小路幸也
作品のページ No.2



11.花咲小路四丁目の聖人

12.荻窪シェアハウス小助川

13.レディ・マドンナ−東京バンドワゴンNo.7−

14.キシャツー

15.つむじダブル

16.スタンダップダブル!

17.蜂蜜秘密

18.フロム・ミー・トゥー・ユー−東京バンドワゴンNo.8−

19.札幌アンダーソング

20.スタンダップダブル! 甲子園ステージ


東京バンドワゴン、東京公園、シー・ラブズ・ユー、スタンド・バイ・ミー、マイ・ブルー・ヘブン、リライブ、オール・マイ・ラビング、ピースメーカー、オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ、東京ピーターパン

 → 小路幸也作品のページ No.1


オール・ユー・ニード・イズ・ラブ、すべての神様の十月、札幌アンダーソング間奏曲、ヒア・カムズ・ザ・サン、怪獣の夏はるかな星へ、ロング・ロング・ホリディ、アシタノユキカタ、札幌アンダーソング−ラスト・ソング、ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード、ラブ・ミー・テンダー

 → 小路幸也作品のページ No.3


東京カウガール、マイ・ディア・ポリスマン、花歌はうたう、駐在日記、ヘイ・ジュード、春は始まりのうた、アンド・アイ・ラブ・ハー、あの日に帰りたい、夏服を着た恋人たち、国道食堂 1st.season

 → 小路幸也作品のページ No.4


<銀の鰊亭>の御挨拶、三兄弟の僕らは、イエロー・サブマリン、国道食堂 2nd.season、グッバイ・イエロー・ブリック・ロード、君と歩いた青春、明日は結婚式、隠れの子、すべての神様の十月(二)、ハロー・グッドバイ

 → 小路幸也作品のページ No.5

  


                    

11.

●「花咲小路四丁目の聖人」● ★☆


花咲小路四丁目の聖人画像

2011年11月
ポプラ社刊
(1600円+税)

2013年10月
ポプラ文庫化



2011/12/10



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田舎町にある花咲小路商店街。すっかり寂れて、店が閉じられていくこともしばしば。
主人公は、元はその地域の大地主だったという矢車家の末裔、
矢車亜弥25歳、独身。今は父親と2人暮らしで小さな英数塾を営んでいる身。
その亜弥がかかえる秘密、心配事は父親である
聖人70歳のこと。
実はその父親が只者ではない。本名は
ドネィタス・ウィリアム・スティヴンソン、世界で名の知られた有名モデラーというが、その正体は、Last Gentleman-Thief"SAINT"(最後の泥棒紳士=セイント)という英国では伝説的な存在なのだという。
その聖人、商店街で起きたちょっとした事件を、たまたまその正体を知ることになった亜弥の幼馴染、4歳年下の
克己北斗の協力を得ながら解決する、ということを繰り返している。

そんな亜弥、聖人、克也、北斗らが愛する花咲小路商店街に、香港の大手スーパーチェーンが町ごと地上げし、再開発したいと誘惑の手を差し伸べてきます。その狙いは何なのか?
花咲小路商店街を守るためセイントが放った奇策とは? そしてのその成否は? というストーリィ。

世紀の怪盗とはいえ所詮一個の人間ですから、巨大グループに対抗するにしても・・・と思っていたのですが、聖人がとった対抗策は、予想もしなかったスケールの大きなもの。かつ、花咲小路商店街にとっても大きな益をもたらすもの。
そのスケールの大きさが痛快、克己・北斗というキャラクターの力もあって、楽しめる長篇になっています。

※怪盗とは、ルパン(ルブラン)、ジバコ(北杜夫)、クイーン(はやみね等々、常に読者を楽しませてくれる存在です。

              

12.

●「荻窪シェアハウス小助川(こすけがわ)」● ★★


荻窪シェアハウス小助川画像

2012年02月
新潮社刊
(1600円+税)

2014年08月
新潮文庫化



2012/03/17



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主人公の沢方佳人は19歳。父親が中学生の頃に亡くなって母親が外に出て働くことになったため、それ以来双子の弟・妹の世話を含め、家事を一生懸命やってきた男の子。高校を卒業した現在は、酒店でバイトしながらの主夫業。
そんな佳人を心配して母親、家から巣立ってみろという。近所で佳人も幼い頃から通っていた小助川医院が、閉院した後の建物をちょうどシェアハウスに転換する計画。担当した建築士の
相楽さんから、入居してオーナーのタカ先生と入居者たちの橋渡しをして欲しいと頼まれます。
さて、入居者の年齢も様々、女性4人+男子2人の
“シェアハウス小助川”、どんなドラマが展開されるのか。

家事好きという佳人のキャラクター設定も微妙ですが、何と言ってもシェアハウス小助川の雰囲気が、何とも楽しそうなのです。
思わず私でも入居してみたいなぁと思ってしまう程。
一つ家に、全くの他人6人が同居という設定ですから、入居者一人一人のドラマが展開されるのかと思うのですが、残念ながら差に非ず。主ストーリィは、佳人が新たな一歩を踏み出すまで、となっています。
したがって、他の入居者たちについては未だ未だ謎いっぱい。

魅力的な大家族物語東京バンドワゴンシリーズに負けないシリーズものになる潜在性たっぷりなのですが、さてシリーズものになるのかどうか。是非そう期待したいところです。
それ故、★☆評価に期待値を加えて★★。

※最近は共同生活を題材にした“荘もの”が多いそうです。以下参照。
群ようこ「れんげ荘」、島本理生「真綿荘の住人たち」、三浦しをん「木暮荘物語」、乾ルカ「てふてふ荘へようこそ」、越谷オサム「せきれい荘のタマル
また系統作に、
中島京子「花桃実桃」、大沼紀子「てのひらの父があるとか。

        

13.

●「レディ・マドンナ−東京バンドワゴン−」● ★☆


レディ・マドンナ画像

2012年04月
集英社刊
(1500円+税)

2013年08月
集英社文庫化



2012/05/13



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古書店+喫茶店を大勢の家族で営んでいる堀田家の賑やかな揉め事相談&奮闘記東京バンドワゴン第7弾!

毎年、本シリーズの新刊を読むのが楽しみです。
何が楽しいかって、新しい登場人物が次々と登場し、堀田家と何だかんだと繋がりを持っていく中で幸せになっていく、というパターンがあるからです。
なお、本巻では子供たちの成長が描かれていて、時間の推移を強く感じられます。
かんな鈴花の従姉妹同士2人は共に3歳、朝はカフェの中をうろうろしてすっかり新看板娘に。
花陽は志望高校に合格し、医大進学を目指して塾通い。すっかり女らしくなった花陽に男たちが眼を見張る思い。
研人はすっかりギター三昧。花陽とマードックと共にロンドンのマードック家を訪れた際、驚くべき行動力を見せます。
・研人以上に驚くべき姿を見せたのは、その母親である
亜美。堀田家の女性陣、みな只者ではないようです。
・その他、亜美の弟である
修平折原美世と漸く結婚。小料理屋「はる」の真奈美にも赤ちゃんが誕生、等々。

さてストーリィはと言えば、
・東京バンドワゴンに定期的に価値ある古書を売りに来る客は何者? また一方、その都度特定の棚にある本をごっそり買っていく客の正体は?
我南人の仲間で売れない音楽家の中川とその娘の再会のため、堀田家とその友人たちが一肌脱ぎます。
・神田の古書店に、東京バンドワゴン所蔵の貴重な古書が売りに持ち込まれた経緯は?
酒井光平が友人のために何とかしたいと勘一の元に持ち込んだ相談事とは?

冬−雪やこんこあなたに逢えた/春−鳶がくるりと鷹産んだ/夏−思い出は風に吹かれて/秋−レディ・マドンナ

              

14.

●「キシャツー」● ★★


キシャツー画像

2012年07月
河出書房新社
(1600円+税)

2014年07月
河出文庫化



2012/08/06



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表題の「キシャツー」とは、汽車通学のこと。
舞台となるのは、北海道は海沿い、通学列車は30分に1本にしてたった1両編成という町。
いつもキシャツーの高校生たち男女6人と、東京からこの町を訪れた高校生を交えた、ひと夏の清新な成長ストーリィ。

“ひらがな三人組”の2年生=はるか・このみ・あゆみ。そして3年生の酒井良夫と、コワイくらい美人という評判の野島紗絵が共にキシャツーの窓から海辺に見出したのは、赤いテント。
そのテントに好奇心を抱いた彼らは、東京から人を捜しに来たという同じ高三の
宮谷光太郎と知り合います。そして光太郎の人探しを手伝うことに。

海辺をそよぐ風のように、爽快な気持ち良さが感じられる作品。
ひとつには彼らの間の距離感の所為かもしれません。自然で和気藹々、お互いのことをよく知っているという気安さ。そんな彼らが光太郎のため一致協力するという展開、何と楽しいことか。
主ストーリィが光太郎の人探しへの協力であることに間違いはありませんが、それと同時に、高校2〜3年という時期にある彼ら彼女ら一人一人の内側を描いているところに本作品の真骨頂があります。
もうすぐ高校を卒業すれば各々が選んだ道を歩む身。お互いの希望や置かれた状況等が明らかになっていき、孤高だった3年の美人生徒が後輩たちの中に混じって自分でも新たな面を発見する、新たな人と繋がりができるという、先に希望のある成長ストーリィになっています。

理由づけはさておき、とにかく爽快さが本作品の最大の魅力。
爽やかで伸び伸びとした気持ち好いストーリィ、好きです!

赤いテントに、サックス(山田はるか)/知らない町に、ひとり(宮谷光太郎)/東京から来た、男の子(野島紗絵)/東京が運んできた、風(酒井良夫)/白いシャツと、お花(山田はるか)/知らない町の、姉さん(宮谷光太郎)/東京で暮らしてきた、女の人(野島紗絵)/東京へ帰る、友達(酒井良夫)/白いシャツと、キシャツー(山田はるか)/あの日の、キシャツー(宮谷光太郎)

               

15.

●「つむじダブル」●宮下奈都・共著) ★★


つむじダブル画像

2012年09月
ポプラ社刊
(1400円+税)

2015年02月
ポプラ文庫化



2012/10/03



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人気作家2人の合作による、心温まる家族物語。
兄である高校生の
由一(ゆういち)側からを第一人称で小路幸也、妹である小学生のまどか側からをやはり第一人称で宮下奈都が交互に描くという、ファンにとっては垂涎の的と言いたくなるコラボ作品。
但し、2作家による合作の記念碑的な作品、
江國香織辻仁成「冷静と情熱のあいだ」のような2冊構成ではなく、あくまで一冊の中での合作。

小宮一家は五人家族。小学生のまどかは10歳、柔道が好きな元気いっぱいの女の子。兄の由一は17歳の高校生で、仲間とバンド活動しており結構ファンを持っている。まどかは兄の由一が大好きで、由一も妹を可愛く思っている。
2人の両親は幼馴染同士で、
由美子35歳と耕一郎37歳。そして祖父の定一は隣で整骨院と柔道道場を営んでいる。
5人のいずれも明るくさっぱりとした性格で、皆家族を一人一人大事に思っているという具合。こんな幸せな家族は小説の中にしかないのでは、と思う程。
しかし、芦田伸子と名乗る見知らぬ女性からの電話を受けたことをきっかけにまどかは、母親が何か自分たちに隠しているらしいことを感じとります。
普通だったら、そこから家族の欺瞞が明らかになっていくという方向へストーリィが展開しそうなところですが、そうはならないところが本作品の気持ち良さ。
由一もまどかも、何か隠していることがあるらしいと感じても、それは母親が秘密にしておきたいことだから、と認めてあげるのです。そんなことができるのも、この家族間にしっかりとした信頼関係があるからこそでしょう。
この小宮一家の姿が、まどか・由一・母親の由美子という主要キャラクターと合わせてとても素敵です。
彼らの周りに登場する人物も、皆小宮一家に負けず劣らず好感のもてるキャラクターばかり。

温かくて気持ちの良い家族物語が好きな方に、是非お薦め。
(※中学生、高校生になったまどかも是非見たいものです。)

      

16.

●「スタンダップダブル!」● ★★


スタンダップダブル!画像

2012年11月
角川春樹事務所刊
(1500円+税)

2015年11月
ハルキ文庫化



2012/12/16



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北海道支局に異動となった全国紙スポーツ記者の前橋絵里は、高校野球取材の中、ふとある村立中学の野球部に注目します。何故かその野球部の試合では、何と外野ゴロが多かった。その野球部で目立ったのは、センターの青山健一とピッチャーの康一というイケメンな双子の選手。
やがて彼らが進学した
道立神別高校野球部は、全く無名の高校ながら甲子園をめざし、北北海道旭川支部の予選大会を次々と勝ち抜いていきます。
・何故彼らのチームは守備がとりわけ良いのか。
・何故彼らのチームに突如、名門高校で甲子園出場経験があり社会人野球でもレギュラーとして活躍していた
田村敏幸が監督に就任したのか。
・彼らのチームにはどんな秘密が隠されているのか。

ストーリィは、記者の絵里、それと神別高校野球部1年でキャッチャーの村上信司の目を通して、交互に語られていきます。
ユニークなチーム(ちょっとSF的なところがありますが)、そのユニークさを汲み取った田村監督の独創的な監督ぶりが、高校野球ストーリィとしても存分に楽しい。
チームメイト同士、監督と選手たち、相互に厚い信頼関係で結ばれた集団の姿が何とも爽快です。
しかし、神別高校野球部のチームワークの良さには、そして彼らが甲子園での優勝を目指す理由には、ある秘密があった。
その秘密の一部分は、彼ら野球部員の大半が今はもう解体された児童養護施設<
そよ風学園>の出身者であったこと。

高校野球小説としても面白いのですが、甲子園優勝を目指す根底にある彼らの熱い思いが何と言っても本作品の真骨頂。
仲間、家族への愛、そして大切な人への揺るぎない信頼、そんな彼らの真摯な思いが弾けている処に本作品の魅力があります。
長い家族小説シリーズとなった
東京バンドワゴン、その土台が在って本書の青春&スポーツ小説が生まれたものと思います。
名作という感じではありませんが本書、私のツボに嵌りました。
続編にも、乞う期待!

    

17.

「蜂蜜秘密」 


蜂蜜秘密画像

2013年02月
文芸春秋刊
(1500円+税)

2015年09月
文春文庫化

2013/03/01

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小路さんには珍しいファンタジー小説。
ストーリィの舞台は、<
奇跡の蜂蜜>を作る村として有名なポロウ村
そのポロウ村は<奇跡の蜂蜜>を守るため、村民が一体となって昔ながらの伝統的な暮らしを守ってきた。
しかし、その村の農業学校に
レオという少年が転校してきた時から、不思議な出来事が起こり始めます。
ストーリィは、ポロウ村で一番古い家系=
ロウゼ家の跡取り娘で転校生のお迎え番を務めることになったサリーと、転校生レオが交互に一人称で語っていくという趣向。

まるで桃源郷のような面影を見せるポロウ村を舞台に、ポロウの蜂蜜の秘密を巡るファンタジー。
しかし、本来ファンタジー小説の魅力というのは、ファンタジーな状況を土台に成り立つストーリィの面白さにあるのであって、ファンタジーな状況そのものにある訳ではないと思うのです。
本作品については、ポロウ村、そこで生まれる蜂蜜の秘密にファンタジー要素があるとはいっても、どこがファンタジーなのかを説明するだけで結局終わってしまっていると感じます。その点、残念と言う他ありません。

              

18.

「フロム・ミー・トゥ・ユー−東京バンドワゴン− ★★


フロム・ミー・トゥ・ユー画像

2013年04月
集英社刊
(1500円+税)

2015年04月
集英社文庫化



2013/05/17



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古書店+喫茶店を大勢の家族で営んでいる堀田家の賑やかな揉め事相談&奮闘記東京バンドワゴンシリーズ第8弾!

本シリーズの楽しさは、老若男女を問わず登場人物各々が個性的なドラマを大なり小なり抱えているところにあります。これまでの巻は、それら登場人物が入れ代わり立ち代わり一体となって諸々の問題に立ち向かうという展開でしたが、本書はシリーズ初の短篇集。しかも、登場人物幾人かのエピソードが描かれていますので、今までにはない楽しさ、面白さをたっぷり味わえます。

まずは研人に請われて紺が、ある日突然に堀田家にやってきたところからのことを語り出します。
さらに、
亜美の出会い、藤島社長の東京バンドワゴンへの初来店、我南人と後にその妻となった秋実との出会い、すずみの出会い、研人メリーちゃん。そして、花陽に請われた真奈美が、藍子が花陽を妊娠した当時の事情について語ります。
とくに本シリーズの始めから故人で、ストーリィに登場することのなかった秋実の生の姿を見れたのが嬉しい。

皆々、<東京バンドワゴン>ファンならかねてより知りたかったエピソードばかり。読めるとは思わなかったことですから、楽しくて堪らない、と思うのも無理ないことでしょう。
まさにファン必読の巻です!(笑顔)

紺に交われば青くなる/散歩進んで意気上がる/忘れじの其の面影かな/愛の花咲くこともある/縁もたけなわ味なもの/野良猫ロックンロール/会うは同居の始めかな/研人とメリーの愛の歌/言わぬも花の娘ごころ/包丁いっぽん相身互い/忘れものはなんですか

     

19.

「札幌アンダーソング」 ★☆


札幌アンダーソング画像

2014年01月
角川書店刊
(1500円+税)

2016年02月
角川文庫化



2014/02/22



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小路さんには珍しい刑事もの・事件ものということで興味を感じて読んでみた一冊。
刑事、事件といってもそこはやはり小路さん、並のミステリものと比べるとかなり風変わりです。

舞台は札幌。主人公は道警刑事の
仲野久28歳、先輩刑事の根来康平35歳とコンビを組んでいる。
その札幌で起きた奇妙な事件。真冬の雪の中、外傷もなく全裸の男性の死体が発見される。調べ始めると、似た事件が2件、しかも2件とも事故として処理されていた。
変態事件には変態をと、根来が協力を頼んだ相手というのが、天才にして変態、そして美貌の少年=
志村春19歳
さて春の協力を得て事件は解決へ向かうのか・・・・。

どうもその辺りが明瞭でないままに本ストーリィは終わってしまうのです。これで良いのかなぁ、と何となく思わざを得ません。
本書で天才探偵として登場した志村春、何と志村家の男性は4代前からの男の記憶を受け継ぐのだという。
何やら梶尾真治さんのエマノンを連想しますが、4代だけですから何ということもないと思うものの、本事件では威力を発揮します。
その訳有りの春を守る志村家の女性たちが、知る人ぞ知るジャズシンガーだという母親=
おケイさんこと慶子、札幌医療大学教授で根来の元同級生という長姉=秋奈、イラストレーターの次姉=夏美という次第。
キャラクター造形の面白さは判りましたが、事件解決としてはなぁ・・・・何となく不燃焼のまま。
このストーリィ、続きがあるんでしょうね、きっと。

      

20.

「スタンダップダブル! 甲子園ステージ ★★


スタンダップダブル!甲子園ステージ画像

2014年03月
角川春樹事務所刊
(1500円+税)

2016年02月
ハルキ文庫化


2014/03/27


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施設育ちの仲間たちからなる無名高校チームが甲子園を目指す、「スタンダップダブル!の後半。
地区予選を勝ち抜いた
道立神別高校野球部が引き続き躍動する本書の舞台は、甲子園!

無名の高校とはいえ、甲子園大会で勝ち進めば否応なくチームは注目されるようになります。無名の高校と、社会人野球で活躍していた田村敏幸が監督という取り合わせ、そこには何か秘密がある筈と金儲け目当てに田村たちと訳有りのフリーライターが暗躍し始めます。
そんな連中からナインを守ろうと、
前橋絵里らも甲子園へと向かいます。
片やチームの要であるキャッチャー=
村上信司を語り手とするナイン&田村監督の甲子園大会試合、片や前橋絵里を語り手とする球場外での大人たちの暗闘というストーリィの2本立て。
野球試合の表裏のように、表舞台と裏舞台のストーリィが交互に展開していきます。

裏舞台で中心となるのはいずれも曲者同士で、この辺りは小路さんらしいところ。ただの高校スポーツ小説では済ませません。
一方、肝心の甲子園大会の試合ストーリィも勿論楽しい。仲間を信じ合っていることから生まれるチームワークの良さには胸熱くなりますが、タムリンこと田村監督によるナインへの作戦指示、そのユニークさが何と言っても楽しく、痛快にして爽快。
感動+スポーツ小説の楽しさ+丁々発止の凌ぎ合い、それらを複層的に楽しめるのが本作品の魅力。好きなんだなぁ。

    

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