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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その15
父に処方された薬の意味を知りつらくなりました

Uさんより
はじめまして。父の病気が発覚した時からこちらのHPを拝見し元気を頂いていた者です。今回、薬が変わり、薬の意味を調べ、現実を受け入れることがつらくて、メールしてしまいました。

父(73歳)は大腿骨の骨折で手術をして病理検査の結果、前立腺癌骨転移が発覚し、去勢手術、ホルモン療法をしてまいりましたがこの夏頃から食欲不振で骨の節々が痛み(激痛ではないようだが)、先日、ステロイドの『リンデロン4錠(1日)x28日』を処方されました。

薬のおかげで、体力・食欲がつき、今はとても元気ですが、薬効の意味を調べたら、予後が極めて少ない人が対象で、かなりきつい薬で一時的に元気になりその後一気に衰弱してそのまま・・・と言った内容でした。

ここまできてしまった以上、もう、私たち家族は何もすることができないものかと途方にくれています。薬の意味を恐らく把握してなく、一時的に今現在は調子がいい父をみているとせつないです。耐えていくしかないんですよね〜。

その15
伊藤勇 より

Uさんへ
お便り遅れてしまいました。お父さんに心よりお見舞い申上げます。
お便りに、ホルモン療法や去勢手術も受けて見えるようですね。これは、骨の痛みが出て来たので疼痛緩和のホスピス療法(対症療法)だと思います。

ここで、お父さんに自己免疫力が強ければ薬の量を4→3→2という風に減らして見て、それによって痛みが出なければこれも一つの方法なんですが、なにぶんにも、同じ病名でも人により個人差がありますので、現在の状態を一番よく把握して居られる主治医にご相談下さい。PSAも大事です。

先生に何でも遠慮なくお聞きになって、その結果、現段階は減少が不可能な最悪の病状だとしたら、受け入れるしかないと思われます。

今は、一時的にせよ、とても良い状態でいらっしゃるのでしたら、今のうちにご家族と相談されて、お父さんのやりたい事、言って置きたい事などを、それとなくお父さんから聞き出して置く事です。 例えば、親族との食事会、温泉行き、墓参り・・。またお父さんの好きなものを食べてからのカラオケなど・・・。これらは、私の妻の場合にもしてあげた事です。

別れの日は、必ずいつかは誰にでも訪れます。
私も、思い残す事がないように身体の調子を見ては孫達との交流などで思いっきり楽しいひとときを過ごしています。
でも、最悪な事ばかり思っていてもいけません。決して諦めず、最後まであらゆる手段を尽くして、お父さんを何よりも孤独に追いやらないで下さい。

お辛いでしょうが、ご家族と相談されながら、精一杯の親孝行お願いします。

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