UPDATE 2003/3/30

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映画のベスト10のページです

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2002年の個人的な映画ベスト10を作ってみました

対象は2001年12月から2002年11月に東京で封切られた作品です
[邦画ベスト10] [洋画ベスト10] [各賞]

邦画ベスト10

1.たそがれ清兵衛
(松竹・日本テレビ・住友商事他/松竹 129分  2002年 )
監督 山田 洋次
出演 真田 広之  宮沢 りえ
 山田洋次監督が撮った時代劇ですが、サラリーマン悲哀の現代劇としても通じるような一面を持っています。その辺りが受けて、この手の作品としては珍しい観客動員となったのだと思います。主人公、真田広之の生き方や月代の伸ばし方、最後の立ち回りなど疑問に思う点もなくはないですが、それ以上の感動がある気がします。宮沢りえも幼なじみにしては歳が離れている気がしますが、良いですねぇ。さすがにツボを押さえた演出と言えます。しかし、ラストの岸恵子はちょっといらない気もしますね。


2.OUT
(ムービーテレビジョン、サンダンス/20世紀フォックスジャパン 119分 2002年)
監督 平山 秀幸
出演 原田 美枝子  室井 滋
 原作とはちょっと違うという話ですが、殺人という話の割には結構楽しめる?作品になっています。死体をバラバラにするシーンで笑いが出るというのも変な感じがしますが…。「テルマ&ルイーズ」を目指したということですが、なるほど…。原田美枝子や倍賞美津子と言った女優陣も好演です。でも、そういった途中の爽快感?の割にはラストがあいまいで中途半端になってしまった気がします。


3.ピンポン
 (アスミック・エース、小学館、TBS他/アスミック・エース  114分  2002年)
監督 曽利 文彦
出演 窪塚 洋介  ARATA
 松本大洋原作のマンガを、宮藤官九郎脚本で描いた作品ですが、テンポがあるし、元気もあってとても楽しい作品に仕上がっています。主役の窪塚 洋介もいいですが、敵役の中村獅童もいいですね。怪演とも言えます。監督は「タイタニック」のCGも担当したVFX出身ということもあって、その辺りの効果もありました。


4.助太刀屋助六
 (日活・フジテレビジョン/東宝 88分  2001年 )
監督 岡本 喜八
出演 真田 広之  鈴木 京香
 岡本喜八監督、もう年は88歳だそうですが、元気な作品を作っていますね。主演の真田広之もそれによく応えています。一人で立ち回りをやつているシーンなどを見るとアクションスターだった若き頃の彼を彷彿させるものがあります。ラストへの持って行き方もなかなか痛快でした。どうみても真田が30前後にしか見えないのと、彼の幼なじみの鈴木京香が、彼女は彼女でお転婆な役をこなしてはいるのですが、おぼこと言われてもねぇ。岸田今日子は相変わらずスゴイキャラです。山下洋輔の音楽も真田の軽快な動きにマッチしていて効果的でした。また冒頭のエピソードにチラリと出ている役者ももったいないくらい豪華でした。


5.ハッシュ!
 (シグロ 135分  2001年)
監督 橋口 亮輔
出演 田辺 誠一  高橋 和也
 うまい作品ですね。現実味があるのか、ないのか。考えている内に引き込まれてしまうものがあります。主人公達の職業などの設定がうまいです。理系のサラリーマンとか歯科技工士とか…。類型的でいそうで、そうでない微妙な感じがいいですね。演じている3人もなかなかいい感じです。片岡礼子というのも女優っぽくないのですが、その辺が逆に説得力がある感じです。田辺誠一は役柄のせいもあるのでしようが、ちょっと存在感が薄いですね。その代わり、彼の兄役の光石研と秋野暢子が対称的で存在感があります。ヒロインに本当に子供をつくる気があるのかどうか、また何故その気になったか分かりづらいところもありますが、何か不思議に面白い作品でした。


6.阿弥陀堂だより
  (アスミック・エース/東宝、アスミック・エース 124分 2001年)
監督 小泉 堯史
出演 寺尾 聡  樋口 可南子
 腰を据えて撮っているだけあって、季節感があって風景の美しさを楽しめる作品でした。北林谷栄の演技?も存在感がありました。久々に出演の樋口可南子もいい感じでしたし…。ただ、主人公の寺尾聡は色々講釈をいうばかりで、自分の仕事はあまりしていなかったのが気になりました。


7.ランドリー
 (ROBOT・メディアファクトリー・NHKエンタープライズ21・博報堂・IMAGICA 126分  2001年 )
監督 森 淳一
出演 窪塚 洋介  小雪
 ストーリーの流れの時間感覚がちょうどいい感じで、違和感なくとけ込むことが出来ました。最近、この辺の感覚があわずイライラさせられる様な作品も多いのですが、内容どうこうよりもこういう感覚も大事だと思います。窪塚洋介がやや障害がある青年を演じているのですが、その度合いがはかりにくいところがありますね。まるっきりの○○では話にならないし…。ただ、この設定で性的な感じの希薄性を説明できることになります。相手役の小雪はCMなどで見ていると何故人気がでてきたのか、分からなかったのですが、この作品を見るとなるほどねぇと思えるところもあります。彼女もどちらかと言えば中性的な感じがしますね。内藤剛志のキャラもなかなかよかったです。


8.害虫
 (日活・TBS・ソニーPCL/日活 92分  2002年)
監督 塩田 明彦
出演 宮崎 あおい  田辺 誠一
 悪くはないのですが、どういった人を対象にして作っているのかわからなくなりました。「リリィ・シュシュ…」もそうでしたが、もうこの手の作品はいいかなという感じてす。ラストも持って行き方もやるらないですね。悪くはないけれどねぇ。宮崎あおいや蒼井優といい、セリフが少なくても表情がよくいいところを押さえていますね。でも、CMで見ると どうして宮崎あおい、髪切ってしまったのかな。長い方がいい気がしますが…。


9.化粧師 KEWAISHI
 (イオン化粧品・読売連合広告社・東映CM/東映 113分  2001年 )
監督 田中 光敏
出演 椎名 桔平  池脇 千鶴
 原作では江戸時代の設定でしたが、映画では大正時代になっています。女性が自立に目覚める時代ということで変えているのでしょうが、果たしてこれが効果的だったのかどうか…。  池脇千鶴は例によってけなげだし、菅野美穂もこういう思っている相手には思いが伝わらないけれど、明るい女の子というのはうってつけのキャラクターです。柴咲コウや岸本加世子のエピソードはちょっと極端な感じもしましたが…。街角の滋養感などそれなりにいいのですが、女性陣が化粧してもそんなにきれいな感じがしなかったのは時代設定のせいでしょうか。


10.DRIVE
(IMJエンタテイメント、TBS、毎日放送他/日本ヘラルド 102分 2002年)
監督 SABU
出演 堤 真一   柴咲コウ
 相変わらずのSABUと堤 真一の世界。ちょっとあり得ない話ですが、主人公はいそうな感じで笑えます。今回は薬品のセールスマンとのことです。大杉蓮や寺島進、安藤正信達もおかしいです。でも、時代劇になってしまった辺りはちょっと苦しいかもしれませんね。徹底的に貫くのもいいですが、そろそろ違った作品もみたくなってきました。


11.ごめん
(読売テレビ、バンダイビジュアル他/オフィス・シロウズ、メディア・ボックス 103分 2002年)
監督 富樫 森
出演 久野 雅弘  櫻谷 由貴花
 こういう映画、意外と私のツボなのです。姓に目覚める少年の話ですが、「マレーナ」ほど、ベタベタしていません。「小さな恋のメロディ」に近いかな。子供の話しながら?遠距離恋愛(笑)、お互いの意志のすれ違いとなんとなくおとなっぽいテーマを含んでいます。そうしたストーリーの中でキーになっているのが、自転車。この小道具が距離や動きを表すために効果的に使われています。特に終盤の自転車のシーンは良いですね。「跳んだカップル」みたいに記憶に残るシーンになるかも…。


12.白い船
(ゼアリズエンタープライズ 108分  2002年)
監督 錦織 良成
出演 中村 麻美  濱田 岳
 小品ですが、よくできている感じです。実話がベースというのもいいですが、ああいうロケーションに実際の学校があるというのはうらやましいです。予算上仕方がないでしょうが、遭難シーンがちょっとちゃちなのが残念。


13.突入せよ!あさま山荘事件
 (東映・アスミック・エース・TBS/東映 133分  2002年)
監督 原田 眞人
出演 役所 広司  宇崎 竜童

 主人公は今も時々テレビに出てくる佐々淳行で、原作も彼が書いているのですが、はっきり行って格好良すぎます。本当にこんなに格好いいセリフを言っていたのでしょうか。最終的に成功したからよかったものの、一歩間違うとかなり危険ですね。事件を知っている私が感じるくらいなのですが、突入シーンでどのチームがどこを攻めているのかわかりにくいですね。間取り図とか作戦図を織り込んだ方がよかったのではないでしょうか。


14.なごり雪
  (ピー・エス・シー、TOSエンタープライズ、大映/大映 111分 2002年)
監督 大林 宣彦
出演 三浦 友和  須藤 温子
 「なごり雪」というよりは「木綿のハンカチーフ」といった感じの作品です。心情としてはわかりますが、ちょっとメソメソしすぎています。主人公の心変わりもわかりづらいし…。でも、臼杵ロケというのは効果的で、何となく風情もあります。小倉もワンシーン出てきます。


15.修羅雪姫
 (日活・パイオニアLDC他/東京テアトル・ザナドゥー 92分  2001年 )
監督 佐藤 信介
出演 伊藤 英明  釈 由美子

 この作品、SFなのでしょうが、合成シーンなどがかなり変で、お金がかかっているのかいないのか分かりにくい作品ですが、その辺のチープさとアクションの派手さのアンバランスがいい感じで成功しています。釈ちゃんもテレビではちょっと…ですが、この作品ではかなりマジでこの役はまっています。特に格闘シーンで上目遣いで見る顔が溜まりません。監督の演出が上手いのでしょうか。伊藤英明というのはどうなのでしょう。私、どの作品をみても彼の評価はしがたい感じがします。


ワーストは「劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険」です。


洋画ベスト10 

1.鬼が来た!
原題 鬼子來了(DEVILS ON THE D00RSTEP) (中国/GAGA・東光徳間 140分  2000年)
監督 姜 文(チアン・ウェン)
出演 姜 文(チアン・ウェン)  香川 照之
 一言で言うとスゴイ映画です。原作がある作品の様ですが、ストーリーに隙がないです。冒頭の緊張感。日本兵と村人たちとの間のどことなく間抜けなやりとり。その間に立つ通訳の抜け目ない立ち回り。前半はそう言ったとぼけたやりとりを描いているだけに終盤での急展開がより印象的なものになっています。白黒で撮られているところも効果的ですね。ロケの村を作ったというのもスゴイし、日本兵、特に陸軍と海軍の描き分け方もリアル感がある気がします。


2.ノーマンズランド
原題 NO MAN'S LAND (フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロヴェニア/ビターズエンド  98分  2001年)
監督 ダニス・タノヴィッチ
出演 ブランコ・ジュリッチ  レネ・ビトラヤツ
 テーマがテーマだけに深刻で疲れる作品かと思いながら見ると、これが意外にコメディタッチな作りで、意外な展開を見せます。しかし、この調子のまま、ラストに向かうとかえって深刻さを再認識させられる感じです。国連軍の兵隊達とは言葉が通じない中で、言葉が通じるのが敵味方という事実も痛烈です。また、マスコミの描き方も、こういう取材をしているのだろうなぁと思え、どれほど事実を伝えているのか分からなくなります。


3.ロード・トゥ・パーディション
原題 ROAD TO PERDITION (米20世紀フォックス、ドリームワークス/20世紀フォックス 119分 2002年)
監督 サム・メンデス
出演 トム・ハンクス  タイラー・ホークリン
 見ていて何か懐かしくなる様な作品でした。ストーリーと言い、撮影と言い、ちょっと前の映画を見ている感じでした。撮影がとにかく丁寧です。ガラスや鏡と言った小道具や雨や暗闇の光までうなりながら見ている感じでした。ストーリーが物足りないかなとも思ったのですが、下敷きになっているのが「子連れ狼」のようです。なるほど。トム・ハンクスは相変わらずの手堅さですが、ポール・ニューマンの枯れた感じがいいですね。映像だけでも見た甲斐がありました。


4.バーバー
原題 THE MAN WHO WASN'T THERE (USAフィルムズ/アスミック・エース 116分  2001年)
監督 ジョエル・コーエン
出演 ビリー・ボブ・ソーントン  フランシス・マクドーマンド

 コーエン兄弟の新作。まったりとした時間感の中で淡々と言った感じでストーリーが進んでいきます。モノクロームの映像が効果的にそれを映し出しています。光と影の使い方もまた印象的です。主役のカメレオン男、ビリー・ボブ・ソーントンも表情を変えずに渋いですね。久々にタバコが似合うハードボイルドな作品でしょうか。


5.ゴスフォードパーク
原題 GOSFORD PARK (イタリア・イギリス・アメリカ・ドイツ/UIP 134分  2001年)
監督 ロバート・アルトマン
出演 イケル・ガンボン  クリスティン・スコット・トーマス
 さすが、ロバート・アルトマン。数多い出演者を巧みに演出し、見応えがある作品になっています。今回はちょっと長回しがなかった点がものたりませんでしたが…。「8人の女たち」と同じく推理仕立ての群像劇。階上の貴族達と階下の下男、メイド達に切り分けているところが面白いですね。また、主人公をまだ若いメイドにしているため、主人達の関係や貴族のしきたりも彼女と共にわかるようになっているところも見やすいです。謎解きはちょっと…、でしたが、そういう映画でもないですね。期待通り、お腹一杯になれる作品でした。


6.プレッジ
原題 THE PLEDGE (米/ギャガ 123分 2001年)
監督 ショーン・ペン
出演 ジャック・ニコルソン  ロビン・ライト・ペン
 ジャック・ニコルソンの怪演?もありますが、ショーン・ペンの演出もなかなかのものがあると思います。刑事ものかなと思わせておいて、割と淡々と描かれていてのんびり見ていたら、ラストでオッと言った感じです。たの出演者もサム・シェパード、ベニチオ・デル・トロ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ミッキー・ローク、そして大好きなハリー・ディーン・スタントン。うーん。堪能しました。でも、ちょっとストーリーが弱いかなあ。


7.酔っぱらった馬の時間
原題 TIME FOR DRUNKEN HORSES/ZAMANI BARATE MASTI ASBHA (イラン 80分 2000年)
監督 バフマン・ゴバディ
出演 ネジャド・エクティアル・ディニ  アマネ・エクティアル・ディニ
 イランの映画ですが、クルド人が住むクルディスタンを舞台にした作品です。うーん。辛い映画ですね。よく覚えていませんが、おしんみたいな感じです。次々と不幸が訪れる感じですね。でも、それが強引なかんじてはなく、必然的というか自然とそうなってしまうのが余計辛いです。その辺もうまさなのでしょうか。初めてみる地方の光景や生活振りだし、子ども達が主人公なので非難しようがなく、不況、不況と言いながらぬくぬくと暮らしている自分たちの生活と比べると、黙って見るしかないとか思えない映画です。


8.アザーズ
原題 THE OTHERS (米・西・仏/ギャガ=ヒューマックス 104分  2001年)
監督 アレハンドロ・アメナーバル
出演 ニコール・キッドマン  フィオヌラ・フラナガン
 前作の「オープン・ユア・アイズ」が評判だった、アメナバール監督。私も結構楽しめた作品でした。その作品を気に入ったトム・クルーズが権利を買い取って再映画化したのが、「バニラ・スカイ」です。そして、それとは別に製作したのがこの作品です。ヒッチコック辺りを意識したというだけあつて、かなり心理的に怖がらせる趣向がうまくいっています。ちょっと卑怯な手かも知れませんが、子供の使い方もうまいですね。特に息子役の子がいつも眉間にしわを寄せているのが怖い感じを増していますね。家族と使用人との愛だの緊張感の描き方は上手かったのですが、出征していた主人が帰ってきたところから、緊張感が無くなってしまったのが惜しいです。ラストはちょっと途中で気配が分かってしまったのも残念な気がしますが、やはりこの監督、なかなか才能があるなというのが率直な感想です。ニコール・キッドマン。怖さ倍増の美しさ。


9.マルホランドドライブ
原題 MARHOLLAND DRIVE (アメリカ=フランス合作映画/コムストック 146分  2001年 )
監督 デイヴィッド・リンチ
出演 ジャスティン・セロウ  ナオミ・ワッツ
 冒頭からなかなかの導入です。みるみる彼のペースにはまっていく感じてす。いくつかの話が平行で進んでいくのですが、それらがどう関わっていくのか分からないまま話が進んでいきます。なぞめいた部屋や謎の男は出てくるし、謎は深まっていくばかりです。ラストで一応決着はつけてくれますが、解釈は人それぞれになるでしようね。当初はテレビシリーズの予定だったけれど、パイロット版を見たテレビ局の腰が引けてしまったとのことです。まったくなぁ、リンチをどういう監督だと思っていたのでしょう(笑) この作品のイマジネーションの元になったのは今日、NHKで放映していたビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」とのことです。


10.チョコレート
原題 Monster's Ball (米/ギャガ 113分 2001年)
監督 マーク・フォースター
出演 ハル・ベリー  ビリーボブ・ソーントン

 刑務所の看守と死刑囚の妻の話です。悪くはないのですが、何かちょっと私にはピントがあわなかい面がありました。モチーフの割には淡々としたペースでストーリーが進んでいきます。そのためメインテーマは何なんだろうというところで興味深くみることが出来ます。ハル・ベリーとビリーボブ・ソーントンはさすがな感じで、映像も印象的なものが多く、交換が持てます。しかし、ラストに軽い失望感を抱いてしまいました。ちょっとそんなぁと言った感じてすね。残念。


11.至福のとき
原題 幸福時光/Happy Time (中国/20世紀フォックスジャパン 97分 2002年)
監督 チャン・イーモウ
出演 トン・ジエ  チャオ・ベンシャン
 チャン・イーモウの新作。目が不自由で継母からいじめられている娘と冴えない中年の男の話。いいですねぇ。シチュエーションがなかなかいいのと主役のトン・ジエとチャオ・ベンシャン、何れも好演です。トン・ジエは軍人だそうですが、減量してがんばったとのことです。下着姿が痛々しいですね。途中はともかくラストがとても切ないですね。でも、その分、余韻が残ります。


12.活きる
原題 活着 (中国/角川書店・ドラゴン・フィルム 131分  94年)
監督 チャン・イーモウ
出演 コン・リー  グォ・ヨウ
 チャン・イーモウの94年の作品のようですが、なぜ今まで公開されていなかったのでしょう。ちょっと不思議です。ダメなオヤジにしっかり者の奥さん。彼等の家族が激動の数十年を活きていくストーリーです。おなじことをやつていても評価がころころ変わっていった中国の社会体制の変化は、いまさらながらちょっと怖い物があります。割と悲劇的な描写が多いのに何故か笑えるシーンも多いです。必要以上に深刻にならないような演出なのでしょうか。


13.ドリアンドリアン
原題 榴連瓢瓢 DURIAN DURIAN (香港/大映 117分  2000年)
監督 フルーツ・チャン(陳果)
出演 チン・ハイルー  マク・ワイハァン
 とても興味深い作品でした。東北、以前でいうところの満州からはるばる深センや香港に出稼ぎに行く人もいるんですね。まして、やっていることが売春だし…。そういえば、前の「こころの湯」は深センに働きに来ている息子のが出てきました。前半の香港でのシーンの主人公と故郷に戻ってきてからの主人公の表情が全然違いますねえ。というか映画自体のカラーが全然違います。香港のシーンは割と単純でわかりやすいのですが、故郷に帰るとやたら登場人物が増えてきて、ちょっとわかりにくい気がしました。特に、彼女の旦那との関係も説明不足でわかりにくかったです。また、少女の家族との関係についてもちょっと無理があるかなぁという気もします。意図的な演出なのでしょうが、香港で売春している時の彼女の方が生き生きしているんですね。何かその辺も引っかかりました。


14.少林サッカー
原題 SHAOLIN SOCCER/少林足球 (香港/クロックワークス・ギャガ=ヒューマックス他 109分  2001年)
監督 チャウ・シンチー  リー・リクチー
出演 チャウ・シンチー  ウォン・ヤッフェイ
 ワールドカップがあった去年、一番の話題作。大ヒットになった作品でした。本来だったら私の一押しになる様なさくひんですが、どうも今ひとつリズムがつかめないところがありました。要するに中途半端にやりすぎているという感じでしょうか。ちょっとルールを無視過ぎているんじゃないかという感じですね。そもそも、冒頭の八百長試合の因縁から始まっているところから、ちょっと動機がおかしいんじゃないかという疑問がもたれて素直に見られませんでした。


15.ヘドウィグアンドアングリーインチ
原題 HEDWIG AND THE ANGRY INCH (ニューライン/ギャガ 92分  2001年 DRS)
監督 ジョン・キャメロン・ミッチェル
出演 ジョン・キャメロン・ミッチェル  スティーヴン・トラスク
 この映画、言うなればロックミュージカルですが、「ロッキー・ホラーショー」や「トミー」に近いところがありますね。主人公が性転換した男性ということで、フリークスっぽいところもありますし…。 中で歌われている歌の歌詞が持つメッセージがかなり強烈です。いつも思うことですが、日本の歌、特に対金の歌はこういったメッセージを持った歌って少ないですね。翻訳はちゃんとできるのだから、語彙としては持っていると思うのですが…。向こうの歌って恋だの愛だのだけではなくて、様々なメッセージを含んでいることが多いです。文化や宗教とかの違いもあるのでしようか。 時代的にはデビット・ボウイや一時期のルー・リードのグラム・ロックを彷彿させるものですね。


16.春の日は過ぎゆく
原 (日本・韓国・香港/松竹 113分  2001年)
監督 ホ・ジノ
出演 ユ・ジテ  イ・ヨンエ
 この作品は、見る人によってかなり見方が変わるでしょう。青年をすごく構ったり、突き放したり翻弄するこの女性の心情に入り込めるかどうかというところが微妙です。見方によれば、すごく悪女にも見えます。私も観ている途中は、何故そんな行動をとるのかわからないところがありましたが、彼女の過去や青年の言葉足らずな点とかのすれ違いの結果なのかも知れないなぁと思いました。そういった意味でちょっと悲しい話ですが、映像の方はすごく印象的なシーンが多く、室内の描写でもちょっと違うなというところがありました。


17.モンスターズインク
原題 MONSTERS,INC (ディズニー・ピクサー/ブエナビスタ 92分  2001年 DRS)
監督 ピート・ドクター
声の出演 ジョン・グッドマン  ビリー・クリスタル
 CG技術の進化には驚かされることが多いですが、新しい作品に触れるとその感も強いですね。特にプーなど人間の子どもの髪の毛やサリーの毛並の質感などは凄さすらありますね。ふわふわした感触すらありそうです。後、ドアの倉庫?でのチェースシーンもなかなか見応えがありました。ストーリーとしてはもう一つの様な感じがしますが、キャラクター設定などはなかなかうまくできていたと思います。子どもを悪役に見立てているところなどは子どもと大人の関係を見立てた寓話かなと連想するところもあります。この作品は「シュレック」に敗れてアカデミー賞はとれませんでしたが、この作品の前に上映されていた短編の「FOR THE BIRDS」というのがまたうまくできていまして、そちらが短編アニメのアカデミー賞を取りました。また、ピクサー作品ではおなじみ、ランディー・ニューマンがこの作品でも音楽を担当しています。今までノミネート歴は十数度あるけれど、取れなかった最優秀オリジナル歌曲賞をついに取りました。彼は映画音楽だけでなく、自分でCD出したり、人に曲を提供したりしているのですが、私はボックスセットを買ったりしている彼のファンであるだけにうれしいです。


18.マジェスティック
原題 THE MAJESTIC (米ワーナー/ワーナー 153分  2001年)
監督 フランク・ダラボン
出演 ジム・キャリー マーティン・ランドー
 この作品は笑える所もあって、そんなにシリアスな作品ではありません。フランク・キャプラを彷彿させるようなハートウォーミングな人情喜劇というかオトナの寓話と言ったところでしょうか。しかも、主人公の職業が脚本家、事故にあって厄介になる老人が映画館の主人となかなか映画ファンのツボを押さえた設定の作品です。そんなことはないだろうと思いながら引き込まれていくのは、ジム・キャリーとマーティン・ランドーの演技のせいでしょうか。レッド・パージの辺りは事情を知らないとわかりにくいところがあるし、ちょっと必要以上に長いかなと思う所はありますが、見た後の気持ちは良い作品と言えるでしょう。


19.青い夢の女
原題 MORTAL TRANSFER (フランス=ドイツ/アミューズピクチャーズ=ザナドゥー 122分  2000年 DRS)
監督 ジャン=ジャック・ベネックス
出演 ジャン=ユーグ・アングラード  エレーヌ・ド・フジュロール
 ヒッチコックがやりそうなサスペンス映画的な題材ですが、死体を隠すためにドタバタするシーンなどクスクス笑えるところも多く、なんなとなく面白い作りになっています。巻き込まれ型の映画と言えるでしょうか。精神分析医が他の精神分析医にかかっていたり、患者がみな診察料をポケットからお札一掴みを渡しているところもおかしいですね。でも、その反面、謎解きが中途半端な感じになってしまったため、意図が今ひとつわからなくなってしまっている点もしてきされるでしょう。ベネックス作品としてはその辺りに物足りなさも感じますが、映像はさすがすごくきれいです。主人公やその先輩など男性陣が非常に情けない代わりにヒロイン?エレーヌ・ド・フジュロールがとてもきれいで印象的な映画です。


20.耳に残るは君の歌声
原題 THE MAN WHO CRIED (英=仏/アスミック・エース 97分  2000年 )
監督 サリー・ポッター
出演 クリスティーナ・リッチ  ジョニー・デップ
 ミニシアター系の正月映画では、評判が高いようですが、なるほどな感じです。ストーリーを追うと大河ドラマの題材だと言えますが、97分にまとめられています。無駄に長いよりも短い方がよいでしょうが、ちょっと霧過ぎている感じでシーン、シーンでの余韻が楽しめません。この監督、題材としてはいつもいいものを選んでいて、とてもいいのですが、どうも詰めが甘いというか、もう一つ何か足りないというところがあります。冒頭に船が攻撃されて波間に彷徨っている主人公がでてくるのですが、どうもと突飛で本編とうまくつながっていない気がします。彼女の運命を象徴しているのでしょうが…。


21.ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
原題 GIRL, INTERRUPTED (タッチストーン/ブエナビスタ 110分 2001年)
監督 ジェームズ・マンゴールド
出演 ウィノナ・ライダー  アンジェリーナ・ジョリー
 時代は60年代後半ですが、現代に通じるところもあるようです。しかし、「17歳のカルテ」という邦題は最近のキーワードである「17歳」が使われているが、やり過ぎかも知れません。主人公は18歳以上だというやり取りが冒頭に出てきています。演じているのは最近、絶好調のウィノナ・ライダーで、彼女自身が製作総指揮も務めています。しかし、30間際の彼女が演じるのはちょっと無理があったかな。


ワーストは「スズメバチ」です。



各賞です

  
邦画洋画
主演男優賞 真田 広之 「たそがれ清兵衛」「助太刀屋助六」 ビリー・ボブ・ソーントン 「バーバー」「チョコレート」
主演女優賞 宮沢 りえ 「たそがれ清兵衛」 ニコール・キッドマン 「アザーズ」
助演男優賞 香川 照之 「OUT」 香川 照之 「鬼が来た!」
助演女優賞 北林 谷栄 「阿弥陀堂だより」 ケイト・ブランシェット 「シッピングニュース」「耳に残るは君の歌声」「ロード・オブ・ザ・リング」
最優秀監督賞 山田 洋次 「たそがれ清兵衛」 姜 文(チアン・ウェン) 「鬼が来た!」
最優秀脚本賞 山田 洋次、朝間 義隆 「たそがれ清兵衛」 ジュリアン・フェローズ 「ゴスフォード・パーク」
最優秀音楽賞 角松 敏生 「白い船」 ジョン・パウエル 「アイ・アム・サム」
最優秀新人賞 中村 獅童 「ピンポン」 トン・ジエ 「至福のとき」



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