UPDATED 2003/9/17

★Ken's Cinema Report★

映画の感想のぺージです

近作の感想のページです。ベースは北九州・福岡の映画館です。

どれを見ますか
[近作の感想] [5月以前の作品の感想]

最近封切りの作品の感想のページです
上から新しい順です
ネタばれがありますので、未見の方は注意してください。

  new[六月の蛇]
  new[シティ・オブ・ゴッド]
  new[春の惑い]
  new[ぼくんち]
  new[ターミネーター3]
  new[8 Mile]
  ball1[24アワー・パーティ・ピープル]
  ball1[ミニミニ大作戦]
  ball1[北京ヴァイオリン]
  ball1[チャーリーズ・エンジェル フルスロットル]
  ball1[ベッカムに恋して]
  ball1[ソラリス]
  ball1[風の絨毯]
  ball1[二重スパイ]
  ball1[WATARIDORI]
  ball1[少女の髪どめ]
  ball1[アバウト・シュミット]
  ball1[チルソクの夏]




new六月の蛇
(ゼアリズ 77分  2002年)
監督 塚本 晋也
出演 黒沢 あすか  神足 裕司

 潔癖症の中年サラリーマンとカウンセリングラーである妻。二人は瀟洒なマンションで恵まれた生活を送っていた。職場で、自殺予告の電話を受けた彼女は、その男に励ましの言葉を与えた。しかし、それをきっかけに、男の彼女へのストーカー行為がはじまった。ある日、彼女の自慰行為を盗み撮りした写真の数々が送られてきた。その日から、りん子の恥辱と恐怖に満ちた日々がはじまった。
 「鉄男」「双生児」の塚本晋也が監督した2002年第59回ベネチア国際映画祭審査員特別大賞受賞作品

 大半のシーンで雨がジトジトと降っているのですが、それがこの屈折した映像表現にマッチしています。映像自体も青みがかった白黒になっていて、効果的です。キャストの方も黒沢あすかのある種中性的とも言える姿態。その夫役である神足裕司の異質なマッチング、そして、監督自身が演じるストーカーの異常性。やはり、塚本晋也、独特の世界だと言えるでしょう。テーマがテーマだけに好き嫌いが分かれ、一歩間違えばポルノ映画になってしまうような作品かも知れませんが、私はそんなに否定的にはならない作品でした。

  評価 ☆☆☆☆  (03/7/27)


newシティ・オブ・ゴッド
原題 City of God(ブラジル/アスミックエース 130分  2002年)
監督 フェルナンド・メイレレス  共同監督 カチア・ルンチ
出演 アレキサンドレ・ロドリゲス  レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ

 物語は60年代後半、ブラジル、リオデジャネイロ郊外に新設された公営住宅"シティ・オブ・ゴッド"から始まる。集まって来るのはみな、洪水や放火で他のスラムを追い出され流れてきた貧乏な連中ばかり。みな天国を求めてこの街にやって来たはずだった。写真家になって街を出ることを夢見る者。リオーのギャングになることを夢見る者。ギャングから足を洗い、彼女とほかの街で平和な生活を送ることを夢見る者。自分のシマを守れるか瀬戸際のヤクの元締め。いい仕事を見つけて街を出ることを夢見るバスの車掌。それぞれの人間の愛と夢と欲望が渦巻くリオのスラム社会は、ドラッグと暴力と血にまみれ、徐々に手のつけようのない危険な怪物へと変貌していく…。

 少々の作品には驚かない私ですが、この作品にはちょっとビックリしてしまいました。頭殴られたという感じてすね。ブラジルの大都市でリオデジャネイロにこんな一面があるとは全然知りませんでした。まあ洋の東西にかかわらず、スラムみたいな所はあるし、マフィアにしろ暴力団にしろそういった、ギャングみたいな話はあるでしょう。でも、ここでは、そう言った麻薬や拳銃などを小学生みたいな子どもが平気で扱っているのです。もちろん単なるドラマではなく、ほとんど実話のようですし…。書いてしまうとある意味凄惨な生き残り合戦であるようなストーリーですが、どことなく明るくサンバのリズムに乗せ、ユーモアも入れながら描いたこの作品は非常に上手いですね。展開の仕方も上手いし、導入シーンへの戻し方も緻密ですね。素人の様な少年たちを使いながらこのような作品を作るとはかなり演出力を持った監督だと思います。内容は微妙ですが、見るべき価値のある作品だと思います。

  評価 ☆☆☆☆  (03/7/23)


new春の惑い
原題 小城之春/SPRINGTIME IN A SMALL TOWN(中国/角川大映 116分  2002年)
監督 ティエン・チュアンチュアン(田壮壮)
出演 フー・ジンファン  ウー・ジュン

 1946年。中国・蘇州。抗日戦争の傷跡を残しつつも、小さな街は穏やかな春を迎えていた。ある旧家に嫁いでいた妻ユイウェンは、没落したものの使用人の老人を抱え、長患いの気難しい夫とその妹の4人で、平穏だが変化のない日々を送っていた。ある日、その夫を訪ねて旧友が、訪ねてきたのだ。彼女は久々の来客の姿を見て驚いた。それは彼女の初恋の相手だった。二人の関係を知らない夫は、純粋に旧友との再会を喜ぶ。やがて彼女は、その級友が抗日戦争に参加するために自分の前から姿を消したこと、今は上海で医者になっていることを知る。「青い凧」以来10年振りの田壮壮の新作。

 えらく時間の流れの遅い、まったりとした映画だなぁと思ってみていたら、費穆(フェイ・ムー)という監督が48年に発表した「小城之春」という作品のリメイクだそうです。若干ストーリーに古さを感じさせるものの設定としては普遍的なものを感じるし、退屈するものではありません。端的に言えば、三角関係の話で登場人物も上記の5人で済むような作品なのですが、中身はすごく濃いものになっています。特に主人公3人の心の動きが小道具や衣装などと共にうまく描かれているような気がします。暗い旧家が舞台なのですが、光線の使い方も巧妙な印象でした。

  評価 ☆☆☆☆  (03/7/22)


newぼくんち
(ミコット・東映京都・小学館他/アスミック・エース、ミコット 115分  2003年)
監督 阪本 順治
出演 観月ありさ  矢本悠馬  田中優貴

 一太と二太の兄弟は、ある貧乏な島に住んでいた。二人の母親は、買い物に行くと出かけていったきり、もう半年も戻ってこない。父親は、元からいない。ある日かあちゃんが、離れて暮らしていた姉ちゃんを連れて帰ってきた。ひとつ屋根の下、食卓を囲んで喜ぶ姉弟。かあちゃんは、またすぐいなくなったけど、姉弟3人のささやかな暮らしか始まった。親も無く、金も無くとも遅しく生きる一太と二太を見守るのは、ちょっと可笑しな水平島の人たちであった。兄弟たちの家の権利書が、いつの間にか売られてしまった。母親が新しい男に貢いだらしい。家を追われ、姉は弟たちを養うためにピンサロ勤めに戻り、小さなマンションを借りた。二太は無邪気に彼女に甘えるが、一太は一所懸命働く彼女の姿を見ると素直になれない…。西原理恵子の原作マンガを「どついたるねん」「顔」の阪本順治が映画化。

 西原理恵子って、そんなに読んではいないけれれど、何か従来の女性が書くマンガから比べると異質な感じがします。一番よく読んでいるのがゲッツ板谷のほんの挿し絵だからでしょうか(笑) 「ぼくんち」は何度か読んだことがありますが、面白いと言えば、面白いけれど、何でこんな話なの? というのもつきまといます。短編のストーリーという感じですので、どうやって映画化するのだろうと思っていたまののですが、やはりエピソードの積み重ねと言った感じになっています。それはそれで仕方がないのですが、どうも全体してバランスがとれませんねぇ。予告編なんかで見ると面白いのですが…。キャストでは子役も生き生きしていましたが、真木蔵人と鳳蘭がよかったです。後、当然?岸部一徳ですね。この人、最近はずせません。そう言えば、西原本人がキャバレーのシーンで出演していました。

  評価 ☆☆☆  (03/7/20)


newターミネーター3
原題 TERMINATOR 3: RISE OF THE MACHINES (米/東宝東和 110分  2003年)
監督 ジョナサン・モストウ
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー  ニック・スタール

 核兵器管理システムのスカイネットが自らの意志を持ち、人類を「敵」と認識、マシーンと人類のあいだに戦争が始まったその日を、のちに生き残った人々は「審判の日」と呼んだ。だが、歴史は塗り替えられた。未来を自分の力で変えられるはずだと信じたサラ・コナーと、生まれる前から人類の抵抗軍のリーダーとなる宿命を負った息子のジョンによって――。あれから10年。スカイネット計画を潰したあの日に自身の使命を果たし終えたジョンは、新たな人生の目的を模索するように放浪生活を送っていた。もはや「審判の日」は過ぎ去り、彼が抵抗軍のリーダーとなる日は永遠にめぐって来ないように見えた。しかしその思いとは裏腹に、心のどこかで不安をぬぐいきれないジョン。そして、彼の悪い予感は、ある日現実のものとなる。ターミネーターシリーズの12年振りの新作。監督は「U571」のジョナサン・モウトウ

 T2より強い相手を持ってこなければならないのは分かるけれど、女性ターミネーターというのはどうでしょう。別に未来から来るので、男性、女性の区別はそんなにないはずですが、ちょっと微妙ですね。でも、本来の設定は男性だったようです。カースタントのシーンは見応えありますね。あんなに無茶苦茶突っ込まれても無事でいられるものかどうか。クレア・デインズはまだしも、コナー役のニック・スタールがパッとしませんねぇ。あんなのに人類の将来を左右されたくないような…(笑) シュワルツェネッガーはさすがに幾分歳取ってきましたが、まだまだがんばっていますね。セリフのやりとりについては面白く出来ていたし、過去2作に繋がる謎解きなども上手く出来ているのかなと思いますが、単体でみた場合、どうも前2作ほどのカタルシスがないような気がします。シュワルツネガー日本とイランの共同製作の作品。期待してみにいったのですが、割と凡庸なストーリーで、今ひとつな感じです。異文化のすれ違いによって、なかなかできあがらない絨毯をメインに娘が閉ざされていた心を解き放っていく過程を描いているのですが、どうも表面的になぞっていっただけという印象であまり深層が描かれていない気がします。それほどの内容にすべき作品ではないのでかもしれませんが、どうも、見た後も印象が残らない作品のような気がします。おかけで書き込むのが漏れていました。

  評価 ☆☆☆☆  (03/7/19)


new8 Mile
原題 8 Mile (米/UIP 110分  2002年)
監督 カーティス・ハンソン
出演 エミネム  キム・ベイシンガー

 1995年一ミシガン州デトロイト。かつてはアメリカの誇りだった自動車産業の中心地も、いまではドラッグが蔓延る、没落した街になってしまった。そのデトロイトの境界線である、“8マイル・ロード”。ここは都市と郊外、さらに白人と黒人との居留地を分ける分割ラインにもなっていた。そんな街のヒップホップ・クラブでは毎週末、DJのリズムに合わせたラップ・バトルが開催されている。そのバトルで、ある白人青年が才能を持ちながら、さまざまなプレッシャーから今日もその力を発揮できずにバトルを放棄してしまった。彼は母親と妹とトレイラー・ハウスに住んでいた。母親は事故により保険金暮らしをする青年の高校の先輩を頼って、その日暮らしに近い生活をしていたのだった。ある日、彼は仕事場のエ場でウェイトレスとして働きモデルになることを夢みている女性と出会う。
 「L.A.コンフィデンシャル」のカーティス・ハンソンが人気ラッパー、エミネムを主人公に描いた彼の自伝的作品。

 エミネムは最近では日本でも有名になり、来日公演などが行われていますが、過激な言動や刑事事件などでここ何年か色々物議を醸しだしているアーティストです。数年前には、同性愛を敵視していると言われている彼がエルトン・ジョンとグラミー賞で共演したりしました。  そんな彼が主演している彼の自伝的映画とのことですが、ストーリーはえらく真っ当な青春映画になっています。簡単にいってしまえば、仕事も趣味のラップもうまく行かない青年が、活路を見いだしていくストーリーです。米国ではかなりのヒット作品になったようですが、うーん、まあそんなものでしょうか。ただ、きれい事ではなく白人でも彼らのようにトレーラーハウスで暮らしているような底辺?的な生活をしている人がいるということは日本ではわかりませんからねぇ。スパイク・リーの映画ではないですが、その辺りはちょっとハリウッド的ではないかもしれまん。ラップ・バトルと言っても大きな大会ではなく、そこら辺の街角の店で行われている小さな大会だというのも、物足りないけれど、この作品の場合、効果的かも…。  しかし、そのバトルというのが、世相を批判したり、皮肉ったりするものではなく、ただ相手をけなして罵倒するような言葉を並べるだけというのがなんともトホホです。うーん。ラストで流れる「ルーズ・ユアセルフ」の歌詞はちょっといい感じなので、ちょっと違和感があります。個人的にはあまりラップには興味わきませんねぇ。私たち日本人には向こうのラップは聞き取れずに意味がよくわからないし、日本語のラップの大半画はただ語尾を「韻」でまとめているけれど中身が薄っぺらで中身のない歌詞が多いですからねぇ。
 ストーリーとしては、実話でしょうから登場する人たちの承諾は取っているのでしょうが、主人公が突っ走っているというか退廃的に描かれているので、共感できるところがちょっと希薄になっています。まあ、パンクの辺りはこういうお祭り騒ぎの状況だったのでしょうが、「ベルベットゴールドゴールドマイン」「シド・アンド・ナンシー」にしろ「あの頃ペニー・レインと」にしろ、この手の映画は起こってしまった時間から離れた時代から見るとどうしても醒めた視点にならざる得ないので、その辺の見る側のスタンスとのギャップが生じるのは仕方がないのか知れません。でも、他の作品に比べて、自分でも不思議なくらいにのれない作品でした。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/7/12)


ball124アワー・パーティ・ピープル
原題 24 Hour Party People (イギリス/ギャガ 115分  2002年)
監督 マイケル・ウィンターボトム
出演 スティーヴ・クーガン  レニー・ジェームズ

 マンチェスターのグラナダ・テレビのレポーター、トニー・ウィルソンは、体当たり取材と、音楽・クイズ番組の司会で食べていた。ある日行われたセックス・ピストルズによるマンチェスターでの初めてのライヴに集まった42人の中に彼やバズコックス、ワルシャワ、ミック・ハックネルなど、後のマンチェスターのミュージック・シーンを形成する人間が勢揃いしていた。その日を境に、ウィルソンはバンドのマネージメントをしたいという欲求は高まり、遂にライヴ・ハウスを見つけて、ワルシャワ改めジョイ・ティヴィジョンと契約し、ファクトリー・レコードを創設する。やがて、ジョイ・ディヴィジョンのアメリカ・ツアーまで決まり、これから、という時になって、ボーカルが突然自殺したという報せが、ロンドンで仕事に出かけていた彼の耳に届く。友人の死を悲しむ暇もなく、失意のウィルソンに、愛妻との別れが追いうちをかける。しかし1年も経たないうちに、ジョイ・ディヴィジョンは、女性メンバー一人を加えてニュー・オーダー(これもまたナチス系の名前で物議を醸す)として奇跡的に復活することになる。その間にファクトリーは、マンチェスターにハシエンダという名の大型クラブを作り、オフィスを構えるようになる。

 監督が、「ウェルカム・トゥ・サラエボ」や「ひかりのまち」のウィンターボトムだし、ジョイ・ディヴィジョン、ハッピーマンデーズと言ったマンチェスタームーヴメント当時のバンドの話というので、見に行ったのですが、はっきり言ってちょっと退屈でした。まあ、この手の音楽が嫌いではない私でも、そうだったのであまり音楽に興味がない人にはキツイでしょうね。多分、監督がその辺の音楽が好きで作ったのでしょうが、全然その辺が伝わってこない作品です。
 ストーリーとしては、実話でしょうから登場する人たちの承諾は取っているのでしょうが、主人公が突っ走っているというか退廃的に描かれているので、共感できるところがちょっと希薄になっています。まあ、パンクの辺りはこういうお祭り騒ぎの状況だったのでしょうが、「ベルベットゴールドゴールドマイン」「シド・アンド・ナンシー」にしろ「あの頃ペニー・レインと」にしろ、この手の映画は起こってしまった時間から離れた時代から見るとどうしても醒めた視点にならざる得ないので、その辺の見る側のスタンスとのギャップが生じるのは仕方がないのか知れません。でも、他の作品に比べて、自分でも不思議なくらいにのれない作品でした。

  評価 ☆☆☆  (03/7/12)


ball1ミニミニ大作戦
原題 The Italian Job (パラマウント/日本ヘラルド 111分  2003年)
監督 F・ゲイリー・グレイ
出演 マーク・ウォールバーグ  シャーリーズ・セロン

 水の都ベニス。難攻不落の最新型金庫に眠る50億円の金塊を奪うという最高にスリリングな計画。天才的な知性を持つ窃盗のカリスマ、チャーリーが仕掛けたこの大胆不敵なプロジェクトのために6人のプロフェッショナルが集結した。綿密な計画と究極のテクニック、そして最高のチームワークを武器に金塊に挑むチャーリーたち――。50億円を超える金塊を奪うことは、成功したかに思えた…。しかし、そこには想像を絶するアクシデントが…。そして1年後、ロサンゼルス。 チャーリーと仲間たちは、奪われた金塊の再強奪を計画――ロサンゼルス史上最も大きな渋滞をひきおこし、金塊を再び強奪する――というものだった。金塊の総重量なんと約1t。逃げ道わずか182cm。この状況を打破するために彼らが考えた起死回生の作戦。彼らがその作戦に必要だと選んだのは、なんと"ミニ クーパー"。メンバーだった男の娘を名乗る美女を迎え入れたさらなる強奪作戦が今、始まる…。

 ちょっと変ですが、なんとなく気になる邦題。なんとなく記憶にありましたが、やはり1969年に作られた作品のリメイクとのことです。もっとも私もテレビで観たのですが…。カーアクションやボートアクションが主の作品ですが、なんともおおがかりですね。ベニスの水路をチェースしまくる様や、ハリウッドの地下鉄にミニクーパーが入り込んでいく様は実写ならではの迫力があります。しかも、このカースタントを吹き替えなしで俳優たちがやったというのが驚きですね。一番運転が上手かったのはシャーリーズ・セロンだったとか、ベニスでの撮影がこの後禁止になったとかいう逸話も…。
 この作品、配役も結構豪華です。上記の二人に加え、エドワード・ノートン、ドクターイーブルの息子ことセス・グリーン。御大、ドナルド・サザーランドまでも出演しています。シャーリーズ・セロン、こういった話はどうかと思いましたが、意外と合っていますね。マーク・ウォールバーグはちょっと判断不能です。ルパン三世狙いか。(笑)
 (記憶があまりない)元々がそうなのでしょうが、娯楽作としては楽しめるお勧め作品です。でも、原題もオリジナルと同じですが、邦題でやはり損してと思うなぁ。

  評価 ☆☆☆☆  (03/7/6)


ball1北京ヴァイオリン
原題 和イ尓在一起 Together (中国/シネカノン 118分  2002年)
監督 陳凱歌(チェン・カイコー)
出演 唐韻(タン・ユィン)  劉佩奇(リウ・ペイチー)

 中国北部の豊かに水をたたえた田舎町。父親と二人で暮らしている13才のチュンは、ヴァイオリンが得意な少年だ。母親を亡くして顔も覚えていなかったが、チュンのヴァイオリンは母の形見だった。チュンのヴァイオリンの腕は町中で評判になっていて、やがてヴァイオリン・コンクールに出場するために北京へ行くことになった。大きな荷物を抱えて北京の駅に着くと駅はすごい人混み。そんな中でチュンは一人の女性に目が留まる。コンクールでは5位という結果に終わったが、審査員をしていた音楽の教師に父親が何とかお願いしてチュンの個人指導をしてもらうことになる。そして北京でアパートを借りると、そのすぐそばに、チュンが駅で出会った女性が部屋を借りていた。チアン先生は独身の変わり者で、寄付金の額で入賞順位が決まるような腐敗した音楽の世界にうんざりして投げやりになっていたのだが、チュンのヴァイオリンの音を聞いて、音楽家としての魂が突き動かされたのであった。
 「さらばわが愛 覇王別姫」のチェン・カイコーの最新作。

 ちょっと入り組んでいますが、ベースはシンプルな親子の情愛の話です。それに主人公のヴァイオリンの音楽がうまく絡まっていきます。ちょっと父親の態度がオーバー過ぎる感じもしますが、それはそれでいいのかな。あんなに田舎でトイレもない部屋で暮らしているのにバイオリンなんかうまくなるのかなぁ。ちょっと不思議です。
 主人公の近所に住んでいて憧れの対象になる女性が監督の実際の奥さんだし、監督自身もピアノの先生役で出ています。「ラストエンペラー」や「始皇帝暗殺」でも出演していましたが、どうなのかなぁ。ラストについても見る側の感想がわかれるでしょうね。見た直後は、それなりに感動があったのですが、時間が経つと陳凱歌にしては、深みがない割と凡庸な作品なのかなぁと点数も落ち気味です。ただ、冒頭の街のたたずまいがベニスみたいで美しい。

  評価 ☆☆☆☆  (03/7/6)


ball1チャーリーズ・エンジェル フルスロットル
原題 Charlie's Angels: Full Throttle (米国/ソニー 100分  2003年)
監督 McG
出演 キャメロン・ディアス  ドリュー・バリモア

 新たなミッションは、アジア大陸深奥のモンゴル=シベリア国境で始まった。3人のエンジェルたちは、拉致された米警察機構の要人を救出するため、得意の変装でテロリスト集団の巣窟に潜入。マーシャルアーツで敵兵をなぎ倒し、壮絶なチェイスのすえに重戦車を振り切って、いつものごとく鮮やかに目的を遂行する。 しかし、これはさらなる難事件のブロロ一グに過ぎなかった。テロリストの本当の狙いは、米国政府が連邦証人保護プログラムでかくまっている対組織犯罪の最重要証人リスト。拉致されていた要人は、そのトップシークレットにアクセスするキーアイテムである“指輪”を奪われていたのだ。米国に戻ったエンジェルたちの前に、さっそく第1の犠牲者が現われる。

 まあストーリーをあれこれ言う作品ではないですが、かなりずさんな脚本です。後半の展開から言えば、冒頭のチベットの話なんか全然無意味ですよね。冒頭で一回派手なアクションを入れるパターンは007辺りでもやるので、その倣いたどおもいますが、それを下手に関連づけてしまっているためかえって始末がわるいです。どう見ても東洋系のルーシー・リューの親が何故バリバリの白人なの?(笑)
 それはそれとして、派手なアクション振りはそれなりに楽しめます。見せ場も色々そろっているし…。さすがMTV出身の監督。どことなくプロモ的です。デミー・ムーア、久々の復帰。40には見えませんねぇ。さすが…。この作品、ドリュー・バリモアのデビット・ボウイメイクなどパロディなどが満載ですが、中でもあちこちにターミネーターのネタが見られます。一作目でシュワちゃんがやってきたグリフィス天文台とか出て来るし、T2のロバート・パトリックも出演しています。この辺が余計笑えますねぇ。また、昔懐かし、ジャクリーン・スミスやブルース・ウイルスが出てきたのにも笑えました。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/6/29)


ball1ベッカムに恋して
原題 BEND IT LIKE BECKHAM (アメリカ・イギリス・ドイツ/アルバトロス 112分  2003年)
監督 グリンダ・チャーダ
出演 パーミンダ・ナーグラ  キーラ・ナイトレイ

 ジェスはサッカーとベッカムを愛するインド系の少女。今日もテレビでサッカー中継を見ながら、ベッカムと一緒にプレーしている自分の姿を空想している。しかしそれも、彼女の名を呼ぶ大観衆の声がうんざりするような母親の呼び声と重なるまでのお楽しみ。いまジェスの家族は姉の結婚式にむけて大わらわなのだ。欝陶しい家を抜け出して、ジェスは男の子たちとサッカーに嵩じる毎日を送っていた。そんな彼女を遠くから見つめている女の子がいた。地元の女子サッカーチームのエースストライカー・ジュールズである。何かを決意したかのようにジュールズはジェスに近づいていき、一緒にサッカーをしょうと声をかける。突然のことに戸惑うジェス。しかしサッカーへの情熱は何にも勝る。チームのコーチ、ジョーにも見込まれ、公園でのお遊びサッカーから本格的なプレーへ、ジェスは新しい一歩を踏み出した。

 面白い作品でした。主人公がインド系の少女というのがいいですね、それでも、サッカーにはまってしまっています。原題は「BEND IT LIKE BECKHAM」、ベッカムの様に曲げてというタイトルです。彼のシュートのことを言っているのでしょうが、時期的に言ってそのベッカムも今の大人気のベッカムではなく、前のW杯でアンフェアなプレーで退場処分を食った後のベッカムですね。まあストーリーをあれこれ言う作品ではないですが、かなりずさんな脚本です。後半の展開から言えば、冒頭のチベットの話なんか全然無意味ですよね。冒頭で一回派手なアクションを入れるパターンは007辺りでもやるので、その倣いたどおもいますが、それを下手に関連づけてしまっているためかえって始末がわるいです。どう見ても東洋系のルーシー・リューの親が何故バリバリの白人なの?(笑)
 それはそれとして、派手なアクション振りはそれなりに楽しめます。見せ場も色々そろっているし…。さすがMTV出身の監督。どことなくプロモ的です。デミー・ムーア、久々の復帰。40には見えませんねぇ。さすが…。この作品、ドリュー・バリモアのデビット・ボウイメイクなどパロディなどが満載ですが、中でもあちこちにターミネーターのネタが見られます。一作目でシュワちゃんがやってきたグリフィス天文台とか出て来るし、T2のロバート・パトリックも出演しています。この辺が余計笑えますねぇ。また、昔懐かし、ジャクリーン・スミスやブルース・ウイルスが出てきたのにも笑えました。

  評価 ☆☆☆☆  (03/6/28)


ball1ソラリス
原題 Solaris (米国/20世紀フォックス 99分  2003年)
監督 ステイーヴン・ソダーバーグ
出演 ジョージ・クルーニー  ナターシャ・マケルホーン

 人類が遥かな宇宙まで進出するようになった未来の地球。一人で生活している心理学者に予期せぬ依頼が舞いこむ。依頼者は、惑星ソラリスを探査していた宇宙ステーションの調査を頼む。なぜ自分なのかという彼の疑問だったが、探査チームのリーダーで、学者の親友が助けを呼びかける姿が映った映像を見せられた。シャトルに乗ってステーションに足を踏み入れた彼を待っていたのは、無人の空間だった。細心の注意を払いながら進む彼が、まず見つけたのは血痕、そしてその先には彼の友人の死体があった。ステーションには何人か生存者が残っていたが、その後彼は、ここにいるはずのない少年を発見する。

 タルコフスキーの「惑星ソラリス」を製作、ジェームズ・キャメロン、監督ソダーバーグでリメイクはした作品です。タルコフスキーの作品はしばらく見ていないので、ちょっと忘れかけていますが、この作品とはちょっと趣向が違う感じがします。こちらの作品は体裁はSFですが、実際は主人公と彼の妻とのラブ・ストーリーになっています。それが成功しているかどうかは観客の判断によるところになると思います。私としては、意図はわかるけれど、ちょっとどうなのだろう、と言った感じですね。特にソラリスや何とか装置が一体どういう意味を持っているかと説明がわかりにくいです。ラブ・ストーリーと関係なくなってしまっているので、省いているのかもしれませんが、そうすると何のための「ソラリス」かということになります。そういえば、クルーニーが住んでいる家やステーションやソラリスもちょっとちゃちなセットに見えます。その辺もわざとなのかなぁ。
 ジョージ・クルーニーは無難なのですが、相手役のナターシャ・マケルホーンが今ひとつ感じがします。「キリング・ミー・ソフトリー」に出ていた?

  評価 ☆☆☆1/2  (03/6/21)


ball1二重スパイ
原題 LE PEUPLE MIGRATEUR/THE WINGED MIGRATION (韓国/ギャガ・ヒューマックス、東映 123分  2003年)
監督 キム・ヒョンジョン
出演 ハン・ソッキュ  コ・ソヨン

 1980年、冷戦下の東ベルリンを出国しようとしたひとりの男を、一発の銃弾が襲った。男は必死に追っ手をかわし、何とか西側へたどりつく。だが亡命者を装ったこの男は、実は北朝鮮が送り込んだ工作員だった。彼は韓国の国家安全企画部で厳しい取調べを受けたが、その拷問に耐え抜き、安企部に身柄を預けられることになる。 武装スパイの軍事訓練教官となり、上層部の信頼を獲得していった彼は、正式な安企部要員に採用された。彼に北からの最初の指令が下ったのは、それから間もなくしてだった。ラジオの音楽番組から流れてきた暗号に目の色を変えるビョンホ。「DJに接触せよ」。 口実を作り、放送局を訪ねた彼の前に現れるDJ。彼女もまた北のスパイであった。

 それなりに面白い作品ではありますが、どうも疑問もついて回ってしまいます。亡命者が一般市民だったらともかく、元々大使館員ですよね。だから、冒頭あれだけ拷問したりしたのだと思いますが、それなら要員になった後でも、監視員をつけるくらいならば、普通部屋に盗聴器くらいしかけているのではないかと思います。また、上司の方も結婚相手を紹介するのなら、もうちょっと相手を調べたりするでしよう。いくら名前を変えていても、それに気が付かないというのもどうでしょう。韓国には本貫と言って、同じルーツだと結婚出来なかったりするはずので、その辺もっと調べるのではないかと思いますが…。まあ、その辺は韓国の観客が我々日本人以上に気が付くでしょうから、十分考えた上での脚本だと思うのですが、どうも譜に落ちません。安企部って、もっとしっかりした組織だと思うのですが、ちょっと抜けている気がしますが、考えすぎかなぁ。
 また、二重スパイだと歌いながら、実際やったことは偽装漁民の北上を連絡したくらいで、大した仕事をしていないふうにとられたのも今一つ。もっとも、主人公はその程度のレベルだったので、後半の展開になったのかもしれませんが…。ラストも余計な気がするなぁ…。どうみても南米の風景じゃなかったし…。冒頭、いきなり、北朝鮮軍のパレードが出てきたりして、こういう作品ができるようになったことは評価できますが、ちょっと色々疑問が残るさくひんでした。ハン・ソッキユは相変わらずいいのですが…。

  評価 ☆☆☆1/2  (03/6/21)


new"風の絨毯
 (日本=イラン/ソニー・ピクチャーズ 111分  2002年)
監督 カマル・タブリーズィー
出演  柳生 美結   ファルボー・アフマジュー

 飛騨高山。ある男が四百年前に消失した伝説の祭屋台を現代の匠たちの技と心で蘇らせ、その祭屋台を飾る見送り幕にペルシャ絨毯をかけようとしていた。伝統と現代技術、日本とイラン、異なる文化の融合の架け橋ともいえる絨毯のデザインを託された女性画家の夫がペルシャ絨毯輸入業を商い、手配することになった。 絨毯は蘇った祭屋台を飾り、春のさくら祭りでお披露目されることになったが、。彼がイランへ発とうとした矢先、画家は交通事故で亡くなってしまう。夫婦には娘がいたが、彼女は、あまりの悲しみに笑顔を失い心を閉ざす。そんな娘の様子を見て、彼は、イランへ娘を連れて渡ることを決心する。絹江のデザインの絨毯を完成させることが、悲しみを越える方法だと信じていた…。

 日本とイランの共同製作の作品。期待してみにいったのですが、割と凡庸なストーリーで、今ひとつな感じです。異文化のすれ違いによって、なかなかできあがらない絨毯をメインに娘が閉ざされていた心を解き放っていく過程を描いているのですが、どうも表面的になぞっていっただけという印象であまり深層が描かれていない気がします。それほどの内容にすべき作品ではないのでかもしれませんが、どうも、見た後も印象が残らない作品のような気がします。おかけで書き込むのが漏れていました。

  評価 ☆☆☆  (03/6/15)


ball1WATARIDORI
原題 LE PEUPLE MIGRATEUR/THE WINGED MIGRATION (フランス・プレジデント・フィルムズ/日本ヘラルド 99分  2001年)
総監督 ジャック・ペラン
監督  ジャック・クルーゾ、ミッシェル・デバ

 渡り鳥の物語は、“必ず戻って来る”という約束の物語。 北半球に春が訪れると、鳥たちは、生まれ故郷である 北極の地を目指して飛び立つ。 昼夜を問わず、休む暇なく飛び続ける鳥たちもいれば、宿泊地を定めながら、日々努力を繰り返し、はるか彼方、約束の地を目指す鳥もいる。 やっと親鳥の元を離れた幼い鳥たちも、時には親鳥からはぐれて、たったひとりで見知らぬルート、熱帯地方の回帰線を羽ばたかねばならないかもしれない。一度も経験したことのない数千キロにもおよぶ空の道を、間違えることなく飛び続け、約束の地に到着する神秘、これはいったい何か? やがて北半球に新しい春が訪れると、渡り鳥は様々な困難を乗り越えて、あの空のルートを再び辿って、今年もまた“戻ってくる”という約束を守る。
 撮影期間3年、世界20ヶ国以上を 訪れ、 100種類を超える渡り鳥の 旅物語を映画化した作品。

 予告編を観ていて、どうやって撮っているんだろうと思っていたのですが、生まれる前から人に慣れさせて撮っているんですねぇ。なるほど…。軽量飛行機などを使って鳥の群や目線のすぐそばから撮っている映像には今までのドキュメンタリーなどには見られなかった迫力があり、見ている我々が一緒に飛んでいるような錯覚さえ起こさせます。それにしても、「渡り」という行為自体は実に不思議です。どうやって自分では飛んだことがない所を間違わずに目的地に飛んでいけるのか。
 一方、そう言ったシーンがないと単調になるため仕方がないのかも知れませんが、ハンティングのシーンや油まみれになるシーン等がやらせっぽく見えてちょっと興ざめでした。

  評価 ☆☆☆☆1/2  (03/6/15)


ball1少女の髪どめ
原題 BARAN/RAIN (イラン/日本ヘラルド 96分  2001年)
監督 マジッド・マジディ
出演 ホセイン・アベディニ  モハマド・アミル・ナジ

 冬のテヘラン。あるイラン人の少年が建築現場で買出しやお茶くみの仕事をしていた。ここではイラン人だけでなくアフガン人も働いている。ある日彼が買出しから戻ると、転落事故を起こして足を折ったアフガン難民の労働者が病院に運ばれようとしていた。親方は、彼らアフガン難民を無許可で雇っていたが、困っている者に頼まれると断れないたちで、アフガン難民に対しても、同情的だった。翌日、ケガをしたアフガン人の友人がまだ若い少年を連れてきた。働けなくなった父親の代わりに息子を雇ってくれないかというわけだ。少年は見るからにひ弱そうだし、満足に口もきけない様子だったが、親方は雇うことにした。  「運動靴と赤い金魚」「太陽は、ぼくの瞳」のイランの監督、マジッド・マジディの作品。

 マジッド・マジディの新作だと聞いて見たのですが、映画が始まってしてすぐ、私はある失敗に気が付きました。邦題が変わっていたのでわからなかったのですが、この作品、一昨年の福岡映画祭で観た作品だったのです。その他時の題名が「バラン」。でも、この作品二度観る価値がある作品でした。イランの少年とアフガン移民の少女の話ですが、何でもない建設現場の人々のやりとりの中を見ている内に遠く離れた我々にもイランやアフガニスタンが置かれている状況の難しさが段々とわかって来るようになります。マジディ監督は、俳優経験がない人を出演させているのですが、その辺の扱いが絶妙ですね。今回のヒロインなども難民キャンプに娘だそうです。

  評価 ☆☆☆☆  (03/6/14)


ball1アバウト・シュミット
原題 About Schmidt (ニューラインシネマ/ギャガ=ヒューマックス 125分  2002年)
監督 アレクサンダー・ペイン
出演 ジャック・ニコルソン  キャシー・ベイツ

 アメリカ中西部オマハ、ある保険会社の、すっかり片付けられたオフィスの一室で、ウォーレン・シュミットは、時計の針が退社時刻を指すのをじっと見つめていた。その日は彼の定年退職の日だった。42年間連れ添った妻と離れて暮らす一人嬢。平凡だが悪くない人生だったはずた。彼は治部のこれまでの人生に大きな不満があるわけではなかった。しかし、退職してみて初めて自分がどれほど会社に依存していたかに気づく。いつも通り7時きっかりに目覚めるが、妻の希望で購入した巨大なキャンピングカーで朝食をとると予定はもうない。終日テレビ鑑賞。たまらず会社に後任の若造を訪ねるがもちろんそこに居場所はない。そんなある日、シュミットはテレビCMで見たチャリティ団体に応募する。月々22ドル募金し、アフリカの恵まれない少年のスポンサーになるのだ。小切手と一緒に少年に手紙を書き始めるシュミット。ちょっとした自己紹介のつもりが筆は滑り始めた。手紙を投函して帰宅すると、妻が倒れていた。妻が突然、死んでしまったのだ。葬儀の準備に追われるシュミット。愛するジーニーが葬儀のために戻ったのはうれしいが、ロクでもない婚約者と一緒なのが気に食わなかった…。  アカデミー主演男優賞にノミネートされたジャック・ニコルソン主演の作品。

 会社一筋、定年まで勤め上げた男がいざ仕事がなくなってしまうと家庭にも居場所がない…。なんとも身につまされる話ですね。主人公を演じているのが、ジャック・ニコルソンですので、見せないわけがありません。娘の婚約者の母親を演じて怪演しているのが、キャシー・ベイツ。うーん。「シャイニング」対「ミザリー」(笑) 主人公の心情をチャイルド・スポンサーの子供に宛てた手紙の形式にしているのもうまいです。でも、あの婚約者、誰から見ても怪しいと思うのですが…。父親は辛いですねぇ。ジャック・ニコルソンの演技を引っ張り出している監督の演出もなかなかだと思いますが、ラストの涙はちょっと疑問ですね。

  評価 ☆☆☆☆  (03/6/1)


ball1チルソクの夏
 (プルミエ・インターナショナル他/プレノン・アッシュ 91分  2002年)
監督 佐々部 清
出演 水谷 妃里  上野 樹里

 1977年、下関市。姉妹都市釜山との親善事業として、毎年夏に開催される関釜陸上競技大会に出場した長府高校の陸上部員郁子は、同じ高跳び競技の韓国人の高校生に出会う。戒厳令中の釜山の夜に宿舎まで会いに来た彼に郁子は淡い恋心を抱く。来年の夏の再会を約束する2人。それはまさに七夕(韓国語でチルソク)の逢瀬。携帯電話もメールもなかった時代、日本と韓国が今ほど親しくなかった時代。 安の母親、郁子の父親、それぞれの葛藤の中で、郁子の切ない初恋をなんとか実らせようと奔走する、同じ陸上部の仲間の3人。そして翌年の夏、下関に釜山の高校生たちを乗せた船が着き、少女たちの想いが奔流のようにあふれ出します。
 下関出身、「陽はまた昇る」の監督、佐々部清の新作。

 この作品、山口県の下関でロケしている青春映画で、山口、福岡で先行ロードしていますが、全国公開は未定のようです。今では隔世の感がある?純粋な青春ものといえばそれまでてすが、年代的に私と近い話なので、結構はまりました。主演の水谷妃里はセノビーのCMに出ている子ですが、彼女も含めてメインの女の子たちは実際に陸上競技の経験があるようで、練習や試合のシーンも結構ちゃんとした作りになっています。演技はまあまあかな。部室やロッカールームのシーンでも着替えのシーンをちゃんと取っていて、単なるアイドル映画に収まっていないようです。主人公の家に風呂がなく、父親役の山本譲治!の仕事が流しでバイトも新聞配達というのもちょっと極端かもしれませんが、時代ですねえ。韓国に対する感情も当時はあんな感じだったような気がします。ラジオなどでかかつている曲も懐かしいですね。
 小倉シネプレックスや下関スカラ座では7月まで続映しています。

  評価 ☆☆☆☆  (03/6/1)


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