UPDATE 2001/2/3

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2000年の個人的な映画ベスト10を作ってみました

対象は1999年12月から2000年11月に東京で封切られた作品です
[邦画ベスト10] [洋画ベスト10] [各賞]

邦画ベスト10

1.顔
 (東京テアトル 123分 99年)
監督 阪本 順治
出演 藤山 直美  豊川 悦司
 コメディタッチの作品が多い阪本順治ですが、今回は割と正攻法の暗い話になっています。しかし、藤山直美が主人公だけあって何故かレイプシーンですらどことなくユーモラスな感じがします。歳が結構行っていますが、これは主人公の成長物語の体裁になっています。家や母親、妹から解き放たれたことによって彼女は女になり、自転車に乗ったり、水泳が出来るようになり、生活自体も社会性を帯びていきます。脇もなかなか豪華。


2. 雨あがる
 (アスミック・エース 91分 2000年)
監督 小泉 堯史
出演 寺尾 聰  宮崎 美子
 非常に気持ちの良い映画でした。黒澤明の脚本の映画ですが、冒頭の雨のシーンから何となく黒澤映画っぽく雰囲気がよかったのですが、キャストも黒澤映画ゆかりの人が大半でいかにも黒澤追悼映画っぽい感じです。メインの寺尾聰、宮崎美子の設定がとてもよく性格描写をうまくできていますが、やや極端に理想的な感じがし、本当かな?という気がするのが難点。タイトル通り観た後晴れ晴れとした気にさせる映画でした。


3.どら平太
   (東宝 111分 2000年 ドルビー)
監督 市川 崑
出演 役所 広司  浅野 ゆう子
 なかなか痛快で楽しめる作品です。まあ水戸黄門の様によくある勧善懲悪の時代劇と言えばそれまでですが、役所広司がカッコよいです。コンビを組む感じの片岡鶴太郎や悪役の石倉三郎あたりもいいですね。浅野ゆう子や菅原文太はちょっと違和感がありましたが、本田博太郎などの脇役を含め、キャスティングが練られています。悪役と家老との結びつきや宇崎竜童の役回りやが割と安直だったのがちょっとマイナスでしたが、市川監督、健在という感じですね。まだまだ頑張って欲しいものです。


4.ナビィの恋
 (オフィス・シロウズ/東京テアトル 92分 99年)
監督 中江 裕司
出演 西田 尚美  村上 淳
 小渕首相も観たという話題の映画で(笑)。かなり評判はいいようですが、私にはちょっと緩慢な感じがして今ひとつのところもありました。沖縄版マサラムービーといういうだけあって、歌のシーンが多いのですがどうもストーリーのほうが… とは言え出演者がみんな魅力的な人ばかりで、そういった意味ではいいですねぇ。特におじいちゃん役がいいです。また、オバァの恋もいいのですが、ヒロインの方の恋が今ひとつ消化不良の感もありました。


5.御法度
  (松竹 100分 99年)
監督 大島 渚
出演 松田 龍平  ビートたけし
 さすが、大島渚、映像は結構凝っているし、衣装やセリフなども見応えがあります。しかし、ストーリー的にはどんなものでしようか。最初出てきた浅野忠信がずっと出なくなってきて、その間、田口トモロヲ、坂上次郎やトミーズ雅のエピソードのサブストーリーでつないでいます。それはそれで面白いのですが、ちょっとダレた感じになり、最後のやりとりがちょっといきなりな感じで、えっ、これで終わり?という結末になっています。それぞれの配役が個性的で面白かっただけにちょっと残念な気がします。松田龍平はそんなに買いませんが、沖田総司役の武田真治やトミーズ雅あたりは儲け役ですね。


6.ボクのおじさん THE CROSSING
 (シグロ 116分 2000年)
監督 東 陽一
出演 筒井 道隆  細山田 隆人
 「橋のない川」「絵の中のぼくの村」に続く、東陽一監督の最新作。今回もまた、大人になりつつある少年の心情がモチーフになっています。しかし、この作品は前作などに比べてもうちょっと辛口になっています。タイトルから見ると「寅さん」みたいな感じがしていたのですが、この映画で寅さんの様に一番気ままに動いていたのは、主人公の彼女?役のつみきみほでした。久々に彼女を観た気がしますが相変わらずいいですね。主人公やその甥がフワフワしていてどことなく落ち着かないのに対して、しっかり見守っているという感じがします。テーマとしてはどうも最近の男性の情けなさ、居場所のなさを描いている感じがします。大人の世界、子供の世界通じてのいじめなどと言った社会問題も出てきます。しかし、そのせいか逆にどことなく焦点がボケてしまっている感じがしたのが残念な気がします。


7.MONDAY
   (シネカノン 100分 99年)
監督 SABU
出演 堤 真一  松雪泰子
 平凡な主人公がいつしか事件に巻き込まれていく…というのがサブ監督作品の常套ですが、今回の作品は前作などと違い主人公が走ることなく進んで行きます。前半はなかなかいいです。冒頭、主人公がお通夜に出たことを思い出すのですが、ここの描写がとても面白いです。ちゃんとしたシチュエーションドラマになっています。ところが、それに続くスナックのシーンあたりから段々ダレてきてトーンダウンしていってます。ラストの二段落ち?に至っては私の理解力がなかったのか、それはないだろうという落ちになっています。走っていないせいばかりではないでしょうが、従来の作品に比べての疾走感がなくちょっと監督の意図がわからないような作品になってしまった気がして残念です。


8.はつ恋
   (東映 115分 99年)
監督 篠原 哲雄
出演 田中 麗奈  原田 美枝子
 「月とキャベツ」や「洗濯機は俺にまかせろ!」が評判の篠原哲雄監督の新作ですが、私は初見です。しかし、今回それほどの感慨はうけませんでした。最近、この手の作品が割と多く観ているせいもあるのですが、そんなに目新しさがないオーソドックスな内容で演出も凡庸な気がするのです。主人公が予備校生という設定もありますが、何故母親の初恋相手を捜そうという気になったのか、また探し出された男性(これが真田広之だから様になるのであって父親役の平田満と役柄が逆だったら面白くも何ともない(笑))が何故その要望に応じて母親に会おうとしているのかその辺の説明がないのです。母親のためというよりも自分が彼を気に入った上でのゲーム的な行動の様な気がします。このままじゃ父親が救われないなぁと思っていただけに終盤の作りには一応納得しました。着眼はよく楽しめない作品ではないのですが、引っかかる点が多くてどうも泣ける映画にはなりませんでした。


9.金髪の草原
  (ザナドゥー 96分 99年)
監督 犬童 一心
出演 伊勢谷 友介  池脇 千鶴
 主演の池脇千鶴は結構気になっていて、「大阪物語」もよかったですが、彼女の出ていたドラマを時々みてたりしていました。相手役の伊勢谷友介は、「ワンダフルライフ」に出ていてこれも好演していました。80才の老人役とのことですが、下手にこじつけた演技をしていないだけ非日常感が出いてよかったと思います。作品自体も冒頭のシーンから凡庸でどうなることかと思いましたが、まとめて見るといい感じで好感が持てた作品でした。クレープ屋のシーンなどはよかったのですが、主人公が足の動きはゆっくりなのに手の動きが早いところ、池脇の弟とか他の男との関係はちょっと疑問だし、大体彼女が酔ってしまい寝過ごして、脱ぎ捨てていた下着をはくシーンはいらない気がします。


10.五条霊戦記
  (サンセント/東宝 137分 2000年 DRS)
監督 石井 聰亙
出演 浅野 忠信  永瀬 正敏
 賛否両論分かれている作品のようですが、私は結構はまって楽しめた口です。元ネタは誰でも知っている牛若丸と弁慶の話ですが、ストーリーは世相を絡めて大胆なものになっています。ちょっとモタモタしてかったるい所はありますが、映像がなかなか凝っていて飽きない映画でした。平家を殺して回るところも森の中で血しぶきだけが飛んだり、月の扱いや光線の当て方も効果的でした。宣伝では浅野忠信と永瀬正敏がクローズアップされていますが、永瀬は狂言回しで実際には隆大介が主役ですね。私、彼は結構好きだし、この作品ではぴったりの役柄だったのでそれもハマリました。ハンディカメラがちょっとイライラさせられたのと、上映時間が長いこと、オチが途中で読めたのがマイナス点でしょうか。


11.十五才 学校IV
  (松竹 120分 2000年 SRD)
監督 山田 洋次
出演 金井 勇太  赤井 英和
 出来の方は相変わらずの手堅いつくりです。不登校の中学生が主人公になっていますが、話が重くなるのを避けるためか、いじめなどはない設定になっています。でも、その分不登校の理由の説得力がないですね。


12.しあわせ家族計画
 (松竹 100分 99年)
監督 阿部 勉
出演 三浦 友和  渡辺 えり子
 ストーリーから推測される様に感じとしては昨年だったか公開された「のど自慢」と似た感じになっています。二番煎じ的な雰囲気がするのは惜しいのですが、まあそこそこの出来ではないかと思われます。作りはコメディになっていますが、主人公やサブの片岡鶴太郎が会社の都合でリストラされたり、自宅待機を命じられたりとサラリーマンに取っては結構身につまされる話になっているところがブラックでもあります。


13.クロスファイア
 (東宝・TBS 115分 2000年)
監督 金子 修介
出演 矢田 亜希子  伊藤 英明
 なるほど等身大の「ガメラ」ですね。原作は読んでいないので、比較はできませんが、途中まではそこそこの出来だと思います。近頃、理不尽なことが多いので、焼き殺すまでは行かないまでもギュッと言わせたいことがいくつもありますね。題材から行くとドリュー・ハリモアの「炎の少女 チャーリー」を思い出します。


ワーストの該当は特にないのてずが、ビデオで観た「DEAD OR LIVE」を上げておきましょうか。絶好調、三池崇史の作品ですが、ちょっとやりすぎ、反則技のラストと言った感じてす。ああいうことをヤルとそれまでのストーリーを否定することにならないのかなぁ。今年の方がのレベルは今一つでしょうか。「独立少年合唱団」、「スリ」等は選考時は福岡未公開のため除外しています。



洋画ベスト10 

1.あの子を探して
原題 一個都不能少 (中国・米/コロンビアアジア 106分 99年)
監督 チャン・イーモウ(張芸謀)
出演 ウェイ・ミンジ  チャン・ホエクー
 今までのチャン・イーモウの描く映画とちょっと毛色が変わっているように感じます。解放されて急速に現代化している様に思われる中国ですが、その実はいろいろあるのですね。校舎を立て直す資金もチョークを買うお金にも困っているような農村の小学校。その近くにあって活気あふれている様に見える都市にも、駅で寝泊まりするようなホームレスに見える大人や子どもたち…。共産主義を捨ててはいないのでしょうが、ほとんど資本主義国家と変わらない世界に見えます。キャストは子どもたちを含めて素人を使っているのですが、この映画では効果的な気がします。主役の少女がわざわざ言うのも失礼ですが、あまり可愛くないところがいいですね。


2.ハピネス
原題 HAPINESS  (米/シネカノン 134分 98年)
監督 トッド・ソロンズ
出演 フィリップ・シーモア・ホフマン  ディラン・ベイカー
 何か毒気だっぷりでスゴイ話です。「アメリカン・ビューティー」に通じるところがありますが、この作品の方が先に作られているんですね。米国での配給も内容に問題があるとゴタゴタした作品のようです。しかし、登場人物や話の持っていき方を見るとウッディ・アレンの作品に通じる所もあります。それより登場人物がもっと直接的な所作をしていますが…。結構笑えるところもありますが、何とも現代人の病的なところを見た気がしてやるせない気もします。音楽はこれまたREMのマイケル・スタンプでした。


3.オール・アバウト・マイ・マザー
原題 ALL ABOUT MY MOTHER   (スペイン/ギャガ=東京テアトル 101分 99年)
監督 ペドロ・アルモドバル
出演 セシリア・ロス  マリサ・パレデス
 面白い作品です。この監督は「アタメ」「ハイヒール」などの作品が好評だったのですが、私は初めて見ました。予告編での作品イメージと違いましたが、登場人物が皆おかしくて個性的です。また、映像感覚も面白く、劇場の外壁の絵、息子が車にはねられるシーン、列車がトンネルの中を走るシーン等斬新な感じがします。基本的に「赤」がベースなのですが、時折見せる「青」も強烈に印象に残ります。


4.ストレイト・ストーリー
原題 THE STRAIGHT STORY  (米/コムストック 111分 99年)
監督 デヴィッド・リンチ
出演 リチャード・ファーンズワース  シシー・スペイセク
 主人公の姓でもあるのですが、題名通り非常にストレイトなストーリーです。大きい意味では何も起きない話です。しかし、主人公の行く手には様々なことが起きます。道中で会う人とのやりとりがいいですね。妊娠したことを誰にも言えずに家出した若い女性、老人と同じく戦争体験者である老人等。それ以上の展開があるのかな?と思わせておいてそれ以上はありません。冒頭のシーンや鹿をはねる所などはリンチっぽいのですが、それ以外もなかなかの演出です。


5.風が吹くまま
原題 THE WIND WILL CARRY US  (仏=イラン/ユーロスペース 118分 99年) 
監督 アッバス・キアロスタミ
出演 ベーザード・ドーラニー  ティム・アレン
 いゃあ、地味な作品で寝不足だと眠気を誘うような作品ですが(笑)、その実中身はなかなか練られています。冒頭からいきなりトレードマークのくねくね道。イランのそんな田舎でも使えるのかと感心すらする携帯電話のやりとりと電波の状態が良い丘に登る再三の繰り返しのシーン。カメラに撮ることが出来ないイライラ感を伝えたいのでしょうが、観客の方にも電話の相手の家族やプロデューサー、スタッフ、井戸掘りの青年たちの声は聞こえるけれど姿はほとんど見せずにイライラさせられるほどです。最後は人生についての考えが描かれていますが、とても詩的でもあり感心させられる作品です。


6.マルコヴィッチの穴
原題 BEING JOHN MALKOVICH (米プロパガンダ/アスミック・エース 112分 99年)
監督 スパイク・ジョーンズ
出演 ジョン・キューザック  キャメロン・ディアス
 なかなかすごい発想の映画です。ジョン・マルコビッチの頭の中に通じている穴があるとはねぇ…。相手がジョン・マルコビッチというのがまたすごい。(笑) そう言った奇抜な話の割にはすんなり話に入っていけるのは、冒頭の主人公が人形を操るシーンとか天井が低い7と1/2階という不思議な舞台設定のせいもあるでしょうね。でも、主人公やその妻が一回その穴を通っただけでその事実を受け入れてしまい、哲学的思考になってしまったのはちょっと疑問です。その割にその後の行動が哲学的ではなく割と短絡的ではあるけれど…。観る前は単なるコメディかと思っていたけれど意外と深いところもあったのが意外でした。


7.サイダーハウス・ルール
原題  THE CIDER HOUSE RULES (米ミラマックス/アスミック・エース 126分 99年 DRS)
監督 ラッセ・ハルストレム
出演 トビー・マグワイア  シャーリーズ・セロン
 私はジョン・アーヴィングの原作物は観るようにしています。彼の作品はちょっと破天荒なものが多いのですが、そんなにどぎつくもなくどことなくユーモアに包まれた独独の世界を持った作だと思います。今回の「サイダーハウス・ルール」については自分で脚色してアカデミー賞を取りました。やはり、今までの映画化に着いても一家言があったのでしょうね。話の中身は「ガープの世界」や「ホテル・ニューハンプシャー」ほど過激じゃないです。主人公の設定のせいもあるのですが、割と淡々と話が進んで行きます。この辺り、トビー・マグワイアは適役ですね。私は今まであまり彼の作品を観たことがなかったのですが、好感が持てました。


8.シャンドライの恋
原題 L'ASSEDIO   (イタリア/アミューズ 94分 99年 SRD)
監督 ベルナルド・ベルトルッチ
出演 サンディ・ニュートン  デヴィッド・シューリス
 観ていて思わずうまい、と言いたくなる様な映画です。そんなに大仕掛けでもなくストーリーも大げさな作品ではないのですが、さすがベルトルッチと言った感じです。ローマのスペイン階段のすぐ横にある屋敷でのロケとのことですが、螺旋階段やエレベーターといった設定がとても効果的です。また、主人公が聞いているサリフ・ケイタなどのアフリカン・ミュージックと音楽家のクラシックの絡み具合もいいし、主人公が掃除したり音楽家がピアノを動かすと言ったなにげないシーンも凝ったカメラワークで見せてくれます。セリフがとても少なく、いかにも見せる映画と言った感じですが、十分観客を満足させてくれる作品になっています。


9.アメリカン・ビューティー
原題 AMERICAN BEAUTY   (米ドリームワークス/UIP 122分 99年 SRD)
監督 サム・メンデス
出演 ケビン・スペイシー  アネット・ベニング
 なかなか面白い作品です。下手すると陰湿なドラマになりそうな題材ですが、コメディ仕立てで笑える場面が結構あります。この辺が脚本のうまさで斬新さも窺えます。本人の回想形式の仕立てもこの作品の場合効果的な感じです。キャストの方も主役のケビン・スペイシーが怪演。こんなに情けない主演男優賞もなかなかないでしょう。今まで評価したことがなかったのですが、アネット・ベニングのキレ方の巧さ(それでも主演女優賞を取れないところは、さすが(笑))。可愛くない娘役のソーラ・バーチ、カワイイ悪魔、ミーナ・スバーリとなかなかのキャストです。


10.スペース・カウボーイ
原題 SPACE COWBOYS  (米/ワーナー 130分 2000年 SRD)
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド  トミー・リー・ジョーンズ
 いゃぁ、カッコいい映画ですね。クリント・イーストウッド、前作などはかなり地味で単館ロードショーだったのですが、まだまだ元気です。なにしろメインのクルーを演じるのが彼とロナルド・サザーランド、ジェームス・ガーナー、一番若いのがトミー・リー・ジョーンズ。みんな喜々として楽しそうに演じている感じです。悪役がジェームズ・クロムウェルというのも流行り(笑)。途中でもRipe Staffという新聞の見出しが出てきましたが、前半は私の好きな映画である「ライトスタッフ」、後半は「アルマゲドン」と言った感じの作りですが、ラストシーンがとてもいいです。シ。


11.ミラクル・ペティント
原題 EL MILAGRO DE P.TINTO (スペイン/パルコ 106分 98年)
監督 ハビエル・フェセル
出演 ルイス・シヘス  シルヴィア・カサノヴァ
 「ロスト・チルドレン」とか「黒猫・白猫」と言った感じのごちゃ混ぜ何でもあり映画と言えましょう。とは言ってもただハリウッド的なナンセンス映画ではなく、その裏には宗教観や家族観も入っていて、なかなか考えられた作品だと言えるでしよう。


12.アンジェラの灰
原題 ANGELA'S ASHES  (アイルランド/アスミック・エース 145分 99年)
監督 アラン・パーカー
出演 エミリー・ワトソン  ロバート・カーライル
 貧さすが、アラン・パーカー。ディテールは細かくなかなか重厚な映像となっています。でも、どうも私にとっては今一つ納得行かない話でした。国民性や時代の設定は理解できるのですが、ベースは所詮ぐうたら飲み助父さんの家族の話で、今はどうか知りませんが私の子どもの頃だとよくあった話のような気もします。


13.橋の上の娘
原題 LA FILLE SUR LE PONT (仏/シネマ・パリジャン 90分 98年)
監督 パトリス・ルコント
出演 ダニエル・オートゥイユ  バネッサ・パラディ
 パトリス・ルコントの新作です。パリの橋と言えば、「ポンヌフの恋人」を連想させますが、この作品の方が私は惹かれました。白黒映画になっているし、途中でサーカスが出てきたりしたので、フェリーニを連想させるところもあります。


14.ゴースト・ドッグ
原題 GHOST DOG,THE WAY OF THE SAMURAI  (アメリカ=日本=フランス=ドイツ/フランス映画社 116分 99年)
監督 ジム・ジャームッシュ
出演 フォレスト・ウィテカー  ジョン・トーメイ
 殺し屋が主人公なのでハードボイルドなのですが、ちょっと狙いは変わっていてジャームッシュ版「レオン」と言った感じです。ポートマンに当たるのが味方か敵かが微妙ですが…。ラストはともかく全体的に何となく心地よい作品でした。


15.シュリ
 (韓国/シネカノン=アミューズ 124分 99年)
監督 カン・ジェギュ
出演 ハン・ソッキュ  キム・ユンジン
 「ハリウッド映画よりすごい」という前評判ほどの作品でもなく、ストーリー展開にちぐはぐで首をかしげたくなるところも何カ所かあります。アクションシーンも火器の数は多いですが、ちょっと気抜けするところもあるし…。しかし、そういったマイナス評価を補うだけのパワーがこの映画にはある気がします。日本では所詮絵空事になりがちなテロ部隊という設定も韓国が舞台ではなんとなくリアリティがある気がします。それとこの映画、アクションが主ではありながらラヴ・ストーリーとしてもそこそこ観られるところがいいです。


16.ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
原題 BUENA VISTA SOCIAL CLUB   (ドイツ・米国・フランス・キューバ/日活・バップ 105分 99年)
監督 ヴィム・ヴェンダース
出演 コンパイ・セグンド  イブライム・フェレール
 私の好きなミュージシャンであるライ・クーダーが絡みヴェンダースが監督していると聞けば見に行かざるを得ません。そういう贔屓目はあるにしろとてもいい感じにできた作品になっています。


17.チャーリーズ・エンジェル
原題 CHARLIE'S ANGELS  (コロンビア/ソニー 94分 2000年 SRD)
監督 McG
出演 キャメロン・ディアス  ドリュー・バリモア
 当初はそんなに興味なかったのですが、今年、最高のおバカ映画だと評判なので、思わず見に行きました(笑) なるほどこれはレイクエンジェルよりおバカで楽しめます。TVシリーズを知っているようなある程度年齢がいった人には違った意味でお買い得の映画です。


18.マグノリア
原題 MAGNOLIA   (ニューライン/ヘラルド 187分 99年 SRD)
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
出演 トム・クルーズ  ジュリアン・ムーア
 前作「ブギーナイツ」は北九州で公開されなかったため未見ですが、この作品を30才そこそこで自ら脚本を書いて監督したとは、非凡な才能を持った監督だと思います。 予想とは異なった作りの映画でしたが、数多くの登場人物は上手に整理されており、3時間以上の長尺の割にはそんなに飽きることなく見ることが出来る作品です。


19.スリーピー・ホロウ
原題 SLLEPY HOLLOW   (米・マンダレイ/ヘラルド 106分 99年 SRD) 
監督 ティム・バートン
出演 ジヨニー・デップ  クリスティーナ・リッチ
 さすがティム・バートン。彼らしい暗い色彩でちょっとドロドロした話が進んでいくのがたまりません。現代劇でなく200年位前の話というのも効いています。終盤は少しすんなり行き過ぎて、アレッという感じですが、原作がそうなのでしょうか。バートン独特の悲哀を感じられなかったのはコッポラが製作というのが影響していたのでしょうか。


20.17歳のカルテ
原題 GIRL, INTERRUPTED (米/ソニー 127分 99年)
監督 ジェームズ・マンゴールド
出演 ウィノナ・ライダー  アンジェリーナ・ジョリー
 時代は60年代後半ですが、現代に通じるところもあるようです。しかし、「17歳のカルテ」という邦題は最近のキーワードである「17歳」が使われているが、やり過ぎかも知れません。主人公は18歳以上だというやり取りが冒頭に出てきています。演じているのは最近、絶好調のウィノナ・ライダーで、彼女自身が製作総指揮も務めています。しかし、30間際の彼女が演じるのはちょっと無理があったかな。


21. グリーンマイル
22. サウスパーク 無修正映画版
23. マン・オン・ザ・ムーン
24. ボーイズ・ドント・クライ
25. インサイダー
26. シベリアの理髪師
27. U-157
28. ほんとうのジャクリーヌ・デュプレ
29. ことの終わり
30. 宮廷料理人 ヴァテール



ワーストは「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」ですね。
 こちらも上位の差はあまりありません。


各賞です

邦画洋画
主演男優賞 寺尾 聡 「雨あがる」 ケビン・スペイシー 「アメリカン・ビューティー」
主演女優賞 藤山 直美 「顔」 キム・ユンジン 「シュリ」
助演男優賞 丹波 哲郎  「十五才・学校IV」 フィリップ・シーモア・ホフマン「ハピネス」「マグノリア」
助演女優賞 宮崎 美子 「雨あがる」 キャメロン・ディアス 「マルコヴィッチの穴」「エニイ・ギブン・サンデー」「チャーリーズ・エンジェル」
最優秀監督賞 阪本 順治 「顔」 張 芸謀 「あの子を探して」
最優秀脚本賞 阪本 順治 「顔」 トッド・ソロンズ 「ハピネス」
最優秀音楽賞 佐藤 勝 「雨あがる」 トーマス・ニューマン 「アメリカン・ビューテイー」「グリーンマイル」
最優秀新人賞 矢田 亜希子 「クロスファイア」 シャーリーズ・セロン 「サイダー・ハウス・ルール」「ノイズ」



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