奏曲を練習させ指導しています。
 バリーはヴァンを運転し、トレヴァース夫人ホリー(ギリー・コーマン)を誘拐して、女医エスターをホテルへ連れてこいと要求してきます。しかし、バリーは警察の警戒厳重なエスターには接近してきません。誘拐された日に夫ステーヴン(ギャヴィン・リチャーズ)は大学のウィローバンク(マイケル・カルヴァ)の元へ塗装の仕事に出かけていました。
 ホリーは無傷で戻されたのですが、夫はバリーに誘拐されて何もされなかったなんて信じられないと暴力をふるいます。ノラはバリーが以前に強姦した女性たちから指環などを奪った事実を指摘して、慎重なバリーらしくないと話します。盗品から足がつくからです。その盗品が発見されると腕輪にある人物の名前がありました。
 収穫祭の日に黒ミサを行っていた悪魔主義者たち。呼びかけに応じて出現した悪魔の主ルシファーが、ひとりを処刑し生贄とします。黒ミサの参加者たちは恐怖からお互いの名前を明かそうとしません。しかし、犠牲者は指紋の照合で判明、意外な人物でした。そこから謎の糸がほぐれてきます。
 (2016年4月13日記)

28. 神々の黄昏
#028 [7-03]
Twilight of the Gods
1993/01/20
Screenplay: Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル, 
Director: Herbert Wise ハーバート・ワイズ

Sheila Gish ... Gwladys Probert
Elaine English ... Tammy
Alan David ... Sir Watkin Davies
Celia Montague ... Adele Baydon

Rachel Weisz ... Arabella Baydon
Paul Rattigan ... Mark Scott
John Bluthal ... Victor Ignotas
Julian Curry ... Alan Cartwright
Don Fellows ... Lyman Stansky
Robert Hardy ... Andrew Baydon
Joan Blackham ... Helen Buscott
Michaela Noakes ... Janet

Allan Corduner ... Gentile Bellocchio
Harry Ditson ... Simon Vavasseur
Caroline Berry ... Mari Probert
Paul Stacey ... Stephen Bartlett
Jennifer Piercey ... Mrs. Thompson

John Gielgud ... Lord Hinksey
Jean Anderson ... Lady Hinksey
Steven Beard ... Florist
Brian Bovell ... Pierre
Julie Legrand ... Brigitte de Plessy
Glen Davies ... Policeman
Doug Bradley ... Clergyman Williams
Charlie Walker-Wise ... Page Boy
James Grout ... Chief Superintendent Strange
David Shimwell ... Police Constable
Jason Arcari ... Police Constable
Billy Hartman ... Police Sergeant
Lynne Verrall ... Librarian
Myles Hoyle ... Reporter
Janet Jefferies ... Reporter
Ian Keith ... Police Sergeant
Philip Childs ... Police Detective
Michael Vaughan ... Reporter
Iain Rattray ... Fingerprint Lab Director
Susan McCulloch ... Singing voice of Gwladys Probert (voice)

Colin Dexter ... Man in Sheldonian Theatre
Behind Lord Hinksey (uncredited)
James Naughtie ... Radio 4 Interviewer (voice) (uncredited)
 脚本はジュリアン・ミッチェル、監督はハーバート・ワイズ。

 船着場で額を撃ち抜かれて死んでいるフリーランスの記者が発見されます。
 その当日、オックスフォード大学構内で、実業家のベイドン氏(セリア・モンタギュー)に対する名誉博士授与の式が予定されていました。広場での行進の最中、銃声が響き、ワーグナー歌手のグラディス(シーラ・ギッシュ)が倒れます。狙撃犯はグラディスを狙ったのでしょうか、それとも隣のベイドンを狙ったものでしょうか。捜査は二人の人間関係の調査から始まります。グラディスは当代最高の歌手ですが、妹のマリー(キャロリン・ベリー)に「男きちがい」と暴言を浴びせていました。ベイドンは秘書ヘレン(ジョアン・ブラッカム)を「間抜け」と呼んでおり、慈善事業家とは別の顔の独裁的な性格のようです。ペイドンの妻アデル(シーリア・モンタギュー)がグラディスの「追っかけ」なので、二人の接点はあるのですが、ペイドンは蔭でなにかを企んでいるような様子があります。
 オックスフォード大学の総長ヒンクシー役をジョン・ギールグッド。
(2005年8月29日記)

 グラディスはマスタークラスでも、ワーグナーのブリュンヒルデのアリアを披露して聴衆に大喝さいを浴びている(歌声はスーザン・マクローシュによる)。聴衆のなかにモースもいて拍手とブラヴォーを惜しまない。翌日の夜のコンサートに赤いバラの花束を贈ろうとしているほどだ。しかし、グラディスは凶弾に倒れ、生死の境をさ迷うことになる。調べが進むと、妹マリーの美貌を利用して近よってくる男性を自分の貢ぐ君にしていたこと、マリーは子供もできた恋人との新生活に賭けて姉との別れを決意していたことが明らかになる。
 オックスフォード大学の教授たちの自慢話が揶揄されて描写される。狙撃事件があっても会食や茶会が大切で、それが平常心を失わないことにつながるという総長の言い分が可笑しい。むろんモースはそれに批判的だが、在学していたこともあり、面と向かって批判するようなことはしない。
 一方、教育用品の事業等で財をなしたベイドンだったが、ナチスの強制収容所で囚人だったリトアニア人の生き残りという話には脚色があり、本当はナチスに協力して看守を務めていたらしいことが明らかになってくる。
 狙撃場所と推測された空き室のある図書館で調べ物をしているリトアニア人の歴史学の教授がベイドンに復讐の弾丸を放ったらしいことが分かる。彼は法廷でベイドンの罪をぶちまけることを目論んでいた。
 (2016年4月13日記)

29.森を抜ける道
#029 [S-01]
The Way Through the Woods
1995/11/29

HDリマスター版 日本放送
NHK BSプレミアム2020年1月4日(土)16:19から18:;00
Screenplay: Russel Lewis ラッセル・ルイス
Director: John Madden ジョン・マッデン

[一行解説] モースは確信を得る。若い女性の殺人犯はいまだ自由で、無実の男が殺人罪で起訴されたと。この挿話は原作の小説とは違った解決をする。

Gary Powell ... Steven Parnell
Vivienne Ritchie ... Claire Osborne
Nicholas Le Prevost ... Dr. Alan Hardinge
Steven Crossley ... Prison Chaplain
Maggie Shevlin ... Margaret Daley
James D. White ... Philip Daley
Christopher Fairbank ... George Daley
Mark Feakins ... TV Reporter
Malcolm Storry ... DCI Martin Johnson
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Michelle Fairley ... Cathy Michaels
John Malcolm ... Williams
George Beach ... DC Renton
Clare Holman ... Dr. Laura Hobson
Robin Soans ... Alisdair McBryde
Neil Dudgeon ... David Michaels
Peter Needham ... Estate Manager
Kay Stonham ... Lynne Hardinge
Simon Scott ... Croxley

Alex Giannini ... Mourner
Shaun Williamson ... Garage Cashier

Colin Dexter ... Man at concert with Morse in opening scene (uncredited)
Beth Robert ... Garage Cashier (uncredited)

日本語版Cast
ハーディング(Nicholas Le Prevost) ........... 銀河万丈
ジョンソン主任警部(Malcolm Storry) .......... 玄田哲章
クレア(Vivienne Ritchie) .................. 勝生真沙子
キャシー(Michelle Fairley) .................. 松熊明子
マイクルズ(Neil Dudgeon) .................... 清水明彦
マーガレット(Maggie Shevlin) .............. 山本与志恵
ジョージ(Christopher Fairbank) .............. 小島敏彦
リン(Kay Stonham) ........................... 名越志保
フィリップ .................................. 鳥海勝美
レントン .................................... 矢崎文也
マクブライド(Robin Soans) ................... 中江真司
管理人 ...................................... 丸山詠二
ウィリアムズ(John Malcolm) .................. 岩田安生
牧師 ........................................ 有本欽隆
大家 ........................................ 乃村健次
ウィルビー .................................. 武田佳子
  第29話「森を抜ける道」制作クリス・バート、制作統括テッド・チルス、脚色ラッセル・ルイス、監督ジョン・マッデン)。
 弦楽四重奏のコンサートの受付で中年の女性クレア(ヴィヴィエンヌ・リッチー)と知り合うモースから始まります。女だてらに剛腕のホブソン監察医(クレア・ホールマン:声・二木てるみ)が登場。ジョンソン警部の捜査で捕縛された連続殺人犯パーネル(ゲイリー・パウエル)が収監者どうしの争いで殺された。彼は臨終に自分の罪とされていたカレン殺しを自分の犯行ではないと告白していた。
 ジョンソン警部(マルコム・ストーリー))の担当に割りこんでモースの捜査が始まります。
 カレンのバッグを拾った庭師ディリー(クリストファー・フェアバンク)が射殺死体で発見され、事件は新たな様相を見せて来ます。いったいカレン殺しの犯人は誰なのか、ルイスとモースが危機一髪の目にあう、どんでん返しが見事な一編。
 監督は『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。 
             (2003年1月1日記)

[IMDb解説] 昨夏の連続少女殺人事件の犯人と告発されたスティーヴン・パーネルが審理前の収監中に殺された。モースはこの事件の捜査に加わっていなかった。 モースの関心を引いたのは、犠牲者のひとり、カレン・アンダーソンがいまだに発見されておらず、彼女の死体は近くの湖に遺棄されたと仮定されていることであり、パーネルが死の床で司祭にその特別な殺人には絡んでいないと告白していることだった。事件の目撃者のひとり、ジョージ・ディリーが殺され、モースとルイスはアンダーソン失踪との関連がないかを見つけようとする。二人は鳥の写真家だったアンダーソンのカメラが発見されていないのをいぶかしむ。二人が接近したのはいわゆるグラマー写真を撮るのを趣味とする中年男性のグループである。彼らが森で発見した死体がアンダーソンではなく中年男マイトンのものだったことで、事件は興味深いねじれを呈する。モースはすべてが間違っていたこと、殺人の原因が別にあったことを明らかにする。

 パーネル逮捕はジョンソン警部とルイス部長刑事の働きであった。しかし、モースはカレン殺しはパーネルの罪ではないと主張し、二人をイラ立たせる。ジョンソンは地域捜査課に栄転する際にルイスにも同行して欲しいと話す。モースに使われてばかりのルイスに陽の目を見させてやりたいと言うのである。ルイスは迷う。
 モースは自分は頭脳を担当し、ルイスは手足を使って動く、適材適所だという見解だが。
 ディリーがカレンのバッグを拾ったのはワイタムの森だった、写真が趣味の男たちの一人、マイトンがカレンをレイプし、殺して遺体を森に埋めた、ディリーに脅迫されて彼も殺した、娘の死から立ち直れない妻に不満を持ち浮気をしているハーディング(ニコラス・ル・プリヴォスト)が犯人だろうか。しかし、ワイタムの森で発見された遺骨は男性のものだった。モースの推理は根本から見直さざるを得なくなる。ディリーが前日に給油に訪れた給油所の録画記録にはディリーだけでなく、意外な人物が映っていた。性的虐待を受けて父親を殺したケイトである。モースは彼女には見覚えがあった。一方、ルイスはマイトンが死んだ翌月に家賃を支払った人物の元に詰問に出かけていた。(2016年4月13日記)
30.カインの娘たち
#030 [S-02]
The Daughters of Cain
1996/11/27

HDリマスター版 日本放送
NHK BSプレミアム2020年1月11日(土)16:19から18:00
Screenplay: Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル
Director: Herbert Wise ハーバート・ワイズ

Gabrielle Lloyd ... Brenda Brooks
Phyllis Logan ... Julia Stevens
Bernard Brown ... Dr. Felix McClure
Jasper Jacob ... Michael Mansell

Benjamin Whitrow ... Brownlee
Tony Haygarth ... Ted Brooks
Shane Hickmott ... Kevin Costyn
Clare Holman ... Dr. Laura Hobson
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Angela Catherall ... Mrs. Barnett
Dominic Brunt ... Detective
Lynn Farleigh ... Jane Cotterell
Josephine Clarke ... Nurse
Amanda Ryan ... Kay Brooks
Nadim Sawalha ... Dr. Hassan
Jason Riddington ... Ashley Davies
Jeremy Peters ... Trainer
Andrew Blair ... Constable
Luke Pursey ... Student
Richard Claxton ... Student
Kate Anne ... Student
Chloe Tucker ... Student
Judi Armstrong ... Receptionist
Steve Edwin ... Waterman
Christopher Ashley ... Policeman
Virginia Grainger ... Hospital Sister
Stephen Tindall ... Lab Detective
Andrew Spooner ... Lab Detective
Susie Fairfax ... Nurse
Nicky Goldie ... Policewoman
Richard Wellings-Thomas ... Policeman

Colin Dexter ... Mr. Humphreys - Man with Crutches
in Hospital Waiting Room (uncredited)
Laurence Richardson ... Miles (uncredited)
Tony Red Richards ... Doctor (uncredited)

 ストレンジ警視正は上司から捜査経費を切り詰めるように言われ、警官の昇任の抑制はもとより、チーフのつく役職の廃止なども検討せざるをえなくなっています。ことは急で、ルイス部長刑事の警部補への昇任も取りやめざるを得ないかもしれないという状況です。
  第30話 「カインの娘たち」(制作・制作統括「森・・」と同じ、脚色ジュリアン・ミッチェル、監督ハーバート・ワイズ)。

 乱暴な夫に従順な妻、脳腫瘍をもつ女性中学教師。教師が教えている「マクベス」の台詞が効果的に引用されます。
 女性たち(ガブリエレ・ロイド、フィリス・ローガン、アマンダ・ライアン)の演技合戦の趣きがあります。BGMとして歌劇「椿姫」第3幕の前奏曲(女主人公の死を暗示する)が流れます。(2003年1月1日記)

 引退した元カレッジの研究員マクルーア博士(バーナード・ブラウン)が、自宅で刺殺死体で発見された。凶器は幅広の切れ味の鈍いナイフ。以前博士のアパートの上階の学生が転落死していました。カレッジの麻薬をめぐる騒動に関係したのではないかとの疑惑が持ち上がります。大学の財政はひっ迫しており、評判が低下すればOBからの寄付も集まりにくくなる。そこでもみ消しが図られたのではないか。ちょうど博士の部屋の用務員をしていたテッド(トニー・ヘイガース)も解雇されて博物館に異動になっていました。テッドは学生にヤクを売っていた売人でその事実の追求を怖れた博士がテッドを異動させたのではないか。
 テッドの妻ブレンダ(ガブリエレ・ロイド)は高校教師ジュリア(フィリス・ローガン)の家政婦もしていますが、夫に暴力をふるわれ、いつもおどおどしています。ジュリアには脳腫瘍が見つかり、ブレンダはジュリアの病気のことが心配。
 テッドは博士が殺された夜、自転車ででかけて帰りはタクシー。自転車は盗まれたと証言。その後、自宅で心臓発作を起こし、病院に入院していました。モースはテッドが博士を殺して血のついた自転車を捨てたのだろうと推理します。
 ブレンダの義理の娘ケイ(アマンダ・ライアン)は高級コールガール(字幕訳はエスコ-ト)。博士の部屋の写真にも撮影されていました。ジュリアは教え子のなかの不良ケヴィン(シェーン・ヒックモット)に秘密の計画の依頼事をしているようです。やがてテッドが刺殺されて発見されます。テッドの殺人にはケイ、ブレンダ、ジュリアが関係しているのではないかと、モースは頭を悩まします。

日本語版Cast:
ブレンダ(Gabrielle Lloyd)........ 寺田路恵
ジュリア(Phyllis Logan) ....... 塩田朋子
ブラウンリー(Benjamin Whitrow) ..... 川辺久造
テッド(Tony Haygarth) ........... 麦人
ケイ(Amanda Ryan) ............. 郡山冬果
アシュリー .................. 咲野俊介
ジェーン .............. 泉晶子
ケヴィン ............. 白鳥哲
マクルーア................ 小林恭治
バーネット ............ 峰あつ子
ハッサン .................. 郷里大輔
刑事 .............. 荒川太郎
マンセル ............ 土方優人
調教師................... 伊藤和晃
生徒 .......... 石田彰
ナース ............... 重松朋
31.死はわが隣人
#031 [S-03]
Death Is Now My Neighbour
1997/11/19

HDリマスター版 日本放送
NHK BSプレミアム2020年1月18日(土)16:19から18:00
Screenplay: Julian Mitchell ジュリアン・ミッチェル 
Director: Charles Beeson チャールズ・ビーソン

[一行解説] 学寮長選挙の雰囲気は朝食時に射殺された若い女性の事件で険悪なものに変化する。このエピソードはモースのファースト・ネームがエンデヴァー(Endeavour)であることが分かる回として有名。

Mark McGann ... Geoffrey Owens
Julia Dalkin ... Rachel James
Judy Loe ... Adele Cecil
Susan Field ... Mrs. Adams
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Clare Holman ... Dr. Laura Hobson
Roger Allam ... Denis Cornford

Holley Chant ... Shelly Cornford

Richard Briers ... Sir Clixby Bream
Susan Engel ... Dora Hammersby
John Shrapnel ... Dr. Julian Storrs
Lloyd Hutchinson ... DC Jackson
Maggie Steed ... Angela Storrs
Colin McCormack ... Hargreaves
Jacquelyn Yorke ... Amber
Ben Caplan ... Barman
Nicola Jeffries ... Diane Cullingham
Ashley Gunstock ... Hotel Porter
Nicholas Lopez ... PC Dixon
Margery Bone ... Cathy - Hotel Maid
David Fennell ... Lord Lieutenant
Walter McMonagle ... Chief Constable
Oliver Grig ... Ken Lewis
Candida Gubbins ... Sarah Hickman

Colin Dexter ... Vicar saying grace at college dinner (uncredited

  第31話「死はわが隣人」(脚色ジュリアン・ミッチェル、制作クリス・バート、制作統括テッド・チルス&レベッカ・イートン、監督チャールズ・ビーソン)。

 コッテージで女性(ジュリア・ダーキン)が射殺された、事件の背後には学寮長選挙が関係しているらしい。物語と直接の関係はありませんが、音楽教師アデル(ジュディ・ルー)の生徒として、モーツアルトの歌劇『フィガロの結婚』のケルビーノのアリア「自分で自分がわからない」を練習する娘が登場します。ルイスが前作でも携帯電話を使うようになっています。現学寮長クリクスビー役でリチャード・ブライヤーズが出演。(2003年1月1日記)

[IMDb解説] レイチェル・ジェームズはある朝早く朝食の際に台所の窓越しに撃たれます。彼女はオックスフォードの教授ジュリアン・ストーズ博士(ジョン・シャラプネル)のロンズデール大学学寮長候補者に関する事件を扱っていました。しかし、彼女の隣人ジェフリーが殺されたとき、モースはレイチェルは間違って殺されたのだと判断します。モースはまた、彼ジェフリーが恐喝者だったという疑問をもちます。ストーズと対立候補デニス・コーンフォード(ロジャー・アラム)にはふたりとも疑わしい秘密がありました。モースは隠された事情を探り、ある人物を殺人者と判断します。

日本語版Cast
アンジェラ(Maggie Steed) .... 今井和子
ストーズ ..........坂口芳貞
アデル(Judy Loe) .........弥永和子
ブリーム(Richard Briers) ...田村錦人
シェリー(Holley Chant) ....佐々木優子
コーンフォード(Roger Allam) ..... 堀勝之祐
オーウェンズ(Mark McGann) ...... 村田則男
ドーラ(Susan Engel) .......... 赤司まり子
アダムス(Susan Field) ...... 京田尚子
サラ(Candida Gubbins) ....... 北條文栄
ジャクソン(Lloyd Hutchinson) ...... 青山穣
アンバー ................ 叶木翔子
ダイアン(Nicola Jeffries) ........ 阿部桐子
ハーグリーブス(Colin MacCormack) ...... 長克己
ディクソン(Nicholas Lopez) ........ 小野健一
ケン(Oliver Grig) ...... 鳥海浩輔
32.オックスフォード運河の殺人
#032 [S-04]
The Wench Is Dead
1998/11/11
Screenplay: Malcolm Bradbury マルコム・ブラッドベリー
Director: Robert Knights ロバート・ナイツ

[一行解説] 病院で寝ている間に、モースは19世紀に運河で起こった若い女性の死に興味を持ちます。推理により、彼は男たちが強姦と殺人で絞首されていましたが誤りだと確信しました。

Lisa Eichhorn... Dr. Millicent 'Millie' Van Buren
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Louisa Lawrenson ... Nurse Hall
David Keyes ... Walter Towns
Paul Mari ... Rory Jack Oldfield
Judy Loe ... Adele Cecil
Alan Mason ... Mr. Greenaway
Aline Mowat ... Sister Nessie MacLean
Sara Carver ... Nurse Fiona
Philip Quast ... Mr. Benfield
Karen Staples ... Mona
Matthew Finney ... PC Adrian Kershaw
Jonathan Copestake ... Philip Tomes
Andrew Grubb ... Ward
Kim Durham ... Alfred Musson
Kieran Aherne ... Charles Franks
Liam Barr ... Thomas Wootton
Candida Rundle ... Hannah McNeil
Patrick Hannaway ... Dr. Willis
Ian Coulson ... Constable
Chris Hargreaves ... Constable Harrison
Jamie Christian ... Constable Dean
Jeff Nuttall ... Mr. Justice Benham
Michael Culkin ... Mr. Sergeant Williams, Prosecution
Simeon Andrews ... Mr. Sergeant Lyons, Defence
Peter Glancy ... Jury Foreman

Robert Ashe ... Foreman
Juliet Cowan ... Joanna Franks
Nick Raggett ... Stevens
Robert Gasser ... Librarian
Sarah Lam ... Susan Ho
Neville Phillips ... Chaplain
Roger Llewellyn ... Governor
Clare Holman ... Dr. Laura Hobson
Osmund Bullock ... Verger
Eamon Geoghegan ... Mulvaney

Robert Atiko ... MC

Colin Dexter ... Man at conference in opening scene (uncredited)
 第32話「オックスフォード運河の殺人」(制作統括テッド&レベッカ、脚色マルコム・ブラッドベリー、監督ロバート・ナイツ)。
 冒頭で吐血して失神するモース。前回の事件で知り合った音楽教師アデルがモースの女房役となり面倒をみます。入院中にビクトリア朝時代(1859年)の最後の公開処刑となったオックスフォード運河殺人事件を安楽椅子探偵するモース。夫婦共謀の保険金詐欺だったというのがモースの結論でした。ルイスが登場しない回です。
 モースが部屋で聞くのがモーツアルトの「クラリネット協奏曲」。(2003年1月1日記)

[IMDb解説] モースは博物館の受付で重症となり入院します。病院で、彼は140年前のオックスフォード運河殺人事件に興味を持ちます。コヴェントリーからロンドン行きの船で旅行中の若い女性が強姦され、殺された事件でした。結局二人の男が絞首刑になっていましたが、モースは判決が間違いだったと確信します。ルイスを主任警部にしようとストレンジ警視正はモースに早期の引退を勧めます。彼はモースの手伝いに大学卒業生PCエィドリアン・カーショウを割り当てます。モースは欺瞞が行われ、犠牲者が他にいたことを決定します。

日本語版Cast:
アデル(Judy Loe)............. 弥永和子
ミリー(Lisa Eichhorn) .......... 宗形智子
カーショー ....... 宮廻夏穂
ベナム(Jeff Nuttall) .......... 大木民夫
ウィリアムズ(Michael Culkin) ...... 斉藤志郎
ネッシー(Aline Mowat) ........... 駒塚由衣
ベンフィールド(Philip Quast) ..... 小杉十郎太
ライオンズ ......... 福田信昭
オールドフィールド(Paul Mari) ........ 槐柳二
フランクス ......... 辻親八
ジョアナ ............. 水原リン
マッソン .............. 沢りつお
トーマス................ 浪川大輔
フィオナ(Sara Carver) ...... 堀越真己
トムス....................... 小形満
ハンナ ................. 滝井香央里
グリーナウェイ............. 藤本譲
ホー(Sarah Lam) ......... 田村茉紗子
タウンズ ............. 田原アルノ
スティーヴンス.............. 伊藤和晃
親方 .................. 宝亀克寿
司会者 .................. 岩崎ひろし
33.悔恨の日
#033 [S-05]
The Remorseful Day
1999/11/15
Screenplay: Stephen Churchett スティーヴン・チャーチェット
Director: Jack Gold ジャック・ゴールド

[一行解説] モースは健康悪化に伴い、未解決のイヴォンヌ・ハリソン殺人事件の解決を試みます。モースは重大な心臓発作により、病院で「ルイスに感謝したい Thank Lewis for me」と. 遺言を残して死亡してしまいます。

Meg Davies ... Yvonne Harrison
Eddie Webber ... Harry Repp
Anna Wilson-Jones ... Sandra Harrison
Paul Freeman ... Frank Harrison
James Benson ... Paddy Flynn
Clare Holman ... Dr. Laura Hobson
James Grout ... Chief Superintendent Strange
Paul Hegarty ... SOCO Officer

T.P. McKenna ... Professor Sir Lionel Phelps
Helen Pearson ... Debbie Repp
Sean Wightman ... PC at Landfill
Jesse Birdsall ... John Barron
Aidan David ... Roy Holmes
Colin Spaull ... Chas - Pub Landlord
Simon Hepworth ... Simon Harrison
Richard Betts ... Waiter
Barbara Lott ... Mrs. Bayley
Barbara Kirby ... Shop Assistant
Annette Ekblom ... Mrs. Liz Holmes
Wesley Smith ... Newsreader
Anna Rose ... Tour Rep
Timothy Kightley ... Morse's Solicitor
Sharon Maiden ... Linda Barron
Alisa Bosschaert ... Josie Flynn

Ann Wenn ... Check-in Clerk

Colin Dexter ... Man in Wheelchair in Saga Group
at Magdalen Bridge (uncredited)
Carlton Jarvis ... Consultant Anaesthetist (uncredited)
Barrington Pheloung ... Choir Master (uncredited)
  第33話「悔恨の日」(最終回。制作や制作統括は前回と同じ、脚色スティーヴン・チャーチェット、監督ジャック・ゴールド)。

 病院の中年看護婦イヴォンヌが(メグ・ディヴィーズ)殺され、その事件はモースの担当だったが迷宮入り。しかし、新しい投書から事件の再捜査が始まります。前回の発作から一年半後、退職2ケ月前のモースが事件を捜査します。犯人は途中で分ってしまいますが、家族の意外な関係が明らかになります。最後に心臓の発作でとうとうモースは死んでしまいます(モース役のジョン・ソウも2002年2月に食道ガンで亡くなっています)。
 隠退同然のモースの部屋にはヴェルディの歌劇のポスターが張られ、「ワーグナーには人生のすべてがある」とモースは発言します。ルイスがカー・ラジオでワーグナーの楽劇『パルシファル』を聞くようになります。
 重要人物である病院長が聖歌隊でソロを歌うフォーレの『レクィエム』の練習場面も出てきます。
(2003年1月1日記)

[IMDb解説] 殺人から一年後、警察は釈放したばかりの強盗犯ハリー・レップの犯行を示唆する匿名の手紙を受け取って、イヴォンヌ・ハリソン事件を再捜査します。ストレンジ警視正は主任警部に昇進が近くいらいらしているルイスにこの事件を託します。モースは病気でしたが、ちょうど仕事に戻ったところでした。モースは自分自身を含めルイスの捜査を検証します。

日本語版Cast:
サンドラ(Anna Wilson-Jones) ..... 坪井木の実
フランク(Paul Freeman) ........ 小林勝也
フェルプス(T.P. McKenna)....... 稲垣隆史
イヴォンヌ(Meg Davies)....... 北條文栄
サイモン ............... 佐藤淳
デビー(Helen Pearson) .......... 野沢由香里
ベイリー夫人(Barbara Lott) ..... 沢田敏子
バロン(Jesse Birdsall) ....... 山野井仁
リンダ(Sharon Maiden) .......... 一柳みる
ジョージー ......... 幸田直子
チャス(Colin Spaull) ........ 峰恵研
ロイ(Aidan David) .......... 杉山大
ホームズ夫人(Annette Ekblom) ... 八十川真由野
クリン................. 内田直哉
レップ(Eddie Webber) .......... 梅津秀行
女店員........... 滝沢久美子
弁護士 ......... 島香裕
ニュース・アナ.......... 高瀬右光
ツアー・コンダクター ........... 多緒都
コーラス・マスター(Barrington Pheloung) .. 宮崎倫彰
コーラス・メンバー ....... 飛鳥井豊
Inspector Morse ◇第1シリーズ(1st Series/1987)
◇第2シリーズ(2nd Series/1987-88)
◇第3シリーズ(3rd Series/1989)
◇第4シリーズ(4th Series/1990)
◇第5シリーズ(5th Series/1991)
◇第6シリーズ(6th Series/1992)
◇第7シリーズ(7th Series/1993)
◇Specials(1995-2000)


                刑事モース(新米刑事モース) オックスフォード事件簿  池田博明 ときどきネタバレしています.
                (原題はEndeavour これはモースの名前なので、新米という意味はない。日本の放送でもシーズン4からは「刑事モース」)

 WOWOWで2013年8月31日の日本初放送から「Endeavor」。
 英国では、2012年1月2日に放送されたプリクエル(華麗なる賭け)と、2013年4月から放送されたシーズン1。WOWOWオンデマンドで吹替え番組を見る事ができる(第1話から第9話までは2016年12月末まで配信。第10話・第11話は2016年4月まで配信)。モースの吹き替えは矢島正明、サーズディは土師孝也。
.
Michele Buck ... executive producer
Rebecca Eaton ... executive producer:
Masterpiece
Dan McCulloch ... producer
Carolyn Parry-Jones ... line producer
Damien Timmer ... executive producer
Music by Barrington Pheloung
Casting By Susie Parriss
Production Design by Pat Campbell
Art Direction by Frederic Evard
Costume Design by Caroline Harris
0.Pilot
2012/01/02
(英国での初放送)
98分14秒

華麗なる賭け


WOWOW
2013/08/31
日本初放送
90分30秒

2018/2/10
土曜16:30~
NHK・BSで
刑事モース
全9回90分
case1 ある晴れた日に

楽天Showtimeタイトル「新米刑事、最初の事件」



Directed by Colm McCarthy
Writing Credits Colin Dexter (characters)
Russell Lewis (written and devised by) Russell Lewis (written by)
Cinematography by Gavin Struthers ... director of photography
Film Editing by Masahiro Hirakubo

Cast (in credits order)
Michael Matus ... Cyril Wright
John Light ... Dempsey
Flora Montgomery ... Rosalind Stromming
Patrick Malahide ... Richard Lovell
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Jack Ashton ... DC Ian McLeash
Daisy Head ... Jenny Crisp
Holly Ridley ... Valerie Quillen
Lisa Backwell ... Anne Porter
Jenna Harrison ... Miss Sylvia Tench
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Danny Webb ... DS Arthur Lott
Richard Lintern ... Dr. Rowan Stromming
Sam Reid ... Brian Lomax
Harry Kershaw ... Miles Percival
Maggie Ollerenshaw ... Mrs. Crabbin
Ian Gelder ... Stan Tremlett
Emma Stansfield ... Sharon Veelie
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Charlie Creed-Miles ... Teddy Samuels
Jamie Blackley ... Johnny Franks
Christopher Brandon ... Alexander Reece
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
Terence Harvey ... DCS Crisp
Rachael Heaton ... Mary Tremlett  

Rest of cast listed alphabetically:
Graham Curry ... Oxford Student (uncredited)
Colin Dexter ... Pub Customer (uncredited)
John Edwards ... PC Jenkins (uncredited)
Mark Hillman ... Constable (uncredited)
David Monteath ... Policeman (uncredited)
Robert Roman Ratajczak ... Oxford Student (uncredited)

 酒を断っていたモースだったが、遺体解剖を見て失神してしまい、サーズディに介抱されながらビールに口をつける。その後、ロザリンドの夫を疑った非礼をわびる際に、パブではビールを飲んでいる(彼女はブランデーを注文する)。モースは自分の父親はタクシー・ドライバーで、母親はクェーカー教徒、12歳のときに母は死んで、その後思い出す時間が短くなっているのが悲しいと話す。
 地元新聞の編集長ドロテアは主任警部モースを演じたジョン・ソゥの実の娘だが、「前に会ったかしら? お名前は? モース? 前世だったかしら」と楽屋オチのセリフを言う。ジョン・ソゥも若きモースがサーズディに「20年後の自分を想像してみろ」と言われて自動車のバックミラーに自分を写すと、そこにはジョン・ソゥが写っていたという形で登場。
 IMDbの評価は8.3 (2016/4/4時点)
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 サーズディはサミュエルズにパーティ参加者の名簿を要求しますが、反対に警察のお偉方が困ると脅迫される始末。サーズディはモースをパイプを探しに行かせ、サミュエルズを殴って名簿や写真を入手しました。クリスプ警視正の娘も写真に写っていました。政府の高官も常連客だったのです。
 1:13:54-1:14:14 屋敷の中で酒を煽る侯爵。カーテンを閉める。それを外の建物の影から見ているデンプシー

 警視正に「サーズディはサミュエルズを殴っただろう」と聞かれたモースは「見ていない」と答えて、警視正の怒りを買います。カーシャルに帰ってしまえと言われたモースは携帯していた辞職願を取り出します。

 1:15:54-1:16:34 警視正の部屋を出たモースをロット刑事部長が待ち受けていた。「また落第か?コレッジも退学させられたんだろう?お前のファイルを読んだぞ。ロンズデール・コレッジに3年、最終試験前に諦めた。上流気取りの厄介なとこだな。根性がない。面倒の最初の兆候。シッポ巻いてママのところに帰れ。ああ、恨みはないぞ。新しい生活。悪習。お前は中国行のスロウ・ボートに乗ってるんだ」
  ロット部長: Flunked out again, have you, College? I read your file, boy. Three years Lonsdale. Threw the towel in before your finals.That's the trouble with you posh-ohs.No gumption.First sign of bother, it's off back home to mummy, tail between. Mmm, no hard feelings. You done me a favour. Pastures new.Vice. In the Smoke.And you on the slow boat to China.
  ※曲の「On A Slow Boat To China」にかけているのでしょうか?スロウ・ボートって貨物船という意味だとか?


 サミュエルズはメリーの姉シャロン(エンマ・スタンスフィールド)にバールで殴られ植物状態に。実はメリーはシャロンとサミュエルズの間の娘。実の娘も乱交パ-ティの餌食になっていたからでした。
 1:21:35-1:22:34 ロザリンドが、モースを玄関まで送る。
 サインの礼を言うモース。誰かを見つけるべきだというロザリンドに、婚約していたことがあるとモースは答えた。彼女は大学1年目に付き合っていた彼氏と別れた後モースと付き合ったが、最終的に元彼が忘れられなかった。ロザリンドは「愛して失う方が愛した経験を持たないよりマシ」と言い「そう言われました」と答えたモースは再度レコードの礼を言ってストロミング家を後にした。
  モース:Thank you for the coffee and...レコードを上げる
  ロザリンド:You know, you should find yourself a girl.
  モース:I did once.We were engaged.
  ロザリンド:What happened?
  モース:Ohm someone she'd left behind.They'd been something in her first year. After it ended, she took up with me.But not bo be.
  ロザリンド:I'm sorry. Truly.Perhaps better to have loved and lost.
  モース:So I'm told. Goodbye, Mrs.Stromming

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  1:25:16-1:25:32
  DI:It's a rum old go, Morse, and no mistake.Families. Shame. How is it any fault of a kiddie what side of the sheets it's born?Her flesh and blood and yet all this.As if we didn't all get here the same way.It won't do-- I know that much.I won't bloody do. サーズデイ警部補怒りに燃えています。

 裸で遺棄されていたメアリーがサイズの合わない服をかけられていたことを不審に思ったモースは真相に近づきます。
 事件のきっかけはロンズデール校でモースの同級生でもあったアレックスとストロミングの他愛もない賭け、メリーのような田舎娘を誘惑できるかどうかの賭けから始まっていました。モースが持っていたLPには、ロザリンドからのサインに、「モースヘ、ある晴れた日に」と添え書きがありました。 
 1:33:32-1:33:36 パーティに向かうメリーを車の中から盗撮するデンプシー(この写真が、最初の方のカットシーンで暗室に吊り下げられていたメリーの写真)  
 1:37:21-1:39:24 雨の夜。ラヴェル卿の邸宅アップルゲートの玄関に立っていて、中に迎え入れられるデンプシー。 何の用かと問うラヴェル卿に、デンプシーは辞職と引退を迫った。「引退理由は体調不良。彼女は15歳だったんですよ、ディッキー」「無害なちょっとした─」「お遊びだった?あなたやあなたのお友達にはそうでしょうけれど」 「こんなのばかげてる」「ばかげてる?大臣がセックスパーティに参加。10代少女の手に電話番号を書く。これこそ馬鹿げています。我々はあなたの名前は伏せていますが、若い刑事が追ってます。融通が利かなさそうな奴が」「モースか?説明してやれ」「しました。聞きません。あなたが行儀よくしていれば政府は彼を抑えられるかもしれません」 ラヴェル卿は鼻で笑ってハロルドに聞いてみようと受話器を取り上げる。デンプシーはサイレンサー付の銃をフックに置いて電話を切る。 大人しく辞職届にサインをするか、死ぬか。選択肢は2つに1つ。ラヴェル卿は肩を落として辞職届を選んだ。
  ラヴェル卿:So... what's this about?
  デンプシー: Your decision to resign from Her Magesty's government and retire from public life.
  ラヴェル卿: My what?
  デンプシー: We thought "grounds of ill health." Spare everyone's blushes. She was 15, Dickie.
 ラヴェル卿: It was just a bit of harmless...
  デンプシー: Fun? A schoolgirl coerced into bed. 'Round from one dirty old sod to another like the Sunday sprouts? For you and your mates, maybe.
 ラヴェル卿: This is ridiculous.
  デンプシー: Ridiculous? A government minister at a sex party.Writing his telephone number on the hand of a teenage girl. Now that's ridiculous. We've kept your name out of it.So far.But there's a young copper chasing this, and he's not so willing to play the game.
  ラヴェル卿: Morse?Explain to him.
  デンプシー: I've tried.Not for sale.You do the decent thing,his governour might be able to rein him in.
  ラヴェル卿: We'll see what Harold has to say about it.
  デンプシー: This is what he has to say about it. There's two ways out.This one, I don't have to get blood on my shoes.

 <カットされたシーンを青文字で:riekさんのブログより抜粋>
 00:22- 豪雨の中、黒い車が止まっている。運転席にいる男デンプシー(ジョン・ライト)は煙草をくわえながら、助手席に置いていたカメラを手に取る。雨に打たれるフロントガラスの向こうには大きな屋敷があり、高価そうな車が何台も並んで止まっている。

バkックギャモンで遊んでいる中年の男二人の背後には乱交パーティの若者が・・・。
 オックスフォードで1965年、エンデヴァー・モース(ショーン・エヴァンス)は禁酒主義者でした。登場場面でロザリンドの歌う『蝶々夫人』のアリア「ある晴れた日に」を聞きながら辞職願をタイプを打っているようなクラシック音楽が好きな若き巡査です。
 カーシャル・ニュータウン警察から応援部隊としてモースとジェイクスがオックスフォード市警に参加することとなり、15歳の少女メリー・トレムレット(レイチェル・ヒートン)の失踪捜査という事件にサーズディ警部補(ロジャー・アラム)と一緒に関わることとなりました。
 17:00-17:48 現像室で、デンプシーが写真を現像している。現像液に漬けた写真に写っているのは、冒頭でバックギャモンをしていた老人の1人ラヴェル卿。受話器を取り上げ、デンプシーはオペレーターに2005へ繋ぐように話す。接続を待つデンプシーの後ろには、メリー・トレムレットを隠し撮りしたような写真が何枚か吊り下げられていた。
  モースは、メリーが学生には不似合いなハードカバーの詩集、しかも初版を持っていたことに注目しました。また、モースは地方紙のクロスワードに示された暗号を解いたことによって、メリーがクロスワードを逢引の場所と時刻の伝達手段とする恋人と会っていたと推理しました。ロット刑事部長(ダニー・ウェッブ)はモースの推理を馬鹿馬鹿しいと相手にしませんが、 ちょうどメリーの遺体がバックリー・ウッドで発見され、そこはモースがクロスワードから解いた場所だったのです。
 20:14-20:40 Tedが新聞を見ている。メリー・トレムレットを見かけなかったかとトップ記事。 窓の外を見る。メリーの学校の女の子(ヴァレリー)が自動車工ジョニー・フランクスに会いに来ている。ヴァレリーが髪を触りながらぶりっ子モードでジョニーと話しているのを窓越しに見るTed。
  36:09-36:32 メリーの遺体にかけられた白い布をめくるマックス。ガラスを隔ててスタン・トレムレット(メリーの父)がサーズデイ警部補と立っており、トレムレットはメリーを見て頭を垂れる。
 メリーの交際相手だった学生マイルズ・パーシバル(ハリー・カーショー)の自殺の発見に続いて、モースはマイルズの指導教官、ストロミング博士(リチャード・リンターン)に会います。博士は編集者ドロテア(アビゲイル・ソー)によると、クロスワードの寄稿者でメリーとは知り合いでしたが、ただし殺人の日にはアリバイがありました。しかも投稿され掲載されたクロスワードは翌週に予定していたものだった、違ったクロスワードを新聞社に届けたのはマイルズだったといいます。
 博士には元ソプラノ歌手だった妻ロザリンド(フローラ・モンゴメリー)がいました。モースは彼女のLPを所持しており(冒頭で示されたように)、その歌声が好きでした。ロザリンドは夫のために歌手を引退しており、いまでも夫を愛しているといいます。
 ロット刑事部長はマイルズをメアリー殺害の犯人と疑います。
  1:07:41- 1:10:36 サーズデイ警部補、ロット部長にしばらく休暇を取って今後の身の振り方-早期退職-を考慮するように勧める。正気か?と返すロット部長。サーズデイ警部補は、ロット部長が言う事を聞かないなら転属させることも匂わせ、「いずれにせよ二度と顔を見せるな。逮捕しなきゃいけなくなるのは嫌なんだ、アーサー」と警告するが、ロット部長は「そこまでやれるものか」と凄むのだった。
 サーズデイ:I think you should take a couple of weeks furlough. Run Eileen down to the caravan and have a long hard think about early retirement.
 ロット部長: Are you off your nut?
 サーズデイ: It's that or put in for a transfer. Your choice. Either way, don't show your face in here again. I hate to have to pinch you, Arthur.
 ロット部長: You wouldn't dare.
 モースとサーズデイ、車でウルバーコートの大きな屋敷に向かう。 ガラスの割れる音がして、サーズデイ警部補とモースが屋敷の中に入ってくる。(サーズデイ警部補がコートの肘についた埃を払っているので、多分彼がドアのガラスを割ったのかも)

 
 警察はメリーと他の少女たちが車販売人テディ・サミュエルズ(チャーリー・クリード・マイルズ)が主宰した乱交パーティに参加していたことを突き止めていました。しかし、テディはパーティをネタに他の名士たち同様にロット部長やクリスプ警視正(テレンス・ハーヴェイ)をも取りこんでいました。
 屋敷の所有者ははっきりしておらず、爵位が休眠するまではオックスフォードのde Vere伯爵の物だったが今はCrown Estate(王室の所有地?)となっている。やかんが沸騰する音がして、サーズデイ警部補とモースがそちらに向かうと、1人の男が紅茶を飲むかと聞いてきた。 「ちょうどポットを温めたところで、ミルクはないがレモンならある」デンプシー(Dempsey)と名乗ったその男はサーズデイとモースの名前を知っていた。何をしているのかと問うサーズデイに、デンプシーはちょっとした家事だと答える。「君主の領土を守るのが私の得意分野でね。国益だよ。Pax Britannica(イギリスの平和)」「公安課か?」「そのようなものだ、ああ、もちろん」。 デンプシーは、内務省の直通番号と彼の任務を証明できる人間の名前を挙げ、信じられないなら確認すればよいと言う。黙る警部補。デンプシーは2人がメリー殺害事件で捜査に来たことをもちろん知っており、「メリーは土曜の夜7時に生きてここを出た。彼女を殺した人間はこことは一切関係がない」と言う。 「政府(HMG:Her Majesty's Government)は、クリーヴデンで起きた“プロヒューモ事件”の後始末に追われていて他のスキャンダルを抱えたくない。殺人事件の調査だとしても、これ以上ここを嗅ぎまわるならば君達は事件から下ろされる。例えモースが新聞に政府が捜査妨害をしているとリークしたところで、“D-notice”(D通告:政府が機密保持のため特定の報道を差し止めるむね報道機関に発する通告)を出せばそのニュースが日の目を見ることはない。私が誰を庇っているのか?それをバラさないのが仕事だ」
  デンプシーの守りは鉄壁で、サーズデイとモースはなす術なく邸宅を後にするしかなかった。
  ※プロヒューモ事件:1962年、当時のイギリスのハロルド・マクミラン政権の陸相であったジョン・プロヒューモが、ソ連側のスパイとも親交があった売春婦に国家機密を漏らしたと疑われた事件である。同政権の崩壊につながり、「20世紀最大の英政界スキャンダル」とされる。(Wikipedia)
 サーズデイ:Who owns it?
 モース:Murky area. So far as I've been able to make out from the land registry,the land was owned by the deVeres the Earls of Oxford. Untile the title fell dormant. It's vaguely Crown Estate now.
 サーズデイ:Crown Estate? That's Treasury, isn't it?
 やかんが沸騰する音
  デンプシー:Do you want a brew? I'm just warming the pot. There's no milk, I'm afraid.There's lemon, though.
  サーズデイ:Who the hell are you?
  デンプシー:Dempsey. Inspector Thursday, isn't it? And Constable Morse. That was you putting the windows in, was it?
  サーズデイ:What's your business here?
  デンプシー:Presentrly, a bit of light housework.The defense of the realm is my bailiwick. National Interest. Pax Britannica, and all that.
  サーズデイ: What are you, Special Branch?
  デンプシー: More or less. Yes. Why not?
  サーズデイ: Get bloody cute. I'll run you in.
  デンプシー: Home Office, extension 255. Have the duty man put you through to Colonel Domlan. He'll vouch for my bona fides. No? You're here about the girl.
  サーズデイ: What do you know about it?
  デンプシー: All you need to know is she left here alive and well about 7:00 on Saturday evening. Trust me. Whoever's killed her has nothing to do with this.
  モース:What is this, exactly?
  サーズデイ:Tarts in high places.
  デンプシー: HMG won't wear another scandal. We're still going round with a dustpan and brush after Cliveden.
  サーズデイ: This is a murder inquiry.
  デンプシー: And I hope you catch him. But if you keep digging around this spot, you'll be taken off the case.
  モース: I wonder what the papers would have to say about a Department of State obstructing a murder inquiry. Concealing evidence...
  デンプシー: Never see light of day. We'd stick a D-notice on it, and you'd be looking at a nice long stretch for breaching official secrets.
  モース: Who're you protecting?
  デンプシー: I wouldn't be doing my job very well if I told you, now, would I? You sure you won't have a brew? 外に出て車に乗り込みながら
  サーズデイ: Bastards like these, it's business as usual.
  モース: So, what, some leg-breaker in a Guards' tie calls stumps, and we just walk away, is that it?

 (この後の展開は左へ)
2.Girl
Seson 1
Episode 1
89分

毒薬と令嬢

WOWOW
2013/04/14

89分59秒
(吹替えは、導入と予告の分だけ長くなっている。本篇はカットされていない)

2018/2/17

NHK・BS
case2 泥棒かささぎ


楽天Showtimeタイトル「ある秘密と連続殺人」


Directed by Edward Bazalgette
Colin Dexter (characters), Russell Lewis (written by)
Cinematography by Stephan Pehrsson ... director of photography
Film Editing by Yan Miles

Cast (in credits order)
Jonathan Hyde ... Sir Edmund Sloan
Alan Morrissey ... Denis Bradley
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Fiona Ryan ... Margaret Bell
Will Richards ... Brian Powell
Dominic Taylor ... Dr. Frank Cartwright
Luke Allen-Gale ... Derek Clark
Albert Welling ... Wallace Clark
Sophie Stuckey ... Pamela Walters
Jonathan Guy Lewis ... Rev Monkford
Olivia Grant ... Helen Cartwright
John Flanagan ... Mr. Greaves
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Anton Lesser ... Chief Superintendent Bright
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
Sean Rigby ... PC Jim Strange
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Mark Bazeley ... Dr. Bill Prentice
Billy Geraghty ... Gas Man 'Watkins'

Rest of cast listed alphabetically:
Greg Bennett ... Police Constable (uncredited)
Colin Dexter ... Don Dining at Hall (uncredited)
Alexandra Hind ... Virginia Berowne (uncredited)
Hugh O'Brien ... Recital Guest (uncredited)

<IMDbのStoryline>
 1960年代のオックスフォード、貧相だが鋭敏な若き巡査モースは、経験豊かなサーズディ警部補と一緒に仕事に出て、20歳のマーガレット・ベルの心臓発作によると思われる死亡事件に当惑した。続いて、彼女の家庭医ビル・プレンティスのパートナー、カートライト医師が撃たれて死亡した。未亡人のヘレンと彼女の父スローン教授は彼女の妹パメラで別の問題を抱えていた。てんかん持ちのパメラの、子供が気になっていたのだ。モースもマーガレットの男友達と彼の指導教官スローンとの繋がりを発見した。スローンは殺人者から殺しの手紙を受け取っていた。そのうえ郵便局強盗の新たな犠牲者がマーガレット好みの違法ドラッグを供給するカートライトとともに含まれているようだった。警視正ブライトはモースの一匹狼的な捜査活動に不賛成だったのでモースを事件から外そうとするが、モースは謎解きを愛していたし、暗号部隊で働いた経験が教会の牧師からのすべての糸を引き出して事件を解く鍵となっていた。

<riekさんのブログより抜粋><以下、ネタバレを含みます>
 なんと言われても捜査をやめないモース。モンクフォードの家と教会に行き、そこでヒントをつかみます。教会の賛美歌の番号を示すパネルを見て考えこむが、ストレンジの言葉がヒントになり、そこに犯人の名前が隠されていることに気づくモース。そこに警視正以下がやってきて、モースにここで何をしているのかととがめますが、モースは謎解きを始め、犯人がデレクの父ウォレスであることを証明します。神父はカートライト殺害の現場を目撃していました。ウォレスとデレクが郵便局強盗にあったのも、アリバイづくりのための狂言でした。みなの驚く顔とモースの得意げな微笑み。
 アメリカに向かうサー・エドムンドとヘレンから、パメラとカートライトの子供ボビーを取り戻すモース。サー・エドムンドはパメラを連れて行く気はまったくないようです。モース、遠くの町へ行くというパメラ(とボビー)をバス停で見送ります。裁判所に行きストレンジの手助けをするというモースに、優しい言葉をかけ目を細めるサーズデイ。
 一つ残念だったのは、キンクスの「シー・マイ・フレンド」という曲が流れるシーンがカットされたこと。ストーリー的には何の支障もないですが、60年代の雰囲気を表す効果があると思うので、カットは悲しい…「パイロット版/華麗なる賭け」でもマンフレッド・マンの曲がカットされました。単に自分がロック好きで、残念ということもありますが。 
 IMDbの評価は8.3 (2016/4/4時点)
 スローン教授(ジョナサン・ハイド)は原子爆弾が愛称まで付けられて広島や長崎で多くの死者を出したことを学生たちに語っています。彼は原爆開発に関わっていました。
 オックスフォード市警に着任してきたブライト警視正(アントン・レッサー)は着任の挨拶で「公正」を強調します。サーズデイ警部補に呼ばれるモース。本来警部補の補佐は巡査部長(ここではジェイクス)の役目ですが、刑事巡査のモースを抜擢したサーズデイ。モースのしわだらけのシャツを見て「アイロンくらいかけろ。第一印象だぞ。」と注意。
 サウスムーアで発見された死体はマーガレット・ベル(フィオナ・ライアン)で、秘書学校の生徒。死因は心臓発作。彼女の家庭医ドクター・プレンティス(マーク・バゼリー)は薬を服用したなら発作は起きないはずなのに、と死因をいぶかります。ベルの同級生に話を聞くモース。マーガレットが「あの人とムーンライト・ルームズに行く」と書いた速記を読み、同級生に「あの人」は誰かをたずねると郵便局のデレク(ルーク・アレン=ゲイル)だと言う。郵便局にデレクを訪ね、彼のアリバイを確認する。デレクの父親クラーク(アルバート・ウェリング)は警察の訪問を気にする。モースは局に来たパメラ(ソフィー・スタッキー)と出会います。
 第二の殺人事件が発生。場所はゴッドストーの公衆トイレ。被害者はカートライト医師(ドミニック・テイラー)。プレンティスと共に診療所を開業しています。公衆トイレの外に乗り捨てられた自転車から左利き、運転手は年配の倹約家でたぶん聖職者と推理を進めていくモース。警視正は辟易ぎみ。カートライト家に事情を聞きにいくモースとサーズデイ。そこでエドムンド・スローンズ教授、カートライトの妻でエドムンドの娘ヘレン(オリヴィア・グラント)、ヘレンの妹パメラに出会います。パメラはカートライトの死を知ると、発作で倒れてしまいます。結婚直後、夫が交通事故で死亡(後で結婚していなかったことが判明する)、遺児ボビーの養育をしようとしますが、夫との間に子供がいないヘレンにボビーを取られそうになっています。現場に残されていた自転車の持ち主をつきとめ、モンクフォード牧師(ジョナサン・ガイ・ルイス)を訪ねていくモース。モンクフォードは自転車は盗まれた、ゴッドストーのあたりはまったく知らないと言う。話をしているうちに、モンクフォードが化学とクロスワードが好きなことを知るモース。話の流れで、自分が王立通信団で暗号兵をしていたことを話します。これを受けてやはり暗号兵だったモンクフォードがモースに謎かけをしますが、これが最後に謎解きにつながります。
 パメラの家を訪ねるモース。部屋のラジオから流行歌が流れてきます。寂しさからモースにしばらくそばにいてほしいと頼むパメラ。ベッドに横になったパメラのかたわらで本の読み聞かせをするモース。パブで昇進試験のための勉強をするモース。ストレンジに相手を頼みますが身が入らず、ついパメラの話をしてしまいます。夜遅く第二の殺人現場に行き、薬物のアンフェタミンを見つけるモース。背後にきたのはサーズデイ。モースは推理で、サーズデイはカートライトの遺留品で、被害者がいたトイレに何かがあるのではと気づきました。デレクがカートライトから薬を手に入れ、マーガレットに渡し、その薬のせいでマーガレットが死んだのではないか?それを隠すために、デレクがカートライトを殺したのでは、と推理するモース。話の流れで、サーズデイの戦争体験が出てきます。(最後にデレクの罪を隠そうとした父親の犯行が明らかになります)
 郵便局へ行くとデレクと父親のウォレスは郵便局強盗に襲われていた。二人ともひどい有様。
 第三の殺人が教会で発生。死んでいたのはモンクフォード牧師。牧師には同性愛という秘密があったと推理するモース。事件現場にやってきたブライト警視正は、モースの今までの仕事ぶりを見て「もう終わりだ」と言う。状況から次々に推理をしていくモースに、「一杯飲もう」と声をかけるサーズデイ。再びモースとサーズデイのパブシーン。パメラをかばうモースに、きちんと仕事をするよう諭すサーズデイ。ブライトから言われたことを伝えます。「とりあえず事務の仕事に戻れ。」一瞬黙りこむモースにバツの悪そうな顔をするサーズデイ。「今は世渡りを覚えろ」というサーズデイ。「ごちそうさまでした」と言ってモースは席を立つが、サーズデイのところに戻り、言う。「私は優秀な刑事(good detective)です!」。それに対してサーズディは「だめな警官(poor poluceman)だ」。
 泥棒かささぎとは幼少期のパメラに付けられた綽名です。 

3.Fugue

殺しのフーガ

Season 1
Episode 2
89分

WOWOW
2013/04/21
89分54秒

2018/2/24

NHK・BS
case3 殺しのフーガ

楽天Showtimeタイトル「殺人予想図」
Directed by Tom Vaughan
Colin Dexter (characters),Russell Lewis (written by)
Cinematography by Zac Nicholson ... director of photography
Film Editing by Guy Bensley

Cast
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
Lavinia Bertram ... Grace Madison
Laura Rees ... Faye Madison
Will Featherstone ... Phillip Madison
Geoffrey Streatfeild ... Dr. Daniel Cronyn
Lex Shrapnel ... Roy Adamson
Paul Bullion ... Gerry Olderby
Kelly Price ... Evelyn Balfour
Iain McKee ... Lionel Balfour
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
Sean Rigby ... PC Jim Strange
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Anton Lesser ... Chief Superintendent Bright
Michelle Morris ... Neighbour
Sara Vickers ... Joan Thursday
Jack Bannon ... Sam Thursday
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Robert Blythe ... Farmer Oakshott
Joanna Horton ... Linda Snow
Robin Soans ... Ivan Straker
Sarah Crowden ... Miss Thornhill
Claire Vousden ... Miss Crane

Rest of cast listed alphabetically:
Greg Bennett ... Police Constable (uncredited)
Colin Dexter ... Audience Member at Piano Recital (uncredited)
Hugh O'Brien ... Recital Guest (uncredited)

 ブライト警視正はモースを事務仕事に振り分ける。犯罪に対して余計な仮説を振りまくモースがわずらわしいのである。サーズディはなんとかモースを捜査に加えようとする。今回だけという約束でなんとか捜査を許してもらえたモースだったが、ラストでとうとうブライト警視正は「こんなに大きな仕事をした後では、事務仕事は物足りないだろう、事務仕事はもういい」とお許しが出る。
 徹夜仕事で運転でも居眠りをしてしまったモースを自宅で休息させ、いたわるサーズディの様子が見られる。
 最後にモースはサーズディに「仕事を続ける秘訣は?家庭に仕事を持ち込まないことですか?」と聞く。サーズディは答える。「まともな神経ではこんなにひどい犯罪には、つきあってはいられないものだ。どんな闇もこれだけは奪えないというものを持っていることだ」と。

 IMDbの評価は8.7 (2016/4/4時点)
 新米なのに鮮やかに難事件を解決した名刑事として、モースはうっかりオペラ劇場で合唱に参加しているところをパパラッチされて新聞に顔写真入りの記事「警察のスター、オペラで観衆を魅了」が掲載されて目立ってしまいます。その記事を見て、モースを一層意識してライバル視したのは、巡査部長ジェイクスだけではなかった。誰かが記事を切り抜いています。
 古い貨物列車の車両内でイヴリン(ケリー・プライス)の絞殺体(Dが刺繍されたハンカチを口に押し込まれている)が発見されたのに続いて、老植物学者グレイス(ラヴィニア・バートラム)が自宅で毒殺される事件が発生。それぞれの遺体の傍らに、外国語のメッセージが残されていました。貨物列車では殺害現場の扉が開いていたことを不審に思ったモースがひとりで再調査に入って扉の裏にチョークで書かれたメッセージを発見します。これらのメッセージが共にオペラのヒロインの最後のアリアの言葉(ヴェルディの『オテロ』で絞殺されるデズデモーナの最期の言葉「もう一度キスを」とドリーブのオペラ『ラクメ』の毒草で自殺を図るラクメのアリア)に関連していると、モースは読み解き、一連の犯行が特異な嗜好を持つ同一犯によるものと推理。しかし、サイコパス事件の展開に慣れていない警察官ブライトたちは、モースの推理の突飛さに戸惑います。捜査を続けていくうちに、モースはこれらの芝居がかった事件が犯人から自分への挑戦状であると気づきます。
 精神科医ダニエル・クローニン(ジョフリー・ストリートフィールド)が来て、警察にこれは心の無い連続殺人鬼のしわざだと読み解いてみせます。昔、彼の患者だったキース・ミラーがこの事件の容疑者として思い当たるといいます。三番目の被害者ニモは関係者の隠れ家で壁の奥の空き室に埋め込まれていました。鍵となるのは『アイーダ』での生き埋めとなるアイーダとラダメスの二重唱でした。モースは被害者の名前にある順番(音符の覚え方)が隠されていることに気付きます。それによると、次の被害者の頭文字はDと推測されました。鍵となるオペラはリムスキー・コルサコフの『雪娘』。雪娘は夜明けには融けてしまう。誘拐された少女デビーを救出するのに残された時間は12時間。新聞編集部に送りつけられた挑戦状の暗号を解かないと娘を救出できません。モースは謎の言葉をアナグラムと解釈してボドリアン図書館に捜査に入り、殺人鬼ミラーを追い詰めますが、モースは刺されて傷を負います。少女が隠された場所を読み解いたモースは無事少女を救出したものの、簡単に解けてしまった暗号の簡単さに不審を抱きます。なにしろ「ある警官は脳なし。全警官は悪人」という声明文を送りつけてきているほどの犯人なのです。
 その不安は的中しました。真の被害者Dは、D・クローニンでした。モルヒネを注射されたうえに王水を頭からかけられていました。新聞編集部のドロテアからメーソン・ガルという過去の少年殺人鬼の情報も寄せられました。犯人をガルと仮定すると、被害者にはガルの犯罪や裁判と関連する共通点が浮かび上がって来ました。だとすると、いったいキースとは何者なのでしょうか。モースはアナグラムだと解きます。
 次の被害者はFだ。オックスフォード合唱協会の頭文字をつなげるとTOSCAになる。屋上から転落死する『トスカ』の主役トスカに見立てられるフェイ・マディソン(ローラ・リーズ)でしょうか。兄フィリップのピアノ・リサイタル会場に警官たちが駆けつけます。
4. Rocket

犯罪相関図

Season 1
Episode 3

2013/04/28
WOWOW


2018/3/3

NHK・BS
case4
ファミリービジネス

楽天Showtimeタイトル「密謀のロンド」

Directed by Craig Viveiros
Colin Dexter (characters),Russell Lewis (written by)
Cinematography by John Pardue ... director of photography
Film Editing by Mark Thornton

Cast
James Merry ... Percy Malleson
Rosalind Halstead ... Estella Broom
Jack Roth ... Lenny Frost
James Northcote ... Johnny Broom
Craig Parkinson ... Reg Tracepurcel
Anton Lesser ... Chief Superintendent Bright
Martin Jarvis ... Henry Broom
Maimie McCoy ... Alice Vexin
Darwin Shaw ... Crown Prince Nabil
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Sean Rigby ... PC Jim Strange
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
William Houston ... Richard Broom
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Joanna Cassidy ... Brenda Grice
Jenny Seagrove ... Nora Broom
William Brand ... Dr. Werner Volk
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Craige Els ... Factory Worker
Tim Stern ... Cribb's Bootmaker
Ellie Beaven ... Marigold Proctor

Rest of cast listed alphabetically:
Greg Bennett ... Police Constable (uncredited)
Colin Dexter ... Don on Bench at College (uncredited)
Hugh O'Brien ... Recital Guest (uncredited)

 IMDbの評価は8.2 (2016/4/4時点)
 王女を出迎えたとき、ジャケットを脱いでいた男。ケンドリックから
 ブルーム一家の探索を相談されていたが、事件当時、電柱の
 設置工員で、オリーブ殺害の真犯人。ケンドリック殺しの際に
 ジャケットに付着したペンキのせいで着替えなければならなかった
 男。それは・・・
 国家の一大プロジェクトを担う軍需関連企業ブリティッシュを王室関係者と海外からのお歴々が視察するという厳戒警備態勢が敷かれた中で、まさかの殺人事件が発生します。
  死体の第一発見者は、その企業の美人社長秘書アリス(マイミー・マッコイ)。 実は彼女は新米刑事モース巡査の大学時代の知り合いで、モースとの再会にときめいている様子です。事態が事態だけに上層部からのお達しにピリピリしているブライトは、事件の早期解決を指揮します。被害者パーシィ・マレソン(ジェイムズ・メリー)は4ケ月前に入社したばかりの組立工でしたが、ストップウォッチを常時携帯していたことから、労働者の時間動作研究をひそかに行う管理者側のスパイと判断されました。しかし、彼のノートから社長一家の行動をも監視していたことが判明します。アパートの遺留物、特にオーダーメイドの革靴の調査から彼の本名はユースタス・ケンドリック、12年前に失踪した女子大生オリーヴ・リックスの恋人として重要参考人とされていた人物でした。しかしオリーヴ・リックスには年上の恋人がいたという証言が彼女の従妹から得られました。
 王女の工場訪問がきっかけでブルーム一家は久しぶりに再会することになったのでした。ヘンリー会長(マーティン・ジャーヴィス)と実質的な御意見番である妻ノラ(ジェニー・シーグローヴ)、急死したハリーに代わって社長を務めるリチャード(ウィリアム・ヒューストン)、名前だけのドラ息子ジョニー(ジェイムズ・ノースコート)、利発な娘エステラ(ロザリンド・ハルステッド)。
 企業の経営は、実際には火の車。ハシミテ王国へのミサイル売買は不首尾、ジャイロ誘導機構の出来を危ぶんだ皇太子は工員レニー(ジャック・ロス)を買収して設計図を盗ませましたが、侵入したレニーは感電死してしまいます。レニーは事故に依るケガで組合側の切り札でもありました。女子工員があわやという事故も起き、組合側のトレースパーセル(クレイグ・パーキンソン)はただちにストライキを宣言します。アリスがブルーム家の森のブナの木にオリーヴの名前が彫られていることを思い出しました。文字は「オリー&ハリー」とあった。オリーヴの恋人は亡くなったハリー・ブルームだったのです。リチャードが森で彼女の遺体を発見、死体を埋めたと証言。彼女を殺したのがブルーム家の誰かだと疑ったケンドリックが密かに調べていたと推測されました。しかし、警察へは政府筋から捜査停止命令が出されました。
 アリスを誘ったものの断られた映画館でニュース映画を見ていたモースは、工場訪問時のある男の意外な様子に気が付きます。それこそが真犯人への手がかりでした。
5. Home

家族の肖像

Season 1
Episode 4

WOWOW
2013/05/05
93分04秒


2018/3/10

NHK・BS
case5 家族の絆

楽天Showtimeタイトル「腐縁のフィナーレ」


Directed by Colm McCarthy
Colin Dexter (characters) ,Russell Lewis (written by)
Cinematography by Peter Robertson ... director of photography
Film Editing by Mark Davis

Cast (in credits order) verified as complete
Paul Venables ... Prof Alistair Coke Norris
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Louise Dylan ... Judy Vallens
Guy Williams ... Jolyon Frobisher
Lloyd McGuire ... Charlie Ayres
Jamie Glover ... Dr. Ian Kern
Sean Rigby ... PC Jim Strange
Poppy Miller ... Millicent Coke Norris
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Sara Vickers ... Joan Thursday
Anton Lesser ... Chief Superintendent Bright
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
Chris Barnes ... Albert Gudgeon
Richard Hawley ... Morris Cubitt
Kelly Adams ... Cynthia Riley
Clive Wood ... Vic Kasper
Nick Court ... Vince Kasper
Lynda Rooke ... Gwen Morse
Sonya Cassidy ... Joyce Morse
Alan Williams ... Cyril Morse
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Edmund Kingsley ... Mark Carlisle
Marilyn O'Brien ... Prue Carter
John Hollingworth ... Taxi Driver

Rest of cast listed alphabetically:
Greg Bennett ... Police Constable (uncredited)
Rachel D'Arcy ... Lila Pilgrim - Nightclub Singer (uncredited)
Colin Dexter ... Don at Booth Hill Debate (uncredited)
Alexandra Doyle ... Georgina Bannard (uncredited)
Hugh O'Brien ... Recital Guest (uncredited)

モースの父親が狭心症で危篤になり、妹のジョイスが連絡してきます。帰宅した家では、姉のグエンはモースを邪魔者扱いします。妹は優しいのですが。父親はモースに「警官は嫌いだ」と言いますが、ジョイスは「本当は自慢なのよ」と弁護します。

 IMDbの評価は8.4 (2016/4/4時点)
 雪の降る中、新しい町の開発を讃える看板が建てられています。ブース・ヒル開発企画です。一方、CAFE前の駐車場からトラックが盗まれ、積み荷の一万本の煙草が盗まれました。
 ひき逃げの被害者コーク・ノリス教授(ポール・ヴェナブルズ)は妻ミリセント(ポッピー・ミラー)を駅に迎えに行く約束を守りませんでした。調べが進むにつれ、ノリス教授はブース・ヒルの生まれで故郷の土地を大学に売却したものの、大学が土地を開発公社に売る事には反対していたことが判明します。大学ではイアン・カーン博士(ジェイミー・グローバー)が落胆したノリス教授の妻を慰めていました。
 さらに大学の学寮長フローリーは裏の組織とつながって、公務員カーライル(エドマンド・キングズレー)に賄賂を渡す、大学職員に娼婦を斡旋するなどの不正工作をしていたことが分かってきます。裏の組織は昔、サーズディの相棒ミッキー・カーターを撲殺しており、サーズディは組織のボス、ヴィック・キャスパー(クライヴ・ウッド)をマークしていました。サーズディはモースが彼の組織やクラブ(ムーンライト・ルーム)に近づかないように警告します。しかし、土地開発事件に関わる捜査で、モースは店に乗り込んで突撃聞き込みをしたりします。
 ヴィックは引退して弟のヴィンス(ニック・コート)に跡目を譲っていました。ヴィックはシンシア(ケリー・アダムス)を情婦にして店を任せています。
 真犯人にわき腹を撃たれて負傷したモースは、治療もそこそこに危篤の父親のもとへかけ付けます。父親が亡くなった翌朝、サーズディが車で来て、「何か要るものは?」と聞く。モースは「何も。二、三日したら戻ります」と。昇進試験を受けるストレンジに対して、自宅で酒の量が増えるモース。

.<Pont des Arts 白目の視点から>ブログより抜粋
 新米刑事モース巡査は、巡査部長への昇進試験を控えて、同じく昇進試験に挑戦する制服巡査ストレンジと共に張り切っていた。 大学教授がひき逃げされた死亡事故の不自然さに疑問を抱いたモースは、捜査を進めていく中で“その筋”(仮)の人物が何らかの形で事件に絡んでいると推理。
  そこでモースは、聞き込みのため“その筋”(仮)のボスが経営するナイトクラブに向かおうとしたが、サーズデイに決してその店に近づかない様に警告される。
  サーズデイと“その筋”(仮)のボスとの間に過去からの因縁があると判明しても、モースはやっぱり警告を聞き入れずに突っ走るが、捜査は難航…。
  家族の身の安全が脅かされたサーズデイが思いつめる一方で、疎遠だった父親の体の具合が悪いと妹から知らされたモースは、久しぶりに実家に帰省するが…。
 娘のジョアンが「部下と2人で店に来ていた」と聞いたサーズデイは、その部下とはジェイクスだったが、「部下=モース」と早合点し、「娘を頼む!」とモースを危篤の父親のもとへ見送り、組織との対決の覚悟を決めて出かけた。 もはや、サーズデイの部下の座に、巡査部長ジェイクスが入り込む余地はない。
6. Trove

消えた手帳

Season 2
Episode 1

WOWOW
2014/03/30
90分15秒


2018/03/17

NHK・BS
case6 失われた光

楽天Showtimeタイトル「死のパレード」
Directed by Kristoffer Nyholm
Colin Dexter (characters) ,Russell Lewis (written and devised by)
Cinematography by Rasmus Arrildt ... director of photography
Film Editing by Adam Bosman, Alex Mackie, Charlie Phillips

Cast (in credits order) verified as complete
Nigel Cooke ... Walter Fisher
Jessie Buckley ... Kitty Batten
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Jessica Ellerby ... Diana Day
William Mannering ... Dr. Malcolm Speight
Philip Martin Brown ... Bernard Yelland
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
Beth Goddard ... Barbara Batten
Jonathan Coy ... Archie Batten
Nick Waring ... Force Medical Examiner
Pooky Quesnel ... Muriel Todd
David Westhead ... Val Todd
Liam Garrigan ... Tony Frisco
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Sara Vickers ... Joan Thursday
Anton Lesser ... Chief Superintendent Bright
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
Sean Rigby ... PC Jim Strange
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
James Palmer ... Justin Delfarge
Shvorne Marks ... Monica Hicks
Jamie Parker ... Dr. Matthew Copley-Barnes
Samuel Oatley ... Mallory
Celyn Jones ... Jenkins
Emily Plumtree ... Lydia Martin
Kay Lavrentieva ... Frida Yelland (as Tieva Lovelle)
Michael Hobbs ... Returning Officer

Rest of cast listed alphabetically:
Greg Bennett ... Policeman (uncredited)
Nathanjohn Carter ... John Pettifer (uncredited)
Colin Dexter ... Don on Bench outside Beaufort College (uncredited)
Faith Elizabeth ... Handsome Kissing Couple (uncredited)
Mike Fordham ... David Grimsby - Liberal Candidate (uncredited)
Richard Herdman ... Ambulance Man (uncredited)
Stuart Matthews ... Political Party Official (uncredited)

 IMDbの評価は8.4 (2016/4/4時点)
 ミス・イギリスに選ばれたダイアナ・ディ(ジェシカ・エラービィ)が参加する独立記念パレードで、ダイアナに発砲し、赤インクを吹き付けたキティ・バッテン(ジェシー・バックリー)の母親バーバラ(ベス・ゴダード)は補欠選挙に立候補していました。父親アーチー(ジョナサン・コイ)は妻を尊敬しているといいます。
 祭りの日に、屋上から転落死した男は歯科医レイモンド・ミーカーと思われましたが、捜査を進めると、その歯科医は2ケ月前に死んでいました。彼が宿泊していたモーテルの一室には「D DAY FRIDAY  98018」のメモ書きがありました。いったいその意味は?
 一方、バーナード・エアランド(フィリップ・マーティン・ブラウン)は失踪した義理の娘フリーダ(ケイ・ラヴレンティエヴァ)を探していました。モースは「FRIDA Y」がフリーダを意味するメモではないかと仮説を立て、転落死した男とフリーダ失踪事件に結びつきがあるのではないかと主張します。しかし、怪我が治って職場復帰したモースの突飛な主張をサーズディさえも理解しません。
 カレッジ付属の博物館から宝物が盗まれる事件が発生します。
 転落死した男の身元は、ロンドンの興信所の離婚専門の探偵ペティファーらしいことが分かって、探偵所を訪問したモースは誰かに殴られ、しかもその直後に興信所に写真を奪いに来た二人組の男たちに探偵と間違えられて殴打されます。
 ペテイファーの遺留品の帽子に隠されていた質草の券で受けだした預け物の筒にはあちこちを撮影したネガフィルムが入っていました。そのうちのひとつカレッジに繋がる下水道を調べたモースとサーズディは、遺棄されていたフリーダの死体を発見します。
 さらに写真の一枚は閉鎖した休暇村の貸し室の写真だと気づいたモースが、室を調べると、フリーダ殺害の痕跡がありました。
 ミス・コンテストを主催するプロダクションのヴァル・トッド(ディヴィッド・ウェストヘッド)の妻ミュリエル(プーキィ・ケスネル)はペティファー探偵に夫の浮気調査を依頼したことがありました。ミス・コンテストに応募してくる美女たちと夫の仲を疑ったのです。しかし、ペティファーの調査結果は夫はシロだったというもの。ただ、ペティファーは偽の報告をすることで、被調査者を脅迫していた可能性が出てきました。
 宝物殿の盗難は写真家トーマス一味の仕業でした。モースは博物館の学科長を殺人の黒幕だと疑います。しかし、それには証拠がありません。ブライト警視正はモースの判断を疑います。サーズディはモースの推理は殴られた結果の脳しんとうのせいだと取り成します。サーズディはモースのアパートの隣室のモニカ(シュボーン・マルクス)に様子を見てくれと依頼しました。
 殺人事件の真相は意外な展開を示すことになります。真相は二つの家族を崩壊させます。フリーダの家族も加えると三つの家族を崩壊させることになります。真相は明らかになりますが、後味はたいへんに悪いものです。残された家族の悲嘆が描かれます。モースはトッドから有力者にたてつくことの怖さを指摘されます。後のエピソードへ繋がるものかもしれません。ペティファーの遺留品のなかにあった手帳が消えてしまいますが、ラストでその手帳が誰かに渡されるショットがあります。警察幹部でしょうか。
7. Nocturne

亡霊の夜想

Season 2
Episode 2

WOWOW
2014/04/06
89分49秒


2018/03/24

NHK・BS
case7 鏡の国の少女

楽天Showtimeタイトル「顔のない少女」
Directed by Giuseppe Capotondi
Colin Dexter (characters),Russell Lewis (written and devised by)
Cinematography by Neus Olle ... director of photography
Film Editing by Yan Miles

Cast (in credits order) verified as complete
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Susy Kane ... Miss Victoria Danby 女教師
Imogen Gurney ... Edwina Parrish  失踪する女生徒
Nell Tiger Free ... Bunty Glossop  最初に失踪する女生徒
Anya Taylor-Joy ... Philippa Collins-Davidson  女生徒
Eve Perry ... Antonia Lockwood   女生徒
Maya Gerber ... Stephanie Hackett  女生徒
Lucy Boynton ... Petra Briers   女生徒
Emily Warren ... Shelly Thengardi  女生徒
Michael Shannon ... Nahum Gardiner  アメリカ人の夫
Lynn Farleigh ... Tabby Gardiner  アメリカ人の妻
Daniel Ings ... Terence Black  博物館でアルバイトをする学生
Sara Vickers ... Joan Thursday  サーズディの娘
Roger Allam ... DI Fred Thursday  サーズディ警部補
Jack Bannon ... Sam Thursday  サーズディの息子
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn  監察医師
Kate Lamb ... Daisy Weiss  ヴァイスの娘
Sean Rigby ... PC Jim Strange  ストレンジ巡査
Diane Fletcher ... Miss Bronwen Symes  校長
Tom Prior ... Billy Karswell  農夫の息子
Struan Rodger ... Wilf Karswell  農夫
Desmond Barrit ... Stephen Fitzowen  本の著者
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil 新聞記者
Shvorne Marks ... Monica Hicks 看護士
Thomas Arnold ... Cendree Wyvern
Anton Lesser ... Chief Superintendent Reginald Bright
Simon Kunz ... DI Bart Church
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Ian Peck ... Ossie Lloyd
Eleanor Northcott ... Maud Ashenden

Rest of cast listed alphabetically:
Barry Ashton ... Genealogist Adrian Weiss (uncredited)
Colin Dexter ... Visitor at Museum (uncredited)
Stuart Matthews ... Barman (uncredited)

 IMDbの評価は8.5 (2016/4/4時点)
 夏休み期間中ということもあり、来場者もまばらで閑散とした自然歴史博物館内で、学芸員の男性エイドリアン・ヴァイス(バリー・アシュトン)が惨殺され、死体の傍らに展示品のナイフ、インドの古い刀剣カタールが置かれるという怪事件が発生します。モースは切るより突く役目の刀剣が使われたことに不審を抱きますが、警察医の鑑定では実際の凶器は剃刀でした。アルバイトで働いていた大学院生のテレンス・ブラック(ダニエル・イングス)は、サッカー・ワールド・カップの実況中継をイヤホーンで聞いており、何も怪しいものは見なかったといいます。
  事件当日に博物館を訪問した中に、教師ダンビー(スージー・ケイン)に引率された寄宿学校の女学生達がいたことを確認したモース巡査は、手がかりとなる情報を求めて学校へと向かいます。思春期の少女たちにとってモースは著しい関心の的となります。
  現在はブライス・ライト女学校となったその建物は、100年前に家族5名が何者かに惨殺された未解決殺人事件ブレイズ・ハミルトン事件の舞台となった、いわくつきの屋敷だったのです。モースはこの古い事件に関心を持ちますが、ヴァイスの事件は強盗によるものとみなす警察でのモースの評価は低い。
 ヴァイスの姪のデイジー(ケイト・ラム)によると、ヴァイスは紋章学を研究しており、定年後は趣味的に仕事を請け負っていたそうです。アメリカ人の老夫婦に頼まれて戦死した息子の戦地でのおとしダネを探していたようでした。
 夏休みでも帰省せずに寮に残っていた女子学生7名のうち、利発なバンティ(ネル・タイガー・フリー)は、夜中に起き出して寄宿舎を歩き回り、少女の幽霊を見た後に、行方不明となりました。探しに来たモースは使われていない屋根裏部屋で腐った床を踏み抜き、落ちて怪我をします。しばらくして、バンティと仲の良かったエドウィン(イモジェン・ガーニィ)も失踪しました。
 モースはブライズ・ハミルトン事件の本の著作者フィッツオーエン(デズモンド・バリット)に会い、過去の事件についての詳細な情報を得ます。誰かが伝説を再現しようとしているのでしょうか。さまざまな憶測がとびかいます。フィッツオーエンは心霊写真を撮影しようとカメラや録音機を装備して寄宿舎へ乗り込んできます。州警察も協力して監視を続けたその晩、亡霊少女の正体が判明し、なかの一人モードがヴァイスと同じ手口で殺害されます。
 地区警察と州警察が厳戒態勢を取るなか、真犯人は最後の凶行をたくらんでいました。莫大な遺産が目当てでしたが・・・。.
 紙の袋から証拠品の指環を取り出す何者かの手。

 同僚のストレンジにダブルデートの誘いを受けて、パブへ行ってみるとデートのお相手としてやって来たのはサーズディの娘ジョアンだった。気楽なつき合いデートだったのに、知り合いが来てしまって困惑するモース。しかも、モースは隣室の看護士モニカとのデートを急な仕事が入ったと言って断ったところだった。そのモニカもパブにやって来てジョアンと一緒のところを目撃されてしまったからバツが悪い。ジョアンは「花を贈ればよい」と示唆する。
8. Sway

黒の絞殺魔

Season 2
Episode 3

2014/04/13
WOWOW

2018/03/31

NHK・BS
case8 情事の代償

楽天Showtimeタイトル「情事のスケルツォ」
Directed by Andy Wilson
Colin Dexter (characters), Russell Lewis (written and devised by)
Cinematography by Gavin Finney ... director of photography
Film Editing by Andrew MacRitchie

Cast
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Michael Thomas ... Rufus Haldane
Gina Bramhill ... Gloria Deeks
Cecile Paoli ... Luisa Armstrong
Joe Bannister ... Alan Burridge
Sean Rigby ... PC Jim Strange
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Anton Lesser ... Chief Superintendent Reginald Bright
Max Wrottesley ... Joey Lisk
Matthew Wilson ... Norman Parkis
Sara Vickers ... Joan Thursday
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Paul Lacoux ... Mr. Jellicoe
Brian Lipson ... Talfryn Pugh
Rob Compton ... Barry Dobbs
Rob Jarvis ... Roy Huggins
Adrian Schiller ... Charles Highbank
Shvorne Marks ... Monica Hicks
Tim McMullan ... Mr. Brian Quinbury
James Doherty ... Mr. Lee
Jack Bannon ... Sam Thursday

Rest of cast listed alphabetically:
Richard Banks ... Grave Digger (uncredited)
Alexander Bracq ... Bar Customer (uncredited)
Colin Dexter ... Gentleman on Bus (uncredited)


 絞殺事件の真犯人が逮捕された後、もうひとつの悲劇が起きる。ルイザ・アームストロングが自殺したのだ。
 彼女は遺書を遺しており、夫の死の悲しみに耐えられなかったのだと警察は解釈したが、遺書のうち、フレッド宛ての遺書をモースは抜き取っており、それをフレッドに渡していた。それを読んだフレッドは「悲しみなんかじゃない。戦争の傷が原因だ。すべて戦争が悪いんだ」とつぶやく。
 フレッドが置いた手紙をモースは読み、そして燃やす。その手紙には「隠れ家を密告したのはユーゴではありません。私です。ずっとその負い目を抱えて生きて来ました。あなたに会って昔のことを一気に思い出しました。」と告白されていた。
 サーズディも「あのときの(逢瀬の)こと、一瞬一瞬をすべて覚えている。忘れることなどできるものか」と述懐していた。
 デパートの販売主任クインバリー(ティム・マックマラン)も戦争時は十代だったが、飛行連隊の一員で脚を撃たれて復員していた。いまでも戦争のときの恐怖を思い出すと語っている場面が出てくる。

 IMDbの評価は8.5 (2016/4/4時点)
 オックスフォード地区で「主婦絞殺される。犯人を招き入れる」と報道される人妻の連続殺人が起こっていました。モースはチャド警部補のファイルを見て、マーチャント夫人、カラン・マシューズ夫人殺人事件の捜査報告について、独自の見解を持ちます。しかし、市警の管轄外の事件に勝手に首をつっこむことは許されません。第三の殺人事件は市警領域でハルデーン夫人。モースは被害者たちが人妻であるにも関わらず、指環をしていなかったことに注目しました。夫の数学教授(マイケル・トーマス)によれば、妻とは別居状態で妻は性関係に不満を持っていたといいます。被害者は、黒で絹のガーター・ストッキングで絞殺されていました。
 モースはデパート、バリッジの靴下売り場の主任ルイザ・アームストロング(セシル・パオリ)に販売実績を尋ねます。靴下はレミノ・ノアールというフランス製で、販売相手の記録などもありました。ハルデーン夫人は秘密の日記もつけており、その文面からは不倫の相手と会った直後に絞殺されたようです。デパートで、モースは隣室の看護婦モニカと会い、以前のデート反故を詫びます。マットレスを購入しようとするモニカ。デパートの販売員は二人を夫婦ものと間違えます。
 地下の収納員ノーマン・パーキス(マシュー・ウイルソン)が管理する台帳からの販売実績報告をモースに伝えているところへ、サーズディが出現。彼を見た途端に、ルイザは失神。戦時中にサーズディとルイザは恋人同士だったようです。
 サーズディは女房との結婚記念パーティを計画中でしたが、デパートの捜査をモースに一任し、表向きはルイザと会うことを避けるようになります。デパートの若きオーナー、アラン・バリッジ(ジョー・バニスター)はここ数週間、売上が販売数と合わないとこぼしています。
 ところで、例の靴下はバリッジだけで扱っているのでしょうか。問屋ゴールドハーブを紹介されて、モースは問屋のリスク(マックス・ロッテスリー)と会います。リスクは女は性に飢えたものという見方をする女たらしで、デパートでも夫が刑務所に入ったばかりのグロリア・ディークス(ジーナ・ブラムヒル)をナンパしようとしていました。しかし、デパートの授業員はみんなグロリアの味方。特におカマの老人が彼女を守ってくれます。
 サーズディはルイザの自宅を訪ねます。戦争中、ファシストに捕らわれた軍曹は、双眼鏡でルイザたちパルチザンの女性たちが銃殺されるのを目撃していました。隠れ家を密告したのはフランチェスカを恋していた農家の息子ユーゴだったといいます、彼も戦後父親と一緒に銃殺されたそうです。死んだと思ってルイザをあきらめた軍曹でしたが、ルイザは翌日連合軍に救出され生命をとりとめた、そのときの軍人がアームストロングだったのだそうです。ルイザは「昔の私は死んだ。心にしまっておいて」と言います。
 モースはマーチャント殺害現場の写真を見て現場を捜索し直し、ボタンを発見します。Aの文字入りでした。名前の頭文字ではなく、αからωまでという意味でした。
 モースが偶然、デパートで警備員ジェリコ(ポール・ラクークス)が捕えたという万引き女に会ってみると、サーズディの妻でした。もちろん万引きなどしていません。ジェリコは客のバッグにそっと品物を入れ、万引き犯に仕立てあげ、盗難を見逃すという手口で小銭を稼いでいたのです。店の品物と販売実績が合わない理由が判明しました。
 盲目の調律師ピュー(ブライアン・リプソン)に聞くと、彼は被害者の家の調律に行くと、いつも同じ男のローションの匂いがしたと証言しました。
 花火大会でストレンジが無理やりグロリアを車に連れ込もうとしているリスクを逮捕。リスクの所持品から被害者から盗った指環や刻印入りのライターなどが発見される。女性たちの不倫の相手はリスクだったのです。彼は絞殺魔の容疑者ともなります。
 しかし、モースはモニカと過ごした翌朝、マットレス運送業者が壁面に擦って残した荷物番号を見て、犯罪現場に残された硫酸カルシウムがチョークだったことに気付きます。真犯人はリスクではなかったのです。
9. Neverland

腐った林檎

Season 2
Episode 4

WOWOW
2014/04/20

89分59秒

2018/04/7

NHK・BS

case9 ネバーランド(ひとまず最終回)


楽天Showtimeタイトル「汚れたネバーランド」
Directed by Geoffrey Sax
Colin Dexter (characters), Russell Lewis (written and devised by)
Cinematography by Rasmus Arrildt ... director of photography
Film Editing by David Blackmore

Cast (in credits order) verified as complete
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Louis Ashbourne Serkis ... Tommy Cork
Andrew Gower ... Nicholas Myers
Oliver Lansley ... Benny Topling
Martin Hancock ... 'Nosey' Parker
Oliver Coleman ... Henry Portmore
Sarah Beck Mather ... Hilary Portmore
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Nick Waring ... Force Medical Examiner
Mark Flitton ... Prison Officer Wainwright
Derek Hutchinson ... Chief Constable Rupert Standish
Richard Dixon ... Josiah Landesman
Anton Lesser ... Chief Superintendent Reginald Bright
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
Gordon Kennedy ... Alderman Gerald Wintergreen
Sarah Woodward ... Hazel Wintergreen
James Wilby ... ACC Clive Deare
Emma Hiddleston ... Angela McGarrett
Sean Rigby ... PC Jim Strange
Sara Vickers ... Joan Thursday
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Jack Bannon ... Sam Thursday
Abby Ford ... Mona Cork
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Shvorne Marks ... Monica Hicks
Vince Leigh ... DI Hugh Chard
Paul Ridley ... Dr. Jasper Fairbridge
Simon Kunz ... DI Bart Church
George Turvey ... PC Willis
Max Gold ... DI Gregson

Rest of cast listed alphabetically:
Lasco Atkins ... Rocker (uncredited)
Colin Dexter ... Gentleman on Bench at College (uncredited)
Steve Munroe ... Police Officer (uncredited)

<riekさんのブログより抜粋>

 警察署の統合にあたっては希望退職を募る必要があるというブライトに対し、サーズデイは落ち着かない表情を見せる。
 雨の中並んで歩くモースとサーズデイ。サーズデイ、なんと車の送り迎えを断ってますよ...「歩かないと」とか言って。健康診断の結果がよほど気になってるんですね。
 バブでビールを飲むモースとサーズデイ。サーズデイから希望退職を考えていることを聞かされ、モースは驚く。サーズデイ、面倒見てくれる奴を探すからと言いますが、モースは誰かがいないとやっていけないと思ってるんですね。やさしいと言うかなんと言うか。ちょっと心配しすぎじゃない?と言えないのが辛いところです(笑)。それに対してそれならオックスフォードを出て行く、とモースはきっぱりと言い放ちます。えっ!モース、本当にサーズデイがいるから刑事やってるんだ...とかなりびっくりです。
 朝仕事に出かけるモースとモニカ。昨夜ぼんやりしていたモースを心配するモニカに、モースは退職を考えていると伝える。やめた後は教師か、はたまた海外に一緒に行く?といきなりの発言。モニカが戸惑っているのが見て取れます。
 後の方でも出かける支度をしているモースとモニカ。先日の話(モースが教師になるとか、二人で海外に行くとか)は本気なのかと問うモニカに、モースはすっかり決まったことのように答える。あら。ちょっと二人の間に温度差がみえますね。教師はともかく、仕事やめたら二人で海外へ...とはかなり唐突ですよね。モニカの戸惑いにまったく気づいてないモース、これはやばいのではないでしょうか。
 ミス・イングランドのポスターの上に、他のポスターが貼られる。Case 6で登場したこのポスター、時の移り変わりを見事に映していました。

<ここからネタバレ>
 サーズデイの指示でディアに連絡するモース。ディアに至急会いたいと言われ、言われた場所に出向く。フレゼルから送られてきた新聞記事のコピーを読み、ブレナム・ベイルでの自殺事件を担当したのがディアとチャードであることを知る。その時チャードがモースの乗っている車に向けて銃を発砲、車を走らせて逃げるモース。
 署に戻り、サーズデイを探すモース。ストレンジによるとブレナム・ベイルでモースに会うと言って出て行ったという。市警で信頼できる人間を集めてブレナム・ベイルに向かわせるようストレンジに言うモース。しかしストレンジはディアの命令でできないと答える。ディアも腐った林檎の一つだったのだ。モースはストレンジに新聞記事のコピーを渡し出て行く。ストレンジは正しい道を選ぶことができるのでしょうか?
 パブで飲んでいるジェイクスの元に行き、ブレナム・ベイルに一緒に行くよう頼むモース。しかしジェイクスは「無理だ」と言って動こうとしない。その様子を見たモースは、ジェイクスがブレナム・ベイルにいた二人のピートのうちのリトル・ピートだと気づく。ジェイクスはブレナム・ベイルの実態を告白、ウィンターグリーン、ディア、ランデスマン、フェアブリッジの4人が首謀者だったこと、放火の犯人が誰かを詰問されて白状してしまったことを告白する。虐待の恐怖が蘇り、ジェイクスは身動きがとれず、「すまない」と言うだけだった。
 ブレナム・ベイルでサーズデイと会うモース。ウィンターグリーンを殺したのはアンジェラだと語る。サーズデイはいろいろと考えた末、死ぬまで警官でいると言う。その後、モースがハウスマンの「How clear, how lovely bright」からの一節をつぶやく。これは主任警部モースの最終話「悔恨の日」にも出てきます。それってなんか嫌な予感が...サーズデイは「希望は捨てんぞ」と言いますが。その時銃声が響き、撃たれて倒れ込むサーズデイ(怒!)。中に入ってきたのはディアだった。ディアは正義漢面をしながら、その実モースとサーズデイを腐った林檎にしようとしていたのだった。ディアはモースを撃とうとしたが、やってきたアンジェラに撃たれて死ぬ。アンジェラは虐待を見逃していた自分の父を殺した後にここへやってきたのだった。最後には自殺する。
 ブライトやストレンジがかけつける。サーズデイは車で運ばれ、トミーは発見されて保護される。モースはやってきたキドリントン警察のグレッグソンに、警察本部長殺害の容疑で逮捕されてしまう。ディアはモースと会った時にモースが忘れていったマフラーを使い、警察本部長を絞殺したのだった。ひどい!パブで酔いつぶれているジェイクス、不安げな顔でモースの帰りを待つモニカ、病院からの連絡を待つサーズデイ一家、そしてビッグ・ピートの遺体を掘り返すブレナム・ベイルの4人。そして拘置所の2段ベッドに憔悴しきった様子で腰掛けるモースを映して、ドラマは終わります。


 次のエピソード「RIDE 表と裏のバラッド」冒頭で、警察の事件調査委員会は、ディア警察次長の心の病がもたらしたものと結論づけ、ブレナム・ベイルに関する捜査資料は今後50年間封印すると結論づけたという説明が語られる。サーズディの傷は治癒し、モースは無実となったものの、街から湖畔の小屋に移り住んでいる。

 IMDbの評価は8.9 (2016/4/4時点)
<riekさんのブログより抜粋>
 冒頭モースが合唱団で歌っている。サーズデイが視力検査などの健康診断を受けている。モーツアルトのレクイエムから「ラクリモーサ」。
 11歳の少年トミー・コルクが家出した。ファーンレー刑務所からは、ジョージ・アルドリッジが脱走する。トミーの家に聞きこみにいくモースとジェイクス。向かった先は低所得者向けの住宅だった。トミーは父親の暴力が原因で家出したようである。ここを「地獄のネバーランド」と揶揄したジェイクス。川べりの物置住宅にトミーは犬と一緒に居た。父親から犬を棄てられると心配していた。
 警視正の部屋で向かい合うブライトとサーズデイ。「テムズバレー計画」-ブライトが提案した警察の統合話について話している。統合にあたっては希望退職を募る必要があるというブライトに対し、サーズデイは落ち着かない表情を見せる。
 鉄道の線路の上で男の死体が見つかる。被害者はフリーのジャーナリストのエリック・パターソン。500mLひと瓶も酒を飲んでいたらしい。
 オックスフォード・メイルのフレゼルと会話するモース。被害者はロンドンの記者で、政治家ウィンターグリーン参事やランデスマン建設と、キドリントンに建設予定の警察本署の関係について調べているようだった。パターソンの足取りを探ってウィンターグリーンとランデスマンに事情を聞こうとするモース。しかし二人とも彼には会っていないと否定する。トミーが父親の暴力で再び家出したと聞き、探しにいくモース。道の途中にある大きな水溜りで死体を発見する。水死体は逃走中のジョージ・アルドリッジで、ひどく殴打されて殺された様子。現場の近くのキャンピングカーに二人分の食べ物の後があり、トミーはアルドリッジといたのではないかと推測される。トミーは殺害を目撃したため行方不明になってしまったのか? アルドリッジを調べるために刑務所に行くモース。しかし刑務所の看守はすでに州警察がやってきたといって協力しようとしない。私物も警察が持っていったというが、何か隠している感じ。モースはアルドリッジと同室のパーカーに話を聞くことができた。読み書きができないアルドリッジのためにいつもオックスフォードメイル広告を読んでやっていたが、水曜日の広告の内容を聞いて様子がかわり、その夜アルドリッジはうなされていたという。アルドリッジの過去を調べるモース。1952-55年にブレナム・ベイルという少年矯正施設にいた。ブレナム・ベイルは警察本署の建設予定地で、それを調べていたパターソンの死とアルドリッジの死は関係があるのではないかと推理する。
 Case 8で登場したバリッジズの従業員、ノーマンもブレナム・ベイルの出身でしたね。
 ランデスマン、ウィンターグリーン、スタンリッシュ警察本部長、チャード警部補がゴルフをしているところに事情を聞きに来るモース。立ち去るモースを見送る3人の顔が悪人づらですね。 ウィンターグリーンに事情を聞きに来るサーズデイ。ランデスマンがブレナム・ベイルの工事を請け負えるよう便宜をはかったのではないか、それをパターソンが調べていたのではと問い詰めるが、ウィンターグリーンは知らぬ存ぜぬを通す。
 新聞に出された広告「A.P.A.D. A41」をモースは「All For One」と解釈する。三銃士の合言葉だ。A.P.A.D.はアトス.ポルトス.アラミス.ダルタニヤンだ。
 ウィンターグリーンが殺される。腹部をナイフで刺されていた。ディア警察次長(ジェームス・ウィルビー)に州警察にもテムズバレー警察にも腐敗が広がっているので、それを暴くために力を貸して欲しいと頼まれるモースとサーズデイ。ディアは自分は正義の味方のように言っていますが、うさんくさいところもあり、いまひとつ信用できない感じです。
 ブレナム・ベイルで手に入れた懲罰記録をチェックするモース。中に6人の子供が放火に加わったという記録を見つける。6人のうち、一人はベニー・トップリングという男で、今は腹話術師になっていた。アルドリッジの房の壁に彼の公演の切抜きがかかっていたのをモースは覚えていた。トップリングに事情を聞きに行くモースとサーズデイ。しかしトップリングはかたくなに何も語ろうとしない。時に腹話術の人形に「言えやしない」「本気でブレナム・ベイルのことを知りたいならドクター・フェアブリッジに聞け」と言わせる。。
 フェアブリッジの家を訪ねるモースとサーズデイ。出てきたのはウィンターグリーンの秘書を努めていたアンジェラ・マクギャラットだった。彼女はフェアブリッジの娘だと言う。ドクターはアルドリッジのことは何も覚えていないといったが、アンジェラはいろいろ覚えているようで、写真があったら知らせてくれるという。
 アンジェラから写真を受け取ったモース。アンジェラは子供のころブレナム・ベイルの子供たちと遊んでいたという。オックスフォードメイルに広告を出したニコラス・マイヤーズを訪ねるモース。マイヤーズはブレナム・ベイルにいた子供の一人で、そこがどんな場所で何が起こったかを話す。ブレナム・ベイルに集まっていたのは問題がある子供ばかりで、その内で仲のよかった6人組-マイヤーズ、アルドリッジ、トップリング、ポートモア、二人のピートは徒党を組んで悪さをしていた。
 新たにやってきた熱血漢の所長ウィンターグリーンは、改革に取り組む一方で子供たちを連れ出しては「おぞましいこと」をしていたのだという。6人組は復讐をくわだて、所長の車に放火した。所長は6人組のリーダーだったビッグ・ピートが首謀者と知り、どこかへ連れていってしまったようだった。子供たちは誓いをたて、困ったことが起きた時に誰かが新聞広告を出したら、7日以内に1つの場所に集まると約束した。ニコラスが広告を出した理由は、ブレナム・ベイルを調べていると言って連絡をしてきたパターソンだった。その後、州警察からも連絡があり、パターソンが来たら連絡するようにと言われたニコラスは、困って広告をだしたのだった。
 ポートモア博士を訪ねるモース。ポートモアも妻もその弟もブレナム・ベイル出身で、弟はブレナム・ベイルを出た後心身が不安定になり、そこの庭で首吊り自殺を遂げていた。ポートモアは発掘調査の名目でブレナム・ベイルの庭を掘り返していた。目的は行方不明になったビッグ・ピート、ピート・ウィリアムの死体を探すことだった。
 サーズデイの家で作戦会議をするモースとサーズデイ。パターソンがブレナム・ベイルで起こった子供への性的虐待を調べはじめ、それを知ったマイヤースが広告を出し、獄中にいたアルドリッジは刑務所から脱走。パターソンから接触を受けたウィンターグリーンとランデスマンは、脱走したアルドリッジがパターソンに真実を話すのではないかと誤解し、二人を殺したのではないかと推理する。アルドリッジ殺害を目撃したトミーは逃げてしまった。途中でやってきたストレンジの話によると、トミーは州警察のナンバーの車に連れて行かれてしまったという。

10. Ride

表と裏のバラッド

Season 3
Episode 1


WOWOW
2016/03/12
89分44秒

NHK BS3
2018/10/06
2020/2/8
光と影の奇想曲

Directed by Sandra Goldbacher
Colin Dexter (characters), Russell Lewis (written and devised by)
Cinematography by Suzie Lavelle ... director of photography
Film Editing by Tim Murrell

Cast
Nick Sampson ... Chief Constable
Anton Lesser ... Chief Superintendent Bright
David Oakes ... Joss Bixby
Meghan Treadway ... Jeannie Hearne
Vincent Riotta ... Harry Rose
Lewis Rainer ... Albert Potter
Louis Maskell ... Roddy Farthingale
Hilton McRae ... The Great Zambezi
Crystal Leaity ... Roselle Brawton
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Jack Bannon ... Sam Thursday
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Samuel Barnett ... Anthony Donn
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Sean Rigby ... Sergeant Jim Strange
Martin Bassindale ... County PC
Ben Mansfield ... Bruce Belborough
Jemima West ... Kay Belborough
Margaret Clunie ... Elva Piper
Jackie Morrison ... Mrs. Hearne
Robin McCallum ... Bursar
Shvorne Marks ... Monica Hicks
Joe Sims ... Clem Skivett

Rest of cast listed alphabetically:
Jessica Apostolopoulou ... Graduate (uncredited)
Colin Dexter ... Gentleman in College Chapel (uncredited)
Guy Potter ... Gerald Ashbourne (uncredited)
Janette Sharpe ... Funfair Customer (uncredited)
 IMDbの評価は8.1 (2016/4/4時点)
 冒頭のBGMはモーツアルトの『レクイエム』の「ラクリモーサ」でした。
 バスの女車掌ジーニー・ハーン(メグハン・トレッドウェイ)が湖畔で車で轢かれて発見されました。彼女は遊園地で前夜、行方不明になっていました。奇術の舞台にも登壇していましたが、奇術師ザンベジ(ヒルトン・マックレー)は彼女の記憶はないと証言します。
 前の事件で重傷を負ったサーズディ警部補は、怪我が治って復帰。一方で、殺人犯の疑いを受けたモースは疑いは晴れたものの、休職中です。モースは湖畔の一軒家にひっ込んでいましたが、大学時代の友人のトニー(サミュエル・バーネット)に誘われ、湖畔に豪邸をもつビクスビー(ディビッド・オークス)の主宰するパーティに顔を出していました。
 モースはビクスビーが美人妻ケイ(ジェミマ・ウェスト)の夫ブルース(ベン・マンスフィールド)となにかと張りあうのを目撃します。
 過去にビクスビーはケイと恋人だったようです。ブルースはケイがいながら、ケイの友人のテニス選手エルヴァ(マーガレット・クラニー)や殺された女車掌とも浮気をしていたという噂がありました。
 ある晩、湖畔でビクスビーが顔を撃たれ、銃声を聞いて駆け付けたモースが第一通報者となります。しかし、撃たれたのは本当にビクスビーなのでしょうか。ハーンが遊園地の射的屋で景品としてサービスされたサルのぬいぐるみからは麻薬が見つかりました。彼女は運び屋だったのです。
 ビクスビーの資金の後ろ盾となっているのは、出所したばかりのハリー・ローズ(ヴィンセント・リオッタ)。その資金源は、麻薬らしいことが判明します。
 警官の仕事に戻ったモースはビクスビーの家を調べ、古いトランクを発見、キャシーがチャーリーに当てた別れの手紙を見つけます。キャシーはケイ、チャーリーはビクスビーと解釈するモース。手紙をケイに示し、過去を推測します。しかし、実際はもっと複雑で入り組んでいました。
11. Arcadia

遠き理想郷

Season 3
Episode 2

WOWOW
2016/03/12

NHK BS3
2018/10/13
2020/2/15
遠き理想郷
Directed by Bryn Higgins
Colin Dexter. (characters), Russell Lewis (written and devised by)
Cinematography by Jake Polonsky ... director of photography
Film Editing by Mark Davis

Cast
Chris Larkin ... Ivor Maddox
Genevieve O'Reilly ... Annette Richardson
Charles Babalola ... Cuthbert Mukamba
Shvorne Marks ... Monica Hicks
Richard Dillane ... Leo Richardson
Joanna Roth ... Prudence Maddox
Tom York ... Mike Maddox
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Sara Vickers ... Joan Thursday
Jack Bannon ... Sam Thursday
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Gala Gordon ... Verity Richardson
Dakota Blue Richards ... WPC Shirley Trewlove
Sean Rigby ... Sergeant Jim Strange
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Anton Lesser ... Chief Superintendent Reginald Bright
Jack Laskey ... DS Peter Jakes
Amelia Clarkson ... Ayesha
Max Bennett ... Gideon Finn
Amalia Vitale ... Suzy Flett
Paige Carter ... Adrienne
Angela Terence ... Margaret Babcock
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
Elisabeth Hopper ... Marion Brooke
Helen Lyle ... Mrs. Langton

Rest of cast listed alphabetically:
Richard Banks ... Neighbour (uncredited)
Nicole Boom ... Protestor (uncredited)
Martyn Mayger ... Coach Passenger (uncredited)
Charlotte Mellish ... Annie (uncredited)
Janette Sharpe ... Shop Customer (uncredited)
 IMDbの評価は8.4 (2016/4/4時点)
 リチャードソンというスーパーのチェーン店で買い物をした少女が倒れて急死しました。検死の結果は胃腸炎だというのですが。
 翌朝5時、アパートの一室で爆発が起き、貧乏画家サイモンが死亡しました。
 独裁的で差別主義的なレオ(リチャード・ディラン)の経営のスーパーには脅迫状が送りつけられていました。店の食べ物に毒物やガラス片を混入するという内容でした。少女は何者かが混入したヒ素で死亡したのです。支店のマネージャー、マドックス(クリス・ラーキン)はレオと喧嘩別れした元共同経営者の孫でした。
 レオの妻アネット(ジュヌヴィエーヴ・オライリー)は仕事しか頭にない夫レオに不満を持ち、娘のヴェリティ(ガラ・ゴードン)は両親への不満から、公民権運動に深入り、理想郷コミューンを造るという運動家ギデオン(マックス・ベネット)やアイーシャ(アメリア・クラークソン)とも関わりを持っていました。彼らのコミューンには画家サイモンも入会の履歴がありました。彼のアトリエからは、薬物やガラス片、スーパーのベビーフード等が発見されました。ヴェリティを描いた肖像画もありました。サイモンは抽象画を描くタイプだったのですが。
 突然、自宅の寝室からヴェリティが誘拐され、翌日、身代金を要求する電話が入ります。金の運搬をモースはかって出ます。モースたちは無事に少女を救出できるでしょうか。

 モースの相棒のピーター・ジェイクス(ジャック・ラスキー)が恋人が妊娠したことで警官を辞職して恋人と新生活をしようとするサイドストーリーがあります。また,新米女性警官トルーラブ(ダコタ・ブルー・リチャーズ)が着任し、モースの爆弾起爆装置の実験や推理を支持します。公民権活動の舞台はローデシアで、ヴェリティはその地で現地のカスバート(チャールズ・ババローラ)と関係があったことが判明します。
12. Prey

森の怪物

Season 3
Episode 3

WOWOW
2016/01/17

日本での放送
2016/11/23
2016/12/21
2017/01/30
WOWOW
(吹替版90分)

NHK BS3
2018/10/20
2020/2/22
禁断の森
Directed by Lawrence Gough
Colin Dexter (characters), Russell Lewis (written and devised by)
Cinematography by John Lee ... director of photography
Film Editing by Stephen Haren

Cast
Stefanie Martini ... Georgina Mortmaigne
Amy McCallum ... Julia Mortmaigne
Darrell D'Silva ... Geoff Craven
Rob Callender ... Philip Hathaway
Ben Lambert ... Guy Mortmaigne
Eleanor Williams ... Ingrid Hjort
Milo Twomey ... Dr. Hector Lorenz
Peter Forbes ... Hodges
Sam Coulson ... Mark Bryden
John Draycott ... Turnbull
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Jack Bannon ... Sam Thursday
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Anton Lesser ... Chief Superintendent Reginald Bright
Sean Rigby ... DS Jim Strange
Dakota Blue Richards ... WPC Shirley Trewlove
Hermione Corfield ... Cassie Watkins
David Burnett ... Ricky Parker
Hugh Simon ... Professor Kemp
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn

Rest of cast listed alphabetically:
Jessica Apostolopoulou ... Graduate (uncredited)
Tim Packham ... Estate Worker with Bloodhound (uncredited)
Dan Trotter ... Policeman (uncredited)
 IMDbの評価は8.5 (2016/4/4時点)

 舞台は1967年。生物学者ヘクター・ローレンツ博士の午後の授業のオー・ペア(住み込み家事手伝い)だったデンマーク人のイングリッド・ヒョルト(エリナー・ウィリアムズ)が失踪したという。サーズディは以前に起こった女性暴行事件との関連を疑う。被害者サンドラはレイプされ暴力でいまだに昏睡状態を続けていた。
 イングリッドの男友だちフィリップ・ハサウェイ(ロブ・カレンダー)は裕福なモートマイン家の農夫・土地整備員として働いていたが、彼にはアリバイがあった。フィルは高圧的に命令する管理人クレイブン(ダレル・ドシルヴァ)を嫌っていた。
 一方、ワイタムの森で女友だちと遊んでいたパン職人リッキー・パーカー(デヴィッド・バーネット)が湖畔に食いちぎられたような腕だけを残して行方不明になった。検死医デブリン(ジェイムズ・ブラッドショー)は巨大な猫科の動物に食いちぎられたと推論した。森では近くの羊や犬が犠牲になったり、バード・ウォッチャーの博士が切り裂かれた身体を遺して行方不明になっていたりする。地元の自警団主導の獣狩りに警察も協力、その捜査中にブライト警視正は昔インドで勤務中に人食いトラに襲われた監督官マッケンドリックを救えなかった辛い記憶を告白するが、クレイブンは偽の手柄話と嘲笑する。
 獣の正体が不明なまま、森のモートマイン家の地所でローレンツ博士が襲われて犠牲になった。博士はモートマイン伯爵に何か批判をした後で襲われ、フィリップに「Man-Eater」と言葉を遺していた。一方、暴行事件の被疑者の森番ホッジス(ピーター・フォーブス)に嘲笑されたサーズディは彼に暴行をふるって処分を受ける(目撃者や新証拠が出るたびに証言を変えていたホッジスは結局レイプ犯だったことが分かる。イングリッドも学校に財布を忘れて困っていたところを見かけて車で送っていく途中で暴行しようとして逃げられ、森に逃げ込んだ彼女の悲鳴を聞いたと云う)。モースはモートマイン家がサファリ・パークの開園を計画していたことを知る。家族の誰か、兄のガイ(ベン・ランバート)か、姉妹のジュリア(エイミー・マッカラム)かジョージア(ステファニー・マルティニ)が関係しているのではないかと疑いを持つ。ジュリアは罪の意識を感じていると云う。ジョージアは飼育中の虎に襲われた経験を持っていた。その虎ブルータスは世話係ゴギンズと父親によって射殺され、野生動物は野生に返されたという。もしその虎がまだ育てられているとしたら・・・。誰かが虎を操っているのだろうか。博士が研究していた動物の誘引物質が研究所から盗まれているという。
 最後にブライト警視正が過去の悔いを基に虎からモースらを守る勇気を示す。
13. Coda

愛の終止符

Season 3
Episode 4

WOWOW
2016/01/24


日本での放送
2016/11/23
2016/12/22
2017/01/31
WOWOW
(吹替版90分)

NHK BS3
2018/10/27
2020/2/29
愛のコーダ

Directed by Oliver Blackburn
Colin Dexter (characters), Russell Lewis (written by)
Cinematography by Baz Irvine ... director of photography
Film Editing by Daniel Greenway

Cast
Tom Mothersdale ... Peter Matthews
Tom McKay ... Cole Matthews
Bronson Webb ... Bernie Waters
Jimmy Walker ... Tommy Thompson
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Sean Rigby ... DS Jim Strange
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
Robbie Carpenter ... Paul Marlock
Harry McEntire ... Ronnie Gidderton
Pearl Appleby ... Gillian Stoddart
Samantha Colley ... Nina Lorimer
Conor Lovett ... Howard Fordyce
Sara Vickers ... Joan Thursday
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Dakota Blue Richards ... WPC Shirley Trewlove
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Jack Bannon ... Sam Thursday
Mark Heap ... Felix Lorimer
Anton Lesser ... Chief Superintendent Reginald Bright
Kevin Trainor ... Jerome Hogg

Rest of cast listed alphabetically:
Pete Meads ... Funeral Mourner (uncredited)
Malcolm Modele ... Randall Rees (uncredited)

 IMDbの評価は9.2 (2016/4/4時点)


<続き>
 モースは銀行の貸金庫でセドリックの注文帳を見つけたが、マシュー兄弟による銀行強盗事件が発生し、ジョアンもモースもニーナも人質になってしまう。そんななか、モースはジョアンらと協力して注文帳の暗号の解読を進めるが、行員ロニー(ハリー・マッキンタイア)の証言などから、モースの身分がばれて絶体絶命。
 兄弟の銀行強盗はすぐに誰かが警察に通報していた。モースは兄弟に誰か黒幕がいると主張する。
 大物ギャング、ハリー・ローズが亡くなり、マシューズ兄弟(トム・マザーズデイル、トム・マッケイ)など跡目をめぐるギャング同士の抗争が始まるのではないかと危惧するサーズデイ警部補。モースは巡査部長昇任試験を受けている(後ほど合格と伝えられる。前話でジェイクス巡査部長が異動して空いたポストにはストレインジ巡査部長が任命された。今回モースが合格したことで巡査部長は二人になってしまうため、モースは近いうちに異動になる?サーズディは前話でも今話でも撃たれた銃弾の破片が肺の付近に残っていて咳が激しい。今話では喀血した拍子にその破片が吐きだされる。これは治る徴候だろうか?)。 冒頭、車の中でクリソルド・ファッションズの経営者セドリックが殺されるという事件が発生。職員の給料2千ポンドが盗まれていたことから給料強盗と判断される。トランクにはブルー・フィルムがたくさん積み込まれていた。しかし、現場に職員が証言した彼が肌身離さず持っていたという注文帳が見当たらず違和感を覚えたモースは被害者が最後に訪れたウェセックス銀行へ。その銀行にはサーズディの娘ジョアン(サラ・ヴィッカーズ)が勤務していた。
 モースは弦楽四重奏のコンサート会場で大学時代の指導教官フェリックス・ロリマー(マーク・ヒープ)と再会する。ロリマーは翌10時に研究室で会えないかとモースに依頼。翌朝、サーズディを迎えに行ったモースはサーズディがマシュー兄弟の経営するスクラップ工場で賭け屋バーニー(ブロンソン・ウェッブ)を殴って情報を取る(兄弟はなにか大きい計画をやる)のを目撃、暴力に耐えられないとサーズディに車の鍵を返して送迎を止める。その後、バーニーはサーズディを告発、警部補は停職になってしまう。
 ロリマーはモースにマシュー兄弟が経営するビンゴホール、ロイヤルのビンゴ・コーラー、ポール・マーロック(ロビー・カーペンター)の調査を依頼した。フェリックスはポールがフェリックスの妻ニーナ(サマンサ・コーレイ)と会っていると云う。モースはニーナを見つけ出して、ニーナの話を聞き、ポールの様子を調査してニーナにぺてん師ポールの正体を助言する。ビンゴ・ホールにポールの偵察に行ったモースは同僚の婦人警官ダコタを誘う。彼女はモースの意図を見通していた。ホールでモースはポールがジョアンに接触しているのも目撃する(後でポールが銀行の集金時刻などを会話に混ぜて聞き出していたことが分かる)。大学を訪れたモースはロリマーの教授室で多額の賭け金負債の伝票を見る。ロリマーにニーナやポールの件を報告したモースは昔の学生仲間ジェローム(ケヴィン・トレイナー)と会い、ジェロームからロリマーが入試委員会議長に就任後に口頭試問試験の採点割合を増やし、ウェセックス銀行の支配人フォーダイス(コナー・ラヴェット)の息子を首席で合格させたらしいという話を聞く。<左記に続く>

 
14. Game

死のゲーム

Season 4
Episode 1


日本での放送
2017/7/29
WOWOW
Directed by Ashley Pearce
Writing Credits Colin Dexter ... (characters)
   Russell Lewis ... (written and devised by)

Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Sara Vickers ... Joan Thursday
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Daniel Attwell .. Mick Mitchell
Katherine Kingsley... Mona Davies
Natalie Grady ... Ruth Hargreaves
James Laurenson ... Professor George Amory
Tristan Sturrock ... Dr. Bernard Gould
Gillian Saker ... Dr. Pat Amory
Abram Rooney Dr. Clifford Gibbs
Chris Fulton ... Dr. Broderick Castle
Ruby Thomas ... Tessa Knight
Adam James ... Kent Finn
Caroline O'Neilll ... Win Thursday
Dakota Blue Richards ... WPC Shirley Trewlove
James Bradshaw... Dr. Max DeBryn
Sean Rigby.. DS Jim Strange
Anton Lesser ... Chief Superintendent Reginald Bright
Robert Luckay ... Prof. Yuri Gradenko
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
Dawn Hope ... Adelaide Smalls
Geff Francis ... Grantly Smalls

Rest of cast listed alphabetically:
Nicon Caraman ... KGB Agent Petrov (uncredited)
Jonathan Cass ... Scientist (uncredited)
Colin Dexter... Old Man in Choir Practice (uncredited)
Ty Hurley ... Coroner (uncredited)
Eleanor Inglis ... Penelope (uncredited)


 IMDbの評価は8.4 (2017/7/29 時点)
 前回ジョアンと別れたことがモースにもサーズディにも重荷になっていた。二週間たっても連絡がないため元気をなくしたサーズディはモースの事件に関する推理も投げやりに聞いている始末。
 川に溺死体が上がった。リチャード・ニールセン教授は四週間前に行方不明になっていた。教授はエーモリー教授をリーダーとするコンピュータ開発チームに所属し、近々にロシアのチェス・チャンピオン(ロバート・ルーケィ)と戦う予定だった。
 モースは昇任試験の答案が紛失して不合格だと知らされる。なくなったのはモースの答案だけ。大物を敵にまわしたからだとサーズディ。今後もいやがらせは続くと言う。
 カウリーバスの女性用バスタブで溺死体が発見される。被害者ポール・フリーはメイドだった。捜査中にモースはオックスフォード・メール新聞社で女性記者テッサ・ナイト(ルビィ・トーマス)やミステリー作家ケント・フィン(アダム・ジェームズ)に会う。
 閉鎖中のカウリーバスでは三人目の溺死体が発見される。被害者はエディソン・スモールズ。泳ぎに来て溺死したというのだが、両親の証言では彼は泳げなかったという。また、趣味のチェスに強かったという。
 ヒトとコンピュータのチェス勝負はコンピュータの勝ちだった。
 モースは手帳に三人の溺死を事故とは思えないことを書き付けていたが、情報交換を申し出たテッサにうっかりその手帳を盗まれてしまう。テッサはモースの推理そのままに新聞記事を書き、溺死体の背後に凶悪な殺人犯がいることを広言し、市民を恐怖に落とし入れる。情報を洩らしたモースの責任も問われる。
 テッサの方からくれた情報でポール・フリーのメイド先の姓がアシュトンかアシュなんとか、住所はビンズリーだという。郵便番号検索に力を発揮するコンピュータで検索させ、一晩かかって探し出した宛先にモースたちは探索に赴く。レイトン・アシュベリー医師の旧家で被害者たちのデスマスクや戦争で顔面整形治療を受けた軍人たちのライフマスクを発見、テッサの水に漬けられた死体も発見された。人形の内部の日記断片にはレイトンの妹が男児を嫌悪する内容が描かれていた。既に両親は死亡している。子供たちはどうなったのか。妹のペネロペは自殺した。兄アレクザンダーは?妹が自殺した事件は、オックスフォード・メール新聞社のフラジルが当時記事にしていた。次の犠牲者はいったい誰か?
15.Canticle
嫉妬の讃美歌

Season 4
Episode 2


日本での放送
2017/7/29
Director: Michael Lennox
Writers: Colin Dexter (characters)
   Russell Lewis (written and devised by) 

Sharlette Henry ... Mimi
Paul Bown ... Rev. Mervyn Golightly
Sylvestra Le Touzel ... Mrs. Joy Pettybon
Phil Rowson ... Steve Carter
Sophie Simnett ... Pippa Leyton
Ella Hunt ... Emma Carr
Michael Fox ... Ken Wilding
Jonathan Barnwell ... Christopher Clark
Dario Coates ... Lee 'Stix' Noble
Will Payne ... Nick Wilding
William Ilkley ... Norris Randall
Pearl Chanda ... Bettina Pettybon
Sagar Arya ... Dr. Bakshi (as Sagar I M Arya)
Matthew Needham ... Dudley Jessop
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Dakota Blue Richards ... WPC Shirley Trewlove
David Sturzaker ... Ralph Spender
Anton Lesser ... Chief Superintendent Reginald Bright
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Sean Rigby... DS Jim Strange
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Rebecca Lacey ... Mrs. Finch
Kajsa Mohammar ... Anna-Britt Clark
David Reed ... Julian Calendar
Caroline O'Neill ... Win Thursday

Rest of cast listed alphabetically:
Jonathan Cass ... Police Officer (uncredited)
Stephen Karl ... Crony (uncredited)
Tim Packham ... Film Crew (uncredited)
Janette Sharpe ... Protestor (uncredited)
Tamara Sharpe ... Protestor (uncredited)

 IMDbの評価は7.9 (2017/7/29 時点)
 ミミ(シャーレット・ヘンリー)の歌声とダンス・グループのパフォーマンスが撮影されている。人気バンド・ワイルドウッドの控室からマリファナが発見されたので、警察の捜査が入る。しかし、バンドのメンバーが置いたという証拠はない。モースはバンドメンバーに警告を与えるに留める。表通りでは浄化組織のペティボン女史(シルヴェストラ・ル・タウゼル)が<汚い>番組を攻撃していた。女子にはいつもゴライトリー神父(ポール・ボーン)と娘ベッティーナ(パール・チャンダ)が同行していた。路地で死体が発見され、レンガ職人でバンド・メンバーとも知り合いだったステイーブ・カーター(フィル・ロウソン)と判明する。死因は循環器疾患らしい。首を絞められているが、その前に死んでいたことが分かる。
 ペティボン女史はテレビの「アルマナック・ショウ」に出演、得意の俗悪番組批判を行う。彼女に雑誌社を潰されたジェソップ(マシュー・ニードハム)が野次を飛ばし、廊下で女史の支援者に暴行された。モースはジェソップを助ける。
 女史の娘ベッティーナは母親の正義観に嫌気がさしている。心を打ち明ける相手が欲しかった。モースを誘う。窓が開きにくいと口実を言って部屋で酒をふるまった。翌日母親に露見し、母親はモースを警護から外すように本部長に依頼する。支援者から贈られてきたチョコレートを食べた神父が死亡する。直接の死因は大動脈瘤の破裂だったが、チョコに入れられていたLSDも興奮を増強した。
 ワイルドウッドのメンバー、ケン(マイケル・フォックス)、クリストファー(ジョナサン・バーンウェル)、ニック(ウィル・ペイン)、マネージャーのスペンダー(ディヴィッド・スターザッカー)、お針娘のピッパ(ソフィー・シムネット)、エマ(エラ・ハント)、アンナ(カジュサ・モハマー)にはなにか隠していることがあるらしい。
 捜査が進むなかで、ペティボン女史に送られた脅迫状が実は女史自身が送ったものだったことが判明。娘は母親のもとを去る。
 ロンドンに写真撮影に出かけるメンバーだったが、ニックだけはオックスフォードに残った。モースはレンガ職人の男のことを訪ねるが、おびえた様子のニックから有益な話を聞くことはできなかった。その翌日、ニックは行方不明になり、発見されたときには、大量のLSDの服用で異常行動を示していた。モース自身もドラッグを飲まされて絶体絶命。
16.Lazaretto
呪われたベッド



Season 4
Episode 3

日本での放送

2018年1月13日 14:00
WOWOW
90分
Director: Börkur Sigþórsson
Writers: Colin Dexter (characters),
     Russell Lewis (written and devised by)

Glen Davies ... Burt Talbot
Sarah Winter ... Staff Nurse Jo-Beth Mills
Robert Wilfort ... Lester Fagen
Morgan Jones .. Lyle Capper
Celine Buckens ... Staff Nurse Daisy Bennett
Ciara Charteris ... Nurse Flora Byron
Shaun Evans ... DC Endeavour Morse
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Phoebe Nicholls ... Caroline Bryce-Morgan
David Yelland ... Sir Merlyn Chubb
Edward MacLiam .. Dr. Malcolm Kane
Amy Marston ... Sister Clodagh MacMahon
John Hopkins ... Dr. Dean Powell
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Alex McSweeney ... Terence Bakewell
Anton Lesser ... Chief Superindent Reginald Bright
Dakota Blue Richards ... WPC Shirley Trewlove
Sean Rigby ... DS Jim Strange
Claire Lichie ... Donna Zacharides
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Shvorne Marks ... Monica Hicks
Mark Phoenix ... Gilbert Sisley
Sion Alun Davies ... Murray Booth
Sara Vickers ... Joan Thursday
Matthew Walker ... Ray Morton

Rest of cast listed alphabetically:
Tim Packham ... Gravedigger (uncredited)

 IMDbの評価は8.0 (2017/7/29 時点)

 検死医デヴリンは死体の臀部に注射痕を発見、インスリンによる低血糖が死亡の引きがねのなったと推理。過去の死体も同様の死亡だった。パウエル医師の過去を調べていたモースは彼が務めていたハンプトンの病院で11歳のモリー・キーナンという少女がインスリンの過剰投与が原因で死亡していたことを知る。
 しかし、投与の過誤は実習中の看護婦のせいにされ、その看護婦は自殺していた。パウエルに有利な証言をした看護婦はマクマホンだった。古い写真を調べていたモースはさらに重要な発見をする。亡くなったモリーと一緒に写っている少女ジョー・ベスは看護婦のひとりミルズ(サラ・ウィンター)だった。殺人と患者の金品を窃盗した容疑できびしい取り調べを受けているパウエル医師を告発している真犯人の復讐だったのだ。
 モースがジョアンの電話番号から住所を知り、訪ねる挿話がある。既婚者の中年男性と同棲していた。ジョアンに会う前に指輪を外すことで既婚者と分かる。
 カウリー総合病院のフォスティック病棟の10番ベッドの患者が急死した。腕利きの外科医マーリーン卿(ディビッド・イェランド)が執刀、手術は成功したはずだったのだが。当直はパウエル医師(ジョン・ホプキンス)。
 サーズディとモースはノースウェイで突然死した中年女性の捜査をしていた。心疾患による急死と思われたが、モースは皿が二個あった点から女性には来客があったのではないかと疑問を持った。
 マシュー・ギャングの情報屋ベイクウェル(アレックス・マックスィーニー)が胃の病気でカウリー病院へ入院することになる。彼の証言が必要な警察は厳重な監視体制をひいて患者を見守ることになる。モースは患者のタルボット(グレン・ディヴィーズ)から、10番ベッドの患者は必ず死亡すると聞く。看護婦長マクマホン(エイミー・マーストン)は否定する。
 ブライト警視正が昏倒し、入院、胃潰瘍で手術となる。モースは別の病棟に入院したエドガーの妻キャロライン(フェーブ・ニコルス)に出会う。モースは昔、キャロラインの娘と婚約していたことがあった。キャロラインはモースの将来性を低く評価していた様子、現在も警官と聞いて見下したような視線である。
 突然死したエセル・ザッカリーデスの娘(クレア・リッチー)が警察に母親が病院と夫の貴重品が入院中に紛失したことでトラブルになっていたという情報を伝えてくる。母親が死んだ日に病院側から誰かが訪ねてくることになっていたという情報ももたらされたが、病院側の看護婦長はトラブルは心当たりがないということで、既に終わったことだったという。病院のナースたちも心当たりが無いという。
 面会時刻を過ぎて侵入してきた男をモースが発見。拳銃を持っていた。ベイクウエルを殺しに来たものと思われる。逃走してしまったが、サーズディは裏社会の情報屋を殴って男の正体を聞き出す。プロの殺し屋スコッチ・タムだという。
 病院向けのラジオ放送と患者への図書巡回を担当しているフェィゲン(ロバート・ウィルフォート)から有力な情報は得られなかった。
 ベイクウエルの傍らに濁った水にさしたスイトピーがあり、マーリーン卿は激怒する。婦長はパウエル医師に「誰か知ってるわよ」と忠告するが、その言葉の意味は分からない。
 サーズディの妻ウィン(キャロライン・オニール)は娘ジョアンが行方不明なのでふさぎこんでいる。ベイクウェルはサーズディに自分にもしものことがあったら、娘を守ってくれと頼み、サーズディは引き受ける。
 パウエル当直の夜、朝になってベイクウエルが死んでいることが判明、真夜中に痛みを訴えて痛み止めを2錠与えたという。片手にスイトピーを持たされていた。
 駐車中で放置されていた車からスコッチタムと運転手の射殺体が発見された。新聞には宝石強盗の記事。
 エセルが飼っていたインコの籠の敷き紙に事件の日に彼女を訪問する旨の手紙が残されていた。しかし、「キーナンより」という差出人は偽名だった。 
17.Harvest
不吉な収穫祭


Season 4
Episode 4

日本での放送

2018年1月13日 15:45
WOWOW
90分

Director: Jim Loach
Writers: Colin Dexter (characters),
      Russell Lewis (written and devised by)

Alex Mann ... Dr. Matthew Laxman
Simon Meacock ... Nigel Warren
Sheila Hancock . Dowsable Chattox
Sara Vickers ... Joan Thursday
Roger Allam ... DI Fred Thursday
Caroline O'Neill ... Win Thursday
Shaun Evans .. DC Endeavour Morse
Anton Lesser ... Chief Supt Reginald Bright
Sean Rigby ... DS Jim Strange
Dakota Blue Richards ... WPC Shirley Trewlove
James Bradshaw ... Dr. Max DeBryn
Natalie Burt ... Alison Laxman
Michael Pennington ... Professor Donald Bagley
Joanna Horton .. Selina Berger
Jane Whittenshaw ... Morag Morrison
Chris Coghill ... Seth Chattox (as Christopher Coghill)
Emily Forbes ... Ros Levin
Grahame Fox ... Zebulon Sadler
Sam Hoare ... Dr. Tristan Berger
Alex Wyndham ... Dr. Jon Levin
Sam Redford ... Sgt. Troy Martin
Phillip Edgerley ... Quizmaster
Abigail Thaw ... Dorothea Frazil
Adam Levy ... Elliott Blake
Matthew Walker ... Ray Morton
Raj Paul ... Doctor

Rest of cast listed alphabetically:
Sophie Karl ... Villager - Mother of Beatrix (uncredited)
Stefan Kopiecki ... Porter (uncredited)
Rita McDonald Damper ... Villager (uncredited)

Sophie Simnett ... Pippa (uncredited)

 IMDbの評価は8.6 (2017/7/29時点)

 ジョアンを見つけたモースだったが、彼女は自暴自棄になっていた。既婚者の中年男性レイ(マシュー・ウォーカー)と同棲してもいた。ジョアンのモンタージュ写真に住所を裏書きしていたため、サーズディがそれを見てジョアンを訪ね、男に暴行。彼女は男に追い出され、モースの部屋を訪ねてくる。思い切ってモースは彼女に求婚するが、彼女は言葉を濁す。事件が解決した頃、彼女は体調不良で倒れる。病院に運ばれた彼女を見舞うモース(吹き替え翻訳では入院の事情が不明だが、原語を見たひとの解説では、ジョアンは転倒して流産したという)。
 ロンドン警視庁からモースに転勤の誘いが来る。
 ブラムフォードという田舎町で起こった植物学者の失踪事件を調べていくうちに国を揺るがす大事件となる一篇。
 冒頭、1962年9月に起きた交通事故が映し出される。ラジオからキューバ危機のニュースが流れている。乗用車に乗った二人の男。一車線の反対方向から来たトラックを避けようとハンドルを切った勢いで道路外へはみ出し横転。
 そこで五年後の1967年9月に変る。警察署でのブライト警視正の復帰祝い。そこへブライムフォード・ミアで死体発見の報が入る。サーズディはその地名に覚えがあった。5年前植物学者マシュー・ラックスマン(アレックス・マン)が失踪した土地だったのだ。当時州警察が捜査したものの、州警察の捜査はおざなりで、迷宮入りしてしまった事件だったという。掘り出された死体は2000年前のものだったが、ラックスマンの眼鏡も近くで見つかったことに注目。あらためてモースが聞き込みを始めるが、村の人々の反応は冷たく、よそ者には心を開こうとしない。それに第二収穫祭のお祭りの準備で村人は忙しいのだった。
 それでも当時ヒッチハイクでラックスマンの車に乗せてもらったナイジェル・ウォーレン(サイモン・ミーコック)(いまは聖書の亡びの節を呼称している)、原子力発電所の技師ジョン(アレックス・ウィンダム)のアメリカ人の妻ロス・レヴィン(エミリー・フォーブス)や、この土地を守っている独り身の老婆ドゥーサブル・シャトックス(シェリア・ハンコック)-彼女はタロット占いをする。老婆を助ける孫の牧場主セス(クリス・コーヒル)、医師バージャー(サム・ホーアレ)とその妹セリーナ(ジョアンナ・ホートン)、物理学者バグリー(マイケル・ペニントン)などから集めた証言から、発電所に秘密の一端があるように思えた。発電所はチェックが厳重で中に入ることがなかなか出来ないのだった。モースは新聞のフラジルの取材に同行してカメラマンと偽り、内部に入り、エリオット部長や技師たちに質問をぶつけるが、ラックスマン博士につながる証言を得ることはできなかった。バグリー教授は最初の核実験に同行した妻が白血病になって以来、核開発に反対の立場に立つようになっていた。「悪魔を世に出してしまった。進歩だと思っていたが」と。
 モースはッゼブロンの牧草地のかかしが博士のジャケットを着、バッジ型の線量計を付けているのに気付いた。タロットカードもあった。ドーサブルのもとをラックスマンが訪問していた。占いで出たカードが気に入らなかったのだろうとドーサブル。
 ゼブロンの納屋には博士の自動車が隠してあった。失踪の日に事故を起こした車をそのまま隠してあったのだ。部品を再利用しようと隠したという。車の中にあったのはガイガー・カウンターだった。ジャケットはセスにもらったものだと証言。
 放射線を測定して探索してみると、放射線濃度の高い場所があった。そこを掘ってみると、被ばくしたラクスマン博士の死体があった。頭部に外傷があった。
 ラックスマン博士は発電所での放射線洩れの事故の証拠をつかんで、殺害されたのだろうか。事故を隠ぺいすることが関わっているのか、謎は思わぬ方向へ展開していく。
  
18 Episode1. Museミューズ
Season 5
堕ちたミューズ

2020年2月17日
WOWOWにて放映
Director: Brady Hood
Writers: Colin Dexter (characters),
Russell Lewis (written and devised by)

Abigail Thaw ... Dorothea Frazil  記者
Tom Durant Pritchard ... Simon Lake 
Tom Wisdom ... Gerard Pickman 美術教師
Nathalie Buscombe ... Cassie Pickman  ピックマンの妻
Mark Arden ... Eddie Nero  ギャングの組長
Robin McCallum ... Master Victor  
Victor Gardener ... Joey Sikes
Charlotte Hope ... Eve Thorne 売春婦
Roger Barclay ... Dr. Robin Grey ロビン・グレイ博士
Regular Members
 DS Jim Strange,Chief Superintendent Reginald Bright
 Lewis Peek ... DC George Fancy,WPC Shirley Trewlove
 DCI Fred Thursday,DS Endeavour Morse,Dr. Max DeBryn
  Joan Thursday,Win Thursday
Rhys Isaac-Jones ... Spencer Bell  美術学校の生徒
Antonia Clarke ... Ruth Astor 電話交換手
Tanya Fear ... Jasmine Grenouille  化粧品売り場の店員
Emily Barber ... Lucy Grey
David Newman ... Dr. Adrian Croxley クロックスリー博士
Sam Crane ... Dr. Tancred Howlett タンクルド・ハウレット博士

 被害者は殺される直前にイヴ・ソーンに会っていた。イヴはモースをも挑発する。「あなたは(女を)見るのは好きだけれども、手を出そうとはしない」と。張り込んでいるモースを部屋へ誘ったときには、「何もしないのはなぜ?彼女がいるの?彼女の代わりをしてあげるわ」と誘惑する。モースは誘いに乗らない。イヴの部屋に「女の力」とメモされたキリスト教美術史の本があった。本には強い男に復讐する女を描いた絵があった。サムソンの眼をつぶしたデリラや、敵将の首を切り落としたユーディトなど。
 フレッドは風紀係だった昔をふりかえる。家出して娼婦に転落していく女性の不幸をいやというほど目撃したと。帰宅したものの意思疎通がままならないジョアンのことが気にかかっているようだ。
 インペリアル・エッグはレイクのもとから盗まれ、行方不明。ピックマンが保険金をねらった詐欺を告白した。
 ラストシーンは、フレッド「すべての死や苦しみはなんのためだ。持つものと持たざるものは常にいるが、最後に勝つものはいない。全員がないものねだりをしていたわけか」。モース「みんなそうでしょ」<ラジオ・ニュースからキング牧師銃撃のニュースが流れてくる> IMDbの評価は8.3 (2020/2/29時点) 
 
 オックスフォード市警は統合され、テムズ・ヴァレー警察になった。カウリー署のメンバーはとりあえず一緒だが、今後のことはわからない。しかし、変わらず任務に励むようにとブライト警視正のあいさつがあった。
 50年間失われていたインペリアルエッグが発見され、オックスフォードのロンズデール・コレッジでオークションが開催されることに。しかし、ある夜コレッジの屋根に不審な人影が現れ、屋上には一輪の紅いバラの花(有名な国際窃盗犯シャドウのサイン)が置かれていた。
 時を同じくして、銃弾を3発打込まれ、耳に金属製の杭をぶち込まれた元ボクサー、タクシー運転手ジョーイ・サイクスの死体が発見される。さらに、オークションに関係する人物が2人、ロビン・グレイ博士と美術商サイモン・レイクが眼をナイフで刺される、首を切られるなど、無残な姿で発見され、モースとサーズデイ警部補は彼らの繋がりと犯人の捜索に全力を注ぐ。モースはストレンジと同居している。
 モースが署に戻ると、見慣れぬ若い男性がモースの席を占領していた。彼は新人のジョージ・ファンシー巡査で、サーズデイ警部補はモースの下についてしっかり学ぶようにと彼らに告げる。「階級が(巡査部長に)上がったんだから部下を持って面倒を見るのも仕事」とサーズデイ警部補に言われ、モースは気が進まないままファンシー巡査と捜査を始める。 しかし、ファンシー巡査は大音量で音楽をかけて張り込みをしたり、証拠品登録をすっかり忘れ去ったりしてモースを呆れさせた。
  Storyline ボクサーのジョーイ・サイクスがオックスフォード大学からオークションに出されたエッグのある晩、殺された。 翌日、講師のロビン・グレイもまた殺され、つながりが売春婦にある、絵のモデル、イヴ・ソーンが二人の男に会っていた。エッグが盗まれたとき、 疑いがイブの別の男にふりかかった。新しい犠牲者サイモン・レイクである。モースはレイクとグレイが1年前のエイプリル・フールに<偽ウミガメを弔う会>に所属していたことを発見した。 この会のメニューが殺されたレイクのポケットにあったのだ。ロビン殺害の凶器の柄にS.C.の文字があった。サイクスの持ち物からSCはサイクスの所持品のなかにあったシップ・レイクス・チェイス;ホテルと推理された。従業員に聞くと、従業員がサービスを断るようなひどい乱痴気の会だったらしい。
19.Episode 2. Cartooucheカルトゥシュ=古代エジプトにおける、象形文字で記された王の名を囲む、装飾用の楕円形の枠。(引用:ALC)
Season 5

死者のフィルム
WOWOW
2020/2/17放映
Director: Andy Wilson
Writers: Colin Dexter (characters), Russell Lewis (written and devised by)

Abby Wilson ... Betty Persky 映画館内の売り子
Iain Stuart Robertson ... Ronald Beavis もと巡査 警備員
Christopher Sciueref ... Dr. Moharram Shoukry キュレーター
Ray Polhill ... Inspector Atwill

Alan David ... Lambert Kegworth 映写技師
John McAndrew ... Leslie Garnier オルガン弾き
Simon Dutton ... Armand De Vere 映画館の支配人
Luke Hornsby ... Kenneth Bullings  映画館の副支配人
Sophia Capasso ... Guilia Gallo カフェの女給
Pano Masti ... Pop Gallo ジュリアの父親
Alister Hawke ... Liam Flynn  身かじめ料の集金人
David Shaw Parker ... Edmund Gordon ドアマン
Regular Members
 Morse, DC George Fancy, WPC Shirley Trewlove
 DS Jim Strange,Chief Superintendent Reginald Bright
 DCI Fred Thursday,Dr. Max DeBryn、 Joan Thursday,Win Thursday

 サーズディの娘ジョアンが相談センターで働いている。モースはジョアンの身を心配している。アジア系ケニヤ人の住む集合住宅の郵便受けが放火されたり、相談センターが放火されたりする。人種差別主義者のしわざだろうと警察は判断している。ジョアンは相談センターで週二日働いていた。彼女は父に「人を助けている。私はひとりだちしようとしているのだ」と宣告する。安宿に移民を押し込めていると非難するフレッドに、エディは市役所がやらないことを代わりにやってあげているんだと胸を張る。
 オスマン帝国軍と対峙していたとき、後のヴァルデマー、当時のロバーツ少尉は上の「その場で待機」という命令を無視して「攻撃」をしかけ勝利したものの味方の兵士にも多大の犠牲を強いた。その戦闘で弟を亡くし、自身も左腕をなくしたゴードンというドアマンはヴァルデマーを恨んでいた。 

 IMDbの評価は8.1 (2020/2/29時点)
 街の映画館ロキシーシネマのレイトショーで上映中の『ファラオの呪い」のクライマックスでフィルムが燃え出す。映写室で対応中にスクリーン前ではオルガン奏者のガルニエが演奏した。その夜、ホテルの一室で男がひとり死んでいた。男の身元は元警察官ロナルド・ビーヴィス。博物館の警備員でもあった。ビーヴィスは映画の上映会にも参加していた。検死の結果、オレンジスカッシュに毒物コミカ(ストリキニーネ)が仕掛けられていたこtとが判明。ガルニエは上映会の際に外階段でビーヴィスと誰かが話しているのを目撃したという。
 サーズディ警部の弟チャーリーは金の無心に来た。彼の娘キャロルはサーズディの娘ジョアンと会う約束をしたが、待ち合わせ場所にジョアンが来なかったので途方に暮れていた。仕事を終えたモースが通りかかって二人は一晩を過ごす。サーズディの家で二人は再会し、気まずい思いをする二人。キャロルへ町案内を頼まれ機械的に名所を回るモース。ジョアンの手前、キャロルにそっけなくするモースだった。キャロルにモースは;「あれは間違いだった」と言う。キャロル「間違い?誰も傷つけていないのに」と答える。別れぎわにはキャロル「間違いじゃなかった。ただ思い出にすればいい」と言う。チャーリーと妻ポーレット、フレッドとウィンはホテル・シエアンドレで食事。食堂でブライト警視正に会うので、高級ホテルらしい。
 ホラー映画の役者ヴァルデマーや監督。主演女優らを招いての『ファラオの復活』上映会がロキシーで開かれる。博物館のキュレーター、ショートリィ博士は怪奇映画はエジプト文化に対する侮辱だ」と発言する。支配人ドヴィアはヴァルデマーに記念の時計を贈ったつもりだったが、箱の中身はスカラベの装飾品に変わっていた。インタビューのさなか、ガルニエが急死した。オリーブにカプセルで仕込まれた青酸による毒物死だった。ガルニエのメモ帳の最後にヴァルデマーのサインが残されていた。ロキシーのオーナーはジェファーソン一家。ギャングのエディ・ネロの知人だった。彼等は映画館をつぶして売却を目論んでいた。映画館の付属のブラウンズ・カフェに身かじめ料を取りに来ていたフリンがなにものかに刺殺された。
20.Episode 3. Passenger  
Season 5

殺意を誘う列車
WOWOW
2020/2/18
Director: Jim Field Smith
Writers: Colin Dexter (characters),
Russell Lewis (written and devised by)

Simon Scardifield ... Cedric Naughton 鉄道おたく

Jacob Fortune-Lloyd ... Don Mercer  浮気相手
Lydea Perkins ... Frances Porter  失踪した姉
Siobhan O'Carroll ... Matron
Judy Clifton ... Lilian Conway 施設に入所した母親
John Biggins ... Burt Hobbs

Edwin Thomas ... Noel Porter  フランシスの夫
Rosalie Craig ... Jilly Conway  妹

Simon Harrison ... DI Ronnie Box 強盗課署員
Thomas Coombes ... DS Patrick Dawson  強盗課署員
Colin Mace ... Mr. Hammond
Hadley Fraser ... Marty Bedlo
Celeste Dodwell ... Anoushka Nolan 「アリスのマーマーレード猫」店員
Nicola Millbank ... Jill

Regular Members
 Morse, DS Jim Strange, WPC Shirley Trewlove, Reginald Bright, Joan Thursday, Win Thursday, DCI Fred Thursday, DC George Fancy
 IMDbの評価は8.5 (2020/2/29時点)
 精巧な模型列車が模型レールの上を走る。セドリックは鉄道おたくである。
 トラック運転手ホッブスが撲殺された。エディの縄張りを狙っている誰かがいる、本庁から強盗課のロニーとドーソンが派遣されてくるが、この二人、権威をかさに着て態度が横柄、カウリー署の警官たちをバカにしている。張り込み中に制服のトルーラブを注意した際に、逆に駐車禁止の場所に駐車していたことを指摘され面目をつぶされたことを恨み、ギャング一味の取引情報をかぎつけたトルーラブに難癖をつける。権威をチラつかせる脅しに対して、ブリジット警視正は自分の部下を護る、二度と顔を見せるなと宣告する。
 モースは姉フランシス・ポーターが失踪したという事件の捜査を進める。廃駅となったギベッツエンド駅の一角に女性の死体を発見した。靴をはいていなかったこと等、未解決のリンダ・グレシャム事件との類似が認められた。死体は夫と妹によりフランシスと確認された。
 サンダワン介護施設に入院しているフランシスの母親リリアンは認知症になっており、フランシスの写真だけを飾っており、モースがそれはフランシスだと指摘しても、妹のジリー・コンウェイだと主張する。彼女は妹にだけ遺産を残したのだった。
21.Episode 4. Colours
失われた英雄

Season 5
WOWOW
2020/2/17
Director: Robert Quinn
Writers: Colin Dexter (characters),
Russell Lewis (written and devised by)

Regular Members
   Fred Thursday, Win Thursday, Morse,

Jules Robertson ... Debating Society President
Caroline Goodall ... Lady Bayswater
Marcus Griffiths ... Marcus X
Claire Ganaye ... Claudine  フォトジャーナリスト
Ray Sesay ... Pte. Oswald  オズワルド
Lee Armstrong ... Pte. Collier  コリア
Ian Pirie ... Lt. Col. Mad Jack McDuff  マクダフ
William Scott-Masson ... Col. Champion
Robert Portal ... Maj. Coward
Bert Seymour .. 2nd Lt. Bert Seymour
Greg Austin ... Kit Hutchens
Rebecca Saire ... Hazel Radowicz
 IMDbの評価は8.3 (2020/2/29時点)
 社交ダンス選手権にフレッドとウィンが出場、準々決勝を勝ち抜く。同じころオックスフォード弁論部では移民問題が論議されていた。人種差別的な論陣のチャリティ・ベイズウォーター婦人はヒットラーの知己も得たという資産家だった。
 サーズディの息子サムは兵役についていた。連隊に来たモデルのうち、ジーン・ウォードが行方不明になり、探索の結果、バンガローで絞殺されているのが発見された。死体のそばにあった血染めの帽章とベレー帽の持ち主オズワルドが容疑者として捕まった。しかし、サムはオズワルドの無実を信じていた。父フレッドは良い警官であることの証明のためにも真犯人を捕まえなければならない。
 ジーンの本名はモイラ・クレイトン・ウォード。チャリティの娘だった。過去に何度も結婚と離婚を繰り返していた。モイラとの婚約の経験があるひとりに歴史の教師レックス・レイドローがいた。
 連隊は近日中にドイツに出発する。射場にはところどころ地雷が埋めてあった。
22.Episode 5. Quartet 
疑惑の四重奏
Season 5
WOWOW
2020/2/18



Director: Geoffrey Sax
Writers:
Colin Dexter (characters),
Russell Lewis (written and devised by)

Hector Bateman-Harden ... Steven McLean
Jennifer Tollady ... Zoe McLean
Richard Durden ... Prof Alexander Richmond リッチモンド教授
David Reed ... Julian Calendar
Ian Bartholomew ... Albert Mullion マリオン
Mary Roscoe ... Elsie Dozier 新聞販売店主の妻エルシー
Andrew Paul ... Joe Dozier 新聞販売店主の夫ジョー

Regular Members
  DC George Fancy, Morse, WPC Shirley Trewlove, Dr. Max DeBryn, Dorothea   Frazi, DS Jim Strange, Win Thursday, Reginald Bright, Joan Thursday,DCI     Fred Thursday

Claire Ganaye ... Claudine
Brendan Patricks ... Singleton シングルトン
Nico Rogner ... Dr. Gerhardt Schneider シュナイダー博士
Leander Deeny ... Louis
Paul Ready ... Sebastian Fenix
Ellie Haddington ... Millie Bagshot  もと英語教師
Mark Arden ... Eddie Nero
David Jonsson ... Cromwell Ames クロムウエル・エイムズ

Rest of cast listed alphabetically:
Greg Austin ... Rufus Barton(uncredited)
Laraine Dix ... Lab Technician(uncredited)
Tanya Fear ... Jasmine Grenouille(uncredited)
Michael Lumb ... Audience(uncredited)
Will Rowlands ... Corporal(uncredited)
Jesse James Sims ... Team GB(uncredited)
Craig Teague ... Werfelli(uncredited)
 IMDbの評価は8.5 (2020/2/29時点)
  試合のアトラクション、着ぐるみを着ての徒競走に出たドイツチームの選手が4発の銃弾を受けて死んだ。5発目の弾は見学の少年に当たって意識不明の重体。捻挫したファンシーに代わって着ぐるみを着ていたモースは少年の救出に全力を尽くす。適切な救急処置をマックスが行った。被害者はフーシャ。出場予定のスイスチームのベルヘリが急遽棄権、代わって出場したのがフーシャを撃った犯人だったが、ベルヘリのホテルの部屋をしらべてみると、タンスに彼の死体があった。マックスの検死の途中でフーシャの死体は上層部の公安に持っていかれてしまった。しかし、マックスは記憶で死体の義歯に東ドイツでの治療の痕跡があったという。フーシャは東側のスパイだった可能性がある。
 フーシャの手がかりを探すモースの前に立ちはだかる大きな組織の壁。フーシャと親しかったという大学のシュナイダー博士やリッチモンド教授。皇室警護組織らしきシングルトンたち。香料会社フェニックス・インダストリーの社長。引退したもと英語教師のバグショット女史。モースにスパイ事件は公安部に任せて手を引けと助言するものたちばかりだ。コードネームはNEWS。North, East, West, South.戦時中から使えそうな人物をスパイにスカウトしてきたリッチモンド教授、毎朝新聞を買って届けるマリオンのほかの工作員はいったい誰か。
 モースはジョアンの紹介で交際したフォオトジャーナリストのクローディンを部屋に招き入れてベッドを共にする。二人は川下りを楽しんだりするが結婚などの深い関係には進まず、クローディンは「さよなら、いとしいひと」という言葉を残してベトナムに発つ。
23.Episode 6. Icarus
ねじれた翼

Season 5 
WOWOW
2020/2/19
放映
Directed by Gordon Anderson
     Colin Dexter ...(characters)
     Russell Lewis ...(written and devised by)

Cast (in credits order) verified as complete
Regular Members
  Chief Superintendent Reginald Bright
  DCI Fred Thursday,DC George Fancy,DS Jim Strange,WPC Shirley Trewlove,DS Endeavour Morse,Win Thursday,Dorothea Frazil 新聞記者,Joan Thursdayサーズディの娘,Dr. Max DeBryn 監察医師

Caroline Martin ... Kate Ivory アイヴォリーの妻
Aldo Maland ... Stanlow いじめられる生徒
Sam Clemmett ... Rackway
Jojo Macari ... Queach
Lily Lesser ... Ravenna Mackenzie 校長の娘
Michael Simkins ... Baldwin Mackenzie  校長
Felix Scott ... Mr. Blackwell  体育の教師
Andrew Buckley ... Alun Bodnar 化学の教師
Barnaby Taylor ... Summerhead
Xander Classey ... Gaudibund
Mark Arden ... Eddie Nero  組長
Louis Strong ... Clunchfist
Tom Panay ... Morris Minor
Anson Boon ... Brett Nero  ネロの息子

Madeleine Worrall ... Mrs. Seymour 寮母シーモア
David Jonsson ... Cromwell Ames (as David Jonsson Fray) 敵対するギャング
Phil Daniels ... Charlie Thursday サーズディの弟

 町ではクロムウェル一派が武装して集まった。見張りをしていたファンシーは警察に緊急連絡。サーズディほか警官たちが駆け付けたときには既に銃撃戦が終わっていて、ファンシーが殉職していた。ファンシーを撃った弾は銃撃戦に残されていた銃のどれとも一致しないものだった。ファンシーと交際していたトルーラブはショックを受ける。彼女は希望もあり、ロンドン署へ異動になった。
 それにしてもアイボリー教授が生徒に吹き込んだ毒とはどんな内容だろうか。古典文学を材料とするなら何が青少年によくない毒なのだろうか。生徒はシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』のシーザー暗殺場面を演じたり、キップリングの詩集を読んでいたりしたが。
 IMDbの評価は8.9 (2020/2/29時点)
 ブライト警視正が署員を前に伝えている。カウリー署は閉鎖と決まった。署員の次の勤務先は追って通知がある、と。
 モースは高校の教師に任命された? いや、上からの命令で刑事の身分を隠してある男子高校への
潜入捜査なのだ。サーズディ警部補はエディ・ネロがらみの抗争事件の捜査に当たることになり、モースはトルーラブ巡査と夫婦と偽って高校の古典のアイボリー教師の失踪事件を調べることになった。コールド・ウォーター高校では、教師の失踪を調べていた刑事と助手が交通事故で亡くなってもいた。
 出席を取るモースに生徒たちは反抗的な素振りを見せる。生徒の中に弱虫でアイボリー先生のお気に入りだからという理由でいじめられているスタンローという生徒や、ネロの息子ブレットがいた。
 サーズディはカウリー署の閉鎖とともに辞表を提出しようと準備していた。弟のチャーリーが金の無心の電話をかけてくる。一方、ネロの抗争事件はクロムウェル・エイムスを一時的に逮捕するが証拠不十分で釈放に。チャーリーに貸した金は回収不能に。妻との老後の資金が皆無になった。
 化学の教師はアイボリーは生徒に毒を教えたと批判的。寮母のシーモアも同意見だった。アイボリーは、体育の教師ブラックウェルとは対立していた。古いコッテージの棺のなかに、モースは死体を発見する。死体はラウンズリー、アイボリーが目をかけていた生徒だtった。死因は100パーセントのヘロインを吸引したことによる中毒死だった。ラウンズリーはアイボリーの使い走りのような役目もしていたという。生徒に麻薬を売っていたのではないか。校外のギャングたちとのつながりも可能性がある。
 トルーラブは生徒たちに襲われそうになる。助けてくれたのは化学教師アルンだった。
 ブラックウェルは保健婦の授業見学要請を許可せず、書類を持参したスタンローをみなの前でむち打ちの罰を与えていた。ブレット・ネロが「もうやめてください」と頼むと、怒りの矛先はネロに。言いたいことがあるのなら俺を殴ってみろとの言葉に、教師を殴るネロ。逆上するブラックウェル。殴り合いになりそうな瞬間に校長たちが駆けつけてきて二人を引き離す。その後、ネロは父エディの死亡に伴って学校を離れる。
24.

Season 6
Pylon
花飾りの少女WOWOW
2020/2/24
 
 Directed by JJohnny Kenton
Writing Credits Colin Dexter    (characters by)
   Russell Lewis ...(devised by)

Cast (in credits order) verified as complete
Regular Members
  Reginald Bright , Jim Strangel Shaun Evans, Dorothea Frazil,Joan Thursday,Dr. Max DeBryn,DI Fred, Win Thursday
Simon Harrison ... DCI Ronnie Box
Aston McAuley ... Stanley Clemence スタンリー
Mike Grady ... Ernest Croglin
Ava Masters ... Ann Kirby アン
Ed Coleman ... Wizard
Fiona Skinner ... Karen Kirby
Khali Best ... Mick Haynes
Colin Tierney ... Assistant Chief Constable
Hugh Sachs ... Reverend Postill
Katharine Bubbear ... Maggie Skynner スカイナーの妻
Simon Hepworth ... Mr. Tingwell
Tom Canton ... Alfie Skynner
Roger May ... Dr. Lester Sheridan シェリダン博士
Elizabeth Wells ... Emily Bayard エミリー
Richard Riddell ... DS Alan Jago
Daniel Boys ... Joseph Kirby
Alison Newman ... Viv Wall 福祉部の女性部長
Holly Giles ... Laurel Skynner
Kit Young ... Chris Adam
De Ville ... Gilbert Sipkin
Lindsey Campbell ... Rhapsody Dickenson
Abby Barnes ... Rosie Johnston ロージー

Rest of cast listed alphabetically:
Simon Harrison ... Ronnie Box
Caroline O'Neil ... Win Thursday
Henrihs Ahmadejevs ... Camera Operator (uncredited)
Reese Grimes ... Pelican Crossing video girl (uncredited)
Adam Hillier ... Phillip Clemence (uncredited)
Cera Rose Pickering ... Mrs. Johnston (uncredited)  
Richard Price ... Parent at Fete (uncredited)
Jesse James Sims ... Horse Hand (uncredited)  

 食肉業者のスカイナーの妻マギーは運転免許をとったばかり。娘のローレルは筋ジストロフィーで通院する必要がある。
 ボックス警部は少女の検死解剖には同席しないという。少女が切り刻まれるのを見たくないのだ。少女の死を両親に伝えることもフレッドに命じる。マックスは「気の小さいやつだ」と評価する。彼はサーズディに本当ならあんたが俺の上司になっていた、あんたの実力はみんなが知っている、俺は腕力と努力でこれまでになってきた、これからも変わらずに子供たちが安心して暮らせる町にしていきたい、そのために協力してほしいと話す。モースは最初の容疑者にすべてを押し付けようとすると批判。アンの青いヘアバンドもスタンリーの部屋の床下から見つかったが、モースが調べたときには無かったものだ(本物はアンを運んだ車のなかから見つかった)。写真屋からアンが本好きだったと聞いたモースはアンが移動図書館を利用していたことに気が付く。いつもと違う道を通ったはず。
 モースの推理で一気に事件が解決。
 事件解決後、ストレンジの計らいでモースに異動の命令が下る。新しい職場はキャッスルゲート署刑事課。
 IMDbの評価は8.7 (2020/2/29時点)
 カウリー署が閉鎖され、メンバーはそれぞれの配属先に散っていた。 モースはウッドストックの派出所で制服警官となり、 サーズデイは警部補に降格されキャッスルゲート警察の刑事部で ボックス警部の部下として働いていた。 ある日、モースは行方不明になっていた10歳の少女アン・カービーの遺体を偶然発見する。 マックスから検視の所見を聞くモースだが、制服警官に捜査の権限はなく……。今回から口ひげをはやしたモース。  
 ブリジット警視正は殉職の責任を取らされて降格・交通部に配属、ペリカン横断歩道(押しボタン付信号機付横断歩道の略称)のPRをさせられていた。実際のペリカンと共演する彼の姿は警官たちの物笑いの種になっていた。
 下校途中で失踪した少女アン。失踪したティングウェルの馬の捜査で馬を探していたモースが畑の真ん中に少女の遺体を発見。花冠をされ花束を持たされていたことの意味を探ろうとするモースに、ボックス警部は制服警官の意見など参考にする気はない。モースの田舎の勤務先を訪ねて来たストレンジは「忘れちゃダメだ。ジョージに起きたことを」とこだわるが、モースは「気にしてどうなる?」と懐疑的だ。ストレンジはジョアンの消息も伝える。福祉部の見習いになったのだ。
 教会の周辺をうろつく不審者の少年スタンリー・クレメンスはアンのバッグも拾って持っていた。スタンリーは夫フィリップが妻メアリーを殺した事件の被告の息子。フレッドもその事件の捜査に加わっていた。母親の傍で泣いていた息子を抱き上げて救出したのがフレッドだったのである。夫は無実を訴えたが便槽から血の付いた金づちが発見されて絞首刑になった。金づちはフレッドが探したときにはなかった場所から発見された。スタンリーはアン殺人の容疑者として尋問を受ける。麻薬の禁断症状が見られる。福祉部の女性部長ヴィヴの未成年者の扱いの抗議のおかげで病院に入院した彼は病院から脱走し、その後教会で発見されたときには死体だった。ヘロインとストリキニーネの摂取による。
 祭りの公園からロージーという少女が失踪した。現場から逃走して検門にひっかかったパナマ帽の少女写真を趣味とする教師シェリダンは知らないという。共通の趣味を持つギルバートをいためつけて容疑者の居所を突き止めようとする警察。フレッドもギルバートを殴る。フィリップを絞首刑にしたときの記憶がよみがえる。
 モースはティングウェルの証言が気になっている。友人のフィリップと聖歌隊で一緒でオルガンのパイプの裏に当時のタバコが残っていると。教会のオルガンの裏を調べてみると、フィリップのカバンがあった。なかには妻の殺害の凶器、金づちが入っていた。裁判で証拠とされた金づちはロット巡査の仕掛けた物だったが、真犯人は夫だったのだ。サーズディは証拠品を警察に提出して自首するという。モースはこの物品を発見したのは自分だから任せてほしいと言う(最後に元のところに戻すモース)。
25.

Season 6
Apollo
月の裏庭
WOWOW
2020/2/24 
Directed by Shaun Evans
Writing Credits Colin Dexter ... (characters by)
Russell Lewis ... (devised by)
Russell Lewis ... (written by) Russell Lewis

Cast
Michael Parkhouse ... TV Anchor
Benjamin Wainwright ... Professor Adam Drake (as Ben Wainwright) アダム・ドレイク博士
Oliver Chris ... Dr. Elliot Wingqvist
Sargon Yelda ... Dr. Larry Humbolt ハンボルト博士
Sasha Willoughby ... Flora Humbolt  娘フローラ
Sophie Winkleman ... Isobel Humbolt 妻イソベル
Sara Vickers ... Joan Thursday ジョアン
Alison Newman ... Viv Wall 福祉部の女性部長
Matthew Cottle ... Jeff Slayton ジェフ・スレイトン
Mary Stockley ... Hildegard Slayton 妹ヒルデガルド
Katie Faye ... Christine Chase クリスティン
Robert Hands ... Eric Gidby 人形師エリック
Terenia Edwards ... Marilyn Gidby 妻マリリン
Alice Orr-Ewing ... Natalie Wingqvist ナタリー・ウィングキビスト
Regular Members
... DI Fred Thursday, Win Thursday, Reginald Bright, Dr. Max DeBryn, DS Jim Strange, DS Endeavour Morse, Dorothea Frazil

Simon Harrison ... DCI Ronnie Box ボックス警部
Richard Riddell ... DS Alan Jago アラン巡査部長
Ross Boatman ... Mac Honeydew
Charlotte Bradley ... Mrs. Trellis ウィングキヴィスト家の家政婦
Gabriel Payne ... Matthew Humbolt 息子マシュー
Blake Ritson ... Gabriel Van Horne セラピスト医師ガブリエル

 福祉部で働くジョアンはフローラ・ハンボルトの様子に注意している。小屋に火をつけたり、家出したりするが、母親とコミュニケーションが取れず、父親とも疎遠になっている。夜には読み聞かせをして、弟マシューの面倒をみている。
 フレッドは強盗犯に殴られ、傷つく。ボックス警部にデスクワークを命じられる。家に帰ると妻ウィンは気落ちしていてフレッドの世話を焼かない。ジョアンが帰ってきたが、会話はない。モースが朝迎えにいくことを提案しても断るほどの元気のなさが痛々しい。
 IMDbの評価は8.2 (2020/2/29時点)
 アポロ11号が月面着陸をまじかに控えたころ、ウィングキヴィスト博士の屋敷で名士たちのパーティがあった。ミニチュア・ワークで車が道路を暴走し、ガードレールをつき破ってがけ下に転落。それと同様の事故で樹木に追突し、死亡したのは若き天才天体物理学者アダム・ドレイク博士だった。自動車に同乗していたのはクリスティン・チェイス。彼女は車が衝突する前に死亡していることが分かった。さらに車のブレーキオイルがぬかれていることも判明した。もともとこの車はハンボルトのものだった。犯人が狙ったのはハンボルトだった?ハンボルトの妻イソベルは夫をさしおいて、アダムに夢中。アダムの恋人気取りだった。ドレイクが持っていた車のキーがパーティの参加者の誰の車とも合わない。7組のカップル以外に別の参加者がいたはずだ。モースは車の持主を発見しようとするが、ボックス警部は捜査に首をつっこむなと関りを禁止する。
 刑事部で急に異動したモースの机は地下1階の窓のない部屋で仕事は証拠担当。死者の身元調べでクリスティンの仕事はヘビスタジオのオフィスであることが分かった。アダムはTVのパペット人形のSFドラマの製作にも深く関わっていた。内容のだめだしも多く、人形劇団ヘビサイド・スタジオのエリックに煙たがられていたという。エリックは3年前に妻パトリシアを交通事故で失ってから元気をなくしていたが、マリリンと出合って元気を取り戻したようだったという。しかし、そのエリックが銃で死亡。自殺か?彼は妻をはねた車を発見したらしいが。ひき逃げ事件の資料をモースは交通部のブライト警視正に依頼する。ブライトは二つ返事で承諾する。「ペリカンはわが人生最大の汚点だ」というブライトにフレッドは「そのキャンペーンのおかげで何人の人救われたか数え切れません」と評価する。、
 ヘビスタジオの主宰者はジェフ・スレイトンとその妹ヒルデガルド。ジェフは人形を持って旅回りをしていたころを懐かしむ。ヒルディが車を運転していた。
 第3水曜日に開催されるパーティは乱交目的で、気の合った男女がペアになり、車で姿を消す約束になっていたことが次第に分かってくる。
 モース役のショーン・エヴァンスが演出も担当した作品。平均的な出来。セラピーのテープがときどき挿入されるがテープで話している患者が誰なのかが不明瞭で理解困難なのが難点。
 26.Connection  IMDbの評価は8.4 (2020/2/29時点)   
 27.Degiiello  IMDbの評価は9.4 (2020/2/29時点)   



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