男の自宅介護

車載用車椅子ティルティング台座:介護用品をつくる<10>

在宅介護スタートから3年後に福祉車両と車載用の車いすを購入しましたが、外出先にベッドなどの休憩する場所がないところへ長時間出かけるときはリクライニング車いすをレンタルしました。そこで、車いすを倒せばリクライニングになると思いつきました。



 

長時間座位にはリクライニング車椅子をレンタル


在宅介護スタートから3年後に福祉車両を購入し、しばらくして車載用の車いすを購入しました。

「車載用」とうたっているものは「ヘッドレスト付き」
「フレームの強度アップ」「シートベルトの掛けやすさ」
「リフト用と固定用の専用フック」などの配慮がされています。

特に「ヘッドレスト」は、要介護5の妻が長時間の座位を保つために頭と背中の位置を保持してくれるのと、追突事故によるむち打ち症の対策になります。

そこで3社の機能を比較し、コストパフォーマンスの良い機種を購入しました。でも価格は普通の車いすの2倍はします。

それでも、半日がかりの外出となると、やはり心配なので、外出先にベッドなどの休憩する場所がないところへ長時間出かけるときはリクライニング車いすをレンタルしました。

リクライニング車いすは、買うとなると、さらに車載用車いすの2倍以上します。
介護保険のレンタルなら月額1割負担の800円です。

ティルティング台座を作成


2016年6月の血液検査、脳外科、内科、眼科のハシゴでは、
半日がかりで、長時間の座位でした。
散歩のように動いていれば気もまぎれますが、同じ姿勢で同じ場所では、しんどくなるようです。
 
その場で思いつきました。
車いすを倒せばリクライニングになると。
車載用車いすならヘッドレストがあるので背もたれになり、座面にかかる体圧が分散され、楽な姿勢になります。
車載用車いすをリクライニングにする台座を作ってみました。

リクライニング車いすにも3種類あります。
【リクライニング車椅子】背もたれのみ角度を変える
【ティルティング車椅子】座面ごと角度を変える
【ティルト&リクライニング車椅子】両方出来るタイプ

今回、車いすを倒すので、「ティルティング車椅子」となります。
足は高く上がりますが、体が前にずれることもなく楽な姿勢になります。
市販品のように倒した状態での移動は想定していません。
あくまで、休憩時の楽な姿勢を目指しています。
よって、市販の介護用品にもこのアイデアは見当たりません。
 
最初は木材で着脱式にしました。装着時、デイバックやテーブル、折りたたみ椅子は外すことになります。



・上はヘッドレストの横棒にゴムバンドで仮止め
・下は、筋交い棒をボルトで回転自在に止めてあり
・筋交い棒の反対側は、車いすの固定フックに引っ掛けます
・車いす車輪のロックをする。
・そのまま、倒す。
筋交い棒は倒す時の位置決めだけなので、力はかかりません。
車輪をロックしておけばグラグラすることもありません。



材料費はありもので作ったので0円。
(ただし、最初の試行錯誤で金具を購入し数百円使いました)

改造1:ビーチパラソルを取り付け


座った状態で右側にビーチパラソルを取り付けるようにしてありますが、リクライニングした状態でも左側にビーチパラソルを着脱できるように改造しました。

下は、筋交い棒に蝶番で支柱が通る板を取り付けて、
上は車いすに支柱が通るリングを結束バンドでとめました。





太陽の角度によっては従来通り座った状態の取り付け位置にビーチパラソルを取り付けた方が太陽の陰になる場合があります。



改造2:背もたれ角度を2段階に変更


最初に作成の台座は背もたれの角度が56度です。
休むのにはいいのですが、倒し過ぎの感があり。
倒した状態で前の景色が見にくい。足が上がりすぎの感じです。
 
もう少し起こすパターンもできるように2段階にしました。
 
台座を10cmほど高くするように追加の台座を作成しました。
固定用の筋交い棒も長さが変わってくるので、穴を追加しています。

これで、背もたれの角度は45度になりました。
これ以上起こすと、前荷重になり戻ってしまうため限界です。
 
これで、背もたれの角度は、何もしない状態で12度。
ティルティングで45度(左)と56度(右)を選択できます。



改造3:背もたれ角度45度で常設に変更


使用頻度も多くなりましたが、課題が出てきました。
 
折りたたみ椅子とテーブルの外側に吊り下げているので
・使用時はテーブルと椅子、デイバックを外して、取り付けないといけない。
・取り付けはゴムバンドなので手間がかかる。
・筋交い棒が回転自在の固定式のため装着に手間がかかる。
・台座を吊り下げた状態が低いので階段など傾けた時台座が地面に当たり、降りにくい。
・椅子やテーブルを単独で使うときはティルティング台座の下から取るので外しにくい。
・45度と56度を選択できるようにしたが、追加の台座を脱着する手間があるので、結局56度は使わない。


そこで、以下の改造を行いました。
・台座を常時車いす横棒に取付けた状態にする。上の写真
・角度固定用の筋交い棒の引っ掛け形状を変更して、筋交い棒を着脱式にする。
・台座にテーブル、その上に椅子を取り付けるようにする。
・45度の台座の長さだけにして軽量化する。

以下の写真は順次テーブルと椅子を取り付けた状態です。
・車いすに台座がついた状態。…左上写真
・台座にテーブル、取り付け(引っ掛け)…右上写真
・その上に椅子を取り付ける(引っ掛け)…左下写真
・デイバックを車いすに取り付け…右下写真



これで、コンパクトになり、単独でテーブルや椅子を取り外せます。

散歩と通院に普段でも大活躍

ティルティングする時、テーブルと椅子、デイバックを付けたまま簡単にできるので、散歩や通院など、普段でもよく使うようになりました。
今年は一周忌の法事に使いましたし、今後、冠婚葬祭など座位時間が長い場合に使えそうです。





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