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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その19
伊藤さんがホルモン療法を止めたきっかけは?

Tさんより
はじめまして。ホームページ何度も拝見させて頂いています。僕は現在、48歳で2年半前に前立腺ガンの診断を受けました。当時のPSAは5000あり、骨転移していて、ひどい腰痛でした。

月に一度のホルモン療法の注射と飲み薬を毎日飲む治療で、現在のPSAは0.7に。腰の痛みも無くなりました。そこで、1月にアイソトープによる骨の検査をしたところ、骨転移していたガンが消えてました!自然退縮なのでしょうか?!

HPによると、伊藤さんは2年半でホルモン療法を止めてらっしゃいますが、きっかけは、何だったのでしょうか?ホルモン療法を止めた時の経緯を聞かせていただければ、ありがたいのですが・・・
どうぞ、よろしくお願いいたします。

その19
伊藤勇 より

Tさんへ
現段階では、注射が効いているご様子で、PSAも0.7という数値に下がり、ひどかった腰痛もなくなったと言う事で良かったですね。そして、骨転移していたガンも消えたという事で、ひとまずは今、ホットして居られるであろうTさんに、「本当にこのままで行ってくれたらなあー」と私も心からそう思います。

さて、私が2年半で、女性ホルモン投与を止めたきっかけは、私には、ガンになる以前に心臓弁膜症を患って居り、ホルモン療法によって、心臓への副作用が出て来ましたので、注射を止めました。

私の場合は、以上の経緯ですが、個人個人で、年齢や、身体の他の部位に病気がある人等などで、治療や効力も様々であり、一概に10束一絡げで、判断出来ないものだと云う事は、痛切に感じます。
現在48歳で、2年半前に発病されたと言う事は、45歳で前立腺がんを発症された計算になりますが、年齢的に珍しい例だとは思います。

専門家ではないので、はっきりは解りませんが、薬の性質としては、投与する事は、性欲を抑制する作用がある訳ですから、男盛りの年代には、その点、結構きついものだと考えられます。

現在、自然退縮かと喜んで、薬を止めて、そのまま巧くいけば良いのですが・・・・。私の場合は、他の場所が悪くなってしまったので、止めたのですが、私の周りには、数多くの前立腺がん患者の症例があり、私と同年代で、5、6年続けて居た人が、やはり、段々効かなくなってPSAがポーンと急激に上がって取り返しの付かない事態に陥った人の例もいくつかあります。

自己判断は止めて、専門の先生と充分に相談される事をお勧めします。

その際に、ご自分のガンの性質がどの程度かを知って置く事が大事です。
ガンの悪性度として、低分化、中分化、高分化の三つに分けられるのですが、そのうちの、どこなのか(これは、PSAの検査で解ります)認識して下さい。低分化の段階でしたら、喜ぶどころか、再発の可能性が高いと判断出来ます。

それと、もう一つ、ご存知かと思いますが、ホルモン療法の薬は、ガンの治療薬ではなく、男性ホルモンを抑制する為の薬ですから、投与によって、ガンのPSAが下がるのも事実ですが、下がったからといって、止めてしまったら再発する例もあるので、先生と充分なお話し合いをして、療養に当たって行く事が良いかと思います。

ガンが出ている間は、身を引き締めて食生活や、規則正しい生活スタイルを守っていても、数値が下がると、途端に我慢していたものが一気に爆発して、やりたい放題、食べたい放題に陥りやすいのが常ですが、そこは、ガン体質である事はいつも心して置く事です。

ガンになる要素としては、ストレス3分の1、生活習慣3分の1、遺伝的要因3分の1と言われています。中でも、ストレスは、筋肉を緊張させ、神経を混乱させ、血流を悪くします。

規則正しい生活と明るく穏やかな心のゆとりに心がけて、決して油断はなさらないで下さいね。真の自然退縮を心からお祈り致します。

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