“散り椿” ★★ 監督:木村大作 |
葉室麟原作の映画化に岡田准一さんが出演するのは「蜩の記」に続いて2作目でしょうか。 原作の「散り椿」については、魅力を感じるところもあり、引っ掛かるところもありという感想なのですが、岡田准一さんの剣戟シーンに興味、期待があって観に行きました。 かつて藩の不正を訴えた故に藩を追われた瓜生新兵衛。8年経った今も藩から差し向けられた刺客に襲われるという状況。 しかし、新兵衛と共に藩を出て苦労してきた妻の篠が病死、その篠が新兵衛に託した願い事を叶えるため、新兵衛は再び扇野藩に戻ってきます。 新兵衛の立ち戻りに動揺を隠せないのが、扇野藩を牛耳っている城代家老の石田玄播。 そしてそれは、かつて新兵衛と共に剣術道場で四天王と呼ばれ、現在は若殿の信頼厚く玄播への対抗勢力として台頭してきた榊原采女と玄播との神経戦にも繋がっていきます。 原作では、新兵衛が戻るのは18年後ですが、映画では 8年後という設定。 そのため亡き妻の実家である坂下家の若い当主=藤吾は、黒木華さんが演じる篠の妹=里美の息子ではなく弟と設定されています。 その辺りは主人公を岡田准一さんが演じるためにはやむを得ないところでしょう。それ程気になることではありません。 映画では、“鬼の新兵衛”を演じる岡田准一さんと、その新兵衛をほのかに慕う義妹の里美を演じる黒木華さんを観ているのが、とにかく楽しく、嬉しい。 剣戟シーンでは、刀を振るう、というより身体全体で剣を扱っているという岡田准一の殺陣がとても新鮮。 その一方、あるシーンでは、「椿三十郎」での一場面における三船敏郎のしぐさそっくりだよなぁと感じさせられたのが面白かったです。 岡田准一さんと黒木華さんの好演で、愛しく、切ない思いが残るところが快い。 2018.09.30 |
※原作 → 「散り椿」