最終更新日: 07年4月5日
エンディング条件をプリンセスメーカーシリーズ攻略情報まとめの情報に従って修正

少女育成論第一

講義要項
1.プリンセスメーカーの基礎
2.武者修行
3.ミスコンテスト
4.プリンセスの育て方
最後に
成績評価について
付表
成長記録
解析資料(PC-98x1 Version)


講義要項


担当

Y.Tori(The Queen Maker)(医学部キャラクター育成学科少女教育専攻)


目的

プリンセスメーカー(第1作)を題材として、優れたキャラクターを育てることに対する一般的な方法論とセンスを身につける。また、それらの方法論にいたる道筋と考え方を、さらに、ゲームを遊ぶに際する精神のあり方を学ぶ。それらは、この分野のゲームを専門にするのならもちろんのこと、ゲームを研究し創作する者全員にとって必須の内容である。


教科書

教科書としては次を指定する。講義においては適宜参照箇所を指示する。講義中に指示された部分は必ず読んでおくこと。

東亜大学校キャラクター育成教室編: 最強の女王への道 東亜大学校出版会、1997, 1998, 2007

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1.プリンセスメーカーの基礎

(教科書序章

プリンセスメーカーは、非常にメジャーなゲームで、同時に、長く遊ばれたゲームでもある。おそらくこの講義の受講者のみなさんはいくらかはこのゲームを遊んだことがあるであろう。しかし、講義の始めにあたって、このゲームの基本ルールを整理しておくことは、この後の講義を理解するために非常に大切である。そこで、復習もかねて、このゲームの基礎を簡単に説明しよう。

プリンセスメーカーとは、孤児である娘を引き取って育てるゲームである。育てる期間は、娘が満10歳の4月から8年間である。

このゲームの本来の目的は何か。それは、

娘の評価を上げること
である。娘を送り出すときに、評価が高ければ高いほど、娘は出世する。講義は、この目的に沿って進めていく。

このゲームでは、1カ月が上旬・中旬・下旬に分けられており、それを単位としてスケジュールを決め、娘に実行させる。この最小単位を、以下の講義では、クールと呼ぶこともある。バイトも教育も、原則として、日曜日は休みである(武者修行だけは例外である。)。娘にバイトをやらせて稼がせて、そのお金を、娘を教育する費用に当てる。娘に教育を受けさせることによって、娘の能力が上がる。バイトをすることで、直接娘の能力が上がることもある(副作用で下がることもあるが)。その能力が(ゲーム世界の中で)認められることによって、評価が上昇するのである。

バイトも教育も、毎日成功するわけではない。失敗することもある。バイトや教育が失敗した場合、その日の効果は全くなくなる。ただし、疲労も増えない。つまり、その日は何もしていないのと同じことになる。バイトで失敗すると、その日の分の給料は当然は入らない。教育の場合は、失敗しても、その日の分の代金はとられる。

娘にバイトや教育をやらせていると、しだいに疲労がたまってくる。疲労がたまると、バイトや教育の能率が落ちてくる(失敗が多くなる)。疲労が限界を超えれば、娘は病気になってしまう。そうなる前に、休息をとらせるか疲労を減らすアイテムを使うことによって、疲労を回復してやらなければならない。

問題は、どのような場合に娘の評価が上昇するのかということである。それを次に列挙する。今後の講義では、この中でも特に重要な「ミスコンテスト」および「武者修行」について解説することになる。

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2.武者修行


2.1 戦闘のルール
2.2 武者修行のルール
2.3 武者修行の道は女王に通じる
2.4 武者修行の基礎

教科書では、プレイの流れに沿って、最強の女王を完成させるにいたる過程と方法論を説明している。しかし、この講義では、最強の女王を育てる方法論を真っ先に導くことにする。いわば、教科書とは逆のアプローチといえよう。それから、プリンセスの育て方へと話を進めていくことにしよう。

さて、最も優れた女王を育てるための方法とは何か。その答は文字にすればわずか一語、4文字で終わってしまう。

武者修行
である。武者修行を完璧にこなすことが、すなわち最も優れた女王への道であるといっても過言ではない。ここでは、その武者修行とはどのようなものか説明する。


2.1 戦闘のルール

(教科書第4部第1節

武者修行において、モンスターとの戦闘は大きな比重を占める。戦闘が発生する場合は、武者修行のほかにも、武闘会、武芸の稽古の昇級試験のケースがあるが、どれもほぼ同じルールなのであわせて説明する。必ず主人公と敵(相手)一人(一頭、一匹...)の1対1の戦闘である。武者修行でも、一度に複数の敵が出現することはない。敵の攻撃が命中すると、HPという数値が減らされる。HPが先に0になったほうが負けである。1回の戦闘が終わるごとに、どれだけ大きなダメージを負っても、HPは全回復する。HPの最大値は、体力の値に等しい。

武者修行中の戦闘においては、逃げ出すことができる。また、逃げ出すようコマンド入力しなくても、娘が勝手に逃げ出そうとすることもある。しかし、娘の逃亡は必ず成功するとは限らない。武者修行中の戦闘では、敵が逃げることもある。敵の逃亡は必ず成功する。武者修行において、「生き残る」ことと「戦闘に勝つ」ことの違いは非常に重要である。

なお、武闘会または武芸の稽古の昇級試験においては、逃亡はできない。また、敵が逃げ出すこともない。必ず決着がつくまで戦闘が行われる。

攻撃のダメージは、キャラクターの血液型によって異なる規則によって計算されている。それぞれの血液型のダメージ特性を定性的に説明すると、次のようになる。ただし、私が血液型A型ないしB型のキャラクターに武者修行をさせたのは、血液型特性の調査のときだけであるから、A型とB型のキャラクターについては、多少誤りがあるかもしれない。

O型
最初の一撃の威力はさほど大きくないものの、最後まで安定したダメージが出る。4つの血液型の中で最も強い。
A型
O型とほぼ特性は同じ。しかし、ややO型よりもダメージが小さい。
B型
ダメージが全体的に小さい。しかも、かなりぶれがある(ランダムに)。4つの血液型の中で最も弱いのではないだろうか。
AB型
最初の一撃だけはとんでもない大ダメージが出る。しかし、2回目以降の攻撃はダメージが急速に落ちる。敵のHPが40点以上残っている限り、会心の一撃あるいは痛恨の一撃が出た場合を除き、敵を一撃で倒すことができない(この性質を、この後40点制限と呼ぶこともある。)。そのため、敵を倒すのに非常に時間がかかる。弱い。
このダメージの決定法で最も重要な点は、会心の一撃または痛恨の一撃の場合を除き、ダメージは相手のHPの最大値を基準に決定されることである。つまり、上記(1)式または(2)式の上限に引っかからない限り、倒すのに必要な攻撃の回数は敵の種類または娘のレベルによらず、基本的に生まれつきの血液型特性のみによるのである。これが、血液型の差が決して埋め合わせることのできないハンデとなる理由である。


2.2 武者修行のルール

(教科書第4部第2節

戦闘以外の武者修行のルールをまとめよう。武者修行のルールを明らかにすれば、武者修行を制覇する方法、武者修行がなぜ最強の女王につながるのかも、自ずから明らかになるからである。


2.3 武者修行の道は女王に通じる

(教科書第2部第1節最終到達能力値

それでは、今説明したルールをもとに、武者修行がなぜ最強の女王への方法となるのか説明しよう。

武者修行で手に入るアイテムには、ぬいぐるみ、本、ティーカップ、ドレスが含まれている。これらのアイテムは、能力値を上げるものである。ぬいぐるみはモラル+10、本は知力+20、ティーカップは気品+15、ドレスは色気+25の効果がある。もう一つ重要なことは、このゲームにおいて、これらのアイテムはすべて消耗品扱いであることである。したがって、アイテムをとってきては使うことを毎月繰り返すことができる。

したがって、上旬と下旬に武者修行を行い、これらのアイテムを月2つずつ入手して使い、中旬を礼法の稽古に使ったとすると、毎月、モラル+20、知力+40、気品は礼法の稽古と合わせて+65〜70、色気+50の上昇となる。さらに、プレイヤーと主人公が武者修行に熟練すれば、毎月数百ないし千を超えるお金を稼ぐことも可能である。そのお金もすべて能力値を上げるアイテムにつぎ込むことができる。

また、これらの4種類のアイテムには疲労を回復する効果もあり、その効果を合計すれば、武者修行と礼法の稽古の疲労はなくなってしまう。したがって、疲労回復のための「休息」は不要となり、一日の無駄もなくこのような日程を実行することができる。

結果として、プレイヤーが熟練し、キャラクターにも素質があれば、年間で知力1100以上、気品1400以上、色気525といった能力値の上昇が可能となる。しかもこれはすべて「同時に」実現したものである。詳しくはプリンセスの育て方で説明するが、武者修行をしない場合は、気品と色気の上昇を合計して年+320程度が限界で、しかも色気を大きく上昇させる場合は知力も気品もほとんど上昇しなくなるのに比べれば、これがいかに驚くべき数字か明らかであろう。

評価についても、上昇速度は桁違いとなる。武者修行では、1日生き残るごとに1〜3評価が上昇する。それに対し、武者修行をしなければ、収穫祭を別にすれば、1クールで+1が限度(バイトを1クールすべて成功させることによる)で、あとは、称号獲得で少し稼げる程度である。しかも、能力値が段違いなのだから、収穫祭のミスコンテストにおける得票も段違いとなり、評価の上昇もその分大きくなる。

したがって、武者修行をしたキャラクターは、しないキャラクターに比べて、最終的に数倍〜十数倍の能力値に到達することができるのである。具体的な数字については最終到達能力値の表を参照されたい。


2.4 武者修行の基礎

(教科書第4部第2節

まず、武者修行を始めるためには、それなりの準備が必要である。つまり、

ということである。しかしながら、時間がたてばたつほど、武者修行で出てくる敵は強くなる(きわめて重要!)。また、使える時間は当然全部で8年と限られている。したがって、どの程度体力・腕力が上がって、どの程度の装備を購入できるようになった時点で武者修行を始めるかの判断は、簡単ではない。いろいろ試してみて、最善のタイミングを探るしかない。

上にあげた二つの過程は、別々のものではない。すなわち、宿屋および木こりのバイトで、装備品のための費用を貯めると同時に、体力と腕力を養うのである。木こりのバイトをすると、気品と色気が下がるけれども、その程度は気にしてはならない。武者修行ができるようになれば、その程度は1カ月で取り返すことができるのだから。初年度の収穫祭も捨てるべきである。そして、このゲームは、武者修行を始めるのに十分な装備を揃えるだけのお金がたまった時点で、腕力・体力も武者修行を始めるのに必要な水準に達するようにできている。

武者修行は、本来のプリンセスメーカーとは全く異質なゲームである。プリンセスメーカーの中に全く別のゲームが入っていると思ってよい。そこで、武者修行で要求される技術も、全く独特のものとなる。それを以下にまとめよう。

武者修行の基本的なルールと技術は、ここまで述べてきたことでほぼ全てである。しかし、武者修行は、単純に見えて、極めて奥が深いゲームである。武者修行をものにするためには、おそらく百時間単位のプレイが必要となろう。その奥底の部分については、教科書でも少し述べられているけれども、それを読んだところで身につくものではない。実際にやってみなければ力はつかないのである。習うより慣れろとは、まさに武者修行にこそぴったりあてはまる言葉なのである。

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3.ミスコンテスト

3.1 ミスコンテストの概略
3.2 ミスコンテストによる評価の上昇
3.3 得票数算出の規則

ミスコンテストは、収穫祭で行われるイベントの一つであり、評価を上昇させるためにはきわめて重要である。武者修行をしないキャラクターにとっては、評価を大幅に上昇させるほとんど唯一の機会である。また、武者修行をしているキャラクターにとっても、修行の成果を出す大切な場である。なお、収穫祭には「武闘会」というイベントもあるが、要領さえつかめば、ミスコンテストに出場したほうがはるかに大きく評価を上昇させることができる。


3.1 ミスコンテストの概略

(教科書序章

ミスコンテストは、出場者10人で、気品・プロポーション・色気をそれぞれ競う。それら3部門について、それぞれ1000人の一般審査員による投票が行われる。そして、3部門の合計得票が最も多かった出場者が総合優勝となる。各部門の優勝と、総合優勝が表彰される。このとき、複数のタイトルを1人の出場者が同時に獲得することができる。極端な場合、3部門を独占して総合優勝ということもできるわけである。

実際は、得票数の差があまりにもつきにくすぎるため、プロポーションの部門は総合優勝にはほとんど影響しない。また、3部門の得票の単純合計なので、1部門だけ極端に優れていれば、他の部門が悪くても優勝してしまうことがある。

ミスコンテストにおいても、他の出場者のデータはプログラムが自動的に作成している。作成している他の出場者のデータは、17人ある。しかし、プレイヤーの育てたキャラクターを除くと、実際に出てくるのは9人ということになる。したがって、他の出場者の中の優秀なものが出てくるかこないかによって、結果が大きく左右される。また、他の出場者の能力値がどの程度上がるかも、結果を大きく左右する。つまり、かなり運不運があるということである。


3.2 ミスコンテストによる評価の上昇

(教科書序章

ミスコンテストにおける評価の上昇は以下のようになる。

したがって、武闘会と違い、同じ総合優勝でも、何部門賞とったか、および、何票の得票を得たかが重要になる。言い換えれば、優勝の内容が評価の上昇にそのまま反映されるということである。


3.3 得票数算出の規則

(教科書第2部第2節

ここで、ミスコンテストの得票数の算出法をまとめて説明する。説明の最初に、ミスコンテストの出場者の「エントリーの順番」というものを定義する。エントリーの順番は、出場者の顔が並んだ画面の、上段の左から1番〜5番、下の段の左から6番〜10番とする。このように「エントリーの順番」を定義すると、複数の出場者が同じ得票数で並んだ場合、エントリーの順番が前の出場者が賞をとる。また、表の割り振り方はこの後で説明するが、それをして出た余りは、エントリーの順番が1番の出場者から順番に1票ずつ割り振られる。

まず、プロポーションの部門については、パーセントで表された値に応じて各出場者に票を割り振る。プロポーションは、ほかの能力値と違い、パーセンテージで表される。そして、100パーセントに近ければ近いほどよい(重要!)。基本的に、プロポーションが1パーセントちがうごとに、1票の差がつく。したがって、プロポーションに関して、複数の出場者がトップに並んだ(例えば、99パーセントと101パーセント)場合は、得票数が同じにせよ、1票差がつくにせよ、エントリーの順番が前の出場者が賞をとることになる。

上記の2つが重なると、プロポーションで1パーセント差があるのに逆転されるという事態が起こりうる。例えば、プロポーションが99パーセントの出場者が前、100パーセントの出場者が後ろにいると、余りの票の配分によっては、この両者が同数の得票となり、結果として、プロポーションが99パーセントのほうが部門賞を獲得することがありうる。

気品と色気の部門については、まず、その能力値について、出場者の間の平均値をとる。その能力値が平均値に等しければ、得票は100票となる。各出場者について、その能力値が平均値を何点上回っているか下回っているかによって、100票から得票数を増減する。そのとき、能力値何点差が1票差になるかは、その能力値の出場者平均によって決まる。

能力値(気品または色気)の出場者平均 能力値の差の換算率
〜100 1点で1票
100〜200 2点で1票
200〜400 4点で1票
400〜800 8点で1票
800〜 16点で1票

この方法では、能力値の差の換算率がかわる点をこえたときの得票数の変動が大きくなる。しかも、その変動は、他の出場者の能力値に比べ娘の能力値が大きくなればなるほど大きくなる(平均値が、換算率が変わる点に下から近づいたときの得票の極限値をxとして、上から近づいたときの得票の極限値をxで表してみよ。)。

したがって、ミスコンテストで効率よく得票するためには、他の出場者の変動を見ながら娘の能力値を上げることが必要となる。次のミスコンテストで、出場者の能力値の平均が、換算率が変わる点を少しこえそうなときは、娘の能力値の上昇を抑える必要がある。武者修行で鍛えたキャラクターで、毎月多くのお金を稼いでいるような場合は、そのお金の全部または一部をアイテムに使わずに貯めておくことになる。武者修行をしていないキャラクターの場合、そのような余裕はないから、日程を変更して能力値の上昇を抑えるしかない。

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4.プリンセスの育て方

(教科書第1部第5部

優れた女王を育てることだけが、このゲームの遊び方ではない。「プリンセスメーカー」とタイトルにある通り、プリンセス(皇太子妃)を育てることもこのゲームの重要な目的である。ここでは、プリンセスを育てる方法を説明する。

武者修行をしてキャラクターを育てると、意図的に評価を下げ(あやしいバイトをし)ない限り、エンディングで娘は本当に「女王」になる。今まで「女王」と言っていたのは、単に比喩的な意味ではない。普通、プリンセスは、武者修行をしないで育てる。したがって、ここで説明する内容は、武者修行をしないキャラクターの育て方、と言い換えることもできる。

武者修行をしないキャラクターの場合、バイトで金を稼ぎ、そのお金を教育につぎ込み能力値を上げることになる。バイトそのものの効果で能力値が上がることもある。

最初にすべきなのは、今後のハードなバイトと教育の日程に耐える力をつけることである。耐えられる疲労の限度は、体力と年齢だけで決まる。したがって、最初に「宿屋」のバイトで体力を養うことになる。

次は、最終年度収穫祭が終わったらすぐに学士系の称号がとれるように、知力を上げることである。知力を上げるのは「代筆屋」のバイトで十分である。知力を上げるバイトはほかに「医者」がある。しかし、これを選ばないのは、体力が下がるという重大な副作用があるからである。代筆屋のバイトにも腕力が下がるという副作用があるが、プリンセスを育てる場合、戦闘も力仕事もしないのだから、腕力がいくら下がっても何の問題もない。

事実上、13歳までは色気を上げる手段はない。14歳の誕生日を迎えたら、最終年度の収穫祭まで、ひたすら色気を上げる必要がある。色気を上げる手段は実質的には「酒屋」のバイトだけである。酒屋のバイトは成功1日につき色気1しか上がらないので、バイトはほとんどこればかりになる。

したがって、バイトにはいろいろな種類があるが、プリンセスを育てる場合、基本的に必要なのは次の3種類だけである。

この7年半を通じて、バイトで稼いだお金は、「礼法」の稽古につぎ込まれることになる。これが、ミスコンテストで命綱となる気品を上げるのである。

武者修行をする場合と違って、これらのバイトと教育を続けていると、娘の疲労はたまる一方である。したがって、それを回復するため時折「休息」をとらなくてはならない。娘がどれだけの疲労に耐えられるかは、娘の年齢と体力によって異なるので、そのときそのときでいろいろな日程をやってみて調べるべきである。休息をとると、モラルが急速に低下する。モラルが0に近い状態で月を越すと、娘は非行化する。したがって、モラルを回復するため、教会のバイトを行う必要がある。この二つが一組で疲労回復の日程と考えるとよい。休息をとる場合、たまっている疲労と同額の小遣いが必要となる。したがって、プリンセスを育てるときに、休息によって疲労を回復することを前提とすれば、たまる疲労をバイトまたは教育のコストの中に加えることで、収支の見通しを明快にすることができる。ここで、バイトと礼法の稽古の収支と、耐えられる疲労の限度から、礼法の稽古を1年に何クールできるか各自試算してみよ。

武者修行でキャラクターを育てる場合は、初年度の収穫祭は完全に捨てるけれども、プリンセスを育てる場合、初年度ミスコンテストでも優勝を目指すべきである。そして、それに向かって、最初の半年から礼法の稽古に精を出さなくてはならない。

バイトで稼いだお金を礼法の稽古につぎ込むと、多少余るはずである。そのお金はアイテムに使う。プリンセスを育てる場合、アイテムの使用は、単に能力値を上げる以上の意味を持つ。疲労回復の時間を節約したり、日程の調整を行ったりするのである。日程の調整とは、平日の多いクールに礼法の稽古や重要なバイトが入るようにして、少ないクールに疲労回復の日程を持ってくることである。

武者修行で鍛えたキャラクターの場合、プロポーションなど気にしなくても気品と色気の2部門で十分な票がとれるが、武者修行をしないキャラクターの場合、プロポーションの部門をとることも重要である。この部門賞がとれるかとれないかで、エンディングが変わることもありうる(エンディングの表を参照)。プロポーションの部門をとるのは、いずれかの年度でプロポーションを100%にあわせないと難しい。それをどの年度にするにしても、計画的にプロポーションを上下させる必要がある。

プロポーションは、次のような式で表される。
P: プロポーション(単位%)、H: 身長(単位cm)、W: 体重(単位kg)として、
P = 209.5 - ( H - W )(端数は四捨五入)
ここで大切なことは、体重の増加(kg単位)が身長の増加(kg単位)を上回っただけプロポーションが増加することである。娘が15歳の誕生日を迎えた月からは、身長の伸びは大きく鈍る。体重の増加は、それまでと同じである。したがって、15歳の誕生日を迎えた月以降は、プロポーションが急速に上昇することになる。プロポーションの調節は、それを計算に入れた上で行う必要がある。

教科書のクイーン・マルティナの節でも述べたとおり、体重の増減はその月の終わりの疲労によってかなり決まる。つまり、体重の増減はどのような日程をとるかと密接なかかわりがある。したがって、プロポーションの計画も、日程によって変わらなければならない。

以上、プリンセスを育てるときの考え方をまとめてみたけれども、このゲームをやったことのない人が、これを読んで、いきなりこの通りにできるものではない。ここで述べた事柄に対する感覚をつかむには、試行錯誤を繰り返すしかないのである。

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最後に

これでこの講義も終わりである。この講義は、女王とプリンセスを育てる方法ということに内容を絞った。しかし、このゲームには、評価の値およびどの能力値が最も高いかによって、7系列30種類(ガイナックス版)のエンディングが存在する。そして、女王およびプリンセスのエンディングは、その最上位に位置するものである。エンディングの種類と系統については付表を見ていただくとして、これ以外のエンディングに興味のある方は、各自試みられたい。

繰り返しになるが、ゲームというものは、実際にやってみずにいくらこのような講義を受けても、力はつかない。このレジュメを100回読むよりも、1回実際にプレイしてみることがはるかに大切である。だから、この講義を参考にして、ぜひとも実際にプリンセスメーカーをプレイしていただきたい。それも、ただ漠然と遊ぶのではなく、講義で学んだことを生かして、考え、解析しながらプレイをしていただきたい。そうして、ゲームに対して考える力、解析する力を身につけてほしいのである。それがこの講義の最大の目的であり、同時に本校で学ぶ最大の目的である。そして、その力こそよき娯楽、よき文化の創造の源泉となる、というのが本校の理念である。

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付表

エンディングの種類と系統
エンディングを迎えたキャラクターの最終到達能力値


エンディングの種類と系統

この表で、エンディングのレベルとは、私が勝手に導入した概念であり、キャラクターのレベルとは全く関係がない。また、各レベルの日本語は、私の解釈であり、エンディングで出てくるものとは必ずしも一致しない。かっこ内に書いてあるのは、これをドイツの成績の評価になぞらえたもの。上の日本語にけっこう近いと思う。
エンディングのレベル 評価 最も高い能力値
気品 色気 体力 腕力 知力* モラル
最高 sehr gut 1200〜 女王
すばらしい gut 800〜1199 プリンセス
よい befriedigend 400〜799 上級貴族夫人 国王側室 長寿世界一 将軍 アカデミー総裁 王宮魔法師 中央大教会司祭
まずまず ausreichend 100〜399 下級貴族夫人 貴族側室 近衛騎士 近衛隊長 錬金術師 魔導士 上級尼僧
あまりよくない mangelhaft 50〜99 武器商人の妻 酒場の娘 農婦 木こり 文士 王国魔法使い 下級尼僧
最低 ungenugend 〜49 高級娼婦 娼婦 傭兵 賞金稼ぎ 詐欺師 辻魔法使い 出戻り
* 経験値が知力の2倍以上でなおかつ博士の称号を獲得している場合は右列(魔法使いの系列)、それ以外の場合は左列になる。


エンディングを迎えたキャラクターの最終到達能力値

初代オクサーナ
(Ver1.0)
初代オクサーナ
(Ver1.1)
*1
プリンセス・
アナスタシア
プリンセス・
エカチェリーナ
クイーン・
マルティナ
アマゾネス・
オクサーナ
*2
スペルマスター・
アナスタシア
クイーン・
アナスタシア
アナスタシア・
ザ・グレート
体力 93 102 113 129 131 1168 1386 1665 1707
腕力 46 46 35 0 0 575 32 118 119
知力 326 228 401 438 409 1316 2632 4400 7572
気品 725 608 726 1119 1406 1296 4519 6306 9463
根性 370 350 431 900 980 1150 1277 1356 1385
色気 514 608 657 768 807 0 2275 3400 3575
モラル 127 216 109 105 28 266 1326 1492 1536
評価 545 529 830 973 1532 4598 4703 5243 5578
レベル 3 3 1 1 1 26 31 36 41
経験値 135 135 0 0 0 7298 10278 13436 17389
戦闘技術*3 43 43 30 30 30 234+50 270 317+50 358+50
素早さ*4 79 79 30 30 30 228-17 264-17 301-17 354-17
身長 168.6cm 168.4cm 167.8cm 172.4cm 163.6cm 165.4cm 170.6cm 183.4cm 184.2cm
体重 59.1kg 59.5kg 58.6kg 62.9kg 54.1kg 75.0kg 60.9kg 66.9kg 67.8kg
プロポーション 100.0% 100.6% 100.3% 100.0% 100.0% 119.1% 99.8% 93.0% 93.1%
血液型 B型 B型 AB型 A型 A型 O型 AB型 AB型 O型
誕生日*5 9月24日 9月24日 4月27日 4月12日 4月5日 2月25日 4月27日 3月3日 3月21日
称号*6 博士 一級学士 博士 博士 博士 剣聖 剣聖・博士 二級学士 二級学士
クラス*7 上級貴族夫人 国王側室 プリンセス プリンセス 女王 女王 女王 女王 女王
*1 このキャラクターは、本来はエンディングを調べるために作成された一連のテストキャラクターの一人である。しかし、あやしいバイトにも手を出しておらず、エンディングの水準も本来の初代オクサーナと対等なので、正式データへの格上げを認めることにした。
*2 このキャラクターは、知力・気品・色気がすべて0の状態で運命の日を迎え、エンディングもそのままの状態で見た。しかし、バイナリエディタを手にいれたことにより、知力・気品が0の状態でセーブしておく意義がなくなったので、ため込んだお金をすべてアイテムにつぎ込んで知力・気品を上げた。
*3 アマゾネス・オクサーナ、クイーン・アナスタシア、アナスタシア・ザ・グレートの3人は、装備している武器の効果で、通常、戦闘技術に+50のボーナスを受ける。
*4 武者修行によって鍛えられたキャラクターは、すべて、装備している防具のために、通常、素早さに-17の修正を受ける。
*5 4月1日〜12月31日までは王国歴1659年、1月1日〜3月31日までは同1660年である。
*6 剣聖の称号をとったということは、当然、それ以前に、剣士・上級剣士の称号をとっていることを意味する。同様に、一級学士の称号をとったことの中には、二級学士の称号をとったことが、博士の称号をとったということの中には、二級学士・一級学士の称号をとったことが含まれている。
*7 クラスとは、エンディングで何になったかによるキャラクターの分類である。

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成績評価について

試験は行わない。このゲームをプレイして学んだことを、以下の問いに答え、それをレポートとして提出することによって示してもらう。以下の問いすべてに解答する必要はない。全問答えてももちろんよいし、限られた問題について詳しく解答してもよい。

レポート課題

問1.血液型A型、B型、AB型のキャラクターの戦闘特性を解析せよ。

問2.評価5000に到達するための年次計画を作成せよ。レポートには以下の事柄を含むこと。データを提出する必要はない。

問3.このゲームのミスコンテストの得票の計算法は、

などの矛盾をかかえている。これらの矛盾を解決する妙案を考えてほしい。

問4.武者修行をせず、ライバルの能力値を意図的に抑え込むこともしなければ、どの程度の評価が達成可能か自分なりに考えてみよ。最終時点での能力値は特に定めないのでどの程度の値が達成できるか自分で考えること。レポートには以下の内容を含むこと。データは提出しなくてもよい。

問2および問4においては、データの書き換えは当然行ってはならない。しかし、ライバルまたはモンスターについて、必要なパラメータを調べることはいつでもできるものとする。

レポートは、

などを採点の対象とする。

期限は特に設けない。合格点に達しているレポートが提出されれば、その採点が終わった時点で単位を認定する。

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