阿川佐和子作品のページ No.1


1953年11月01日東京生、東洋英和女学院、慶応義塾文学部卒。作家・阿川弘之氏の長女。80年10月からTBS“情報デスク Today”“筑紫哲也NEWS23”などのキャスターを勤めた後、92年02月渡米、93年帰国。93年より週刊文春にて対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」を連載中の他、エッセイストとして活躍中。
99年壇ふみとの共著「ああ言えばこう食う」にて第15回講談社エッセイ賞を受賞。また作家活動も開始し、2000年初の小説「ウメ子」にて第15回坪田譲治文学賞、08年「婚約のあとで」にて第15回島清恋愛文学賞を受賞。


1.
ウメ子

2.恋する音楽小説

3.屋上のあるアパート

4.マチルデの肖像

5.スープ・オペラ

6.婚約のあとで

7.ギョットちゃんの冒険

8.うからはらから

9.正義のセ

10.正義のセ2

11.正義のセ3


負けるもんか

 → 阿川佐和子作品のページ No.2


ときどき起きてうたた寝し、メダカの花嫁学校、男は語る、あんな作家こんな作家どんな作家、きりきりかんかん、どうにかこうにかワシントン、阿川佐和子のお見合い放浪記、おいしいおしゃべり、蛙の子は蛙の子

阿川佐和子著作のページ No.1


阿川佐和子のこの人に会いたい、無意識過剰、ああ言えばこう食う、旅の素、阿川佐和子のアハハのハ、いつもひとりで、ああ言えばこう(×嫁)行く、吉右衛門のパレット、
阿川佐和子のガハハのハ、佐和子流人生の磨き方

  阿川佐和子著作のページ No.2


いい歳旅立ち、もしかして愛だった、阿川佐和子のワハハのハ
、モテたい脳モテない脳太ったんでないのッ!?、トゲトゲの気持、オドオドの頃を過ぎても、けっこん・せんか、ピーコとサワコ、空耳アワワ

阿川佐和子著作のページ No.3


アガワとダンの幸せになるためのワイン修行−ゴージャスワイン編、アガワとダンの幸せになるためのワイン修行−カジュアルワイン編、男女(オスメス)の怪、阿川佐和子の会えば道づれ、グダグダの種、阿川佐和子の会えばなるほど、阿川佐和子の会えばドキドキ、この人に会いたい8、聞く力

阿川佐和子著作のページ No.4

 


      

1.

●「ウメ子」● ★☆       坪田譲治文学賞

ウメ子画像

1999年01月
小学館刊
(1500円+税)

2002年02月
小学館文庫化

1999/02/02

佐和子さん初めての長編小説とのこと。(天性が迸る」という帯文句はかなり大袈裟、と思う

主要な登場人物は、幼稚園児のみよちゃん、兄のけんちゃん、ウメ子とその両親たち。
子供の物語であり、子供向けの本のようでいて大人向け、という一冊。そんなところは、
ケストナー作品に似た感触があります。また、 佐和子さん自身が描いたイラストもなかなかに楽しい。
たまにこんな本を読むのも快い(まだ硬いところもありますが)、そんな本です。

檀ふみさんのコメントは「みよがアガワの分身なら、ウメ子はきっと私……なわけないか」 
このダンフミさんのコメント
、読み返す度に可笑しくなります。

    

2.

●「恋する音楽小説」 ★☆


恋する音楽小説画像

2001年02月
講談社刊
(1500円+税)

2004年11月
講談社文庫化

 
2001/03/04

NHK・FMラジオから、クラシック音楽を流す間のナレーション用の物語を書いて欲しいと頼まれたのが、本書のきっかけだったそうです。
NHK・FM「クラシックものがたり」、それに続く「恋する音楽小説」と、4年間に書かれた物語の合計は33篇。本書は、そのうちの19篇を収録したとのこと。
いずれの話も、音楽絡み、或いは音楽家たちにまつわる恋物語という、「史実と詐術をないまぜにした」内容です。そして、各章の最初には、その物語を読むにふさわしい曲が紹介されています。
紹介された曲を聴きながら、或いは思い浮かべながら本書を読んだのなら、さぞ味わいがあろうと思うのですが、音楽に無知な身としては到底及ばぬこと。
後書きにて「新鮮でためになり、泣きたくなるほど苦しくて楽しい、格別に思い出深いものであった」と佐和子さんは語っていますが、読む方としても、胸弾む楽しさがありました。

妹へのレクイエム/前略アマデウス様/女たちのドン・ファン幻想/男なんてそんなもの/兄の旅/妻ハリエットの独白/夫に宛てた手紙/妹の事情/あたいはドルシネーア/もう一つのフランス革命/チーズ屋のオーロラ姫/興行師とダンサーの愛/妖精たちのシンデレラ/ソルヴェイグの旅/ママちゃんの夢/アリス・グッドマン物語/ムーラン・ルージュの秘かな恋/アリスと猫の旅/足長おじさんからのEメール

 

3.

「屋上のあるアパート」● 


屋上のあるアパート画像


2003年01月
講談社刊
(1500円+税)

2006年08月
講談社文庫化

 
2003/03/08

ウメ子恋する音楽小説に続く、3冊目の小説本。
しかも、大人向きの“ちょっぴりほろ苦いコメディ”とのこと。

主人公の麻子は、結婚に縁が無く、改めて就職して手がけるようになった編集の仕事に遣り甲斐を見出したところでしたが、あえなく会社が倒産。それを機に独り立ちしようと、両親の元を出てアパートで一人暮らしを始めた、というのが本ストーリィの出だし。
隣室のマキがアパート住民をイヌ派とネコ派に分類しているかと思えば、友人の由香が突然転がり込んできたりと、アパート生活は意外と賑やか。そのうえ、今まで男性に縁がなかった麻子なのに、急に麻子に関心をもつ男性が複数現れたり、といったうストーリィ。

一応小説としてはまとまっていますし、ストーリィも素直に読んでいけるのですが、結局はそれだけで終わってしまったかな、というのが正直な思い。
小説としてのアクセント、盛り上がりが今ひとつ、というところでしょうか。

 

4.

「マチルデの肖像−恋する音楽小説2−」● 


マチルデの肖像画像


2003年07月
講談社刊

(1500円+税)

2007年07月
講談社文庫化

  

2003/08/04

恋する音楽小説の第2集。
1995年4月〜98年7月までのNHK・FMラジオ番組の中で放送された14篇+ 2篇という構成です。
収録されている各篇の内容は、作曲家達のエピソードを元にした話だったり、全くの創作だったりと、様々。いずれにせよ、音楽そのものへの興味を誘うショート・ストーリィになっていることは間違いありません。
実在の人物でもっとも印象的だったのは、南米アルゼンチンの大統領夫人となったエビータことエバ・ドゥアルテ、懐かしかったのはスチーブン・フォスター
一方、創作分では「千夜一夜物語」の逆転劇となっている「シェエラザードの秘密」には驚天動地。
また、「母のための子守歌」におけるメリー・ポビンズの登場はお見事。メリー・ポピンズの魅力を改めて感じます。

マチルデの肖像(リヒャルト・ワーグナー)/父と「大地の歌」(グスタフ・マーラー)/リゴレットの哀しみ(歌劇「リゴレット」より)/ジェニーの記憶(スチーブン・フォスター)/エピータの男たち(ミュージカル「エビータ」より)/びろうどの声の妹(ソプラノ歌手カスリーン・フェリア)/スーザのヒゲ(マーチ王ジョン・スーザ)/ローレライ・ホテル(ローレライ伝説によせて)/シェエラザードの秘密(千夜一夜物語)/エルガーの愛(エドワード・エルガー)/二足のわらじの音楽家たち(ホフマン、パデレフスキ、アイブズ)/コンドルと少年(南米の民話と民謡)/母のための子守歌(ミュージカル「メリー・ポピンズ」より)/女スパイ大作戦(スパイ音楽総動員)/七福神がやってきた(筝曲「七福神」より)/メサイアの歌声(ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル)

  

5.

「スープ・オペラ」● ★☆


スープ・オペラ画像


2005年11月
新潮社刊

(1600円+税)

2008年06月
新潮文庫化

  

2005/12/17

 

amazon.co.jp

滑らかに読み始められ、ストーリィの最後までその変わることがない。
北上次郎さんが「阿川佐和子はホント、うまい。いや、美味すぎる。」と本書を絶賛していますが、それが全てと受け留めるべきなのでしょうか。

主人公は35歳独身の島田ルイ、大学の事務局勤め。幼い時に母親が死んで叔母にずっと育てられ、その叔母=楢崎藤子(トバちゃん)とずっと二人暮し。
その叔母が突然オトコを見つけ、その男性について家を出て行ってしまって以来、ルイの身辺に大変化が生じます。
それは、家の周りをうろついていたモテ男の中年画家トニーさん(田中十二夫)、作家の会食で知り合った編集者の林康介の2人がルイの家に借家人として転がり込み、女性1人+男性2人の奇妙な同居生活が始まったこと。
1+2となれば当然そこに生じるのは恋愛ドタバタである筈なのですが、本書はそこがフツーと違う。
本作品においてストーリィの中心になっているのは、実は食べることなのです。出るは出るは食事シーンが。これほど多いのは珍しいと言うべきでしょう。
ストーリィはトバちゃんの作る鶏がらスープに始まり、3人の共同生活では「かならず一日に一品、スープを加えること」が食事当番の条件。
トニーさん、康介と親しくなった経緯、同居生活、我が儘な作家と外国人妻の組み合わせ等々、大事な部分には食事場面が欠かせないのです、この物語では。

主人公ルイの鷹揚で素直、かつ芯は強いという性格も気持ち良いのですが、彼女の食への関心が楽しい(人生で大切なことは、男の機嫌をとるより美味しい食事にありつくことかもしれない)。
また、トニーさん、康介、トバちゃんの人物造形もなかなかのもの。
このトニーさん、私の勝手な想像かもしれませんが、サワコさんの理想の父親像なのではないか。実際の父君・阿川弘之氏から口喧しさと横暴さを取り払ったら、こんな人物になるのではないかと思えるのです。

  

6.

「婚約のあとで」● ★★        島清恋愛文学賞

 
婚約のあとで画像


2008年02月
新潮社刊

(1600円+税)

2010年11月
新潮文庫化

 

2008/03/18

 

amazon.co.jp

男との関係について“選択”をする女性たちの姿をリレー形式で描いた連作短篇集。
各章の題名は皆、各章の主人公となる女性の名前です。

一口に男との関係と言ってもその相手は幅広く、婚約者から不倫相手、浮気した夫から元亭主等々と実に様々。それに合わせるかのように主人公となる7人の女性たちの年代、人となり、置かれた状況、行動ぶりも多彩です。
まず冒頭の「波」。実質見合いだというのに、相手そっちのけで鷹野夫人手作りのビーフシチューに心を捉われている様が何とも言えず可笑しい。いかにもサワコさんらしいという一幕。
その一篇でてっきりユーモラスな恋愛短篇集と思い込んだのですが、それがとんでもない。
男関係を良いジャンプ台に商業デザイナーとしてステップアップしてきた「真理」に面白いと舌鼓を打っていたら、「優美」の最後、思わぬ展開に、してやられたァ、のひと言。
そこからはまるで列車が線路から脱線するが如く、ストーリィがあらぬ方向へどんどん転がっていくのです。これはもう、サワコさんのストーリィさばきの上手さ、軽妙洒脱な筆運びにただただ脱帽するのみです。

要は本書、とことん女の側にだけ立って描かれたストーリィ。その分、本書に登場する男たちの影は薄く、弱々しい。
そんな男たちと対照的に、自儘に振る舞っているともいえる女性たちは実に活力に溢れています。
男性陣が所詮女性陣に依存するしかない存在(においてさえ)であるのに対し、女性陣は1人でも生き抜いていけるという強さを発揮しているからでしょう。(※唯一の例外が直人のカップル)
最終章では、一時反目し合った観のある優美が、まるで正反対の選択を行なっているところが、新鮮で楽しい。

最後の最後まで、7篇を通したストーリィのうねりがあって、余さず残さず楽しめる、というところがお見事。読み終わった後も振り返って噛み締めてみれば、ますます味がにじみ出てくる、という風。そのあたりが本書の魅力です。
男性としては、男性側からだって同じようなことが言えると反駁したくもなりますが、それを持ち出すのは野暮というもの。描かれたまま素直に楽しむべし、というところでしょう。
エッセイの延長上で小説を書いているとサワコさんを見ていたのですが、それは私の不明の致す所。本書ではもう堂々とした作家の風格を示しています。
※なお、「宙」鷹野宙三宮麻由子さんを思わせる処あり。

波/碧/真理/優美/凩/宙/花/波

   

7.

「ギョットちゃんの冒険」● ★☆


ギョットちゃんの冒険画像


2008年07月
大和書房刊
(1900円+税)

 

2008/08/11

 

amazon.co.jp

森の家でケッヘル博士と二人暮しの女の子、ギョットちゃんが繰り広げるファンタジーな物語。
まずは、カラスの本当の色は何色? とギョットちゃんが突き止めようとするところからストーリィは始まります。

怖いもの知らずで好奇心いっぱいのギョットちゃん、読みながらふと子供の頃読んだ「長靴下のピッピ」を思い出したのですが、ふくろうのおじいさん、賑やかなアヒルの一家、リスの愉快なカップルに、女王、警戒心強いカラス一族等々と、次々といろいろな動物、鳥、魚たちが登場するのを見ると、これは佐和子さん独自の世界なのかもしれません。
子供の頃、こんなことがあったらいいなァ、楽しいだろうなァ、と思っていたような出来事を次々と連作風に書き綴った、大人のためのおとぎ話と感じます。
そして、子供だからこそ失敗したこと、悔やんだこと、大人になってから漸く学んだ事々が、幾度となくさりげなく教訓ごととして語られているところが本作品の良いところ。
本作品全体を通してのテーマは、垣根を越えた友情、と言って良いでしょう。

ついつい佐和子さんというと愉快なエッセイの名手というイメージが捨てきれないのですが、本書を読むに至って漸く、佐和子さんのおとぎ話に関する感性の豊かさを感じるに到りました。

最後に、ギョットちゃん、ケッヘル博士、男の子のイリヤ、料理上手のミセル・カーメルをはじめ、本書に登場した生き物すべてが参加して繰り広げられる運動会の模様がとても楽しい。
なお、多くの動物たちの中でとりわけ私が好きになったキャラクターは、いつも喧嘩と仲直りを繰り返して幸せそうなリスのカップル。

     

8.

●「うからはらから Good and bad fortune are next-door neighbors」● ★★


うからはらから画像

2011年02月
新潮社刊

(1700円+税)

2014年03月
新潮文庫化

  

2011/03/13

  

amazon.co.jp

「うから」は親族、「はらから」は同胞、だそうです。
結婚、離婚、再婚等を繰り返し、繋がりのある人が増えていく展開を、ユーモラスかつ微笑ましく語った長篇小説。
頑固オヤジと賑やかな兄弟等々を背後にもつ、佐和子さんらしい長篇家族小説。

最初の語り手は、元編集者である室田昭夫42歳。
元妻の
未来(みく)から突然切り出さられ離婚したものの、喧嘩別れした訳ではない。それ故、今も1〜2ヶ月間隔で食事を共にする仲。
その未来、離婚して実家へ戻ったら、今度は母親の
珠子がやはり突然に離婚を切り出して家を出ていってしまう。
てっきり悄然としっぱなしと思っていた父親の
シゲル、何と30代の若い巨乳女マリイと再婚。未来に、年下の継母とその連れ子、超生意気な倫土という弟まで出来てしまった、という次第。
一方、未来の新たな恋人との関係は・・・・・。

登場人物7人が代わる代わる語り手となって綴られていく9章からなる長篇作品。
本ストーリィの面白さは、離婚によって関係が絶たれることなく、相手の再婚等によって新たな家族が増える、家族付合いする間柄の人数が増えてしまう、という点にあります。
何だかんだといっても、お互いずけずけとものを言い合ったり、喧嘩し合ったりしても繋がっていられるのは(血の繋がりはなくても)、結局家族・親族という関係があるからこそ、と感じさせられます。
裏表なく前向き、率直かつ善良で、人というものが好きである筈の佐和子さんだからこそ生まれ得た物語。
一見ハチャメチャですけれど、新たな家族物語の誕生を期待させてくれるところが嬉しい。佐和子さん、小説も上手い

嫉妬の距離/妻が来た/乳と暮らせば/僕の兵隊/ホルモンの歌が聴こえる/こころ痛めて/母娘戯画/種の起源/いつも偽家族

                

9.
「正義のセ」 ★☆


正義のセ画像

2013年02月
角川書店刊

(1200円+税)

2016年08月
角川文庫化


2013/03/27


amazon.co.jp

東京下町にある豆腐屋の娘=竹村凛々子は子供の頃から正義感の強い性格。小学校の時のふとした言葉がきっかけになって彼女が選んだのは<検事>の道。しかし、真っ直ぐ過ぎて機転・融通の利かない性格故に、歩む道は前途多難。
そんな凛々子を主人公としたキャリアウーマン成長ストーリィ。

法曹ものとはいっても、かなりバタバタ青春コメディ的にして下町人情もの風ストーリィ。ですからそれなりに面白く、気軽に読み進める作品です。
主人公である凛々子のキャラクター、かなり佐和子さんの性格が投影されているように感じるのですが、皆さんはどう感じられるでしょうか。
検事である凛々子の重要な仕事は、被疑者からの事情聴取。起訴適否および訴求すべき量刑を決めるにあたっては被疑者の真実をどこまで引き出せるかが決め手、らしい。そこには、佐和子さんが長年に亘り続けてきた対談仕事、
聞く力もまた生かされているのかもしれません。

実家の両親・祖母に、豆腐屋三代目を継いだ妹の温子、同僚や先輩検事たちも賑わしくと、アットホームな物語です。

続編「正義のセ2」「正義のセ3」も、3月に同時刊行予定。

1.妹の散歩/2.夜明けの家族会議/3.どうせ私はダメダメの、ダメ女ですよ

                   

10.
「正義のセ2」 ★☆


正義のセ2画像

2013年03月
角川書店刊

(1100円+税)

2017年01月
角川文庫化

2013/04/16

amazon.co.jp

女性検事=凛々子の成長を描くシリーズ第2弾。今回は、
・若い女性が被害者となった家屋侵入による強姦、強姦未遂事件を凛々子が担当。
・検事局内部での不倫関係暴露について、一方的に同期検事の朋美ばかりが責められることに凛々子は憤慨。
・凛々子が担当した事件で冤罪? 偶然再会した小学生時代の親友=
小林明日香につい気を許して自分の悩みを吐露したところ、何とマスコミにリークされ凛々子は窮地に。新聞記者の明日香、友情より仕事を取ったのか。
そのほか、家庭内では、
・父親の浮気がバレ?、ちょっとした家庭紛議。
・妹の
温子、恋人=公一とは結婚に漕ぎ着けられるのか。

前作と変わらず、ドタバタ基調。
新任検事ならともかく、それなりにキャリアを積み中堅クラスの検事となった凛々子がいつまでもドタバタやっているのは、幾ら何でも、と思わざるを得ません。

1.二つの事件/2.戦争です、これは!/3.再会

                 

11.
「正義のセ3」 ★☆


正義のセ3画像

2013年03月
角川書店刊

(1200円+税)

2017年04月
角川文庫化


2013/04/17


amazon.co.jp

正義のセ2から連続するストーリィ。「2」で発生した各種トラブルの後編、いわば収拾篇とでも言うところです。
具体的には、冤罪事件、
温子公一の恋破局問題、凛々子明日香のひびが入ってしまった友情問題と。

正義のセでキャリアウーマンの成長ストーリィと評しましたが、主人公=凛々子にやや成長も見られますが、ドタバタ基調であるだけに物足りず。実際の中堅検事がこんなに世間知らずで毎度アタフタしていては困りますよ。
かといって、誉田哲也作品の代表選手=姫川玲子のようなキャラクターは佐和子さんに似合いませんし。

ややネタバレになってしまいますが、
本書における楽しさは、一旦は対立関係に立ってしまった凛々子と明日香が再び協力して事態打開に動くところ。再び2人の友情復活となるのかどうか。そして温子と公一の破局は・・・。

キャラクター設定、舞台設定等に物足りなさを感じるところはあるものの、楽しくスイスイと読めるところは佐和子さんの良さ。
ことに同僚検事の
神蔵守とのやりとりは、終始2人で無意識に漫才を演じているようなもので、本物語に笑いを絶やしません。

1.「明日香?」/2.姉の決断/3.太陽とそら豆

   

読書りすと(阿川佐和子著作)       阿川佐和子作品のページ No.2

阿川佐和子著作のページ No.1 へ   阿川佐和子著作のページ No.2

阿川佐和子著作のページ No.3 へ   阿川佐和子著作のページ No.4

  


   

to Top Page     to 国内作家 Index