小川山( 小川山:2,418m ) 2001.06.02 登山


  川端下付近から見た小川山と屋根岩 ( 2001.06.02 )

【小川山登山記録】

【小川山登山データ】

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小川山登山記録

奥秩父の小川山に登ってきた。
6月に入るとそろそろ梅雨入りが近くなる訳で、天気予報にてこの土日が梅雨入り前 最後の晴天の週末になりそうだと聞いたものだから、 このチャンスを逃してはならじと、慌てて山に出かけたのであった。
この小川山に対する思いは
山の雑記帳の方に書いたのでここでは省略するが、 前回、山の素晴らしさを再認識させてくれた天狗岳の後だけに、 永年の思い入れがあるこの小川山登山に対する期待はかなり大きいものがあった。

順調にクルマを飛ばし、中央高速道を須玉ICで下り、佐久甲州街道 (国道141号線) にて清里へと向かう。
最初は曇り空で心配させられた天候の方もどうやら大丈夫なようで、背中に甲斐駒ヶ岳を背負い、 左手に八ヶ岳を見ながらの楽しいドライブとなった。
野辺山駅入口を越えた所で佐久甲州街道を右折し川上村を目指す。この道は天狗山・男山に登った際に通っているので全く迷わずに進むことができた。

その後、県道川上−梓山線に入って、左に天狗山・男山の登山口となった大深山古墳への道を過ごし、 順調に道を進む。
やがて、左手に小学校が見え、その後、右手に見えた川端下、廻目平、大弛峠と書かれた標識に従って右折する。
高原野菜の畑の中を進んでいくと、目の前に立派な岩峰が見えてきたが、そのアルペンムード満点の姿に、ますます小川山への期待が高まる。
やがて広い駐車場のある廻目平へ着くと、ここで道は 2つに分かれる。左手の道は、国師岳などの登山口となる大弛峠へと続いており、 目的の金峰山荘へは右の道を行くことになる。

金峰山荘はこの分岐からほんの少し走った所で、入口にはゲートがあり、駐車券を取るしくみになっていた。
ゲートを潜るとすぐに道が 2つに分かれるが、どちらに進むべきか良く分からない。 エイヤで左の道を進んだところ、いくつかの駐車スペースが認められたので適当にクルマを止めたのだが、 金峰山荘の正規の広い駐車場は右手の道を行くのが正解であった。無論、私がクルマを止めた所でも全く問題ないようだが・・・。
駐車場を出発したのが 7時39分、小川山の登山口は私がクルマを進めた林道をさらに先に進み、 途中から右手の山に取り付くか、あるいはそのまま林道を突き当たりまで進んで、 金峰山登山口となるところから右に入って行くのが正しかったのであるが、 事前にガイドブックを良く読まなかったツケが回ってきて、私は先ほど述べた金峰山荘の広い駐車場の方へと進んでしまったのである。
さらに、駐車場からはカモシカ遊歩道と呼ばれる道が出ており、おぼろげにカモシカ遊歩道と小川山登山路は一体であるはずだという記憶があったものだから、 小川山を示す標識がないのはおかしいと思いつつも、遊歩道をドンドン先に進んでいってしまったのであった。
しかし、いくら進んでも唐沢ノ滝への道であることを示す標識はあるが、小川山に関しての標識が 1つも見あたらない。さすがにこれはおかしいと思い始め、 仕方なく足を止めて地図をよく見てみたところ、このカモシカ遊歩道から小川山登山道に入るには、唐沢ノ滝経由でも行けるものの、 正規のルートからはかなり遠回りであることが判明したのであった。

皇海山でも同じような失敗をしたにも拘わらず学習効果がなく、 本当に情けない話だが、今更正規のルートに戻るのもかえって時間のロスと考え、仕方なくまずは唐沢ノ滝を目指すことにしたのであった。
地図では金峰山荘から小川山山頂まで 4時間半の長丁場になっていることから、ルートを間違えてさらに余計な時間をかけてしまうことに非常に焦りを覚える訳で、 自然と早足になってしまう。
岩を敷き詰めたような道を急いで歩き、いくつかの登り下りを繰り返していると、やがて樹林が切れ、目の前に唐沢ノ滝が現れた (8時21分)
この唐沢ノ滝は、かなりの高さを持つなかなか立派な滝で、観光ルートにありがちな小さな滝を想像していた私としてはチョット得をした気分であった。

道は唐沢ノ滝からの流れを渡ると、そこから高度をドンドン上げていくことになり、 やがて壁のような斜面をジグザグに登りきると、目の前が急に開け、正規の小川山登山道へと合流したのであった。
時刻は 8時32分、正規のルートを取った場合、この地点は何時頃通過することになったのかは定かではないが、 急いで歩いた甲斐があってそれ程時間をロスはしていないような気がする。
正規の登山道に入ってからは、岩場の尾根伝いの道が続き、周囲の景色も良く見えるようになって、足取りも快調である。
圧巻は展望台と書かれた岩場で、足をすくませながらよじ登ってみると、遮るもののない岩の頂上からは、目指す小川山の姿や、 先ほどの唐沢ノ滝を見ることができた。

この展望台からは岩の間を通って一旦下ることになり、それからは尾根の左右を赤テープを目印にジグザグに進むようになった。
所々に、樹林が切れた休憩に相応しい場所があり、谷を挟んだ向こう側に金峰山が大きく見える。
この道のハイライトは、弘法岩と呼ばれる大きな岩峰で、道はその弘法岩を避けるようにつけられている。 この弘法岩も絶好の展望を得られるとのことであるが、それは下山後ガイドブックを読み直して知った次第で、 その時はそのまま素通りしてしまったのであった。残念である。

この明るく気持ちの良い尾根道もやがて樹林の中に入ると、それからは展望のきかない暗い道が延々と続くことになった。
足下には苔が生え、またシャクナゲの群生地もあって奥秩父らしさを感じさせてくれはしたのだが、 展望のない登り道は結構つらい。
それに加えて参ったのは、バラバラと音がしたかと思うと、羽虫 (?) の大群が木から落ちてきて身体にまとわりつくようになったことである。
手や顔にまとわりつき、首筋の方に手をやれば、一遍に 5、6匹の羽虫をつまめるといった状態で、 気持ちが悪いことこの上ない。
ただ、この虫は刺したりはしないようで、これだけが唯一の救いであった。
この羽虫の大群が木から落ちてきたり、登山道上に固まって飛んでいるという状況はかなり長い間続き、 この先さらに何があるか段々不安にさせられたのだが、これはこちらの登山道にはあまり人が入っていないという証なのだろうか ?

さて、登山道は、これといった目印のないままに黙々と登り続けることになる。
南アルプス南部の山のように、今どの辺を歩いているのか皆目見当がつかない状況で、これは結構つらい。
時計を見るとまだ 10時、先にも述べたように地図に記されたコースタイムは 4時間半なので、 その 4分の3の時間で登ったとしても、あと 1時間は見ておかねばならないと思った矢先、登山道脇の木に小さな標識が付けられているのが目に入り、 そこから左の方に下る道があるのが認められたのであった。
標識の字は汚れて良く見えないので、この道はどこに続くのだろう、このような脇道はあっただろうか などと考えていると、 上の方から下りてくる人がおり、その人はそのまま私が脇道と思った方へと進んで行ったのであった。
後ろから声を掛け、どちらへ向かうのかと訪ねたところ、八丁平方面へとのことであった。これは私の地図が古いために (1989年版) 書かれていない道なのか などと考えながら、 その人が下りてきた方へと登っていくと、何の事はない、急に樹林帯が途切れ、目の前に、 あのお馴染みの山梨百名山の標柱が現れたのであった。

そう、ここは小川山の頂上だったのである (10時19分)
事前に地図やガイドブックを良く読まなかった私は、下山時に通る八丁平はこの小川山頂上を通過していくものとばかり思っており、 加えて、登り 4時間半という地図の参考タイムからいって、もっと頂上は先と思っていたことによる大勘違いである。本当にお恥ずかしい。
さて、意外に呆気なく着いてしまった小川山頂上は、樹林に囲まれた狭い場所で、展望はほとんど得られない。
ただ、少し先に進むと樹林が切れた斜面があり、その先に瑞牆山の岩峰を見ることができたのであったが、 その瑞牆山も木々に邪魔されて全容を見ることはできない。
また、最初照っていた太陽も今は雲に隠れてしまって、ほぼ白一色となった空は、瑞牆山より遠くの山をすっかり隠してしまっている。
残念である。

再び山頂に戻り、岩に腰掛けて昼食としたが、これで登山が終わりだと思うと何か物足りない。
特に冒頭に記したように、この小川山に対する期待が大きかっただけに、頂上までの行程、頂上の状況など、 失望感が先に立つ。
やや虚しさを覚えながら頂上を後にして、来た道を戻り、途中で、先ほど脇道と思った道へと足を踏み入れた (10時45分発)
この道は登りに使った道に比べて結構日が当たるためなのだろうか、 明るく、さらに奥秩父らしさを感じさせる倒木や苔むした岩などがそこかしこに見られ、なかなか深山の趣である。
道もそれほど急ではないことから、登ってくるのならこちら側から登る方が正解かもしれない。
登りで私を悩ませた羽虫も全くおらず、途中の岩場からは瑞牆山の全容も見る事ができ、 絶対こちらの方がお勧めである。
特に途中の岩場は、樹林に浮かぶ島のようで、展望も良く気持ちが良い。

道はこの岩場伝いに進むのかと思ったら、すぐに岩を下りて暗い樹林の中に入るようになってしまい、 残念であった。
些か物足りなかった小川山登山の鬱憤を晴らすかのように、スピードをつけてドンドン下っていくと、やがて樹林が切れて倒木の多い場所に出たのだが、 どうやらここが八丁平らしい (11時42分)
この八丁平近辺で道が富士見平方面と、大日岩方面に分かれるはずであるが、どう見ても富士見平と書かれた標識しかないため、 これはもっと先に分岐があるに違いないと勝手な判断をして富士見平への道を進むことにした。
道を快調に下っていくと、ややジメジメしたクリークのような上を進むようになったが、行けども行けども分岐らしきものがなく、 また、道はドンドン西の方へ逸れている様な気がする。
これはおかしいと思いつつ フト左を見ると、木に小さな標識が付けられているのが見つかり、 そこには 「大日小屋近道 (だったと思う)」 と書かれているではないか。
しかしその斜面を登っていく道は、ほとんど踏まれた跡がなく、これはどこかで分岐を見過ごしてしまったに違いないと悟ったのであった。

仕方なく周囲に分岐がないかと探しながら八丁平まで登り返し、八丁平近辺をウロウロしてみたところ、 何と富士見平方面への道のほんの 1mほど左の草むらのところに、赤いテープがつけられた道が見つかったのであった (11時58分)
見落としてしまったのは私のミスであるが、それにしても少々分かりにくい。
ただこの道も正しいルートであるかは定かではないため、少し不安になりながら進んで行くと、やがて、大日岩への分岐を示す標識が現れ、 この道が正しいことを確認したのであった。
道はやがて沢沿いを進むようになると、途中、赤テープの間隔が空き、しかも道が不明瞭な箇所がいくつか現れて少々緊張させられたが、 総じて道は良く踏まれている。
展望のない中、黙々と足を進めていくと、やがて樹林もまばらになり、林道らしき場所に飛び出したのであるが、 そこには金峰山登山口の標識が立っていた (12時43分)
金峰山へは、ここを右に進んで沢を渡って山に取り付けば良いらしく、ここからの所要時間は 2時間30分と書いてある。
これは驚きであった。これなら金峰山は簡単に日帰りできるではないか。 嬉しい情報を得て得をした気分であった。

出発点である金峰山荘に戻るには左に林道を進めば良く、この道が今朝クルマを止めた林道のそのものである。
駐車場に着いたのが 13時18分、時間的に下山が早すぎ、量的にも物足りない気がする。
また、この山に対する期待が大きかったこともあって、さほど特徴もなかった山に失望を覚えたことも否めない。
しかし、こういうこともある訳で、これもやはり登山である。
それにしても今回は事前の準備を行ったツケが良く回ってきた登山であった。反省。


小川山登山データ

上記登山のデータ登山日:2001.06.02 天候:曇り時々晴れ単独行日帰り
登山路:金峰山荘−唐沢ノ滝(カモシカ遊歩道)−登山道合流地点−弘法岩−小川山−八丁平−中ノ沢出合−金峰山荘
交通往路:瀬谷−八王子IC−(中央高速道)−須玉IC−川上村−廻目平−金峰山荘 (車にて)
交通復路金峰山荘−廻目平−川上村−須玉IC−(中央高速道)−相模湖IC−三ヶ木−半原−厚木−(国道246号線)−瀬谷 (車にて)


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