|
21.こんちき−あくじゃれ飄六− 22.天女湯おれん 23.木もれ陽の街で 24.狐狸の恋−お鳥見女房− 25.奸婦にあらず 26.かってまま 27.狸穴あいあい坂 28.遊女のあと 29.美女いくさ 30.巣立ち−お鳥見女房− |
【作家歴】、まやかし草紙、誰そ彼れ心中、幽恋舟、氷葬、月を吐く、お鳥見女房、笠雲、あくじゃれ瓢六、源内狂恋、髭麻呂 |
其の一日、蛍の行方(お鳥見女房No.2)、犬吉、恋ほおずき、仇花、紅の袖、鷹姫さま(お鳥見女房No.3)、山流しさればこそ、末世炎上、昔日より |
めおと、べっぴん(あくじゃれ瓢六)、楠の実が熟すまで、きりきり舞い、炎天の雪、天女湯おれん−これがはじまり−、お順、春色恋ぐるい、恋かたみ(狸穴あいあい坂)、幽霊の涙(お鳥見女房No.6) |
四十八人目の忠臣、心がわり(狸穴あいあい坂)、来春まで(お鳥見女房No.7)、再会(あくじゃれ瓢六)、ともえ、相も変わらずきりきり舞い、王朝小遊記、破落戸、帰蝶、風聞き草墓標 |
今ひとたびの和泉式部、元禄お犬姫、尼子姫十勇士、旅は道づれきりきり舞い、別れの季節(お鳥見女房No.8)、嫁ぐ日(狸穴あいあい坂)、きりきり舞いのさようなら |
●「こんちき あくじゃれ瓢六」● ★☆ |
|
2007年07年
|
「あくじゃれ瓢六」シリーズの第2弾。 “瓢六もの”の魅力は、人と人との関わりにあります。 本書は“捕り物帖”というより、江戸裏社会にも通じた瓢六という色男が颯爽と江戸の町を駆け抜ける爽快感に魅力があります。 消えた女/孝行息子/鬼と仏/あべこべ/半夏/こんちき |
●「天女湯おれん」● ★☆ |
|
2007年12月
|
表の顔は湯屋の女将、裏の顔は色事の手引師という美女おれん、23歳を主人公とする市井もの長篇時代小説。 石榴口に吉祥天の絵を描き、天女のような笑顔を浮かべたおれんが番台に坐っていることから、おれんが主の天女湯はいつも商売繁盛。 湯屋と裏長屋の住人たちに、湯屋+αを楽しむ隠居たちという人物構成が、いかにも江戸の風情らしく楽しい。それに加えて、ご法度の色事手引きをしているおれんだからこそのスリリングな面白さ。そんなリズムの良さ故に楽しく読める時代長篇です。 雨夜の怪事件/辻斬り退治/師走のコソ泥/宿敵、大黒湯/湯船の決闘 |
●「木もれ陽の街で」● ★☆ |
|
2009年02月
|
諸田さん初の現代小説。とは言っても時間設定は昭和26年ですから、感覚的には現代小説と時代小説の間に位置する作品という気がします。 まず、背景となった時代への懐かしさが先にたちます。 主人公の自宅近くに与謝野晶子の家があると設定されており、作品中しばしば晶子の詩が引用されています。 |
●「狐狸の恋−お鳥見女房−」● ★★ |
|
2008年10月
|
時代小説版ホームドラマ“お鳥見女房”シリーズ第4弾。 源太夫一家も既に他家に仕官し君江も嫁いだ今、残された子供は長男・久太郎と次男・久之助のみ。矢島家もすっかり静かになったものです。本巻ではその兄弟2人の恋模様が描かれるほか、他の人物の恋も2篇あり。 久太郎にかつて持ち込まれ即座に断った縁談相手が、水野越前守の鷹匠・和知家の娘で“鷹姫さま”と呼ばれる恵以。 この母にして/悪たれ矢之吉/狐狸の恋/日盛りの道/今ひとたび/別の顔/末黒の薄/菖蒲刀 |
●「奸婦にあらず」● ★☆ 新田次郎文学賞 |
|
2009年11月
|
井伊直弼というと、私の場合そのまま繋がっていくのは舟橋聖一「花の生涯」と吉村昭「桜田門外の変」の2小説。 「花の生涯」でも主役は井伊直弼、そしてその協力者となった村山たか、長野主膳の3人が中心となっています。 |
●「かってまま」● ★☆ |
|
2010年07月
|
旗本の娘の不義により生まれた娘“さい”。 各篇でさいは、赤ん坊、7歳、10歳、14歳、16〜17歳、20歳位、三十女として登場します。 一方、最後の2篇はさい自身に深く関わる話。 かげっぽち/だりむくれ/しわんぼう/とうへんぼく/かってまま/みょうちき/けれん |
●「狸穴あいあい坂」● ★★ |
|
2010年09月
|
火付盗賊改方の孫娘と町方同心の恋と事件をユーモラスに描く、連作短篇集。 結寿の祖父は、元火盗改の与力として名を馳せた溝口幸左衛門。息子と喧嘩して家を飛び出した祖父にしたがって、今は結寿も麻布にある口入屋の離れに住まう。 本作品は、幸左衛門、結寿、道三郎の三角関係がはっきりしているところが秀逸。 茶目っ気ある武家娘の結寿と、飄々とした観のある妻木道三郎の2人がかもし出すユーモア、そこが本作品の魅力です。 ムジナのしっぽ/涙雨/割れ鍋のふた/ぐずり心中/遠花火/ミミズかオケラか/恋心/春の兆し |
●「遊女(ゆめ)のあと」● ★★☆ |
|
2010年10月
|
「遊女のあと」という漢字題名から本ストーリィを予想するべからず。きっと誤解してしまうに違いありません。「ゆめのあと」という平仮名で受け取ってください。 福岡を出て博多、芦屋、大阪、そして桑名を経て尾張に至り、その身も大きな変転を味わったこなぎ。一方、妻女を女敵討ちするという望まない羽目に陥り、妻女が駆け込んだらしい尾張家を追って尾張にやって来た鉄太郎。 本ストーリィの核心は、吉宗対宗春の対決構図にあります。緊縮財政派の吉宗を是とするか、開放的な積極財政派の宗春を是とするか、まるで今後の日本の進むべき道を選択するかのような臨場感、興奮があります。 なお、最後は私の予想もしなかった結末。でもそれこそ一番望むところと思います。私の予想より、諸田さんの選んだ結末の方がより幸せを感じられるというものです。 |
●「美女いくさ」● ★★ |
|
2010年09月
|
浅井長政とお市の方の末娘として生まれ、秀吉の養女となり、2度の婚姻・離縁を経た後に徳川秀忠に嫁ぎ、遂には将軍御台所となった小督(おごう)、その波乱の人生を女性の視点から描いた歴史時代長篇。 男たちが戦さに明け暮れた裏側で、男たちの都合良いままに道具のように離縁、婚姻、側室という運命に翻弄されてきた女たちの生き方に視点を当てているという点で、本書は読み応えたっぷりです。 一般的に淀君、小督(徳川に嫁してお江与の方)と2人とも勝ち気で倣岸な女というイメージが強く、評判良く書かれることがないばかりで、生家の滅亡や政略結婚という苛酷な運命に甘んじた彼女たちの哀しさが思いやられることは余り無かった様に思います。 それにしても、信長・秀吉・家康らが天下取りを争った裏側の閨房では、織田・浅井の血を引く女たちが珍重されていたという事実を今更ながらに気づかされ、唖然とする思いです。 |
●「巣立ち−お鳥見女房−」● ★★ |
|
2011年10月
|
時代小説版ホームドラマ“お鳥見女房”シリーズ第5弾。 待ちかねていた鷹姫さま=恵以の、矢島家への嫁入りが漸く本巻で実現。 新たに生まれる子があれば、去りゆく年配者もいます。そうした時の流れ、世代の移り変わりを本シリーズは避けることがありません。 珠世の前向きな明るさ、優しさ、温かさが、ことに心に残る巻。ですからこのシリーズを読むことは、いつも楽しい。 ぎぎゅう/巣立ち/佳き日/お犬騒ぎ/蛹のままで/安産祈願/剛の者 |
諸田玲子作品のページ No.1 へ 諸田玲子作品のページ No.2 へ
諸田玲子作品のページ No.4 へ 諸田玲子作品のページ No.5 へ