葉室 麟
(りん)作品のページ No.1


1951年福岡県北九州市小倉生、西南学院大学卒。地方紙記者等を経て2005年「乾山晩愁」にて第29回歴史文学賞を受賞し、作家デビュー。07年「銀漢の賦」にて第14回松本清張賞を受賞。09年「いのちなりけり」にて 第140回直木賞候補、「秋月記」にて 第141回直木賞および第22回山本周五郎賞候補、12年「蜩ノ記」にて 第146回直木賞、16年「鬼神の如く−
黒田叛臣伝−」にて第20回司馬遼太郎賞を受賞。17年12月死去、享年66歳。


1.
いのちなりけり

2.秋月記

3.花や散るらん

4.柚子の花咲く

5.橘花抄

6.蜩ノ記

7.冬姫

8.散り椿

9.千鳥舞う

10.蛍草


春風伝、さわらびの譜、緋の天空、鬼神の如く、嵯峨野花譜、玄鳥さりて、影ぞ恋しき

 → 葉室麟作品のページ No.2

  


       

1.

●「いのちなりけり」● ★☆


いのちなりけり画像

2008年08月
文芸春秋刊

(1600円+税)

2011年02月
文春文庫化



2009/12/24



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軽格な家臣のしかも部屋住みであった雨宮蔵人は、若くして夫を亡くした名門・天源寺の娘=咲弥の2番目の入り婿に選ばれる。
しかし、鈍牛のような風貌で雅とはおよそ縁遠い無骨ものの蔵人を咲弥は嫌い、婚儀の夜、ある課題を蔵人に押し付けます。
それは、自分自身の心だと思われる和歌を教えて欲しい、それが思い浮かぶまで寝所は共にはしない、という宣言。
その後2人は、佐賀鍋島の本支藩にまたがる政争に巻き込まれ、長い別離の運命にさらされる。
それから16年を経て、今は水戸藩の奥女中取締を勤める咲弥に蔵人との再会の機会が巡ってきたと思いきや、再び2人は綱吉に仕える柳沢保明(吉保)水戸光圀の政争に巻き込まれます。

一人の女性を愛するが為に長い年月を自分の心を探して日々を送った武士の、一念を貫く清々しい姿を描いた長篇時代小説。
そしてその背景に、朝廷、水戸光圀と、将軍綱吉の寵臣=柳沢保明との政争という歴史ドラマが描かれます。

下流の技と蔑視される角蔵流柔術と戸田流剣術の名手、それでいて目薬作りとお灸が得意でそれで金銭を稼ぐのが常という、およそ武士からぬ振る舞いを平然としてのける雨宮蔵人。
人に仕えるのではなく、天地、いのちに仕えると明言して憚らない、常に超然としている主人公=雨宮蔵人のユニークなキャラクターが本作品の魅力。
ただ、17年という長い月日を愛する女性一筋に生きてきた武士というのはひとつのロマンではありますけれど、逆に骨太な印象に欠けてしまう面あり。
惜しいかな、今ひとつ主人公のキャラクターに魅せられた、とまで行かないのは、そうした理由によるものかもしれません。

※題名の「いのちなりけり」は、蔵人が咲弥の元に送った詠み人知らずの歌の結句。

   

2.

●「秋月記(あきづきき)」● ★☆


秋月記画像

2009年01月
角川書店刊

(1700円+税)

2011年12月
角川文庫化



2009/03/02



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福岡藩の支藩である筑前秋月藩を舞台に、藩政を独断専横する家老たちの、それを糾弾して藩政を刷新しようとする若い藩士らの姿を描いた長篇時代小説。 
縄田一男氏が新聞紙上の書評で本書を絶賛していたので読んだのですが、今一つ物足りなかったというのが、率直なところ。

藩政に専横な振舞いがあったとして藩内に隠然たる影響力をもっていた間(はざま)余楽斎が上意によって幽閉を命じられるところが冒頭。
そこから回想という形で、小四郎という名前の幼年時代から本ストーリィは語り起こされます。
小四郎が間家に養子に入って長じた頃、彼ら若手藩士が中心となって専横な振舞いが多いと批判の的だった宮崎織部を糾弾し、クーデターに成功する。ところが実際の宮崎織部は噂とは異なり、真摯に藩政に尽くしていた人物。その織部を排することによって今度は小四郎たちが、藩政に対する重い責務を担うことになるというストーリィ。

時に我が儘な面がある藩主を支えて藩政を司るためには、時には悪評をかぶることも避けて通れず、ついには過酷な運命も甘んじて受けざるを得ない、という責任を担う身の厳しさを描いた作品です。
藩そして領民に尽くすためには奇麗事だけでは済まないという現実を同じように描いた時代小説に藤沢周平「風の果てがありますが、同作品と比べると本作品は平面的なストーリィに終わってしまった印象を受けます。
「風の果て」のように人間の面白味が描かれず、とかく几帳面、真面目過ぎて奥行きが余り感じられない、というように。
それは主人公である間小四郎の人物像にも通じること。
なお、上に立てば嫉み等から悪評が立つことも当然というのは、上に立つべき人間としては必要な覚悟なのでしょうね。

  

3.

●「花や散るらん」● ★☆


花や散るらん画像

2009年11月
文芸春秋刊

(1500円+税)

2012年10月
文春文庫化



2009/12/25



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雨宮蔵人・咲弥の夫婦が再登場するいのちなりけりの続編。

京に程近い鞍馬の村で穏やかに暮らす蔵人と咲也、娘の香也
しかし、京の公家たちは3人を放っておいてはくれない。
自らの出世のため、将軍綱吉の生母=桂昌院に従一位を叙位させようと朝廷に迫る柳沢保明(吉保)と、その先兵となって強引な仕掛けをする吉良上野介。2人を憎んで止まない朝廷・公家らの姿勢は、江戸大奥にいる綱吉の御台所(正室)=信子にも波及。
そうした抗争の中に、蔵人と咲弥が再び巻き込まれるというストーリィ。

本作品では、その対立の結果として浅野内匠頭による吉良上野介への刃傷事件が発生した、と描いていきます。
何故浅野内匠頭は刃傷事件を起こしたのかという謎を、幕府対朝廷の対立・抗争という本ストーリィの中に取り込み、赤穂浪士事件の謎を解き明かすという展開へ持っていったところが、本作品のミソ。これが中々説得力があって面白い。
ただし、本作品の面白さは、それだけに留まるものではありません。
利の為に生きる者と自ら信じることの為に生きる者との対比、女同士間の意地の張り合いという愚かしさと武士として花を咲かせようとする者の覚悟との対比、武家の美しさと京の雅との対比、さらに男だけの世界観と女もいる世界観との対立と、様々な対立構図がまるで群像劇のように描かれます。その点も見処。

ただ、もっと面白くなっていい筈なのに、もうひとつ物足りなさが残るのは何故なのだろう。
考えられる要因としては、主人公である蔵人も咲弥も常に受身であること、ストーリィの中で2人の影が薄いこと、奇麗ごと過ぎる面があること、ストーリィ要素が多過ぎて興味が分散してしまう嫌いがあるところ。
そして最後は、主人公である蔵人に男性的かつ豪快な魅力が欠ける所為か、と思うのです。

  

4.

●「柚子の花咲く」● 


柚子の花咲く画像

2010年06月
朝日新聞出版

(1700円+税)


2010/06/29


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「桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く」というのが本書題名の出処。
主人公の筒井恭平たちにかつてそう教えてくれた青葉堂村塾の師=梶与五郎が、隣藩で殺害され発見されます。加えて師について信じ難い悪い評判が広まる。
決して学問に優れていたという訳ではないが、武士・百姓の子を分け隔てず、教え子想いの優しい師だったというのが、教え子たちの共通の思い。
師の死には、隣藩との水争いが絡んでいるのではないか。
本書は、亡き師の為、友の為、自藩の百姓の為、恭平が隣藩に入り込んで真相を解き明かそうとする長篇ストーリィ。

ただ事件の謎を解くというだけでなく、謎だった師の正体が明らかになることを通じて師の掴みとった人生の意義を問い、そしてまた恭平もどういう人生を選び取るか、を問うたストーリィ。

本作品の主題自体、そして本書題名の意味が明らかになる最後の場面は共に十分感動的なものなのですが、主人公、ストーリィとも、キリッとしたところ、切れ味を欠いているのが残念。
葉室作品についてはいつも厳しい評価になってしまうのですが。

         

5.

●「橘花抄」● ★☆


橘花抄画像

2010年10月
新潮社刊

(1800円+税)

2013年05月
新潮文庫化



2011/01/17



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江戸中期の福岡黒田藩。“第二黒田騒動”とも言うべきお家騒動にて標的とされた、立花重根(しげもと)・峯均(みねひろ)という実在の兄弟が味わった悲運を題材とした長篇歴史小説。
重根(実山)も峯均も共に文化人として有名な人物であり、峯均はさらに宮本武蔵が創始した
二天流の第五世を継いだ兵法家だったそうです。

前藩主ながら未だ実権を手放そうとしない父・光之、廃嫡された兄・泰雲、現藩主である弟・綱政という藩主父兄弟三つ巴の争いに、重根と峯均が巻き込まれるというストーリィ。
そんな状況下、家臣として武士として、ひいては人間としてどう生きるべきか、というのが本書のテーマです。
要は、生死よりも、自分の歩むべき道を最後まで揺るぎなく歩むことこそ人間として大事、真価があるということ。
そのことを描くのに、兄弟2人を主人公にしてしまっては余りに直截的、自己陶酔的になってしまうからでしょう、
卯乃という若い女性を主人公とし、彼女の視線を借りて重根、峯均各々の姿が描かれます。
その卯乃、父親が自害して孤独の身となり重根の元に引き取られたものの目を患って失明。その後、峯均の元に移ってその実母りくの加護の元に過ごすという、数奇な運命を抱えた女性。
卯乃という登場人物は、ちょうど重根、峯均の姿を映し出す鏡のような存在と言って良いでしょう。

お家騒動の渦中に巻き込まれた兄弟の過酷な運命、峯均を執拗に追う剣鬼ともいうべき巌流・津田天馬との宿命の対決、卯乃の運命と、ストーリィには引き込まれますし、どう生きるべきかという覚悟に共感するところ大なのですが、どこか綺麗事過ぎるように感じてしまうのが残念。
これはもう、葉室さんと私の、相性のズレという他ありません。

          

6.

●「蜩ノ記」● ★★☆        直木賞


蜩ノ記画像

2011年11月
祥伝社刊

(1600円+税)



2011/12/24



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思わぬことから親友と城内で刃傷沙汰を起してしまった檀野庄三郎は、切腹を免じられた代わりに、向山村に幽閉中の元郡奉行=戸田秋谷(しゅうこく)の元へ赴くことを命じられます。

その秋谷は、先代藩主の側室と不義密通を犯し、それを秘するため小姓を斬殺した罪を問われ、羽根藩三浦家の家譜編纂と10年後の切腹を命じられた人物。
庄三郎の役目とは、家譜編纂作業の補助と、戸田秋谷とその家族の監視。
しかし、向山村で庄三郎が会った秋谷という人物は不義密通を犯したとは思えぬ清廉な人物であり、その妻の
織江、娘の、嫡男の郁太郎とも同じく気持ちの良い人柄ばかりだった。
家譜編纂という仕事を淡々と進めていく一方で領内の百姓たちのことを気遣うことを忘れない秋谷の人柄に触れ、庄三郎の心には変化が生じていく、というストーリィ。

10年後の死を決められた人間がそれまでをどう生きていくのか、というのが大きなテーマ。
てっきり個人の生き方を問うストーリィと思ったのですが、そこには領民を導くという役割と責任を背負った武士はどうあるべきかという、現代にも通じる問題が描かれていました。

戸田秋谷の人物とその姿は綺麗ごと過ぎるという向きが無い訳ではありませんが、その清廉で真っ直ぐな姿には庄三郎ならずとも、深く胸を打たれざる得ません。
ただ秋谷のそんな姿が正解なのか、というとそれはどうなのか。
本作品には、
藤沢周平の傑作蝉しぐれ」と「風の果てを思い起こして考えてみようとするところが多分にあります。

「蜩ノ記」とは、秋谷が家譜編纂の日々を綴った日記のこと。
いずれにせよ、清々しく清冽な時代小説。お薦めです。

            

7.

●「冬 姫」● ★☆


冬姫画像

2011年12月
集英社刊

(1700円+税)

2014年11月
集英社文庫化



2012/01/08



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織田信長の次女にして、信長からその才を高く評価された蒲生氏郷の正室となり、激動の戦国時代を生きた冬姫を主人公とした歴史時代長篇小説。
信長の子というと、愚息ぞろいと言われた信雄・信孝らは歴史時代小説によく登場しますが娘は殆ど登場せず、せいぜい徳川信康に嫁いだ五徳姫くらいでしょうか。それだけに主人公に興味を覚えて読んだ一冊です。

その冬姫、父信長の血を濃く引いて類稀な美貌だったと言われるようですが、それだけでなく性格や考え方も濃く受け継いでいた、というのが本作品の設定。
そしてストーリィの核となるのは、
「武家の女は槍や刀ではなく心の刃を研いでいくさをせねばならない」ということ。
即ち、男たちのように武器を持って闘うことはしないながらも戦国の女には女なりの闘いがある、ということ。
そうした前提の元、冬姫は自分に敵対する女性たちと自ら闘い、また他の女性たちの闘いを傍から目撃する、あるいは助力するというストーリィ。
そして冬姫が立ち向かう相手は、信長の側室=お鍋の方、家康正室である築山殿、お市の方、淀の方と、層々たる顔ぶれです。

男たちの闘いの裏側で、女たちにも壮絶な戦いがあった、と描いているところが本作品のミソでしょう。
女のいくさというと
諸田玲子「美女いくさを思い出しますが、信長の性格・遺志を引き継ぐ女性という設定が、本書に惹きつけられる点です。 

            

8.

●「散り椿」● ★☆


散り椿画像

2012年03月
角川書店刊

(1700円+税)

2014年12月
角川文庫化



2012/03/21



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18年前に扇野藩を放逐された瓜生新兵衛が、妻の死をきっかけに故郷へ戻ってくる。
「故郷の散り椿をもう一度見たい」と言い、何かを新兵衛に託して死んだ妻の
。彼女はいったい何を夫に頼んだのか。
新兵衛の帰郷と時を同じくして藩内の権力抗争が激化、新たな犠牲者が生まれます。
かつて同じ道場に通い四天王と並び称された友人たち、そして新兵衛に迷惑面を向ける甥の
坂下藤吾も例外ではありません。
新兵衛の帰郷は藩内抗争と何か関係するのか、そこからどんなドラマが繰り広げられるのか。そんな謎も秘めた時代ストーリィ。

葉室麟作品、いつも何となく物足りなく思ってしまうところがあります。鍵は男性の主人公像。
いのちなりけり雨宮蔵人同様、自分の歩むべき道より女性を優先するような生き方にどこか女性的なものを感じてしまうからでしょう。
その風貌、性格と別にして、瓜生新兵衛のキャラクターにもそんな印象を受けます。

新兵衛と篠の2人がどう扇野藩に留まった人たちと絡んでいたかを除けば、本作品、単なる藩内抗争を描いた月並みなストーリィと言えなくもありません。
結局は藩内抗争に巻き込まれて命を落とした人々に比して、浪人という身とはいえ18年間を妻と平穏に過ごした新兵衛のどちらが幸せだったか、と問いかける面が本作品にはありますが、武士とはそれだけではないだろう(藤沢周平作品を思い返しつつ)と感じるのです。

なお、愛しさと余韻が残る最終場面は鮮やかで、ちょっと心に留め置いておきたくなる部分です。

 ※映画化 → 「散り椿      

  

9.

●「千鳥舞う」● ★★☆


千鳥舞う画像

2012年07月
徳間書店刊

(1700円+税)

2015年01月
徳間文庫化



2012/09/28



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女絵師を主人公に据えた時代小説。同じく女絵師の道を生き貫こうとする女性の姿を描いた乙川優三郎さんの名品冬の標を思い出し、読んでみたいと思った一冊。

主人公は女絵師の
春香こと理緒。かつて江戸から福岡にやってきた絵師=杉岡外記と恋に落ち、結果的に不義密通をしたこととなり師から破門。男は3年後迎えに来るという言葉を残して江戸に去った。そして3年後の今、師の衣笠春崖から許され、豪商=亀屋藤兵衛からの依頼で屏風絵“博多八景”を描くことになったというのが冒頭。
その理緒が八景画を描き進めていく中、ひとつひとつの風景画に絡んで男女の哀切極まりないドラマが連作形式で描かれていく、という趣向の時代小説。
ひとつひとつの男女ドラマに連作短篇の味わいがあり、それと同時に理緒自身が今なお抱える恋心の行方という長篇ストーリィ要素が相まって、深い読み応えのある作品となっています。

悲運の中にもどこか希望はある筈と語るのではなく、どこかに希望があって欲しい、僅かではあっても幸せを掴んでほしいという祈りに似た願いが本作品には籠められていると感じます。
「比翼屏風」はプロローグ、「挙哀女図」がエピローグといったところで、間の8章がそのまま八景図の題となっています。
その品格と孤高に深く惹きつけられる時代小説。お薦めです。


比翼屏風/濡衣夜雨/長橋春潮/箱崎晴嵐/奈多落雁/名島夕照/香椎暮雪/横岳晩鐘/博多帰帆/挙哀女図

               

10.

「蛍 草」 ★★


蛍草画像

2012年12月
双葉社刊

(1500円+税)

2015年11月
双葉文庫化



2013/03/10



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シリアスな内容の多い葉室作品にしては珍しく、藩内抗争ストーリィではあるものの、軽妙かつユーモアにも満ちた作品。

武士だった父親が刃傷沙汰を起したとして切腹。実家である赤村の庄屋に戻った母親が病死した後、
菜々は16歳で勘定方の風早市之進の元に女中奉公に出ます。
妻女の
佐知は菜々をまるで妹のように優しく導き、幼い子供たちからも慕われ、菜々にとっては幸せな日々が続いていましたが、やがて風早家に暗雲が立ち込めます。
市之進が無実の罪を着せられ投獄され、残った家族は屋敷からも追い出されてしまう。しかし、そこから菜々の獅子奮迅の活躍が始まります。そして菜々は、市之進を罠にはめたのが、自分にとっても父の仇である
轟平九郎と知ります・・・。

自分に託された風早家の子供たち=
正助とよを守ろうとする菜々の行動ぶりが目覚ましく、痛快にして爽快。
とくに、いつしか菜々の応援者となった武士や町人たちへ呼びかける際の、菜々の言い間違えがユーモラス。多分葉室さん、そこにかなり力点を置いてご自身でも楽しんでいたのではないでしょうか。
元気でめげない活力ある女子=菜々のキャラクターが魅力の、時代ものエンターテイメント。

※主人公の菜々、
朝井まかて「ちゃんちゃらの主人公を男子から女子に変え、武家の世界において活躍させるとこんな感じになるのでは、と勝手に連想してみました。

                  

葉室麟作品のページ No.2

   


  

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