アナスタシア・ザ・グレート(三代目アナスタシア)

まず、このキャラクターの制作が開始された経緯から説明しよう。そのためには、二代目エカチェリーナというキャラクターの説明をしなくてはならない。二代目エカチェリーナは、およそ2年で制作が中止された。今では、彼女が存在したことを証明するデータはどこにも残っていない。しかし、武者修行の日程の発見以来といってよい重大な発見の過程を語る上で、彼女の存在に触れないで通ることはできない。

春休みも終わりに近づいたある日、私は、新たなキャラクターの作成を思い立った。前の女王、クイーン・アナスタシアは、容姿の美しさ・戦闘能力の両面で無敵の女王と思われていた。彼女の唯一の明らかな弱点は、一撃の威力が小さいこと、特に、相手のHPが40点以上残っていると一撃で倒すことができない(会心の一撃が出た場合を除く。)ことである。以降、この性質を、40点制限と呼ぶことにする。したがって、40点制限がなく、クイーン・アナスタシアの安定性を持つキャラクターを育てようと思い立ったのである。今までは、最強のミスコンテストの女王を追求してきた。そして、それがクイーン・アナスタシアという形で、100パーセントとはいかないまでも90パーセントは実現した(と、当時は思っていた。)。それならば、最強の戦士も追求すべきではないか、という考えが思い浮かんだのである。ただ、このような考えが思い浮かんだ理由としては、私の心を熱く燃えたぎらせてくれるようなDOSゲームがほかになかったということがある。新しいキャラクターには、エカチェリーナという名前をつけた。つまり、このキャラクターが、二代目エカチェリーナである。私にとってはおよそ2カ月ぶりの新しいキャラクターだった*1
*1 クイーン・アナスタシアとプリンセス・エカチェリーナの間も、育て始めた時間でいえば2カ月以上開いている。しかし、その2カ月の間は、ほとんど、クイーン・アナスタシアを育てることに集中していた。それに対し、プリンセス・エカチェリーナは1日で完成したキャラクターである。それからの2カ月は、データを解析し、この文章を書いていただけで、新しいキャラクターを育てることは全くしなかった。

スペルマスター・アナスタシアクイーン・アナスタシアを通して、私は、40点制限にずっと悩まされ続けた。そして、スペルマスター・アナスタシアを育て始めてから、このキャラクターを育て始めるまでおよそ5カ月の間ずっと、40点制限は腕力の値に依存する性質だと思いこんでいた。魔法攻撃の場合の40点制限は、魔法攻撃そのものの性質だと思っていた。だから、二代目エカチェリーナは、武者修行の合間に木コリのバイトをして腕力を上げ続けた。2年度の終わりには、腕力がおよそ200に達していた。しかし、それでも40点制限はなくならなかった。

この段階に至って、ようやく、40点制限の原因は腕力以外の性質にあるのではないかと思うようになった。それでは、何が原因なのだろうか。スペルマスター・アナスタシアでもクイーン・アナスタシアでも40点制限があるのだから、誕生日は関係ないはずである*2。そうなると、思い当たるのは、血液型くらいしかない。二人のアナスタシアと、二代目エカチェリーナは、いずれも血液型はAB型である。血液型がデータのどこに記述されているかはまだわからなかったものの、この仮説を間接的に確かめる実験は可能だった。この二人とは血液型の違うアマゾネス・オクサーナのデータを使えばよいのである。アマゾネス・オクサーナには、40点制限はない。知力を上げるアイテムを買って使い、知力をいくらか上げたうえで、二級学士の称号をとらせた。そして、武者修行に出して魔法を使わせて、40点制限があるかどうか確かめた。その実験のとき、知力の値自体は、わずか200だった。二人のアナスタシアに比べると、1桁以上小さい。それでも40点制限はなかった。このとき、私の疑問は確信に変わった。そのとき、さらに次の考えが思い浮かんだ。誕生日が全く同じで、血液型だけ違うキャラクターを新しく2人作って、その2つのファイルの相違点を調べればよいのだ。それをすると、予想通り、1箇所だけ相違が出てきた。つまり、そこに血液型が書き込まれているわけである。それから、各血液型のキャラクターの、そのアドレスの値を調べた。こうして、血液型の書き換えが自由にできるようになった。そして、クイーン・アナスタシアの最終年度のデータを使って、血液型だけ書き換えて、戦闘能力・戦闘特性がどうなるかを調べた。こうして、40点制限は血液型AB型のキャラクターの特性であることが、疑問の余地なく明らかになった。各血液型の戦闘特性は、武者修行の部でまとめたとおりである。
*2 スペルマスター・アナスタシアは、王国歴1659年4月27日、クイーン・アナスタシアは、同1660年3月3日生まれである。二人の間には10カ月以上の年齢差がある。

それまで、キャラクターの血液型は、全くでたらめに決めていた(最後の表を参照)。初代オクサーナの血液型B型は、そのときの気分で(サイコロもふらずに)決めた。初代アナスタシアの血液型AB型は、自分と同じにしたというだけのことである。二代目オクサーナのときは、これも根拠はないのだが、気分でO型に決めた。二代目アナスタシアについては、誕生日以外の設定はすべて初代と同じとしたので、血液型も初代と同じである。そして、プリンセス・エカチェリーナは、それまで育てたキャラクターの中にA型のキャラクターだけいなかったので、A型に決めた。プリンセス規格のキャラクターならともかく、武者修行で娘を鍛えるつもりなら、血液型の差はいかんともしがたいハンデとなる。その血液型を、なんといいかげんに決めていたことか!

血液型によって、戦闘能力に差があるということを話したら、そんなの当たり前だといわれた。がーん!!確かに、このことに5カ月もの間気がつかなかったというのは、間抜けとしか言いようがない。しかし、それよりも重大なのは、

血液型がAB型であるクイーン・アナスタシアは、最強の女王ではない
ということが、はっきりと証明されたことである。

クイーン・アナスタシアも、完全無欠とは言いきれないことは、この発見以前からわかっていた。二級学士の称号をとるのが遅れたために、攻撃魔法を活用するようになったのが遅かったということ。最初の5年間は、スペルマスター・アナスタシアを上回ればよいというくらいの気持ちで育てていたため、やり直しが不十分であったということ。そして、武者修行の4日目までに金をたくさん手に入れられるような手順を発見したのが、7年度7月と遅かったこと。しかし、その点を改良しても、知力や気品の上昇は高々数百であると思われた。そして、何より、7年度7月以降の途方もない苦労(月によっては、それは悪夢にも近いものがあった)を、もう一度経験する気にはならなかった。しかし、この戦闘特性の違いは、途方もない差につながることはまちがいない。ということで、とりあえず、血液型がO型の新しいキャラクターを育て始めることにした。そのキャラクターが、アナスタシア・ザ・グレート(三代目アナスタシア)である。血液型をO型にしたという以外は、このキャラクターの構想、あるいは教育(?)方法は、クイーン・アナスタシアと何ら変わりはない。

余談だが、このキャラクターは、当初はエカチェリーナという名前だった。それは、このキャラクターまで「アナスタシア」にしてしまうと、4人のアナスタシアの区別がつかなくなってしまうからだった。しかし、当時のクイーン・アナスタシアに対し、新たな通称「スペルマスター」を思いついたので、かねてから考えていた改名を実行した。改名はさほど難しくはない。キャラクターの名前と姓は、全角のカタカナでそのままファイル中に書き込まれているので、それを書き換えればよい。ただし、名前の後と姓の後にはそれぞれ終了記号が入り、さらに、名前または姓が8文字に足りなければ、全角空白でそれを埋める。終了記号は、名前や姓の先頭文字の行、または長さによって異なってくるので、やや難しいところがある。だから、改名したい場合には、まず自分のつけたい名前のキャラクターを作ってセーブし、バイナリエディタでそのファイルの名前の部分を調べてから、目的のセーブデータの名前の部分をその通りに書き換えれば、安全である。

最強の女王への方法論が完全に出そろったところで、キャラクターの設定の指針をまとめておこう。

誕生日
このゲームは、誕生日をいつにしても、スタート時のパラメータは全く同じで、パラメータの上昇速度も誕生日には無関係だと思われる。したがって、生まれた月が早いほうがよいか、遅いほうがよいかの2通りになる。前者の場合は4月生まれ、後者の場合は3月生まれにするわけである。さらに言うと、生まれた月が早いほうがよいのは、プリンセス規格のキャラクターの場合である。プリンセス規格のキャラクターは、10歳のときにはできないバイト(特に酒屋)をできる限り日数多くこなす必要がある。だから、そのようなバイトができるだけ早く始められるように、誕生日も早くしたほうがよい。4月生まれにすると、プロポーションをおさえるのがやや難しくなるが、その程度はやり直しでカバーしよう。一方、女王を育てる場合は、そのようなバイトをする必要がないから、誕生日が遅い方が有利である。プロポーションをおさえるのがだいぶ楽になる。
生まれた月をきちんと決めれば、生まれた日は、多分どうでもよい。私の場合、初代オクサーナ・初代アナスタシアのときは、サイコロをふって決めた。クイーン・アナスタシアのときは、「女の子のお祭りであるひな祭りの日*3」、プリンセス・エカチェリーナのときは、「私が大学に入学した日(入学式の日)」というぐあいに、全然関係のないことを理由にして決めた。アナスタシア・ザ・グレートのときは、サイコロさえふっていない。生まれた日にきちんとした根拠があるのは、二代目オクサーナだけである(これは前述の通り)。
*3 ひな祭りがこのゲームの世界にあるとは思えない。
血液型
プリンセスを育てるのなら、何型でも能力値の差はあまり出ないだろう。ただし、O型にすると、後半に太りやすくなるうえ、最終年度になっても体重増加の速度が落ちないと思われる。体をしぼるという観点からは、O型は避けたほうがよいだろう。しかし、女王を育てるとなれば、逆に、絶対O型にすべきである。血液型の差がどれほどの大差につながるかは、この後詳細に説明する。

制作を開始した時点では、このキャラクターを最後まで育てることは決定していなかった。プリンセス・アナスタシアスペルマスター・アナスタシアクイーン・アナスタシアと、過去の「最強のキャラクター」の系譜をたどると、育てるのに必要な時間は、等比級数的に長くなっている。クイーン・アナスタシアの、特に7年度7月以降の際限ないやり直しに耐えることができた理由の一つは、スペルマスター・アナスタシアに比べて、ほとんど全ての能力値が大幅に上昇するという見込みがあったからである。そして、それよりももっと大切なことは、クイーン・アナスタシアのときには、私の描いていた理想の全てをこのキャラクターの中に体現するのだ、そのようなキャラクターを誕生させるのだ、という情熱があったことである。しかし、理想のキャラクターは、もはや誕生してしまったわけである。それに、クイーン・アナスタシアでも、知力と気品以外の能力値は、すでにほぼ限界に達しているといってよい。クイーン・アナスタシアまでと同じ割合でプレイ時間が長くなるとすると、新しいキャラクターの制作には、日数でいえば半年、プレイ時間でいえば500時間を覚悟しなくてはならない。その割に、上昇が見込めるのは、知力と気品だけである。だから、クイーン・アナスタシアを超える、最強のキャラクターを、本当に育てるのかどうか、まだ迷いがあった。最初3年間くらいやってみて、武者修行の成績がどの程度向上するか調べてみて、その程度によって、最後まで育て続けるか、中止するか決めようと思っていた。当初の予想では、気品の値にして8000に到達するのはきついだろうと思っていた。気品8000のキャラクターを作るためには、武者修行の期間中を通して、平均の成績は750くらい必要である。これはきついと思ったわけである。クイーン・アナスタシアも、6〜8年度にはこの程度の成績を出した。しかし、それが困難だと思った理由は二つある。一つは、時間の問題である。クイーン・アナスタシアのとき、その成績を出すためには、特に7年度以降は、1カ月のプレイに何時間も要している。そのようなことをゲーム内時間で7年間も続けることはできないと思ったのである。もう一つは、戦闘能力が完成するまでに時間がかかるということである。クイーン・アナスタシアの場合、最初の1年くらいは、10日間生き延びること自体が難しかったし、1回の武者修行の間に何頭ものドラゴンと戦うだけの力がつくには、さらに長い時間を要した。というのは、薬草を使わないとドラゴンを倒すことができなかったので、薬草が切れたらたとえドラゴンに遭遇しても逃げざるを得なかったからである。そのような期間を含めて平均750を出す必要があるというわけである。つまり、最後の3年間くらいは、毎月1000を超えるような成績を出さなくてはならない、そのようなことは不可能だ、と思われたのである。ところが、アナスタシア・ザ・グレートは、このような予想を完全に打ち破った。このキャラクターを育て続けるという決断を下すのに、3年度まで待つ必要はなかった。なお、武者修行で娘を鍛えた経験のあまりない人のために注意しておくと、クイーン・アナスタシア程度が、武者修行で鍛えたキャラクターの「常識」である。ドラゴンを楽に倒せるようになるのには、時間がかかるのが当たり前である。プレイヤーに武者修行の経験が少ないのならなおさらである。アナスタシア・ザ・グレートは、はっきり言って「怪物」である。私の予想した、そしてゲーム制作者も予想したはずのありとあらゆるバランスをはるかに超越したキャラクターである。そのようなキャラクターは、プレイヤーが武者修行に十分熟練していて、キャラクターにも素質があって、はじめてできることであるということを、常に忘れないでいただきたい。

最強のキャラクターを育てるためには、最初の立ち上げが大切であるということは、クイーン・アナスタシアですでに実証済みである。だから、武者修行の準備期間については、十分やり直ししてよい結果を出して次に進むようにした。武者修行を始めたのは、2年度の5月である。これは、従来のキャラクターとほぼ同じである。このときの能力値は、クイーン・アナスタシアを上回っていたが、その差はわずかであった。めざましい差が出たのは、それから後であった。このキャラクターの立ち上げの早さは、まさに驚異的だった。武者修行を始めた次の月には、早くも、蛮地まで出かけていき、能力値を上げるアイテム4種類全てを2セット手に入れることに成功した。クイーン・アナスタシアは、これを2年度9月に達成して*4私自身驚いたものだったが、このキャラクターは、それを3カ月更新したことになる。さらに驚くべきなのは、この最初の月ですら、武者修行の成績は200台を記録しているのである。200台というと、大したことのない数値に思われるかもしれない。しかし、武者修行を始めて間もないキャラクターは、とにかく10日間生き残ることが大変である。そのようなキャラクターにとっては、成績ゼロは、決して甘い数値ではない。マイナスの成績も珍しくない。そして、この年度の9月以降は、毎月600以上、3年度に入ってからは、ほとんど毎月4桁の成績をあげた。もちろん、武者修行を始めたばかりだからといって、算定基準を甘くすることはしていない。クイーン・アナスタシアが、1カ月進むのに平日なら3〜4日が当たり前という、苦労に苦労を重ねてようやく達成した成績を、このキャラクターは2年度のうちから出したのである。このキャラクターの、3年度以降の武者修行の成績は、クイーン・アナスタシアのときには、とうてい夢にみることもできなかったほどのものである。さすがに、1カ月進むのに平日で1日以上のプレイを要しているものの、素質の違いは明らかである。前回述べた通り、クイーン・アナスタシアの場合、3年度の前半くらいまでは、10日間生き延びて、能力値を上げるアイテムをすべて手に入れるのが一苦労だった。ドラゴンを倒せるだけの力はなかなか身につかず、礼法の稽古と薬草の購入にかかる費用を出すのがやっとのことだった。5年度まで通算しても、武者修行の成績は、平均140程度にしかならない*5。アナスタシア・ザ・グレートは、2年度の2月までに、二級学士の称号もとり、装備の買い換えもすべて完了した。クイーン・アナスタシアが、そこまで至るのに4年度の末までかかったことに比べると、驚異的な早さである。もっとも、毎月の黒字が5倍以上にもなっていれば、それも当然であるが。さらに、アナスタシア・ザ・グレートは、2年度のミスコンテストで、誰が相手に出てきても気品と色気の2部門制覇ができる。これは、プリンセス規格のキャラクターでは、意図的に相手の能力値を下げない限り6年度にならないと不可能だろう。スペルマスター・アナスタシアがこれを達成したのは5年度、クイーン・アナスタシアは3年度である。このことも、このキャラクターの立ち上げの早さを証明している。
*4 ただし、当時の私は、10日の間にアイテム4種類を手に入れる技術は持ち合わせていなかった。アイテム4種類をすべて手に入れるためには11日必要だった。
*5 この時期は、武者修行の成績を記録に残すことはしていないけれども、気品の上昇速度、6年度以降に持ち越した金額、装備の買い換え・根性を上げるアイテムに使った金額などから、武者修行の成績の平均は概算できる。

クイーン・アナスタシアは、5年度まではかなり手を抜いていたことは否めない*6。しかし、いくら時間をかけてやり直ししたところで、AB型のキャラクターで2年度からこのようなすばらしい成績を残せるはずがない。敵の強さそのものは変わらなかったとしても、同じ敵を倒すのに必要な攻撃回数が多ければ多いほど、その敵を倒すことができる確率は減る(武者修行とは、ドラゴンをいかに数多く倒せるかが要点である。したがって、ここでいう「敵」は、「ドラゴン」に置き換えていただいて差し支えない。)。敵を倒すのに時間がかかれば、その間に受けるダメージは増えるし、痛恨の一撃を受ける確率も大きくなるから、娘が倒される確率はそれだけ高まる。また、敵が逃げ出したり、娘が逃げ出したりする確率も高まる。ドラゴンを倒すのに、クイーン・アナスタシアは、うまくいっても4回、標準で5回、悪ければ6回、攻撃が命中しなくてはならない*7,8。それに対し、アナスタシア・ザ・グレートは、3回命中すれば倒せることが多い。この差は途方もなく大きい。アナスタシア・ザ・グレートのときも、ドラゴンの生命力が増加するにしたがって、3回命中しただけでは倒せないことが増えた。すると、3回命中して、生命力が残りわずかになった状態で逃げられるというケースがたびたび発生した。それだけの変化でも、ドラゴンを倒せる確率には、てきめんにはねかえってくる。まして、3回命中でよいキャラクターと、5回の命中を必要とするキャラクターの差は、どれほど大きなものになるだろうか。アナスタシア・ザ・グレートなら、調子のよい月には、出現したドラゴンのうち7〜8割以上を倒すことができる。クイーン・アナスタシアでは、どんなにうまくいっても、そのようなことはできない。半分もいけば上出来であろう。そして、この差は、生まれつきの性質である血液型にほとんど由来する。だから、どんなにがんばったところでとうてい埋め合わせることはできないものである。ある血液型が他の血液型に比べて絶対的に有利だということは、本来はあってはならない。戦闘能力の面で、O型のキャラクターがAB型のキャラクターに比べて有利なら、他のどこかで、AB型のキャラクターより不利な面があるはずである*9。しかし、少ない攻撃回数で敵を倒すことができるということは、武者修行をした日数が同じでも、稼げる経験値やお金が多くなるということである。そのうえ、同じところで修行するのなら、生き残ることのできる日数が多くなる。あるいは、出発地点からより遠く、敵が強いところまで出ても、同じ日数生き残ることができる。つまり、生まれつきの戦闘能力が高ければ、戦闘能力の上昇も速くなるのである。さらに、武者修行を始めたばかりで稼げるお金が増えれば、装備の買い換えや二級学士の称号獲得が早くできるから、それだけ戦闘能力が上昇し、その後の武者修行をさらに有利に展開できる。つまり、時間の経過につれて、戦闘能力の差はまさに二重三重に開くのである。そして、その差は、プリンセス規格のキャラクターを育てるのならともかく、武者修行によって娘を育てるのなら、ほとんど全ての能力値に直結する。武者修行に生き残らなければ、能力値を上げるアイテムは手に入らない。礼法の稽古の費用さえ、武者修行で金を持っている敵を倒さなければ、出せない。また、武者修行でお金を稼げば稼ぐほど、能力値を上げるアイテムを多く購入して、それだけ大きく能力値を上げることができる。したがって、生まれつきの戦闘能力の差は、絶対的な能力の差といって過言ではない。他の分野で埋め合わせることは、とうていできない。
*6 4年度と5年度のセーブデータのタイムスタンプを見ると、わずか1日と3時間半の差しかない。しかも、どちらの日付も平日、それも、5年度のセーブデータのほうは、実験の前夜(厳密には、実験の当日の午前0時0分)である(オイオイ、そんなことでいいのか!?)。こんな短い時間で強いキャラクターができるわけがない。
*7 もちろん、会心の一撃が出たときは別とする。また、戦闘を開始したときに「隠れる」を選択して、敵がそれに気づかず、「やっつける」を選んだときも例外である。
*8 敵を倒すのに必要な攻撃回数は、武者修行を始めたばかりから、最終年度の最後の月まで、ほとんど変わらない。
*9 実際、気品の値がある一線(これについては後述)を超えた後の礼法の稽古の成功率については、O型のキャラクターはAB型のキャラクターに比べ大幅に劣っている。クイーン・アナスタシアとアナスタシア・ザ・グレートの経験から言うと、平均して1クールで2日くらいの差があると思われる。

このキャラクターの成績が前のキャラクターに比べて著しく向上したのは、月初めの固定したパターンが改良されたことも一因である。上旬の武者修行4日目までに、クイーン・アナスタシアのときは、人さらい2人+おいはぎ1人+ドラゴン1頭だったのが、このキャラクターは、おいはぎ3人+ドラゴン1頭(初期にはこれに加えておいはぎさらに1人、後半でも月によってはこれに加えて人さらい1人)となり、この期間に得られる金額は100ゴールド以上増加している。さらに、クイーン・アナスタシアのときは、ドラゴンとの戦闘の結果はわからなかったのだが、このキャラクターの場合は、決まった手順に従えばドラゴンも必ず倒すことができる。これも、結局は、戦闘特性の違いに起因している。このような決まったパターンがあるのは、このゲームの発生させる乱数列が、このゲームを立ち上げてからある一定個数常に同じことによる。このキャラクターは、クイーン・アナスタシアに比べて敵を倒すのが格段に早くなっている。だから、乱数を発生させた回数は同じで、より多くの戦闘を終わらせることができる。したがって、4日目のドラゴンまで手順通りにすれば必ず倒せるのである。

このキャラクターは、3年度くらいまでは、痛恨の一撃を食らって負けることが多かった。基本的に、キャラクターが異なっても、同じ月における敵の強さの期待値は同じになるはずである。毎月、敵の能力値上昇の判定のさいに、キャラクターのレベル、あるいはそのほかの戦闘能力は関係しない。しかし、それは、このキャラクターの戦闘能力が低いということではない。むしろ、逆に、このキャラクターが、戦闘能力の高さゆえに、早い時期から、強い敵にも逃げることなく戦いを挑んだことの表れである。第4部に書いた武者修行のモンスター・リストの中で、ドラゴンと出会ったときに話しかけて立ち去ってくれる確率についての記述がある。そのような記述ができるということは、クイーン・アナスタシアまでは、ドラゴンに出会いながら実力が足りないために逃げなくてはならない場合が相当に多かったことを示している。アナスタシア・ザ・グレートのときは、そのようなことはほとんどなかった。血液型の差がいかに大きいか、ここからも感じさせられる。

このキャラクターで、一つ惜しまれるのは、3年度のミスコンテストである。当時は、まだ、ミスコンテストの得票数の算出法は知らなかった。だから、能力値が上がれば得票も増えるものだと思い込んで、当時の所持金のほとんどを能力値を上げるアイテムにつぎ込み、能力値を上げまくった。しかし、得票は、880〜890票に過ぎなかった。この数字自体は悪くないように思われるかもしれない。しかし、その前に、能力値を上げるアイテムを全く使わずに試しにミスコンテストに出したところ、1000票を超える得票をしたのである。能力値を上げるアイテムを全く使わないときと比べても、大幅に得票数が下がっているのだから、惨敗と言ってよい。その原因は、結局は次のようなことである(講義のミスコンテストの節を復習すること)。この時期は、ふつうは、気品・色気とも2点差で1票差の換算率になる。ところが、このキャラクターは、気品を上げすぎたために、気品の出場者平均が上がりすぎてしまい、気品が4点差で1票差の換算率になってしまったのである。この逆転現象の原因を探ろうとしたことが、ミスコンテストの得票数の算出法の解明のきっかけとなったのである。算出法を知っていれば、能力値を上げるアイテムの使用を適切なところで止めることができ、そうすれば、おそらく1100票以上の得票は可能だっただろう。もし実現すれば、3年度としてはまさに驚異の得票である。データの書き換えを使えば、アイテムを使用する前の状態に能力値と所持金を戻すことなどわけもない。しかし、それは私のモットーに反するのでしなかった。これは、アイテムを使う前のデータをセーブしておかなかったことが悪い。その責任は甘んじて受けることにした。この苦い経験から、この年度以降、ミスコンテストの他の出場者の気品を毎年記録しておき、今度のミスコンテストのときの気品の値を予想して、それに応じて、アイテムを買って使う数を調整するようにした。

このキャラクターは、3年度初めから4年度の1月にかけて、武者修行の成績という面では全盛時代を迎えた(ただし、3年度1・2月は、かなり不調だったが)。4年度2月になると、早くも武者修行はかなりの不振に陥った。その月も、成績はそこそこよいのだが、身長がのびないということが何度か繰り返された後、調子が完全に狂った。クイーン・アナスタシアの7年度7月と全く同じである。このときは、特に、下旬の武者修行の状況が極度に悪くなった。出現する敵の質が著しく低下し、敵が出現しないことも増えた。出てきてもすぐに逃げるばかりである。それぞれの月を見れば、このようにして調子を狂わせた月は、それまでも少なくはなかった。しかし、この月の不振(特に下旬の)は、翌月以降もずっと尾を引いていた。それを何とかごまかしながら進んでいた。

5年度の収穫祭が終わった11月、ついに最も恐れていた事態が発生した。礼法の稽古における大スランプである。このキャラクターは、礼法の稽古においても優秀で、失敗は非常に少なかった。5年度の収穫祭の前1年間で、礼法の稽古の失敗はなんと4日だけだった。それが、突然、1クールのうち失敗が3日なら上々の出来、というまでに落ち込んだのである。このキャラクターは、クイーン・アナスタシアが体験した数々の現象を、はるか先取りして経験していた。したがって、この現象も、クイーン・アナスタシアのときより大幅に早く発生することは、予想されたことだった。つまり、3年度・4年度の驚異的なハイペースは、いつか維持できなくなると、ある程度は覚悟していた。ところで、私は、過去のキャラクターについて、スランプに陥る前年度およびその直後の収穫祭のデータと、その当時のプレイの進め方に関する記憶*10から、スランプに陥ったときのおよその気品を推定してみたところ、両者とも3700〜3800になった。この後、プリンセス・エカチェリーナのデータを使い、気品の値を書き換えて礼法の稽古をやらせて調べたところ、この二人の推定値とは少しずれがあるが、およそ4100でスランプが発生した。したがって、このようなスランプは、気品がある程度の数値を超えると発生すると考えられる。そのラインは、キャラクターによって多少差があるようだが、3700〜4100くらいと思われる。アナスタシア・ザ・グレートの場合、収穫祭の前、9月の下旬の武者修行を終了した時点の気品は、3697だった。しかし、収穫祭の前には、例によって、それまで1年間に貯めたお金を、一気に能力値を上げるアイテムに使い果たした。収穫祭のときには、気品は4417になっていた*11。一気にスランプのラインをこえたことになる。それにしても、スペルマスター・アナスタシアやクイーン・アナスタシアに比べると、大変な早さである。クイーン・アナスタシアは、5年度の収穫祭のとき、気品は4点で1票の換算率だった。それに対し、このキャラクターは、8点で1票である。それにもかかわらず、両者の気品部門での得票は、580票前後と、ほとんど変わらない。これは、5年度の収穫祭の時点で、このキャラクターの気品の値がクイーン・アナスタシアの2倍近くになっていたということを示している。
*10 スペルマスター・アナスタシアについては、このキャラクターとはプレイスタイルがかなり違ううえ、記憶も少ないので、これには苦労した。
*11 このときは、それをしても、気品が、ミスコンテストで換算率が変わるラインをこえることはない。このとき、他の出場者の気品の平均は約134である。この数値をもとに各自試算してみてほしい。

礼法の稽古のスランプが起こると、同時に、数々の悪夢のような現象が重なることが多い。スペルマスター・アナスタシアのときも、この現象と同時に武者修行の成績も急落し、追試直前だというのに泥沼にはまった。クイーン・アナスタシアのときは、それに加えて、身長がのびないという現象まで引き起こし、ついに、1カ月プレイを進めるのに1週間という記録まで作ってしまった。そして、アナスタシア・ザ・グレートについては、それ以上に深刻な事態が発生した。このキャラクターは、月の最初から4日の間に、決まったパターンによって、ドラゴン1頭とおいはぎ3人などを倒している。そのパターンは、初日の昼間(つまり最初)の戦闘で、山猫に話しかけて戦闘を回避できることと、初日の夜の戦闘で、おいはぎを武器攻撃3回で倒せることに依存している。その後のパターンの変動については、どのように変動するかも調べられており、それに応じて対処する方法もある程度完成されている。しかし、初日の戦闘の結果が変動した場合、2日め以降の戦闘は完全に狂ってしまい、パターンを復旧することは不可能である。ところが、まず最初、11月を終えて12月に進んだときに、おいはぎのHPが大きくなりすぎて、初日の夜の戦闘で、おいはぎを倒すのに武器攻撃が4回必要になってしまったのである。11月の時点でおいはぎのHPがかなり大きくなっていたので、そのようなことが起こるかもしれないという心配はあった。そしてそれが実際に起こってしまったわけである。したがって、収穫祭からやり直しせざるをえなかった。さて、11月のデータを新たに作りなおしたのはよかったものの、今度は、武者修行でドラゴンが出現する数が極端に減った。さらに、その状況の中をかろうじて突破した(というよりは、通過基準を甘くして、無理に次の月に進もうとした)データでは、12月に、上記のパターンが壊れていた。11月を終えた時点のデータは2つあったが、2つともそうだった。これではいくらなんでも絶望的であると思い、再び収穫祭に戻りデータを作りなおした。今度は、ドラゴンの出現する数はかなり増加し、しかも、倒せる率も高くなった。12月に進んでも、パターンが壊れることもなかった。しかし、今度の問題は、身長であった。どうしても+0.5cmが出ないのである。まさに底なし沼である。これらのことからわかるように、この水準のキャラクターを育てるためには、収穫祭もいい加減に済ませることはできない。ミスコンテストでタイトルをとって、評価を上げて終わり、ではいけない。プロポーションを調整するのはもちろんのことだが、上の場合なら、月の初め4日間のパターンが崩れていないか、ドラゴンが出現する数、おいはぎの生命力などを総合的に考慮しなくてはならない。収穫祭でよいデータを作ることは、その後の武者修行でよい成績を出すための必須の条件である。

5年度の収穫祭までは、追試の直前にもかかわらず、6月いっぱいでこのキャラクターの制作を終えて、期末試験への突入を阻止しようとピッチを上げていた。このためには、1日のプレイでほぼ1カ月の割合で進むことが必要だった。そして、毎日1カ月とはいかなかったものの、それに近いペースで進んでいた。ところが、収穫祭の後、上記のような底なし沼にはまり、この計画は完全に崩壊した。期末試験、さらに、夏休みへの突入もほぼ確実な状況となった。毎日できる限りの時間をさかなければならないことはわかっていても、プレイを始めると、あまりにもひどい状況が続くか、ある程度よい成績が出ても身長がのびないということが繰り返されるので、うんざりしてしまい、すぐにプレイを打ち切るという日が多くなった。状況は明らかに私の忍耐の限界を超えていた。14歳9カ月にして、この娘は、燃え尽きて真っ白な灰になってしまったかのようであった。

前にもなかなか進まず、かといって後戻りもできず、にっちもさっちもいかない状況にもかかわらず、結果的には、かなりの成績をあげた。しかし、それは身長ののびを犠牲にしたものであった。5年度の後半だけで、予定身長は、184cm台半ばから184cmぎりぎりまで、0.5cm近くも落ちた。身長+0.4cmの月が、収穫祭の月を除くと4カ月も続いた。しかし、そもそも、184cm半ばという計画が、よく考えてみればきわめて無茶なものである。身長ののびは、15歳の誕生日を迎える前の月までは、最大+0.5cm、15歳の誕生日を迎えた月からは、最大+0.2cmである。したがって、身長の理論上の最高値は、148.3(スタート時の身長) + 0.5×59 + 0.2×37 = 185.2cmということになる。しかし、プリンセス規格のキャラクターならともかく、武者修行をしながら、しかも成績の面でも最高を目指しているキャラクターが、この通りにいくわけがない。武者修行を始めた2年度から、身長が毎月0.5cmのびる最後の年である5年度までは、毎年0.2cmくらいは、理論上の最高値から落ちることを覚悟しなくてはならない。すると、身長は184.4cmとなる。どんなにうまくいっても、この程度が実質的な限界値である。まして、身長ののびにくい月が毎月のように続いているのだから、184cm台にのればよしとしなくてはなるまい。

悪夢はまだまだ終わらない。まさに果てなき悪夢である。5年度の3月には、これまた過去に例のない「複合問題」に襲われた。成績と身長の伸びは毎月問題になるわけだが、この月は、それに加えて、新たな問題が3つ発生したのである。

  1. おいはぎの生命力の問題。初日の夜のおいはぎとの戦闘で、武器攻撃3回で倒せないとFatalであることは前に述べたとおりである。その戦闘で、武器攻撃3回で倒せるぎりぎりのラインは、おいはぎの生命力170である。しかし、この月には、おいはぎの生命力は165まで上昇していた。このままでは、次の月にそのラインぎりぎりまでおいはぎの生命力が上がる可能性がある。それを何とか食い止めなくてはならない。
  2. 経験値の問題。この月に入る前の経験値は8881で、次のレベルアップに必要な経験値は419点である。ところが、平均的に2カ月進んだ場合に得られる経験値が、まさにこの419点前後になるのである。レベルアップの直前で月が終わってしまった場合、次の月の武者修行を始めたばかりのところでレベルアップが起こる。4日目より前にレベルアップが起こると、1回か2回かはわからないが乱数を余分にふることになるので、さきに述べたパターンが完全に壊れる可能性がある。特に、初日夜のおいはぎとの戦いの後にレベルアップが起こった場合は、100%の確率でそのパターンが復旧不可能になる。
  3. 最初4日のパターンの問題。この月に入り、そのパターンが崩れてしまっていた。これをなるべく早いうちに復旧しなくてはならない。
3の問題については、本来のパターンとほぼ同じ結果が得られる「代用パターン」を発見したので、もし復旧できない場合は、そのパターンを利用することにした。経験値の問題もほぼ解決した。この月で250点あまりの経験値を得て、次のレベルアップまで経験値166というところまでこぎつけたのである。経験値166なら、9割くらいの確率で得ることができる。しかし、おいはぎの生命力については、168まで上昇し、さらに厳しい状況に追い込まれた。

5年度収穫祭以降浮かび上がった問題を見ると、その月が終了した時点で即座には判断できないものが多いことに気がつく。おいはぎの問題と、最初4日のパターンの問題は、データをいったんセーブしたうえで、バイナリエディタで調べてみないとわからない。そして、次の月がどの程度稼げるか、ドラゴンの出現数や礼法の稽古の成功率が極端に落ちていたりしないかは、何度も繰り返してみないとわからない。したがって、いったんよい成績が出ても、前の月のデータを消さず、行き詰まるようなら前の月に戻ってやり直すということが起こりうる。現に5年度収穫祭以降は、進んでは戻り、進んでは戻りということを何度も繰り返した。だから、1カ月に何日要したかということは、厳密にはわからないことがある。しかし、5年度収穫祭以降の4カ月を進めるのに、要した現実の時間は実に23日。これは、まちがいなく最長記録であろう。まさに悪夢としかいいようがない。しかし、これは、96年6月1日からおよそ1週間にわたってほとんどこのゲームに手がつかなかった*12せいでもある。
*12 余談: これは、誰かを見て電撃的ショックを受けたせいである。誰を見てショックを受けたのだろう?ヒントは以下の3つ。
1.その人物は、現在日本で活躍している、女子スポーツ選手である。
2.このときある競技のオリンピック世界最終予選が日本で開かれており、それに登場した選手である。
3.その日、世界最終予選は第6戦だった。私は第2戦以降ずっとテレビで見ていた。それなのにショックを受けたのがこの日ということは・・・?
わかったかな?そう簡単に名前が出てくるような人物ならこんな問題にはしないが。でも新聞縮刷版を調べればわかるはず(完全に自爆)。

エンディングの部で述べたとおり、すべてのキャラクターの能力値について、同じ数値が2度続けて記録されている。したがって、ある特定の敵の生命力がデータのどこに記録されているか調べるには、その生命力の値を16進になおし、それを2つつなげたものを探せばよい。インテル80x86系のマシン(PC-98、PC/AT互換機など)なら、2バイト目が上の位である。能力値は必ず2バイトで記録されているので、もし能力値が255以下なら、2バイト目は00となる。そのような並びの部分が複数出てくる可能性は当然ある。しかし、それを何ヵ月かにわたって繰り返せば、1箇所に特定できるはずである。また、少なくとも、敵の能力値が記録されているのは、娘の能力値が記録されているより後である。最初何日かの決まったパターンの変動は、ある特定の敵の生命力(アナスタシア・ザ・グレートの場合、おいはぎの生命力)と関係している。そのような敵の生命力は、毎月常にチェックすることが必要である。上がり過ぎも下がり過ぎもせず、適切な値を保つことが重要である。

5年度収穫祭以降、私は、平均の成績4桁を目標とした。それを達成すれば、気品の値は、かろうじて9000に届くからである。6年度前半、この目標はかろうじて達成できた。しかし、その中身は、荒稼ぎする月や成績が極度に悪い月があるというものではなく、ぎりぎりで成績が1000を上回る月が続いたのである。つまり、その成績を出すのが、この娘にとってはやっとのことなのである。成績4桁というのは、この娘の能力の限界ぎりぎりにきているのだ。それでは時間がかかるのも当たり前である。この節の初めに書いた「半年」という製作期間も、現実味を帯びてきた。というよりも、半年で終わるかどうかすら怪しくなってきた*13。「500時間」を超えるのはほぼ確実となった。500時間と聞くと何かすごい数値に思われる。しかし、よく考えてみれば、毎月毎月十分にやり直しして進むなら、その程度を超えるのは当たり前である。娘が武者修行をするのは76カ月である。その76カ月のプレイにおいて、1カ月進むのに平均7時間を要したとすると、それだけで500時間を超えてしまう。このレベルのキャラクターを育てるなら、1カ月進むのに10時間くらいかかるのはなんら不思議はない。そこまでこの娘の成績が落ち込んだのは、ひとえに礼法の稽古の成功率が落ち込んだせいである。5年度収穫祭以降の1年間をとると、稼いだお金自体は、3年度収穫祭からの1年間、あるいは4年度収穫祭から1年間よりも決して少なくない。しかし、いくら武者修行で稼いでも、礼法の稽古1クールで4日も失敗するのでは話にならない。
*13 結局、半年経過時点では、終了するどころか、7年度序盤まで進んだに過ぎなかった。これは、夏休みをオリンピック観戦などに費やしたこと、それ以上に、秋休み当初に私のノートマシンが故障してしまい、それ以降3週間近くプレイが止まったことが大きな原因である。私のデスクトップマシンはLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)でノートマシンとつながっており、そのマシンからもノートのハードディスクにあるプログラムを自由に動かすことができる。そのため、デスクトップのハードディスクにあったDOSゲームのほとんどはノートのハードディスクに移されている。そのため、ノートマシンが死んでしまうとゲームが全く進まない。

それでも、6年度収穫祭では、およそ1380票の史上最多得票を得た。しかし喜びはあまりない。これは「予定通り」であり、7年度以降は総得票数は減少する一方だとわかっているからだ。このキャラクター自身と他の出場者について、気品と色気がどの程度のペースで上昇するかおよそ見当がついており、ミスコンテストの得票数の計算法がわかっている以上、これから後のミスコンテストの得票数も概算できてしまう。ミスコンテストの得票数の計算法がわかったことは、ミスコンテストで娘の評価を最大限上昇させるためには非常に大切である。しかし、そのために、ミスコンテストの楽しみは減ってしまったように感じる。

6年度収穫祭を過ぎて、多少事態は改善されてきた。ドラゴンを倒す数としては、前年度の同時期よりむしろ減っている。それでも成績が少しよくなったのは、礼法の稽古が、1クール2、3日失敗でほぼ安定するようになったからである。6年度の秋冬は、その前1年間に比べると非常に簡単に、しかも好成績をあげた。しかし、この娘にとって、春夏はやはり鬼門であった。7年度5月、さらに新たな問題が発生した。前に述べた「代用パターン」が成り立つためには、3日目昼の戦闘で出てくる山猫を通常攻撃3回で倒せることが必要条件となる*14。代用パターンと本来のパターンとが切り替わる境目は、おいはぎの生命力163である。おいはぎの生命力が163以下なら本来のパターン、164〜170なら代用パターンとなる。新たな問題とは、おいはぎの生命力が164を切らないのに、山猫の生命力が上がりすぎたため、代用パターンまでも成り立たなくなってしまうことである。そして、よい成績を出して次の月に進んだデータが、実はこの条件に引っかかっていたのである。よくあることだが、このような形でよい成績のデータが実はダメであることがわかると、調子を完全に崩してしまう。
*14 本来のパターンなら、山猫の生命力がいくらあっても問題にならない。本来のパターンでは山猫を一度も倒さないからである。

その月をクリアすれば、7年度収穫祭まではすいすい進んだ。そして、7年度ミスコンテストで、気品部門で買収なしで795票という、おそらく史上空前と思われる数値を達成した。このとき、このキャラクターの気品は6297である。これが達成できたのは、もちろん武者修行で徹底的なやり直しをして能力値を上げ続けたからであるが、それだけではこれはできない。毎年他のミスコンテストの出場者の気品を調べ、7年度の数値を推定した。その上で、7年度のミスコンテストにおいて出場者の気品の平均が800ぎりぎりになるように、6年度収穫祭から、所持金を使いきらずに気品の値を調整したのである*15。気品部門の795票は、努力と同時に、このゲームについての深い分析があって初めて可能になったことなのである。
*15 このとき、他の出場者の気品の平均はおよそ188.6である。アナスタシア・ザ・グレートを加えた全出場者の気品の平均の期待値を試算してみよ。

7年度収穫祭以降、新たな目標として、このキャラクターを41レベルにすることを目指した。そのために必要な経験値は17220、7年度収穫祭の時点での経験値は13150である。武者修行ができるのはあと16カ月。したがって、この目標を達成するためにはこのあと月平均およそ255点の割合で経験値を稼がなくてはならない。7年度収穫祭まで、収穫祭と収穫祭の間の1年ごとに得た経験値を見ると、最も多い年で月平均およそ240点である。したがって、これは普通に考えれば不可能である。しかし、このキャラクターが7年度11月〜8年度6月の8カ月間に得た経験値は2177、月平均272.1というまさに常識外れのものである。ところで、この講義を受けてくださっているみなさんの中には、このゲームをプレイしたことのない人もいるだろう。プレイしたことがあったとしても、武者修行については、少しやっただけあるいはまじめにやっていない人も多いだろう。つまり、ほとんどの人は、常識外れと言われても、どうして、どのように、どれほど常識外れなのかわからないだろう。だから、月あたり平均270点の経験値を得ることがどれほどとんでもないことか、大胆な(つまり、いい加減な)仮定に基いてではあるが、ここで検討してみよう。

  1. 上旬の4日めまでに得られる経験値は45点である(人さらい1、おいはぎ3、ドラゴン1)。上旬4日めの夜に出現する人さらいは、必ずしも倒せるとは限らないが、ここでは倒すことができるものとする。
  2. 下旬の1日めの昼間、近郊では、敵が出てこない確率がきわめて大きい。出てきたとしても逃げられる可能性もある。それらを評価して、そこで得られる経験値の期待値は1点とみなす。
  3. 下旬には辺境で敵が出現する機会が6回ある。ここでも、近郊ほどではないけれども敵が出現しない確率はかなり大きい。ここではそれを4割とする。
  4. 蛮地で、敵が出現する機会に敵が出現しない確率は15パーセントとする。
  5. どの種類の敵が出現するかは完全にランダムに選ばれるものとする。つまり、辺境と蛮地でそれぞれ、出現する可能性のあるすべての敵について出現する確率は同じとする。
  6. あと必要な条件は、戦闘中に敵か娘が逃げ出す確率である。この評価は非常に難しい。というのは、その割合がほとんどゼロのときもあれば100パーセントに限りなく近いときもあるからである。ここでは、私の感覚だけに基いて、その確率を3割とする。
  7. 計算の手間を省くため、1カ月は30日とする。
1頭敵を倒すごとに得られる経験値の期待値は、上の仮定5を使うと、辺境では(4+ 4 + 6 + 7 + 8 + 10 + 10 + 15)÷8 = 8、蛮地では(4 + 6 + 8 + 10 + 10 + 12 + 15 + 20)÷8 = 10.625となる。したがって、下旬に辺境で得られる経験値の期待値は、
8×(1 - 0.4)×(1 - 0.3)×6≒20
となる。蛮地での戦闘の機会は、上旬と下旬あわせて(ただし上旬の4日めの昼を除く)23回である。したがって、蛮地で得られる経験値の期待値は、上旬下旬あわせて、
10.625×(1 - 0.15)×(1 - 0.3)×23≒145
である。1カ月に得られる経験値の合計は、これらと上の仮定1、2を合計して、
45 + 1 + 20 + 145 = 211
点となる。実際にアナスタシア・ザ・グレートが得た経験値はこれよりかなり多いけれども、それは、毎月毎月何度となくやり直しをしているのだから当然のことである。しかし、いくらやり直しをしたとしても、期待値より60点も多くの経験値を得ることが非常に難しいことは、確率的な分析をしなくても、常識的に明白であろう。

ここでさらに注意しておきたいのは、1カ月に得られる経験値の期待値が211点とは、アナスタシア・ザ・グレートだから出てくる数値であることだ。並の実力のキャラクター、あるいは、不利な血液型のキャラクターが、平均的に20日の武者修行をこなしたとして、これだけの経験値を得られるはずはない。敵か娘が逃げ出す確率3割とは、大きいと感じた人もいるかもしれない。しかし、このキャラクターだからこそ、その確率を3割に抑えることができるのである。十分な実力のないキャラクターや不利な血液型のキャラクターでは、この確率は3割ばかりでは到底すまない。おそらく半分程度に達するだろう。敵か娘が逃げる確率を辺境・蛮地とも5割として上の計算をやり直すと、1カ月に得られる経験値の期待値は164点まで落ちる。1カ月に270点の経験値を得るということがどんなに途方もないことか、これでいくらかでもおわかりいただけたのではないかと思う。

しかし、あるパラメータについてこれだけの無理をすれば、ほかのところにひずみがこないわけはない。そして、そのひずみが一気に噴出したのが8年度7月だった。

この月は、5年度後半〜6年度前半などとは異なり、礼法の稽古の出来はよい。この月の中旬は平日9日あるが、1日も失敗しないことも珍しくない。ドラゴンの出る数も決して少なくない。敵の逃げ足もさほど早いほうではない。だから、4桁の成績が出て身長が伸びればよいというのならば、この月をクリアするのはいとも簡単なことである。しかし、プレイヤーにとってコントロールが困難ないし不可能な条件がこれだけそろうと、これまでで最も難しい月の一つになってしまうのである。これらの問題を同時にすべて満たすことは、やはり不可能である。しかし、非常な好成績をあげて経験値286を得ると同時に、体重増加も0.2キロに抑え込んだ。結局、この次の月に持ち越したのはおいはぎの生命力の問題だけという形になった。この次の8月は、31日あるうえ、中旬の平日は8日しかない。さらに、レベルアップしたばかりだから、次のレベルアップも起こり得ない。おいはぎの生命力の問題と体重の問題に向かい合うには、絶好の条件がそろったといえよう。なお、この次の8月には、おいはぎの生命力は171になっていたけれども、月初め4日のパターンは崩れなかった。さらに、生命力164以上のときのパターンもかなり変動し、生命力163以下のときの本来のパターンとほぼ同じものになった(3日目の昼間に山猫は登場しない。)。ゲーム内年月の経過によって、月初めの型が成立しなくなる限界の値や、おいはぎの生命力が同じとしたときのそのパターンそのものも、変動するもののようである。

8年度収穫祭では、一度はそのときの所持金をすべてアイテムに使って、気品を上げた。しかし、そうして収穫祭が終わった後の月、礼法の稽古が全くできなくなった。失敗の確率が上がったなどという生やさしいレベルではない。成功することが全くなくなったのである。これによって、礼法の稽古の失敗率p(x)は一定の周期を持った「増幅振動」であるということがはっきりとわかった。気品の値xがその周期の整数倍になると、突然失敗率が高くなるのである。しかも、その振幅は、振動を繰り返すごとに大きくなる。振動といっても、最低点と最高点が等間隔にくるわけではなく、p(x)が最低点に達した直後に最高まで一気に急上昇するのが特徴である。幸いにして、このときは、アイテムを使う前のデータが保存してあった。気品が8000を超えるとまた失敗率が上がったりするのではないか、と心の片隅で思っていたからである。しかしそれが実際に起こるとは思わなかった。これを予期し得たのは、経験のなせる技であるとしかいいようがない。特に、このキャラクターの3年度で、アイテムを使う前のデータを消してしまったためにミスコンテストの得票を大幅に落とした、その苦い経験が生きている。さて、次に調べなくてはならないのは、失敗率が上に振れる点を探ることである。そのためには、このキャラクターの11月のデータの気品を書き換える。8192から始めて、64ずつ気品を上げて、礼法の稽古を行って、失敗の割合を調べた。失敗率が急激に上がるのはおよそ8600と、予想より高い値だった(当初は、8192よりも低いと予想していたのだ。)。そこで、3月の礼法の稽古が終わった時点でこの値ぎりぎりになるように、数を調整してアイテムを買って使った。ところで、この「増幅振動」が発見されたことにより、このキャラクターでさえ完全無欠ではないことが判明した。というのは、5年度収穫祭の前にアイテムを全く使わず、気品の値xが失敗率が上に振れる点に達した時点でそのときの所持金をすべてアイテムに使いきってしまったとしたら、失敗率が最も高い部分を飛ばしてしまうことができたからである。上に振れる直前までは、失敗率は最も低い状態にある。ほとんど失敗はないと言ってもよい。したがって、そのようにすれば礼法の稽古の失敗日数は相当減ったはずである。当時これを思いつかなかったのは、礼法の稽古の失敗率が気品の関数であるという考えがなかったからである。気品が4000前後の一線を超えると、3カ月なり6カ月なり一定の期間礼法の稽古の失敗率が高い状態が続くものだと思っていたのである。その考え方によれば、どのみちそのラインを踏み越えるのなら、そのラインを踏み越えたときに気品の値を一気に上げても同じことである。しかし、当時は、そのような考えもなかった。というのは、当時は、礼法の稽古の大スランプが、気品の値がある一線を超えたときに起こり、その気品の値がどのキャラクターでもほぼ同じである、ということをようやく発見したばかりだったのである。また、この場合は、7年度の「気品最多得票計画」の関連もあり、ミスコンテストのライバルの気品の値がわからないとどれだけアイテムを買って使ってよいのか見当がつかないという問題はあった。過去の記録を振り返ってみると、これによっておよそ150ほど気品の値を損している。また、身長も0.3cmくらい損しているかもしれない。

こうして、このキャラクターが生まれたのである。このキャラクターは一人だが、このキャラクターが生まれるまでには、あわせて8人(といってよいと思う)*17のキャラクターの存在があり、成功と失敗があった。彼女の中には、この8人の魂もこめられている。
*17 文章の順序と育てた順序が一致しないので、整理しておこう。ここで言っている「8人」とは、初代オクサーナ初代アナスタシア・バージョン1プリンセス・アナスタシア二代目オクサーナ・バージョン1、アマゾネス・オクサーナ、スペルマスター・アナスタシアクイーン・アナスタシアプリンセス・エカチェリーナである。クイーン・マルティナは、育てた順序では、このキャラクターより後である。

このキャラクターの後半については、細かいことを延々と述べてきた。しかし、原則を覚え基本的な要領を身につけたからといって、それだけでこれほどのキャラクターを育てられるものではない。これだけのキャラクターを育てるさいに最も難しいことは、次から次へと発生する個別の問題に、どのように対処していくかということである。そして、そのために最も大切なものは精神力である。その精神力の裏付けがあって、際限のない苦しい繰り返しにも耐える忍耐力と、冷静に分析し判断する知性がある。そして、それを土台として最強の女王が完成するのである。そして、その力こそは、どのようなゲーム、いや、現実世界に対しても、通用するものではないかと思う。繰り返すが、優れたゲームは、プレイヤーに精神力を要求する。そして、遊んでいるうちに、プレイヤーの精神力が鍛えられるのである。

このキャラクターが完成したのは、12月8日の午前8時半頃のことだった。このキャラクターの制作を始めてから、すでにおよそ8カ月の時間が経過している。3度の長い中断を除いた実質的なプレイ期間を見ても、半年を超えている。私はよそに泊まって、ノートマシンを持ち込んでプレイしていた。前の女王のときもそうだったけれども、最後はなぜか徹夜(またはそれに近い)プレイで、3〜4カ月を一気に終わらせてしまった。さて、所持金をすべて使いきってアイテムを買って使って能力値を上げて、お城にも顔を出し、いつものように厳しく話しかけて、さて感動のエンディングと行きたいところである。しかし、前の女王の節で述べたとおり、悲しいかな、このマシンでは女王のエンディングは見られない。というわけで、エンディングを見たのは家に戻ってからである。

このキャラクターのプロポーションは、最終的に、前の女王とほぼ同じ値に落ちついた。細かく見れば急激に体重が上昇した時期が何度かあるものの、年度ごとに見ると、初年度だけが+3.9kg、2年度以降の7年間はすべて4キロ台の上昇である。クイーン・アナスタシアが、最終年度の体重増加はわずか2.4キロだった一方で6キロを超える体重増加を記録した年度もあるのに比べると、非常に安定している。この面でも満点に近いと言ってよい。このキャラクターの場合、最終年度に入ると体重増加が鈍るという傾向は見られなかった(逆に、前にも述べたように、7年度末から最終年度初頭にかけて激しい体重増加を記録した。)。体重増加のペースも血液型によってかなり変わるものらしい。最終年度に体重増加が鈍る傾向は、AB型ないしA型のキャラクターに顕著にみられ、O型のキャラクターにはみられない(B型のキャラクターについては、育てた経験が少ないので不明である。みなさん自身で調べていただきたい。)。

これだけの数値を達成できるとは、このキャラクターを育て始めたときには思ってもいなかった。スペルマスター・アナスタシアからクイーン・アナスタシアの間には、教育方法が根本から変わっている。したがって大きな差が出るのは当然である。しかし、クイーン・アナスタシアとこのキャラクターの間には、教育方針の違いは基本的にないと言ってよい。それにもかかわらず、知力で7割以上、気品で5割という驚異的な上昇*18を実現できたのは、基本的に血液型特性の違いによる。もちろん、プレイヤーの技術の向上あるいはかけた時間の違いも大きい。しかし、いくら時間をかけて、プレイヤーの技術が高くなったとしても、血液型特性の違いがなければ、この差が生まれるはずはない。AB型のキャラクターでは、気品の値にして7500くらいがどうがんばっても限界だろう。知力の値は、気品の値よりおよそ1900低くなる。この知力と気品の値の差は、スペルマスター・アナスタシアクイーン・アナスタシア、アナスタシア・ザ・グレートを通じて、ほとんど一定である。この3人の能力値を上げるのには、「詩集」というアイテムを使っている。詩集の効果は、知力・気品ともに+8なので、このアイテムを使っても知力と気品の差は変わらない。武者修行が軌道に乗って以降は、知力は毎月40(本による+20×2)、気品は毎月30(ティーカップによる+15×2、ただし閏年でない2月は+15) + 礼法の稽古による上昇分である。さらに、礼法の稽古をした日数はどのキャラクターも同じになるはずである(しかし、スペルマスター・アナスタシアだけは、前半しばらくは「上旬と下旬に短い武者修行」という日程ではなかったので、わずかに差がでる可能性がある)ので、この差は、結局は、礼法の稽古に失敗した日数のみの関数でほとんど表されることになる。
*18 この2つの能力値に関しては、比率で見ても、スペルマスター・アナスタシアからクイーン・アナスタシアへの上昇幅より、クイーン・アナスタシアからこのキャラクターへの上昇幅のほうが大きい。

このゲームでは、血液型が同じであれば、能力値についてはどのキャラクターも同じ可能性を持っている。つまり、このゲームで血液型O型で作られるキャラクターは、全員このキャラクターと同程度の能力値に到達しうるポテンシャルを秘めているわけである。そう考えると、驚きを新たにせざるをえない。その可能性をどこまで引き出すことができるかは、ひとえにプレイヤーの技術と精神力に(運も多少は作用するが)かかっているわけである。

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