第12章 シルバーバーチの祈り
ハンネン・スワッハー・ホームサークル、すなわちシルバーバーチ交霊会はきまってシルバーバーチの祈りの言葉で始まり、終わりも必ずシルバーバーチの祈りの言葉で締めくくられる。祈りの内容は大同小異であるが、その表現は一つ一つ違い、出席者はその妙味に感嘆させられるのが常である。その中から典型的なものを紹介する。

神よ──天地の創造主、至尊至高の絶対的な力、全存在の宿命の統括者にまします神よ、私たちはこれまであなたの得さしめ給いし全てのものに対して深甚なる感謝の意を表明いたします。

私たちの為に暗き道を明るく照らし給いしその光、あなたを、そして私たちを自らより深く理解させて下さったその知識、そして私たちを栄光と光輝とによりて温かく包んでくださったその叡智に対して深く感謝いたします。

私がこうして存在することの真の理由、宇宙人生の背後に秘められた真の目的を啓示され給い、日夜私たちをお導きくださるその愛に深く感謝いたします。

また、私たちのために真理普及の道を切り開いてくださった先達の数々、地ならしをしてくださった開拓者の数々、悪戦苦闘した改革者たち、その他、宗教家、哲学者、賢聖 ──そのうちのある者は地上にては名も知られず、死して漸くその名を認められ、あるいは死後もなおその偉大さに気づかれずにおりますが、こうした人々の全てに対しても深い感謝の念を禁じ得ません。

これまでにあなたより授けられた恩寵に対し厚く御礼申し上げます。皆々と共に感謝の言葉を捧げるとともに、代わりて私たちがあなたの御力の通路となり、あなたの御計画推進の一翼を担い、御子たちのために役立つことができますように導き給わんことを。

ここに、ひたすら人のために役立つことをのみ願うあなたの僕インディアンの祈りを捧げます。

(注釈──祈りの初めあるいは途中で神に呼びかける時、シルバーバーチは必ず Great White Spirit という言い方をします。普段の霊言の中では神のことをGreat Spirit ── 時にGod──と言っており、これを文字通り訳せば〝大霊〟と言うことになります。

われわれ一人ひとりが〝霊〟で、その生みの親である神を〝大霊〟というのは理屈では分かりますが、これでは日本人にとって古来〝神〟と言う文字およびそれを口にしたときの響きから受ける崇敬の念が感じ取れません。そこで私はこれまで、ある時は神と訳し、ある時は〝大霊〟と訳したりしましたが、

これをさらに White と形容詞が付くと、もはや日本語では訳せなくなります。と言うのは、シルバーバーチはホワイトと言う用語を〝無色〟の意味で用い、それによって〝無垢〟を象徴させているのですが、英語ではそれで良いとしても、これを〝白い〟とか〝白色〟とか、〝無色の〟とかの日本語に直すと、日本特有の感覚的な〝味〟が強く出て理解の妨げになります。

その点、カミと言う言葉は、言霊的に見ても響きの上からもシルバーバーチの説く God あるいは Great spirit もぴったりであるとの考えから、私は祈りの冒頭の Great Spirit もあっさりと〝神〟と訳しました。

また、シルバーバーチは祈りの最後に必ず〝あなたの僕インディアン〟your Indian servant と言うのですが、このインディアンがシルバーバーチ霊その人ではないことは「まえがき」で編者がハンネン・スワッハーの言葉を引用して解説しています。しかし、このインディアンの霊も紀元前の古代霊であり、神界 ── 少なくとも地球圏の最高界 ── の波長を受信できるほど進化した高級霊であることは間違いありません。

霊界の霊媒として元インディアンだった霊を使ったことは、インディアンが民族的に心霊能力が優れていることも理由の一つでしょうが、私は、これまで白人中心の文明思想に毒されてきている地球人類への戒めが込められていると観ております。それはシリーズを読み通していただけば、きっと読み取っていただけるものと思います)