ベールの彼方の生活
第三巻 『天界の政庁』カスリーン霊 リーダー霊
GVオーエン(George Vale Owen)著
近藤 千雄(こんどう かずお)訳
潮文社発行


 一つの問題についての意見が各自まちまちであるのは人間世界の常であるが、宗教問題、とくにこうした霊界通信の解釈においてそれが顕著であるように思われる。東洋では仏典、西洋ではバイブルの解釈の違いがそれぞれの世界で無数といってよいほどの宗教を生み、今なお新興させつつある事実がそれを如実に物語っている。

それは死後の下層界、つまり地球に隣接した世界においても同様であるらしく、むしろ地上の現状はその反映にほかならないというのが真相であるらしい。

それはともかく、本書を含めて、筆者がこの二、三年来紹介してきた西洋的啓示、いわゆるスピリチュアリズム的霊界通信に対する読者の反応もさまざまであろう。

頭から否定してかかる人がまず多いであろう。その否定派にも、霊言とか自動書記という事実そのものを否定する人と、その事実は認めても、その原因は霊媒の潜在意識にあると簡単に片づけている人とがいる。そういう人にとっては、人間の潜在意識とはいかなるものなのか──その潜在意識に思想的通信を語る能力。

あるいは綴る能力があるかどうかは別に問題はないらしい。筆者にはその方がよほど有りそうにないことのように思えるのだが・・・・