補遺


所要時間

これまでも少し触れたけれども、育てるのにかかった日数からプレイ時間を推定すると、スペルマスター・アナスタシアは約50〜60時間、クイーン・アナスタシアは200時間くらいである。アナスタシア・ザ・グレートは、ただでさえ制作期間がとほうもなく長い上、3度の長い中断*1があるので、プレイ時間を推定することは難しいけれども、600〜700時間と思われる。プリンセス・エカチェリーナは、一晩で完成した。しかも、学校から帰ってきてから次の日学校に行くまでの間、夕食・朝食は一応とり、風呂にも入り、図学の課題もこなした上で、3時間ほど寝ている*2。そのことから考えると、このキャラクターを育てるのにかかったプレイ時間は、5〜6時間、多くみてもせいぜい8時間である。
*1 3度めの長い中断は、新しいDOS/Vマシンの導入によるものである。
*2 セーブデータの時間を見れば、どれくらい寝たかまで見当がつく。

しかしながら、高水準のキャラクターを育てようとするなら、それ以前に、別のキャラクターを育てることによって、プレイヤー自身が訓練する過程が必要である(特に、武者修行は、ある程度の訓練が強く要求される。)。したがって、その時間も含めると、彼女らのようなキャラクターを育てるには、もっと長い時間がかかっていることになる。このことは、プリンセス・エカチェリーナについても言える。彼女を5〜6時間で完成させたというのには、それ以前にキャラクターを育てたことによる蓄積が生きている(スペルマスター・アナスタシアクイーン・アナスタシアも含めて)。このゲームを全く初めてプレイする人が、あの水準のプリンセスを、8時間程度で育てることはまず無理である。

それでは、ずぶの素人が、プリンセスや女王を育てるには、どれほどの時間がかかるのか。プリンセスの場合は、プレイヤーの予備訓練の時間を考慮して、20時間あれば、このゲームに関してずぶの素人にとっても十分だろう。女王の場合は、どの水準を要求するかによって異なる。他の能力値を無視して、ひたすら評価を上げることだけを目指すのなら、プリンセスを育てるのとさほど手間は違わない。一応、ミスコンテストで、ぶっちぎりの優勝ができる(気品3000、色気1500)程度を目指すのなら、40時間が一つの目安となるだろう。それよりさらに高い水準を目指そうとすると、所要時間は段違いに長くなる。予備訓練の時間まで考慮すれば、スペルマスター・アナスタシアには60〜70時間、クイーン・アナスタシアにはおよそ300時間、アナスタシア・ザ・グレートには1000時間に近い時間がかかっているの時間がかかっていることになる。ただし、身長・体重(つまり、プロポーション)に全くこだわらずに、能力値だけを上げるという場合は、ここに示した時間よりもかなり所要時間は短くなる。長くみても3分の2くらい、ひょっとすると半分以下になるかもしれない。

また、このレベルのキャラクターを作るのなら、血液型が何型かということで、所要時間にまちがいなく大きな差が出る。スペルマスター・アナスタシアクイーン・アナスタシアに途方もない時間がかかったのは、彼女らが血液型AB型だったこともその一因である。しかし、血液型O型にすれば、アナスタシア・ザ・グレートの経験からいって、クイーン・アナスタシアの水準のキャラクターを育てるのに、それほどの時間がかかるとは思われない。プロポーションをきちんと100パーセントにあわせたとしても100時間あれば十分であろう。プロポーションの問題を無視するなら、スペルマスター・アナスタシア程度の時間でできるかもしれない。そして、アナスタシア・ザ・グレートの水準には、血液型がO型でないと(A型でもよいかもしれない)おそらく到達不可能であろう。

クイーン・マルティナについても、武者修行をしないという前提のもとでは、似たような議論が成り立つ。このキャラクターを育てるのに要した時間は、第5部にも述べたとおり、80〜100時間と思われる。しかし、このキャラクターを育てるにも、それまでの蓄積、特に、プリンセス・エカチェリーナ・バージョン2計画で得た成果が大きい。そのような蓄積がなくして、武者修行をせずにこの水準のキャラクターを育てることは、極めて困難と思われる。

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エンディング改編案

最強のキャラクターが完成した後に、面白いことを思いついた。
「もし武者修行によって評価が全く上昇しなければ、どうなるだろうか?」
そうなると、評価1200は簡単に達成できる数値ではなくなる。少なくとも、上旬と下旬には武者修行に出て、アイテムを毎月2セットずつ手に入れ、中旬には礼法の稽古をきちんとこなさないと、ほとんどこれは不可能になる。ということで、武者修行で鍛えたキャラクターたちが、武者修行以外で上げた評価はどの程度のものか計算してみた。

まず、アナスタシア・ザ・グレートの場合、これは「武者修行で上げた評価」を計算するほうが簡単である。このキャラクターの場合、負けて逃げ帰ってきたことがないので、何日武者修行に出たかは完璧にわかっているからである。最初にこの数値を計算してみよう。計算に必要な条件は以下の通りである。

  1. この娘が武者修行に出たのは76カ月である。しかし、武者修行最初の月は、ひたすら近郊をぐるぐる回ることに終始したので、この月は別に考える。
  2. 前にも述べたとおり、まっすぐアイテムをとりに向かうと、最初から4日目までは辺境で、5日目以降は蛮地で迎えることになる。したがって、10日間の武者修行では、2×4 + 3×6 = 26評価が上昇する。
  3. しかし、厳密には、このときに4日目の昼間に蛮地を一度通過し(だからこそ4日目の昼間にドラゴンを倒すことができるのである)、再び辺境には入って5日目に蛮地に入る。各アイテムを手に入れられるのは、本が7日目の昼間、ティーカップが9日目の夜、ドレスが10日目の夜である。したがって、武者修行が8日または11日の場合は、飛び地の蛮地を4日目の昼間に通過せずに、4日目の夜までそこで過ごしたほうが評価が上がることになる。したがって、武者修行が8日の場合、評価の上昇は10日の場合−5、11日の場合は10日の場合+4となる。
  4. 31日の月は毎年6回(5,7,8,12,1,3月。10月は収穫祭だから当然除く)。7度の2月のうち、閏年が2回。
よって、このキャラクターの武者修行による評価の上昇は、

52×75 + 4×(6×7 - 1) - 3×2 - 5×(7 - 2) + 31 = 4064

となる。ただし、31日の月または平年の2月の下旬について、必ずしも3の通りに武者修行をしたわけではない(上旬と同じように飛び地の蛮地を4日目の昼間で通過してしまったこともある)ので、実際には何点かこの値より少ないが、およそこの程度のものである。したがって、このキャラクターが武者修行以外で得た評価は、5578 - 4064 + α = 1520程度になる。

クイーン・アナスタシアも、武者修行による評価の上昇は、アナスタシア・ザ・グレートと基本的には同じはずである。しかし、何度か負けて帰ってきたことがあることと、上の3のようなことをしていない分だけその値は少なくなっているはずである。そこで、武者修行以外で得た評価は、1200にはたぶん達しているだろうけれども1200を越えたとしてもごくわずかだろう。

スペルマスター・アナスタシアは、正確な計算は最も難しい。というのは、彼女の場合、どの程度の日数を武者修行で過ごしたのか、あるいは、武者修行のうちどこで何日を過ごしたのか全く定かでないからである。そこで、クイーン・アナスタシアとの比較によって、武者修行以外で稼いだ評価を直接計算してみよう。クイーン・アナスタシアに比べると、このキャラクターは、ミスコンテストでの得票が少ないのは明らかである。しかし、獲得した部門賞の合計は1つ多く、総合優勝も1回多い。さらに、クイーン・アナスタシアに比べると、称号を5つも多く獲得している。だから、武者修行以外で得た評価は意外と多い。おそらく1100台だろう。

アマゾネス・オクサーナの場合、武者修行以外で稼いだ評価を直接計算するほうが間違いなく簡単である。このキャラクターの場合は、武者修行を除くと主に武闘会出場で評価を上げている。武闘会は評価がいくつ上昇するか決まっているので計算は簡単である。優勝7回で80×7 = 560。剣聖の称号をとっているので10×3 = 30。あとは、バイト全成功による上昇を考慮して、600台前半というところになる。

さらに、プリンセス以下のエンディングの基準も甘すぎると思うので、そこも含めた「エンディング改編案」を下に提案しよう。なお、各レベルのエンディング内容は、講義の付表にまとめた通りである。
エンディングのレベル 案1 案2
最高 sehr gut 1200〜 1400〜
すばらしい gut 900〜1199 1200〜1399
よい befriedigend 700〜899 900〜1199
まずまず ausreichend 500〜699 600〜899
あまりよくない mangelhaft 300〜499 300〜599
最低 ungenugend 0〜299 0〜299

このゲームを何度か繰り返せばプリンセスはできるようになるし、武者修行の日程を7年間こなしてアイテムを手にいれて使いさえすれば、女王様に手が届くという考え方をすると、案1のようになる。もっと厳しく考えて、本当にこのゲームを「極める」くらいでないと女王様のエンディングが見られないようにするという考え方なら、案2のようになる。ただし、クイーン・マルティナの節で述べたように、武者修行をしないキャラクターが、ミスコンテストの他の出場者の能力値を抑え込むことをせずに評価1200を達成できるかどうかは、極めて微妙である。それが不可能であると考えられるようならば、案2におけるプリンセスの基準は、1100程度まで下げることも考えられる(それ以下の基準は変更しない。つまり、その場合は、「よい」のレベルの範囲が狭くなる。)。武者修行をしないキャラクターにも、プリンセスの可能性は残すべきである。

ただ、この案にも問題がある。案1では「よい」のレベルで、案2では「よい」と「まずまず」のレベルで、知力またはモラルが最も高いという場合がありえなくなってしまうことである。案2の「よい」のレベルでは、体力または腕力が最も高い場合もほとんどありえない。武者修行では全く評価が上がらないということにしてしまったのだから、武者修行で評価を上げて、評価が適当に上がったら打ち切るということができない。データの書き換えをしない限り、それらのエンディングを見ることはできなくなってしまう。だから、次のような改編が同時に必要となるだろう。

ただし、武闘会、あるいは知力やモラルによって評価されるイベントだけでは、優勝を続けてもプリンセス以上にはなれないようにする。エンディングの部で、「女王というからには、気品、色気、知力などに厳しい条件があるべきではないか」と述べた。しかし、武者修行によって全く評価が上がらないとすれば、評価1200(または1500)という条件をつけることによって、気品と色気の条件を自動的に取り込むことができるのである。つまり、武者修行によって気品と色気を十分に上げて、ミスコンテストで大量の得票を得ないと、この値は達成できないようにするわけである。ただし、知力の条件については、このままでは取り込むことができないので、別に考慮する必要がある。ミスコンテストで知力を審査項目に入れるということも、当然ありえない方法ではない。しかし、10人程度の審査員の審査ならともかく、1000人の一般審査員が投票するのだから、知性を審査するという設定は極めて困難である。

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最強の女王への道(東亜大学校名作講座 1)

1998年 6月 6日 初版発行

編者 Y.Tori, 東亜大学校医学部キャラクター育成教室
発行 東亜大学校出版会
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