小路幸也
作品のページ No.5



41.<銀の鰊亭>の御挨拶

42.三兄弟の僕らは


43.イエロー・サブマリン−東京バンドワゴンNo.15−

44.国道食堂 2nd season

45.グッバイ・イエロー・ブリック・ロード−東京バンドワゴンNo.16−

46.君と歩いた青春
−駐在日記No.3−

47.明日は結婚式

48.隠れの子−東京バンドワゴン零−

49.すべての神様の十月(二)

50.ハロー・グッドバイ−東京バンドワゴンNo.17−


東京バンドワゴン、東京公園、シー・ラブズ・ユー、スタンド・バイ・ミー、マイ・ブルー・ヘブン、リライブ、オール・マイ・ラビング、ピースメーカー、オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ、東京ピーターパン

 → 小路幸也作品のページ No.1


花咲小路四丁目の聖人、荻窪シェアハウス小助川、レディ・マドンナ、キシャツー、つむじダブル、スタンダップダブル!、蜂蜜秘密、フロム・ミー・トゥ・ユー、札幌アンダーソング、スタンダップダブル!甲子園ステージ

 → 小路幸也作品のページ No.2


オール・ユー・ニード・イズ・ラブ、すべての神様の十月、札幌アンダーソング間奏曲、ヒア・カムズ・ザ・サン、怪獣の夏はるかな星へ、ロング・ロング・ホリディ、アシタノユキカタ、札幌アンダーソング−ラスト・ソング、ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード、ラブ・ミー・テンダー

 → 小路幸也作品のページ No.3


東京カウガール、マイ・ディア・ポリスマン、花歌はうたう、駐在日記、ヘイ・ジュード、春は始まりのうた、アンド・アイ・ラブ・ハー、あの日に帰りたい、夏服を着た恋人たち、国道食堂 1st.season、<銀の鰊亭>の御挨拶

 → 小路幸也作品のページ No.4


ペニー・レイン、からさんの家−まひろの章−、からさんの家−伽羅の章−、マンションフォンティーヌ、すべての神様の十月(三)

 → 小路幸也作品のページ No.6

  


 

41.

「<銀の鰊亭>の御挨拶 ★☆


<銀の鰊亭>の御挨拶

2020年02月
光文社

(1600円+税)

2022年06月
光文社文庫



2020/03/15



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かつて鰊漁で栄えた頃に網元だった青河家が、港町を見下ろす高台にある邸宅の一部を使って始めた料亭旅館<銀の鰊亭>
一年前、その別邸の一つが火事により焼失。
その火事で経営者の祖父母は焼死し、助けようとした叔母も怪我を負って記憶障害。さらに、祖父母以外に男女二人の遺体が発見されたが身元不明のまま、という結果。

主人公の
桂沢光は、同じ町にある大学の新一年生。ちょうど良いと母親からの頼みもあり、叔母=青河文・27歳の退院を機に営業を再開する<銀の鰊亭>に下宿することになります。
一方、弁護士の父親からは、身元不明の男性遺体に鋭利な刃物による刺し傷の痕があったという極秘情報を知らされ、
磯貝刑事による極秘捜査のことも告げられ、後を託されます。

再開早々、常連客らがやってきます。
文と一緒に客にご挨拶する、それも光の<銀の鰊亭>におけるバイトの一部。
しかし、不動産会社社長の
篠崎、医師の小松、親戚にあたる加原と、いずれも不審な振る舞いあり。
光に接触してきた磯貝刑事と連絡を取りながら、光も真相究明に向かって動き出す、というストーリィ。

上記の他、ベテラン板前の
二瓶仁さん等々、登場人物がいずれも魅力的、怪しい人物も個性的、というのが小路幸也作品の特徴。本作でもそれは変りません。
幾つのも謎の探り手となるのは、光、記憶を失った代わりに感覚が鋭敏になったという文、そして刑事の磯貝公太。
それぞれの持ち味を活かして、不審点を見つけ、探っていきます。

探偵役が、2人によるコンビというのはホームズ以来よくあるパターンですが、3人のトリオというのは珍しいかも。
終盤、思わぬ展開に驚かされますが、主役3人とも若々しいところから、青春ミステリとして位置付けて良い作品でしょう。
舞台、人物設定の妙で、それなりに楽しめました。


1.火事見舞いの<篠崎様>/2.お医者様の<小松様>/3.外食産業の<加原様>/4.刑事の<磯貝公太様>/5.叔母の<青河文>/6.板前の<二瓶仁>/7.<銀の鰊亭>の皆さん/8.<銀の鰊亭>の御挨拶

     

42.

「三兄弟の僕らは ★☆


三兄弟の僕らは

2020年03月
PHP研究所

(1600円+税)

2023年01月
PHP文芸文庫



2020/06/10



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建設会社勤務の父親と専業主婦の母親に、男の子ばかり三兄弟(朗=大3、昭=高2、幸=中2)という稲野家
しかし、結婚25周年の記念旅行に出掛けた両親が交通事故死し、子供たち三兄弟だけが取り残されてしまいます。

いくら何でも子供達だけで放ってはおけないと、母親と疎遠だったという母方の祖母が札幌から横浜の稲野家に駆けつけて来てくれます。
同居してくれた祖母の
(坂橋)栄枝ばあちゃんから三兄弟は、近所との付き合い方を教わり、それまで関心を持つこともなかった父親と母親の事情を知ることになります。
言わば家族の再発見、といったところ。ところが、さらに驚く父親の秘密が明らかになり・・・・。

両親の突然の死・・・・普通には、遺された家族の悲しみ、その後の苦労といった展開になるのでしょうけれど、本ストーリィ、そうはなりません。
もちろんその時は悲しんでいますが、その後は気持ちにケリをつけて飄々というか、いつも通り、というか、淡々とした印象です。
後ろを振り向くより、三人ともこれから先へと顔が向いている、という雰囲気です。
三兄弟のあり様が、如何にも小路幸也作品らしく、健全で爽やか、ちょっとやそっとのことには動じない、如何にも気持ちの良い男の子たち、という風です。

出来過ぎではありますが、出来過ぎだから楽しい。それは東京バンドワゴンシリーズの魅力と共通するところがあります。
人によって好みは分かれるのかもしれませんが、私は本作の三兄弟たちが醸し出す雰囲気、好きですねぇ。
さらに、最後に登場する
杉下優衣ちゃんが可愛いのです。

プロローグ(長男 稲野朗)/1.町内会の班長さんは大変だ(長男 稲野朗)/2.遺されたものの整理は(次男 稲野昭)/3.遺されたものは、なんだったのかな(三男 稲野幸)/4.繋がっているものは、なんだろう(長男 稲野朗)/5.血の繋がりってのは、なんだろうね(祖母 坂橋栄枝)/6.それぞれの人生って、なんだろうな(次男 稲野昭)/7.家族って、なんだろうな(三男 稲野幸)/8.父親と男って、なんだろうな(長男 稲野朗)/9.三兄弟の僕らは(長男 稲野朗)/エピローグ(杉下優衣)

      

43.
「イエロー・サブマリン−東京バンドワゴン− ★★


イエロー・サブマリン

2020年04月
集英社

(1500円+税)

2022年04月
集英社文庫



2020/05/09



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東京バンドワゴン”シリーズ第15弾。
研人芽莉依ちゃんはもう高校3年。いよいよ本巻の最後では、卒業、大学受験、○○という門出の時を迎えます。
あの研人と芽莉依ちゃんがねぇとは、作品中の家族だけでなく、ずっと本シリーズを読んできた読者としても感じるところです。
また本巻ではもう一つ、
<家>がテーマとなっているようです。

いつ読んでも楽しい、毎年読むのを心待ちしている、という和気藹々と楽しい大家族ストーリィ。本巻も十分楽しめました。

「夏−絵も言われぬ縁結び」:建築会社を営む我南人の幼馴染=篠原新一郎が勘一と祐円に頼み事。解体工事を頼まれた凝った古い建物、アトリエらしい部屋の中に血?に塗れた本、そのうえ不気味な声まで。そこに卒論に必要な資料探しと、S大文学部の学生=根岸裕子が古本屋を訪ねてきます。
堀田家の人脈を駆使してのちょっとしたミステリ?
「秋−元のあなたの空遠く」:小説家として名が売れ出した紺の元に、船橋源一郎という男性から紺の作品は自分の作品から盗ったものだ、という手紙が届きます。一体何故?
また研人が、花陽のボーイフレンドである
東麟太郎が女性とカフェ、しかもその女性が泣いていた場面を目撃。浮気?
「冬−線が一本あったとさ」:川崎の女子中学生が古本屋に。謎めいた本の選び方、そのうえ買い置きの依頼。目的は何?
 
「春−イエロー・サブマリン」:研人、芽莉依がそれぞれに高校の卒業式を迎えます。そして翌日は芽莉依の東大合格発表日。札幌から上京してきた芽莉依の両親も含めた皆の前で、研人と芽莉依ちゃんが2人の今後について発表します。

夏−絵も言われぬ縁結び/秋−元のあなたの空遠く/冬−線が一本あったとさ/春−イエロー・サブマリン

     

44.

国道食堂 2nd season ★★


国道食堂 2nd season

2021年01月
徳間書店

(1700円+税)

2023年05月
徳間文庫



2021/02/20



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人と人が出逢い、人の繋がりがどんどん広がっていく・・・そんな場所が、元プロレスラー=本橋十一が店主の<国道食堂>。
登場人物各人の人生ドラマという群像劇+人の集合劇、本シリーズの魅力はそれに尽きます。
シリーズ第2弾は、前作から1年後。

前作で恋人関係の復活・始まりが予想された
二方将一(俳優=二方一としてデビュー済)と池野美智、久田亜由篠塚洋人のその後が、順調であることがまず語られます。
それに加え、本橋十一本人にも結婚話が進んでいようとは!

しかし、そこに暗雲、一抹の不安が影を落とします。
それに絡むのが、シングルマザーのトラックドライバー=
黒岩蘭子、そしてネイチャーフォトグラファーの高幡しずか
でも、ちょっとぐらいの不安要素も本橋十一が控えているからには大丈夫。サスペンスの風味付け少々のようなものです。

しかし全体を眺めると、結婚の失敗例、これから新たな結婚に踏み出す人たち、再婚という再出発と、結婚に彩られている巻ですねぇ。

第一作に登場した人物たちのその後を、本巻で知ることのできることが嬉しい。
本橋十一の新たな門出により、次巻ではどんな変化がもたらされるのか。今から楽しみです。

東京バンドワゴンシリーズに勝るとも劣らない、魅力いっぱいの本シリーズ、次巻がいまから楽しみです。

黒岩蘭子(33歳)/加藤和美(38歳)/池野美智(34歳)/高幡しずか(36歳)/賀川みさ子(71歳)/賀川ふさ子(71歳)/鈴木みのり(24歳)/桜川順子(36歳)/小村美也(17歳)/久田亜由(27歳)/夏川伊久美(69歳)/有宮波乃(34歳)/高幡しずか/黒岩蘭子/二方将二(29歳)/二方一(はじめ)(34歳)/本橋十一(58歳)/黒岩蘭子

          

45.

「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード−東京バンドワゴン− ★☆


グッバイ・イエロー・ブリック・ロード

2021年04月
集英社

(1600円+税)

2023年04月
集英社文庫



2021/05/19



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東京バンドワゴン”シリーズ第16弾は、番外編。
「番外編」はシリーズ
第5弾「マイ・ブルー・ヘブン以来でしょうか。

本巻の舞台はイギリス、
マードックと藍子が現在暮らしているオックスフォード。
高校を卒業していよいよプロのミュージシャンとしての活動を始める研人たちのバンド
<TOKYO BANDWAGON>
我南人の友人である英国が誇る世界的ミュージシャンのキースから、卒業祝い&結婚祝い(芽莉依との)として、キースのプライベートスタジオを好きに使ってフルアルバム作りをしていい、との申し出。
喜び勇んだ
研人・甘利大・渡辺三蔵の3人に、プロデューサーとして我南人も同行、4人で英国へ。

藍子とマードック、マードックの両親との再会を喜んだものの、ニュー・スコットランド・ヤード(警察)の<
美術骨董盗難特捜班>から任意同行を頼まれたマードックが、警察を出た後行方不明になる、という事件が発生。

さっそく我南人、研人と藍子ら、そして研人から連絡を受けた東京の
堀田家+木島・藤島の面々まで動き出し、マードックの行方が探し求められます。
そして語り手である
サチは、なんとサチの姿が見え会話も交わせる日英混血の<特捜班>所属事務官=ジュン・ヤマノウエと協力するという、3ルートでの事件探索ストーリィ。

凶悪事件に繋がらず良かった、良かった、という顛末ですが、それなりに楽しめます。
なお、日本から海外に出ると、我南人の存在感、人脈はやはり群を抜きますね。
世界中での活躍を目指す研人たちバンドの、デビュー後の活躍が楽しみです。


プロローグ1.A Certain Place in England/プロローグ2.東京の堀田家/1.ボヘミアン・ラプソディ/2.オール・フォー・ラブ/エピローグ1.東京の堀田家/エピローグ2.Jun's Home in England

         

46.

「君と歩いた青春−駐在日記− A Pliceman's Diary ★☆   


君と歩いた青春

2021年06月
中央公論社

(1600円+税)

2023年07月
中公文庫



2021/07/13



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神奈川県警松宮警察署雉子宮駐在所に勤務する、若い警官=蓑島周平と、その妻である元外科医=という夫婦コンビを主人公にした駐在日記シリーズ第3弾。

相変わらず、長閑な日々。ちょっとした事件も、事件にしないで解決してしまうというのが本シリーズの気持ち好さです。

雉子宮神社の一人娘の早稲雉子宮山小屋圭吾が結婚し、駐在所の2階で新婚暮らしを始めます。
必然的に朝食は4人揃ってとなり、周平&花チームに早稲&圭吾の若々しいコンビが加わった、という印象です。

「冬−木曜日の雪融けは、勘当者」
村長の
高田哲夫が脳卒中で倒れます。見舞いに戻ってきた次女=貴子が伴っていた夫と娘は・・・。
「春−土曜日の来訪者は、スキャンダル」
圭吾が作り上げていたログハウスを借りたいと、小説家と秘書と名乗る男女がやって来るのですが・・・。
「夏−日曜日の幽霊は、放浪者」
何人もの人が山に不審な灯りを目撃。最後に登場したのは放浪者と、・・・。
「秋−木曜日の謎は、埋蔵金」
あおい山にTV局が埋蔵金探しにやってきます。その結果掘り当てたものは・・・。

それにしても今回印象的だったのは、簑島周平が有能な刑事だったことが広く知られていたこと、です。


プロローグ:一年と十ヶ月前/冬−木曜日の雪融けは、勘当者/春−土曜日の来訪者は、スキャンダル/夏−日曜日の幽霊は、放浪者/秋−木曜日の謎は、埋蔵金/エピローグ

          

47.

「明日は結婚式 ★☆   


明日は結婚式

2021年07月
祥伝社

(1500円+税)



2021/08/04



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明日は長女と長男の結婚式。
その前日、家族それぞれ、本人たちの思い出、思いを綴る、連作もの。
如何にも小路幸也さんらしい、温かな家族ストーリィです。

本人や家族たち以上に、読者の方がこの結婚を気持ち良く感じていると言えますが、出来過ぎは出来過ぎ。普通、こんな風にうまくは行きません。いや行かなかったし、行かないでしょう?

新婦の
春香、パンが大好き。とりわけ気に入ったパン屋が<ベーカリーHOSS>。常連客となる内、店でレジバイトをしていた次女の真奈が、たまたま店に顔を出していた兄=真平を紹介。
真奈、2人の様子にビビッと来るものがあったのだという。

パンが大好きで、大好きなパン屋の実家に今も住んでいる真平と結婚し、その家に同居予定。
我が家のパンが大好きな春香が嫁入りしてくるとあって、真平の家族も嬉しくてしょうがない、というのですから、余りに嵌り過ぎ。
でも、皆が幸せな気分になれるのなら、それで良いではないですか。どこかで余りに出来過ぎで、さも幸せそうな新婚夫婦が誕生するのも悪くはない、というものです。

※さて結婚前夜、自分の場合はどうだったのか、というとまるで覚えていないですねぇ。翌日の準備、そのまま旅立つ新婚旅行の準備で忙しかったのだろう、と思います。


井東秋郎 :<新婦の弟> 21歳 私立大学三年生
細井真奈 :<新郎の妹> 17歳 高校二年生
綿貫壽賀子:<新婦の母方の祖母> 78歳 無職
細井光彦 :<新郎の父> 59歳 <ベーカリー HOSS>店主
井東奈々子:<新婦の母> 50歳 専業主婦
細井久美 :<新郎の継母> 42歳 主婦 <ベーカリー HOSS>従業員
井東孝明 :<新婦の父> 56歳 大手食品会社勤務
細井真由 :<新郎の妹> 21歳 <ベーカリー HOSS>従業員
細井真平 :<新郎> 31歳 グラフィックデザイナー イラストレーター
井東春香 :<新婦> 26歳 信用金庫勤務

       

48.

「隠れの子−東京バンドワゴン零− ★☆   


隠れの子

2021年07月
集英社文庫

(680円+税)



2021/08/07



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“東京バンドワゴン”という副題が冠されているからには、ずっと同シリーズを読み続けてきた身として手を出さない訳にはいきません。
でも・・・舞台は江戸。内容はというと、不審な突然死の謎を追う大江戸捕り物帖、さらに異能力者たちの闘い・・・となると、“東京バンドワゴン”とどう関係するのやら?

登場する若き北町奉行所同心の名前は、確かに「堀田」ではありますが・・・。なお、事件解決のため様々な人たちが協力し合います、そこは東京バンドワゴンと共通するのかも。

・まず登場するのが、11、12歳の少女=
るう。植木屋「神楽屋」の主人=鉄斎から<隠れあそび>の始末を頼まれ、さる商家に滞在しています。るうはそれを解決する隠れの力を有するから。
・そしてるうは、近所の秣商
「遠州屋」佐吉に出会います。その佐吉、“ひとり隠れ”なのだという。
・さらに登場するのが、急死した養父から定町廻り同心のお役目を引き継いだばかりの
堀田州次郎。なんと、稀な存在である“ひなたの隠れ”なのだという。

隠れの子、隠れの力、ひとり隠れ、ひなた隠れと、??という言葉が次々と飛び出してきますが、要は異能力、だから人に隠しているため「隠れ」という次第。
その中、異能力の闇に引きこまれてしまった“
闇隠れ”が事件、謎の「ざりば講」の背後にいるのか。
隠しの力を持つ者たちをたばね守っている神楽鉄斎と遠州屋佐吉らが協力し合い、州次郎とるうは事件の根幹に迫ります。

多分、新シリーズになるのでしょう。本作はその序章となる巻、と思います。
なお、本作から大江戸版
“サイボーグ009”(石ノ森章太郎原作)を連想したのは私だけでしょうか。

隠れあそび/ざりば講/闇隠れ/隠れの子

       

49.

「すべての神様の十月(二) ★☆   


すべての神様の十月(二)

2021年09月
PHP文芸文庫

(740円+税)

2021/10/31

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人間的な神様たちが様々に人間と触れ合う姿を描いたユニークな連作短篇シリーズ、第2弾。

ただ、前作のような驚きはもう無い所為か、興奮には至らず。
とは言っても、いろいろな神様たちが人間と共存する様子をそれなりに楽しく読むことができました。

登場するのは、犬や猫の亡霊、死神、貧乏神、九十九神(付喪神)、福の神、風神、女神? 等々。
中でも楽しいのは、死神と貧乏神でしょうか。

本作中で特に気に入ったのは、
「戌の日に」「お稲荷さんをよろしく」「死神に恋」「眠れぬ夜の神様」の4篇。

気分転換に読むには恰好の一冊であること、間違いなし。


戌の日に/お稲荷さんをよろしく/天狗さまのもとに/死神に恋/眠れぬ夜の神様/笑う門には福来る/落とした物を探しています/引きこもりにおじさん/子供は風の子/七回目の神様

       

50.

「ハロー・グッドバイ−東京バンドワゴン− ★★   




2022年04月
集英社

(1600円+税)

2024年04月
集英社文庫



2022/05/26



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東京バンドワゴン”シリーズ第17弾。
本シリーズに登場する子どもたちの成長を、改めて感じる一冊になっています。
花陽は医大3年生、芽莉依ちゃんは現役合格した東大に進学(研人とは入籍済みでもはや人妻)。
カフェの看板少女である
かんな鈴花は小学2年生。

新たな登場人物がまた登場してくる一方、顔を見せない馴染みの人物たちもいます。
我南人が家にいることが多くなっているのは、最近の変化かもしれません。

本巻での大きな変化は、カフェの夜営業を始め、午後11時まで。古本屋も表扉は閉めるものの、カフェから入店してもらえるという態勢に。
するとバイトを増やしたかった
君野和、自分もカフェを手伝ってみたいと花陽、芽莉依、藤島社長の妻となった美登里まで言い出し、看板娘が大勢になります。

本巻では、亡くなった
秋実の話題がいつもより多いような。

そして最後の章では、戻ってくる者もいれば、出ていく者もありと描かれ、一つの節目が来たことを感じさせられます。

大家族での暮らしは、珍しくまた貴重な物語。まだまだ続いて欲しいものです、勘一の目が黒い限りは。

春−ここ掘れワンワン迷子かな/夏−一夜一夜にもの語る/秋−どこかで誰かが君の名を/冬−ハロー・グッドバイ

         

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